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秋を走る Archive

大分国際車いすマラソン

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【大分国際車いすマラソン】11月9日(日)、伝統の大分国際車いすマラソンが開催されました。天候は雨と、車いすにとっては悪コンディション下でのスタートとなり、男子はスイスのマルセル・フグ選手が大会5連覇、女子もスイスのマニュエラ・シャー選手が大会2連覇と、今年も海外選手の強さが際立った大会でした。

男子のマルセル・フグ選手は、スタート直後から世界記録を上回る積極的な走りで2位以下を圧倒。特に、悪コンディション下では、早い段階で独走に持ち込む展開がより確実に勝利できます。この勝利の方程式にキッチリはまった形となり、マルセル・フグ選手の圧勝でした。

もちろん、日本選手たちも2位争いを展開しながら必死にマルセル・フグ選手を追いましたが、逆に離される一方となりました。実は、こちらも悪コンディション下ではよくある集団で追いかけるが故に負の連鎖にキッチリはまった形となり、最後まで誰も抜け出すことはできませんでした。

終始安定したフォームで高速ラップを刻んだマルセル・フグ選手の走りは、技術的な部分はもちろんですが、豊富な走り込みに裏打ちされていると強く感じました。

同時に、今回大差を付けられた日本選手たちは、出足からマルセル・フグ選手を簡単に逃がしてしまった点が最大の敗因であり、逆に十分勝機はあるとも感じました。

最後になりましたが、悪天候の中、大会を支えていただいた関係者の皆様、沿道で最後までご声援いただいた地元の皆様に厚く御礼申し上げます。

絆・24

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【絆・24】11月1日(土)から11月3日(月・祝)までの3連休を活用し、日本盲人マラソン協会主催の強化合宿を千葉県富津市において実施しました。今回の強化合宿は、12月のマラソンに向けた走り込みが主な目的でした。具体的なトレーニング実施内容は下記のとおりです。

◆11月1日(土)/午後:各自調整ジョグ+1k走。◆11月2日(日)/早朝:各自調整ジョグ/午前:40k走/午後:各自調整ジョグ。◆11月3日(月・祝)/早朝:各自調整ジョグ/午前:1k×10本/午後:解散。

また、上記以外に1日(土)の午後に栄養講習会と、2日(日)の午後にアジアパラ報告会を実施しました。栄養講習会については今回で2回目となり、選手からの質問も多くなりました。また、アジアパラ報告会は、見事2冠に輝いた堀越選手と帯同した中田コーチからの報告だっただけに、内容もわかり易く充実していました。

このように、合宿だからと言って単に走り込むだけでなく、他人の話しを聞いたり、新しいことを学ぶ機会を取り込むことは重要です。同時に、繰り返し継続していくことも必要です。

特に、ランニングブームの影響もあり、逆に理論(知識)ばかりを詰め込んで肝心の走り込みをおろそかにしている市民ランナーは意外に多いと感じます。大切なことは、自身の経験(走力・走歴)にマッチングした理論(知識)を身につけていくことだと考えます。

例えば、「マラソンのスタート何時間前までに何を食べたら良いのか?」と、今回の講義でもあらためて話題になりました。もちろん、一般的な栄養学からの模範解答はありますが、突き詰めていくと、個々にその時間や食事内容は違ってきます。また、違って当然です。

そして、その独自のノウハウを構築していった選手が、国際舞台でもより安定したパフォーマンスを発揮し、メンタル面も強いと言われるようになるのです。

今後も強化合宿を通じて、理論(知識)と実践(トレーニング)をマッチングさせていき、国内外のどんな大会に出場しても絶対にブレない個々のノウハウを構築していきます…。

アジアパラ・3

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【アジアパラ・3】韓国・仁川において開催されていたアジアパラ大会は、10月24日に閉幕しました。おかげさまで、陸上競技(身体陸上)のチームジャパンは目標のメダル獲得数を上回る成績を残すことができました。ご支援いただいた皆様方に対し、あらためて御礼申し上げます。

◆陸上競技(身体陸上)のメダル獲得総数32個:金メダル数13個、銀メダル数11個、銅メダル数8個。※知的陸上と合わせた陸上競技全体のメダル獲得数も42個と、目標を上回る成績でした。

また、もうひとつの目標だった自己記録(PB)の更新も16個と、調子のピークを合わせるピーキングもしっかりとできました。※前回大会は5個。

さて、今回のアジアパラでは中国の圧倒的な強さや新興国の躍進等々、アジアのレベルアップのスピードに驚きも感じました。特に、傷痍軍人をパラスポーツに積極登用している国々の躍進は目覚ましく、これからはこのような流れが主流になるのかもしれません…。

しかし、日本(身体陸上)も前回のメダル獲得数16個(金メダル6個)から2倍になり、大きく躍進した国のひとつに数えられます。他の躍進国との比較ばかりして悲観する必要はないのです。

今回、陸上競技(身体)が、大きく飛躍することができた最大の要因は、「自己記録の更新」です。自己記録の更新については年間を通じた強化目標であり、少しずつでも「自己記録の更新」こそが、唯一確実に世界へつながっていく道であります。

来年の世界選手権、2016年のリオパラリンピックに向けても、この「自己記録の更新」を軸に強化していきます。

今後とも皆様方の絶大なるご支援ご声援をよろしくお願い申し上げます。

雨中での走り込み

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【雨中での走り込み】いよいよ10月に入りました。多くの市民ランナーたちにとっては、マラソンに向けた本格的な走り込み期となります。特に、10月は天候も比較的安定し、日中に走り込むには最適な季節でもあります。

ところが、今月最初の日曜日となった5日(日)は、台風の影響で全国的に大荒れの天候となりました。私の拠点である千葉県富津公園においても土曜日から雨となり、風も強まりました。幸い、公共交通機関は何とか動いていたのと、関東への接近はもう少し時間があったので、富津合同マラソン練習会は実施しました。

そこで今回は、雨天時の走り込みについて考えていきます。

はじめに、「皆さんは雨が降ったら外で走りますか?」

このような質問を市民ランナーの方々に向けると、「走らない」と答える方は意外と多く、驚くことがあります。今度は続けて「マラソン当日、雨が降ったら?」と質問をすると、「もちろん走ります」と…。

実は、マラソン大会をはじめ陸上競技大会は原則として中止がありません。雨が降ろうが雪が降ろうが開催されるのが一般的です。但し、その影響により公共交通機関に混乱が生じている場合は中止されることはありますが…。

したがって、雨天でもマラソン大会が開催される以上、雨の中でも走り込みを実施しておく必要があります。私が個人的にこれまで指導してきた市民ランナーの中には、やはり雨天時は走らないという方もいました。真面目にコツコツと走り込むタイプの方なのに、なぜか急に走行距離が少なくなってしまう月がありました。

当初は、あまり気にしなかったのですが、練習報告書を詳しく分析すると、天候が雨の日は走っていなかったのです。本人と話をすると、やはり雨の日は走らなくて当然と言った感じでした。もちろん、頭ごなしにその考えを否定する訳にはいかないので、ある一定期間、雨天時は走らないトレーニングを継続させましたが、案の定、結果がでません。なぜなら、日々のトレーニングが途切れてしまうからです。

その後は、日々のトレーニングを地道に継続していく重要性を理解し、雨天時でもしっかりと走り込むようになり、走りも安定してきました。さて、今更ながらこれから寒くなっていく季節ですが、更に雨の中を走り込むための注意点をいくつかあげてみます。

◆注意点1).防雨対策を考えて走る(ウィンドブレーカー、簡易カッパ、等)。◆注意点2).雨や風の強さに応じて内容を調整する(距離、設定タイム、等)。◆注意点3).練習後の風邪対策を予め準備しておく(着替え、お風呂、食事、等)。

以上の3点は、最低限考えてほしい注意点です。もちろん、台風のような大雨の中を無理に走ることは、命の危険にも曹禺します。そんな状況の中での走り込みは、逆に勇気を持って中止して下さい。そのためにも雨天時でも安心して走れる体育館やアーケード街等を確保しておくことも必要不可欠です。

そして、秋のマラソンを攻略するための重要なキーワードのひとつが、「雨天時の走り込み」であることを、頭の中に入れておくことは必要と考えます。

期分け・100

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【期分け・100】いよいよ本格的なマラソンに向けた走り込み期に入っていきます。特に、10月は年間を通じて最も走り込みに適した月のひとつと言われております。今回は、その10月の走り込みをより充実したものにするための注意点を考えていきます。

はじめに、ここで言う「10月の走り込み」を実施していく上での前提条件として、次の3つをあげておきます。もちろん、その条件を満たしていなくても問題ありませんが、より安全(無故障)に充実した走り込みにしていくための条件と捉えてください。

◆前提条件1).7月から9月の暑い中、予定どおりのトレーニング計画をほぼ継続してきた。◆前提条件2).特に、9月中に故障や怪我もなく今現在も健康である。◆前提条件3).目標とするマラソン大会が11月から12月である。

要は、9月中に故障をしてほとんど走り込めていないランナーや年内に目標とするマラソン大会が無いランナーは、同じ走り込みでも内容を見直した方が賢明と考えます。まずは、この点をそれぞれが確認した上で10月の走り込みを実施してほしいところです…。

次に、10月の走り込みが夏の走り込みと違う点として、単にゆっくり長く走るのではなく、目標のマラソンタイムをターゲットにした設定タイムで目的の距離を走り込んでいくことです。具体的には、30kから40kをメインに走り込んでいきます。

そして、最も重要な点は、どんな設定タイムで走り込んでいくかです。このブログに何度も記載しておりますが、この点を間違えると怪我や故障に直結していく可能性が高くなるので、ゆとりある適切な設定タイムを意識していく必要があります。

具体的な設定タイムの手掛かりとしては、スピード養成期(4月~7月)に出場した5kから10k(※)のタイムを基準として考えていくのが前提となります。もちろん、直前の9月までに出場したレースのタイムから判断しても構いません。※ハーフマラソンのタイムから判断していくことも可能ですが、前半(15k手前)から失速した場合のタイムを参考にしていくのが難しいので注意が必要。

同時に、マラソンの目標タイムを設定する際、自分自身の目標と思っている場合でも、単なる希望的な記録だったりするので、しっかりと現状分析を実施し、それを自分自身で受け入れる勇気が最も大切になってきます。

なぜなら、マラソンは憧れや願望だけでは、目標を達成することが難しいスポーツなので…。

期分け・99

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【期分け・99】9月に入り、厳しかった暑さも幾分和らいできた感じです…。そして、いよいよマラソンシーズンへと入っていきます。同時に、マラソンを意識した本格的な走り込みの季節にも突入です。

かくいう私が主宰する富津合同マラソン練習会も、9月から秋季シリーズがスタートします。そして今回、千葉県富津市において本格的な走り込みに入るために最後の基礎固め的(土台つくり)な意味も含め、9月13日(土)から9月15日(月・祝)の3連休を活用して合宿を実施しました。

合宿地は長野県菅平高原です。毎年、7月と8月に必ず合宿を実施する場所でもありますが、9月に菅平高原で合宿を実施するのは今回がはじめてです。実は、皆さんも経験していると思いますが、ここ数年の9月は残暑が厳しく、地元での走り込みが暑さのために過酷を極めている状況でした。そこで、今年は9月に涼しい場所で40k走を1本実施することを、昨年の夏から決めていたのです。

今回の合宿で実施したトレーニング計画は次の内容です。

◆初日(13日):午後/90分から120分LSD(各自の調子に合わせて)。◆2日目(14日):午前:40k走(4分10秒/k、4分30秒/k、5分00秒/k、5分30秒/k、6分00秒/kの5グループで実施)、午後/90分から120分LSD(各自の調子に合わせて)。◆3日目(15日):早朝/各自フリージョグ(各自の調子に合わせて)、午前/1000m×5本(4分30秒/cycle、5分30秒/cycle、6分30秒/cycleの3グループで実施)。

もちろん、合宿最大の目的は、2日目午前の40k走です。同時に、この40k走を確実に走り切り、これからのマラソントレーニングへ移行するために、設定タイムをいつもの富津練習会より更に落とし、グループ別にスタートさせました。そのグループ別の設定タイムとマラソンベストタイム(ゴールの実績タイム)は、次のとおりです。

◆4分10秒/k グループ:マラソンで2時間30分以内相当(2時間44分7秒)。◆4分30秒/k グループ:マラソンで2時間30分から2時間50分相当(3時間1分23秒)。◆5分00秒/k グループ:マラソンで2時間50分から3時間10分相当(3時間18分4秒)。◆5分30秒/k グループ:マラソンで3時間10分から3時間30分相当(3時間35分22秒)。◆6分00秒/k グループ:マラソンで3時間30分以上相当(3時間53分1秒から3時間53分38秒)。

いかがでしょうか?かなり遅いと感じませんか?

今回、40k走に挑戦した40数名のランナーたちが、ほぼ全員が脱落することなく、最後まで確実に走りきることができたのは、このゆとりある設定タイムとグループ別にしっかりとしたペースメーカーを配置したからなのです。

特に、これからマラソンシーズンを意識した走り込みを実施していく上で、最初の距離走(30kから40k)を確実に走りきることはとても重要です。実は、秋のマラソンや冬のマラソンで失敗を繰り返している市民ランナーの多くが、この最初の距離走を失敗し、そのまま悪循環に陥っているケースは意外と多いのです。

2014ジャパンパラ

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【2014ジャパンパラ】先日の9月6日(土)から7日(日)の日程で、障がい者陸上競技大会の国内最高峰である「2014ジャパンパラ陸上競技大会」が、山口県において開催されました。大会には、来月開催されるアジアパラの日本代表選手をはじめ、全国から多くの選手が参加し、自己の記録に挑戦しました。

はじめに、記録について話しをすると、今大会で誕生した日本新記録は24個、大会新記録は43個でした。参考までに2012年の大会と、2013年の大会で誕生した日本新記録及び大会新記録の数は次のとおりです。

◆2012年大会/日本新記録:29個、大会新記録:53個。◆2013年大会/日本新記録:14個、大会新記録:34個。※パラリンピック及びアジアパラ実施種目以外の種目も含む。

大会のコンディションや会場等の違いがあるので、単純に比較することはできませんが、2012年はロンドンパラリンピック直前に実施された大会であり、各選手の調子やモチベーションがかなり高まっている状態でした。そして、昨年はパラリンピック後の大会となり、選手たちが一息ついた(?)状態でした。

今大会は、10月に開催されるアジアパラに向けた最後の大会となり、代表選手にとってはここまでの調整や調子を確認する絶好の機会となりました。そんな状況を加味すると、選手たちの調子やモチベーションは高まってきていると期待できます。特に、今大会はベテラン勢の頑張りと勢いを強く感じました。

いつの時代も常に、若手選手の育成、次世代選手の発掘と言っており、どのスポーツにおいても最重要課題のひとつであることに違いありません。しかし、科学的トレーニングが浸透してきた昨今では、ひと昔前なら既に引退している年齢に達していても、トップアスリートとして活躍している選手が多くなり、逆に年齢で選手生命を決める常識は無くなりつつあると感じます。

そして、どのスポーツも、若手選手の台頭はチームに勢いを与え、ベテラン選手の頑張りはチームに粘りを与えます。いつの時代もチームには、このバランスが重要と考えます…。

来月のアジアパラに向け、どの選手も最終調整に入っていきます。このブログで何度も記載しておりますが、調整の基本は「迷ったら休養」です。

そして、「風邪に注意」です。

絆・23

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【絆・23】夏マラソンの国内最高峰である北海道マラソンが、札幌市で開催されました。今回、同大会に日本盲人マラソン協会・強化指定選手が初めて公式参加しました。まずは、大会参加にご尽力いただいた関係各位に対し、心より御礼申し上げます。

さて、至極当然のことながら夏季オリンピック&パラリンピックのほとんどは真夏に開催されます。そして、実施される競技は夏の開催に相応しい盛り上がりを見せます。ところが、世界一タフな男女を決めるマラソン競技に関しては、少し状況が違ってきます。なぜなら、一般的にマラソンは、秋から冬にかけて実施される競技だからです。つまり、選手のパフォーマンスが「気温と湿度」に大きく左右される競技でもあるからです。

そのため、気温や湿度の高い夏マラソンに関しては、秋や冬のマラソンと同じようなトレーニングや調整方法とは違いが出てきます。もちろん、マラソンのレース展開やゴールタイムも大きく異なってきます。

もう少し別な言い方をするなら単にスピードではなく、暑さや湿度に対する精神面と肉体面を総合したスタミナが要求されます。ある意味、根性とか我慢と言った非科学的なことを競い合うようなイメージが強くなります。

しかし、上記したようにどの選手も最大の目標であり、全世界の人々が認める大会は、パラリンピック&オリンピックです。そのため、夏マラソンをどのように攻略していくかは、最初の一歩でもあり、全てになります。したがって、2016年リオ、2020年東京ともに暑さをどのように克服していくかが、マラソンで勝負を挑む上で最重要課題のひとつと考えます。

同時に、気温が30度以上となり、湿度も50%をこえるような厳しいコンディション下での夏マラソンをどのように攻略していくのか、逆に科学的な裏付けを取りながらノウハウを蓄積していく必要が急務となります…。

あらためて、今回の北海道マラソンには、日本盲人マラソン協会から男女12名の強化指定選手が出場しました。既に夏マラソンを経験している選手や初めての選手もいましたが、まずは実際に夏の北海道マラソンを走り、夏マラソンを経験することが最初の一歩です。

更に、今回は出場選手のスタート前と直後に採血を実施しました。もうひとつは、スタート前に各選手が自らの調子やコンディションを加味した上での目標タイムを具体的に「〇時間〇〇分〇〇秒」と、自身で設定し、ゴールタイムとの比較分析することも実施しました。

大会当日は、予想以上の厳しいコンディションとなりましたが、出場した12選手全員が無事に完走することができました。同時に、貴重なデータを残すこともできました。しかし、日々の地道な走り込みこそが、重要である点は今後も揺るぎません。引き続き、地道な走り込みをベースに強化を継続していきます。

絆・13

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【絆・13】盲人マラソン協会主催の強化合宿を千葉県富津市において実施しました。今回は、11月2日(土)から11月4日(月・祝)までと、2泊3日の日程です。しかし、これまでは諸事情によりほとんどの強化合宿は1泊2泊と、週末を活用した慌ただしい日程が多かったので、久々に2泊3日の強化合宿でした。

と、言いながら1泊が2泊へ増えただけですが、時間的にはかなりゆとりが出てきます。そして、捻出できた時間をトレーニング以外の目的に活用することが可能となります。今回の具体的な合宿内容を記載すると、次のようになります。

◆11月2日(土):午後/集合、競技規則講習会(外部講師)、60分ジョグ+1k走。◆11月3日(日):早朝/各自調整ジョグ。午前/40k走。午後/トレーニング方法の意見交換会(現役学生ランナーと)、体幹トレーニング(外部講師)、各自調整ジョグ。◆11月4日(月・祝):早朝/各自調整ジョグ。午前/3k × 3本。午後/解散。

以上のように単に走り込むだけの強化合宿ではなく、様々な視点に立ったプログラムを組み込むことが可能となります。至極当然のことですが、これは極めて重要なことです。

特に、今回はガイドランナー(伴走者)として、国際武道大学陸上部から4名、帝京大学駅伝競走部から5名、計9名の現役学生ランナーをお招きすることができました。そして、彼らを交えての意見交換会は、選手たちはもちろん、私自身にとっても参考になる意見が多く、たいへん有意義な時間でした。

同時に、トレーニングにおいても、単に全盲選手のガイドランナーのみならず、単独走となっている弱視選手のペースメーカーも担っていただきました。特に、全日本インカレで入賞実績のある学生ランナーにも参加いただいたことで、かつてない質の高いトレーニングを実施することができました。

さて、今月23日に開催予定でした「京都福知山マラソン」が、先日の台風被害により中止となりました。この大会は盲人マラソンの日本選手権も兼ねており、今回参加した強化選手の多くがエントリーしていました。そこで急遽、大会申込が間に合った12月の防府マラソンを選手に紹介することになりました。※但し、日本選手権としては実施しない。

どの選手も調整計画を大幅に変更し、モチベーションを維持させることに苦労していました。しかし、今回の強化合宿において、現役学生ランナーたちの積極的なサポートのおかげで、気持ちと身体をもう一度スイッチすることができました。

最後になりしましたが、大切な選手を快く強化合宿に派遣いただいた国際武道大学の前河先生、帝京大学の中野監督、講習会にご足労いただいた講師の先生方、そして、毎度お世話になっている富津岬荘の皆様方に、あらためて感謝申し上げます。

つづく。

期分け・73

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【期分け・73】前回からの続きです。マラソンに向けた走り込みは「ペース感覚(走り込み)」を身につけるためには余裕を持ったペース、すなわち「甘さ(遅い=楽)」に対し敏感になれるか否かが、重要なポイントのひとつとなります。

その大きな理由のひとつとして、マラソンを走り切るには、まずはスピードよりスタミナ(持久力)がないと完走することができないからです。これは、オリンピックを目指すレベルの選手でも考え方は同じで、世界記録ペースで前半を通過してもゴールまでそのペースをキープするスタミナ(持久力)がなければ世界記録やメダルを手にすることはできません。

そして、そのスタミナ(持久力)を身につけるには、それ相応の距離と時間をかけて走り込むことが必要不可欠です。同時に、常にマラソン自己記録のペースで長距離や長時間の走り込みができたなら最も理想的ですが、人は「辛さ(速い=きつい)」に敏感です。したがって、能力限界の設定タイムは怪我や故障のリスクが格段にアップするのと、メンタル的にバーンアウト(燃え尽きる)してしまうリスクが大きくなります。

実は、公務員ランナーの川内優希選手が、毎週末のレースを活用して常にレースペースの走り込みを実施するトレーニング方法で結果を残しています。しかし、川内選手以外でその方法を選択している実業団選手(プロ)はほぼ皆無です。また、レースを活用した走り込みは、見かけや考え方はシンプルですが、国内では川内選手のみが結果を残せている極めて難易度の高い調整方法とも言えます。※私的にはリスクが高く、おすすめできない調整方法です。

以上のことからマラソンを攻略していく上での「ペース感覚(走り込み)」は、逆に設定ペースを落として長距離や長時間じっくりと走り込んでいく方法が、実はリスクも少なく最も近道であると考えます。そして、そのポイントが「甘さ(遅い=楽)」に対し敏感になることです。

これまでもこの「期分け」シリーズを通じて考えてきた内容と繰り返しになる部分も多々ありますが、「ペース感覚(走り込み)」を身につけていく重要な要素として、「時間」と「距離」のふたつに大きく分けることができます。

どちらも似たような感じを受けますが、ある一定の時間を走るのと、ある一定の距離を走るのでは、求めらられるペース感覚が微妙に違ってきます。そして、マラソンを攻略していく上でどちらも必要不可欠な要素になります。

次回からそれぞれについて考えていきます。

つづく。

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