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2008-07

夏を走る・2

今回も前回と同じような話になります・・・。

距離を決めて走る「距離走」。時間を決めて走る「時間走」。どちらもマラソン練習には欠かすことのできない重要な練習方法であります。しかし、夏を中心に気温や湿度が高くなると、どんなレベルの方でも体力等の消耗が激しくなり、これまでのようにあるペースを一定に保ちながら長距離を走ることが難しくなってきます。と、言うよりは、気温や湿度が高い中で、各自の走力に合った適切な設定タイムや走行距離を導き出すことが難しくなってきます。これは、単に気温や湿度の問題だけでなく、各自の暑さに対する適応力が高いか低いかの部分も関係してくるからです。

逆に、暑い中でも関係なく秋や冬の練習と同じような設定タイムで距離走を実施し、途中でリタイヤ、もしくは後半大幅なペースダウンをしてしまったとします。この時、身体への大きなダメージ等が懸念されることはもちろんですが、練習をやり遂げることができなかったことに対する精神的なダメージと暑さに対する恐怖心が残ってしまいます。

実は、身体へのダメージは、練習後の休養や栄養補給等で回復させることが可能です。ところが、精神的なダメージは、簡単には回復しません。それどころか、秋や冬のマラソンシーズンに入っても、天候が晴れると暑さに対する不安を口にする選手もいるくらいです。そして、その原因を辿っていった時、夏の失敗体験を引きずっていることが意外と多いのです。

そんなことも考慮し、最初から不安になるような要素を取り除くためにも、夏の練習は時間走を推奨するのです。もちろん時間走も最初から速いスピードで走ってしまい、予定時間より短い時間で切り上げてしまう可能性もあります。しかし、距離走と違い、速いスピードで走ったとしても時間で管理しているので、時間が短縮する訳ではありません。つまり、速く走ってもゆっくり走っても同じ時間なのです。

それならできるだけ楽をするために、ゆっくり走る方が・・・。実は夏の練習に関しては、この考え方が正しく、できるだけ身体に負担の掛からない走り方を考えていくことが基本になります。これは、水分補給や帽子着用等の暑さ対策と同じくらい大切なことなので、夏の練習に関しては、これまでの考え方と切り離してほしいと思います。

さて、具体的な走行時間についてですが、20分から60分程度をひとつの目安に、まずは朝晩のできるだけ涼しい時間帯を選んで走って下さい。特に、初心者の方はウォーミングアップを兼ねてウォーキングからスタートし、トータルで30分程度になるように動き続けてみましょう。その際、ウォーキングとジョギングを交互に繰返すようにすれば、身体への負担もかなり軽減できます。そして、その境目で給水をとると更に効率的です。

◆例1).ウォーキング5分+ジョギング10分(給水)+ウォーキング5分(給水)+ジョギング10分=合計30分。◆例2).ウォーキング10分(給水)+ジョギング20分=合計30分。・・・以上のような組合せを参考に自分の走力に合った流れを作り、1週間単位を目安に少しずつジョギング時間をのばしながらトータル時間ものばしていきます。もちろんできるだけ日陰のある公園等を選び、給水も確実に。特に湿度が高めの時は、タオルを1本ランパン等にはさんでおき、給水時に汗を拭いてから走ると、身体への負担も軽減できます。

次回は、もう少し詳しく時間走を中心にした1週間の練習について考えます。

夏を走る

いよいよ本格的な夏に突入です。ご存知のとおり、実業団選手や箱根駅伝を目指す学生選手達も秋の駅伝やマラソンに向け、夏場の走りこみを精力的に実施しています。もちろん市民ランナーの皆さんにとっても秋の各種レースに向け、走りこみの重要な時期であることは全く同じです。暑さに負けず頑張ってほしいところです。

と、言いながら実業団選手や学生選手達は、涼しい高原や北海道等に移動し、なおかつ長期滞在することが可能なため、彼らと同じような走りこみを市民ランナーの方々が実施していくことは・・・。やはり、自宅周辺の暑い環境下でどのような走りこみをしていくかの工夫が必要不可欠になります。

長距離走の練習として正確な距離を正確なラップで刻んでいくことが、基本となることは今更言うまでもありません。日々の練習も可能な限り正確な距離を正確なラップで刻んでいく練習を実施してほしいと思います。ところが、夏場の練習に関してはこのことが例外になります。実は、この点が重要なポイントとなります。

暑さや湿度の高い中でのランニングは様々な危険を伴う場合があり、積極的におすすめできない部分もあります(専門的な話は割愛します)。しかし、暑いからと言って何もしない訳にはいきません。この矛盾と戦いつつ最効率な練習を模索し、実施していくのが、夏の練習です。

そこで、夏におすすめしたい練習は「時間走(1時間走とか時間で走る練習)」です。なんだぁと、思う方がほとんどかもしれませんが、夏の練習で走りこめない最大の原因は意外にも距離走(30k走とか距離で走る練習)だったりするのです。失敗例として、比較的涼しい早朝に30k走を実施しようとしたとします。当然、暑さを考慮し設定タイムをいつもより落としてスタートします。出足は余裕を持って走れていたのですが、途中からペースを保てなくなり・・・、更に暑さにバテ・・・、22k地点で打ち切り・・・。また、最後まで走りきれたとしても後半は大幅なペースダウン。如何でしょうか?実は、私が指導している選手の中にも毎年数名の選手が、このようなことになります。

このケースで問題なのは、単に走りきれなかったことだけでなく、秋のマラソンに向けて脚つくりを実施し、距離に対する不安を払拭させることが目的なのに、逆に距離や暑さに対する不安を残す結果となることです。実は、このことを簡単に考えてはいけません。意外と秋以降も不安を引きずっていくタイプの方は多く、うまくマラソンを走りきれない大きな原因のひとつとなっているのです。そして、マラソンは技術的なことより、メンタル的な部分が大きいと言われる大きなゆえんでもあるのです(メンタル的な部分が全てと言っても良いくらい)。

では、暑い環境下でどのように時間走を実施していくのか?次回は具体的な方法を考えていきます。

週末合宿・2

今回は少し視点を変えて週末合宿を考えてみたいと思います。実は、遠方へ移動する合宿で見落としてしまう事項があります。それは、合宿地までの移動時間と移動することに伴う身体への負担(疲労)です。

前回の合宿事例を見返して頂ければわかりますが、あえて初日の午前中と最終日の午後は移動にあてるため練習計画を入れておりません。もちろん早朝4時とかに自宅を出発するので午前中も練習可能な方もいるでしょうが、今度は早起きをした分、身体への負担が確実に増してきます(睡眠不足等による)。

特に1泊2日の場合、日程の都合上どうしても到着直後にメイン練習を実施するケースが多くなります。その結果、前半は快調だが後半身体が急に重くなり最後まで走りきれなくなる方をよく見受けます。皆さんも経験はないでしょうか?原因として単に前半からとばし過ぎたことも考えられますが、意外と現地移動の疲労等が影響していることがあります。

そこで、同じ週末合宿でも移動負担を軽減させるため、逆に自宅から1時間前後の場所での合宿を検討してみるのもひとつの方法です。都内にお住まいの方であれば、ちょうど千葉県富津市あたりまででしょうか(笑)。もちろん涼しい場所への移動は難しくなりますが、移動による肉体的負担を大幅に軽減することが可能となります。同時に1泊2日の合宿でも初日の午前と2日目の午後も練習することが可能となります。つまり単純計算で遠方合宿より2倍の練習が可能になるのです。

(◆週末合宿初心者例).1日午前:2時間LSD(ウォーキングと交互に)。1日午後:エンドレスリレー(リレー形式によるインターバル)。2日早朝:散歩&体操。2日午前:基本動作&補強運動。2日午後:2時間LSD(ウォーキングと交互に)。・・・以上のように、ゆとりを持った練習計画が可能となります。もちろん時間帯によっては、暑い中での練習になる場合もありますが、日陰の多い公園を選んだり、給水頻度を増やすことで意外と走れるものです。

もちろん涼しい高原での合宿も近場での合宿も一長一短があり、どちらが良いとは単純に比較することはできません。しかし、ただ単に涼しい環境かどうかだけで週末合宿を立案するのでなく、移動に掛かる時間や移動による身体への負担も考慮していければ、週末合宿もより充実してくることは間違いないでしょう。そして、実際に近隣の地図を見ながら、自宅から1時間前後で移動可能な範囲を確認し、その中で合宿できそうな場所を吟味してみるのも意外な発見があり、合宿に対する固定概念も変わるかもしれませんね(笑)。

週末合宿

先週の金曜日から2泊3日の日程で北京パラリンピック視覚障害者マラソンの強化合宿を実施しました。場所は、長野県菅平高原です。ご存知のとおり、菅平高原はラグビーやサッカーでの合宿地としても有名な場所です。これから夏本番に向かって菅平高原もたいへんなにぎわいになっていきます。

さて、皆さんも、夏から秋にかけて週末を利用した短期合宿を各地で実施していると思います。また、ほとんどの方が毎日同じようなランニングコースを淡々と走っているケースが多いので、たとえ短期間としても週末を利用した合宿は効果的です。そこで今回は、週末合宿の注意点を考えてみます。

はじめに合宿を立案する際の注意点を幾つかあげると・・・。(1).合宿参加人数&予算の確認。(2).宿泊先の確保&予約。(3).合宿場所へのアクセス方法。(4).練習場所&ランニングコースの確認&確保。(5).給水や距離計等の備品準備。・・・以上、大まかな確認事項としてあげておきます。これ以外でも涼しい高原での合宿は特に、天候が急激に変化する場合が多々あります。夏でも雨や防寒対策の準備はして下さい。

次に週末合宿の内容についてですが、まずは何を目的に合宿を実施するのかを明確にする必要があります。ただ何となく仲間達と合宿を実施したが、内容がハード過ぎて故障や怪我をしてしまうケースは意外と多いものです。同様に、人数が多いと周りの仲間につられて、これまで経験したことのないペースや距離を一気に走り、やはり故障や怪我をし、逆に自信を無くしてしまう方も見受けられます。合宿だからといって、張り切ってしまう気持ちはよく理解できますが、やはり日々のトレーニングと同じ目線に立ち、無理なく余裕を持って実行できる内容を立案してほしいものです。

特に、ランニング経験の浅い初心者の方は、同じLSDでも途中にウォーキングを取り入れ、ランニングと交互に繰り返すことで、無理なく長時間動き続けることが可能となります。スピード練習に関しても、同じインターバル練習ならリレー形式にすることで、走っている仲間を応援したり、フォームを観察したりと、内容の幅が広がります。また、同様に走るだけでなく、普段一人で実施するには難しい基本動作や補強運動を皆で実施するのも意外と楽しかったりします。合宿だからといって、走ることだけにこだわる必要は全くありません。皆で楽しく実施できる内容を考えてみましょう。

(◆初心者合宿例1).1日午前:現地入り。1日午後:3時間LSD(ウォーキングと交互に)。2日早朝:基本動作。2日午前:エンドレスリレー(リレー形式によるインターバル)。2日午後:解散。(◆初心者合宿例2).1日午前:現地入り。1日午前:3時間LSD(ウォーキングと交互に)。2日早朝:散歩&体操。2日午前:基本動作&補強運動。2日午後:エンドレスリレー(リレー形式によるインターバル)。3日早朝:散歩&体操。3日午前:2時間LSD(ウォーキングと交互に)。3日午後:解散。

(◆中・上級者合宿例1).1日午前:現地入り。1日午後:距離走(30k走、他)。2日早朝:軽めのジョギング。2日:午前:スピード練習(1k×10本、他)。2日午後:解散。(◆中・上級者合宿例2).1日午前:現地入り。1日午後:距離走(30k走、他)。2日早朝:軽めのジョギング。2日午前:スピード練習(坂道走×20本、他)。2日午後:2時間LSD。3日早朝:軽めのジョギング。3日午前:ビルドアップ走(20k前後)。3日午後:解散。

以上、ほんの一例です。これに合宿場所の地形や設備(トラックや体育館)の状況を加味できれば、どんな方でも手軽に合宿が立案できます。そして、練習以外の時間は、普段ゆっくりと話すことができない仲間達と、親睦を深めることで合宿の効果は更に増していくことでしょう。

皆さんの実り多き合宿を祈念致します。

ランニングブーム・4

様々な動機からランニングを開始したものの、直ぐにあきてしまったり、身体へのダメージが大き過ぎて、志半ばで断念してしまう方々が意外と多いのも、残念ながらランニングの特徴でもあります。しかし、同じような環境下でランニングをしている仲間達と一緒なら、その苦しみも克服できたりするものです。

ご存知のとおり、空前のランニングブームを後押しするように、全国各地でランニング講習会や練習会等も盛んに開催されております。いつも一人でランニングをしている方でも気楽に参加できる講習会もたくさんあります。そのようなイベントを大いに活用することで、楽しく走り続けるためのヒントや一緒に走る仲間を見つけられたりするものです。もちろん最初は、多少の勇気が必要かもしれませんが、「私のような初心者が参加しても・・・」と、思っている方がほとんどで、必ずそのような質問を頂きます。もちろん、「心配する必要はありません!」と、お答えします(笑)。

また、ランニングをより楽しんでいく方法や手段はたくさんあり、どんな講習会や練習会も主宰されている方の経験や理論等に基づいたものなので、どれが正しいとか間違いと決めつけることはできません。同時に、各講習会や練習会の中身も初心者の方を対象にしたものや、単に皆で練習することを目的にしたもの等々・・・、内容や方法も多種多様になってきています。

実は、私も日本陸連普及委員なので、日本陸連主催のランニングクリニックでは、講師としてお手伝いしております。毎回、どうやって皆さんの指導をしていこうかと悩むのですが・・・、一緒にクリニックで講師をされている先生方は、私の目から見ても本当に判り易く、丁寧で親切な指導です。よって、私も受講したいと常に思ってしまいます(笑)。

このように、各種講習会や練習会に参加することで、ランニングをより深く楽しむためのヒントを得ることは十分可能なことです。但し、専門的な講習会や練習会に参加したからといって、直ちに成果が出てくるものではありません。特に、ランニングフォームについては、その人の動きやクセをその時修正できたとしても、しっかりと身に付けるためには、強い意識と根気を持った毎日の反復練習が必要不可欠となります。

同じように、練習方法についても、効率的な内容を実行したからといって直ちに成果を出すことは、かなり難しいことです。更に、学んだことを成果に結びつけるためには、自分に合うと思った講習会や練習会を定期的に繰返し参加することも大切です(同じ技術や練習を何度も反復する)。

何事も、「継続は力なり」です。しかし、楽しくないことは継続できません。やはり、自分のスタイルに合った、「ランニングの楽しみ方」を学べる講習会や練習会に参加したいものですね。

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