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2014-06

絆・21

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【絆・21】梅雨の真只中ですが、6月21日(土)から1泊2日の日程で、日本盲人マラソン協会主催の強化合宿を千葉県富津市において開催しました。

毎年のことですが、梅雨と言いながらも晴れれば気温は30度以上に上がり、マラソントレーニングを実施していくには厳しい季節に突入しました。本来であるなら、実業団選手や箱根を目指す学生ランナーたちのように、暑い季節は涼しい場所へ移動しての長期合宿が理想です。そして、そのためには、相応の資金と時間の確保も必要不可欠になります。

もちろん、そのような環境づくりを目指して様々な方が様々な方面から努力をしていますが、理想と現実のギャップはそう簡単に埋まらないのが現状です。特に、長期合宿を実現させていくための時間を捻出することは、選手にとってもスタッフ(伴走者込)にとっても、最重要課題のひとつとして残っています。

一方で、パラリンピックや世界選手権と言ったビッグイベントのほとんどは、真夏に開催されます。2020年の東京パラリンピックも真夏に開催されます。その中においてのマラソンは、気温35度以上の中で走ることを想定し、それに対応できる日々のトレーニング方法や暑さ対策を構築していく必要もあります。

そんなことも考慮していくと、現状のように暑い季節でも東京に近い千葉県富津市において短期強化合宿を継続していくことは、決してマイナスではありません。

これからどんどん新しいことに挑戦し、新しいことを取り込んでいくことは重要なことですが、これまで同様、実施可能なことを確実に継続していくこともトレーニングの基本です。特に、近年は医科学サポートも充実してきており、それらのサポートを受けることによって、これまで厳しいと言われた環境やコンディション下でのトレーニングやレースへの対応策も構築されていくと考えます。

そんな中、日本盲人マラソン協会としては、毎年8月末に開催されている「北海道マラソン」に、今年から強化指定選手を公式に参加させます。もちろん、2020年の東京パラリンピックに対する暑さ対策も加味しての参加です。今後は、専門スタッフからのご協力を受けながら、まずは北海道マラソンでのデータを蓄積していきます。

引き続き、皆様方の絶大なるご支援ご協力をよろしくお願い申し上げます。

つづく。

期分け・90

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【期分け・90】前回は、ロードレースとトラックレースの相違点を3つあげました。更に、ロードレースから出場した市民ランナーの視点からまとめると、ロードレースと比較した場合、トラックレースの方がより厳格に実施される競技会であると言えます。

さて、今回もその違いについて、もう少し考えていきますが、実際にトラックレースの5,000mを初めて走った市民ランナー方に話しを聞くと、ほとんどの方が次のような感想を話します。

◆感想1).日本陸連の公認審判員からスタートまでの間、時間厳守で招集や腰ゼッケンの確認等を何度も受けるので、スタートまでに物凄く緊張した。◆感想2).スタート時の混雑が無いので、スタート直後から一気にスピードが上がってしまった。そして、1,000mを通過したあたりから今度は一気に苦しくなり、ゴールまでは経験したことのない苦しさだった。◆感想3).同じトラック上を12周半も走るのでコースを全て見渡せて変化が全くない。更に、ゴール地点に何度も戻ってくるので精神的に辛く、ゴールまでがとても長く感じた。また、仲間の応援にも全く反応できなかった…。

さて、皆さんはいかがでしょうか?

実は、トラックレースを経験したことのある方なら誰もが経験していることなのです。もちろん、実業団選手(プロ)や箱根駅伝を目指している学生ランナーも同じような苦しみを常に味わっています。

では、こんなにつらく苦しいトラックレースが、どうしてスピード強化につながるのでしょうか?

誰もが単純に思うことですが、まずは上記したトラックレースの感想を元に、ロードレースに出場した場合と、感じ方の違いをいくつかあげてみます。

◆違い1).ロードレースは、スタート直後まで音楽を聞いたり、仲間と談笑したりと、自分のリズムで過ごすことが比較的可能なため、精神的にリラックスできる。◆違い2).ロードレースは参加人数も多く、同じ目標タイムのランナーと一緒にスタートすることも可能で、個々のペースでスタートできる。◆違い3).一部の周回コースを除いてゴールまでの間、景色や沿道の応援が変化し、途中で苦しくなってもゴールまでは何度でも立て直すキッカケをつかめる。

次回は、上記した違いを更に掘り下げていきます。

つづく。

絆・20

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【絆・20】6月7日(土)から2日間の日程で、日本身体障害者陸上競技選手権大会が大阪長居で開催されました。日本盲人マラソン協会の強化指定選手たちも多数参加し、自己記録の更新に挑みました。

ご存知のとおり、既に梅雨入りして全国各地で記録的な雨量も観測しております。しかし、6月は梅雨の晴れ間になると、気温は30度をこえ真夏と変わらない厳しい暑さにもなります。特に、中長距離種目にとって梅雨らしい雨天の場合、雨がラジエターの役割を果たし、体温の上昇を抑えてくれるので、逆に好記録が期待できます。私自身も現役時代、6月の大会において、雨天の中で自己記録を更新した経験が何度かあります。

ところが、梅雨の晴れ間にぶつかると、気温は30度を大きくこえ、特にトラック上の気温は体温を上回る厳しいコンディションとなります。もちろん、そんな中で長距離種目を実施すること自体が自殺行為と言えます。

果たして、6月7日(土)と6月8日(日)の大阪長居は、見事に晴れました!

大会1日目は、5千メートル。T12クラス(弱視)の堀越選手を筆頭に、T11クラス(全盲)の和田選手や谷口選手たちが出走しました。スタートから記録を意識した積極的な走りを見せていましたが、暑さの影響が大きく、どの選手も後半は失速。特に、堀越選手と和田選手については、単に暑さだけの影響ではなく、動き自体にかたさも見られました。

大会2日目は、1500メートル。前日同様、堀越選手がスタートから先頭に立ち、積極的な走りを展開しましたが、残り300メートルから失速。逆に、和田選手はスタートから抑え気味に入り、残り300メートルからラストスパートを効かせてのゴール。堀越選手は前日以上に動きがかたく、和田選手は本来ののびやかな動きを取り戻していました。

堀越選手も和田選手も陸上競技に対する意欲や意識の高さはトップクラスで、まさに「命をかけて」います。一方で意欲や意識の高い選手ほど、調子の歯車が少しずれると、それが焦りとなって気持ちや感情をうまくコントロールできなくなってくるケースも意外と見受けます。

両選手にとって、この2日間の記録と成績のため、直ちに大きな痛手を受けることはありませんが、気持ちや感情をどのようにコントロールしていくかは、課題のひとつと感じました…。

さて、同じ日程で福島県において開催された一般の日本陸上競技選手権大会で、前人未到の20連覇を達成したハンマー投の室伏選手を筆頭に連覇を重ねた選手が複数いました。同じ大会に毎年連続して出場すること自体、自己管理と節制が必要不可欠となり、誰にでもできる偉業ではありません。

そして更に、勝ち続けることは、ライバルとの駆け引きや外部からのプレッシャーは相当大きくなりますが、最後は自分自身の気持ちと感情をどのようにコントロールしていけるかが重要なカギです。

至極当然のことですが、我々としては同じ陸上選手として学ばせていただく点ばかりです。しかし、それは単に技術やトレーニング理論だけでないことを、世界を相手に戦う真のトップアスリートたちから学ばなくてはいけない…。

つづく。

期分け・89

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【期分け・89】今回からトラックレースを実際に走る視点から考えていきます。はじめに、ロードレースとトラックレースの大きな違いをいくつかあげてみますので、それぞれがイメージして下さい。

◆相違点1).開催会場の違い。

まさに、見たままのことになりますが、トラックレースは会場や受付等全てが陸上競技場になります。一方のマラソンや各種ロードレースは、ご存知のとおり様々です。大会によってはトラックレース同様、陸上競技場を発着点にする場合もありますが、多くの大会は体育館であったり、公園であったりと大会毎に違いがあります。

◆相違点2).受付(コール)の違い。

マラソン大会を含め、ほとんどのロードレース大会では会場に到着後、受付場所で自分自身のゼッケンを受け取ることで全てが完了します。すなわち、あとはスタート時間に合わせて、ゼッケン番号やチップを付けて並べば、スタート可能となります。

ところが、トラックレースは違います。会場において自分自身のゼッケンを受け取るまでは同じですが、ここから大きく異なります。スタート前にコールと呼ばれる点呼が必ずあり、これを忘れると失格となります。一般的なコールの例として、1次コールと2次コールがあり、1次コールは招集所に掲示してある自分自身の氏名にマークをします。2次コールは招集係にゼッケンを付けたユニフォーム姿でチェックを受けます。全ては時間厳守になっており、招集時間に遅れると失格になります。もちろん、このコールを代理人にさせても失格となります。

◆相違点3).スタートからゴールまでの違い。

マラソン大会やロードレース大会は、スタート時間に合わせ、各自がスタート地点に並びます。同時にスタート地点から後方に向かって長蛇の列となって参加者たちが並んでいきます。したがって、スタート地点を通過するまで相応のロスタイムが必ず発生します。特に、後方に並ぶことの多い市民ランナーは、スタート後も足踏み状態が続くケースも多く、出足からどんどん前にいくことは困難な状況です。しかし、順調に走り出すと、周りの景色を楽しんだり、途中の距離表示を確認しながら自分自身のペースでゴールを目指すことも可能です。

一方のトラックレースは、スタート地点に集まると言うより、出発係からゼッケン順に並ばされます。もちろん、時間に遅れると失格になります。また、このときゼッケン番号とは別に腰ゼッケンを渡され、それをパンツに付けます。更に、トラックレースはロードレースと違い、一緒にスタートできる人数は予めルールで決められており、多くても30名前後となります。そのため、スタートロスはほぼ皆無となり、スタートからどの選手も脱兎のごとく飛び出していきます。同時に、レース中はトラック内のため、景色は変わらず、応援も変わりません。また、ロードレースは「キロ表示」ですが、トラックは「周回表示」になります。つまり、400mトラックでの5千メートルは「12周半」となり、ゴール地点での表示は残りの周回表示となります。

上記以外にも違いはありますが、トラックレースを走ることで、市民ランナーの方はこれまでと違う緊張感や苦しみも体験することに…。

つづく。

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