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2020-12

冬を走る・6

【冬を走る・6】今年も最後は千葉県富津市において年末合宿を実施しております。特に今年はたいへんな1年でしたが、様々な方のご理解とご支援のおかげで、ほぼ予定どおりの強化活動を継続することができました。心より感謝申し上げます。

また、毎年のことですが、箱根駅伝に出場する各大学が最後の最後までここ富津で調整合宿を実施しておりました。今年は最後まで残っていたのは東海大学様でした。もちろん、どの大学のどの選手も好調そうに見えました。

箱根駅伝スタートまであと数日ですが、出場する全ての大学と選手たちが最高の状態でタスキをつないでほしいと願っております……。

さて、今年は各種大会が延期や中止に追い込まれる異常事態が続きました。そして何よりも東京パラリンピックそのものが1年延期となりました。どの選手も大きな的を外された状態となりました。同時に小さな的も次々と外される状態にも陥りました。

しかし、どの選手も自暴自棄に陥ることもなく、今できることを愚直に継続してくれました。その結果、逆にかつてないほどの好記録ラッシュとなった1年でした。どの選手もたいへんな苦労をしましたが、大きな成果と自信を得ることができました。

新年も予断を許さない状況はしばらく続きそうですが、今年の厳しい状況を乗り切った経験をかてに、更なる躍進を信じております。

最後になりましたが、あらためて今年1年間、ご支援いただいた皆様に感謝申し上げるとともに、新年もよろしくお願い申し上げます。

冬を走る・5

【冬を走る・5】第51回防府読売マラソン大会は無事に開催されました。まずは、大会開催にご尽力いただいた関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。また、出走された選手の皆様、感動をありがとうございました。

今大会の男子優勝は丸山選手が「2時間9分36秒」、女子優勝は赤坂選手が「2時間29分21秒」と、男女ともに好記録でした。そして、視覚障がい男子は堀越選手が「2時間22分28秒」のアジア新記録、女子は道下選手が「2時間54分13秒」の世界新記録で、それぞれ優勝しました。

特に、丸山選手は最後の2.195kを「6分14秒」で駆け抜けましたが、この記録は私の記憶に間違いがなければ、日本人歴代最速ラップだったのではないでしょうか。とにかくすごいスパートでした。そして、2位に入賞した川内選手も好調時とそん色ない見事な走りでした。

また、同大会はIPC公認大会として、日本視覚障がいマラソン選手権大会も兼ねていただいており、上記したように目標どおりの結果を残すことができました。大会関係者の皆様には重ねて御礼申し上げます。

さて、来年に延期となった東京パラリンピックの視覚障がいマラソンは、9月5日スタート予定ですが、その間にIPC公認マラソン大会が開催されるのは今大会が最後になる可能性もあります。この点については、選手たちとも危機感を共有し、今大会を目標に走り込んできました。

「狙った大会に調子のピークを合わせる!」

至極当然のことですが、どんな選手もそれを最大の目的に調整をしていきます。しかし、何度やってもこれが最も難しく、どんな大会においても納得のいくピーキングができた選手の方が少ないのでは……。

「少ないチャンスをものにする!」

今回、視覚障がい選手は、男子が4選手、女子が6選手の計10選手がスタートし、9選手がゴールしました。そのうち自己記録更新を達成した選手は6選手と、かなりの高確率で自己記録更新を達成することができました。

今年は夏の走り込みを北海道で実施したあと、合宿地を千葉県富津市に戻し、今回の防府読売マラソン大会を目標に走り込んできました。その走り込みから調整の流れをしっかりと振り返り、来年9月にも同じようなピークをつくれるよう、引き続き地道に走り込んでいきます。

冬を走る・4

【冬を走る・4】今週末の日曜日は、防府読売マラソン大会です。ついに大会当日まで1週間を切りました。まさに最終調整です。

既に、何度も話してきたとおり、ここからは余計なことをしないで、疲労回復させることが最大の目的となります。もちろん、「そんなことはわかっている」と言われますが、何度もマラソンを走ってきているベテラン選手でも大会1週間前になると、心が不安定な状態に陥り易くなります。

そして、残念なことに心が不安定に陥ることによって、今まで気にもならなかった小さな情報までを拾えるように開眼し、余計な行動へといざなうのです。そのよくある具体例として、急に最新の治療(マッサージやストレッチなど)を受けに行ったり、どこかの国や選手間ではやっている飲料水やサプリメントを急に取り寄せるなど……。

「皆さんは大丈夫でしょうか?」

また、SNSなどを通じて大会当日まで届き続ける励ましや応援のメッセージに対し、いちいち返信をしたり、熟読しながら一喜一憂したり……。純粋に応援してくれるメッセージなら問題ありませんが、次のようなメッセージが届いたらどう考えるでしょうか。

「今回はダメだと思うけど、最後まで頑張ってね!」

所詮は他人事です。相手を一生懸命元気づけようと送っているにも関わらず、微妙なメッセージを送り付けてくる人は多いものです。また、大会1週間前は練習も極端に落としていくので、時間を持て余し、余計な思考に陥るスキ間もできます。

更に、それらをうまく乗り切ったときに限って急に仕事が舞い込み、木曜日から外せない残業や出張が入ったりするものです。職場の上司や同僚から次のようなことを言われたらどう対応するでしょうか。

「〇〇さん、今度の日曜日を休むなら土曜日まで大丈夫だよね?」

やはり、所詮は他人事です。走ることに興味のない人にとっては、悪気も悪意もありません。また、この大会のために何ヶ月も準備をしてきたことなど誰も知る由もありませんが、直前の外部要因によって調子を崩される可能性は多分にあるのです。そして、そのスキ間に落ち込まないために、どのように考え対応していくかは、あなた次第です!

冬を走る・3

【冬を走る・3】今年も残りひと月となりましたが、この1週間も長距離マラソン競技の大会が全国で開催されました。大阪においては日本選手権大会の長距離種目が実施され、男女の1万メートルで驚異的な日本記録も誕生しました。

また、福岡においては伝統の福岡国際マラソン選手権大会も開催されましたが、若手選手が好記録で優勝するなど、上位に入賞した選手たちも自己新記録ラッシュとなっていました。

このように長距離マラソン競技における記録ラッシュはおさまる気配がありません。と、言うよりもハイレベルな位置で常態化しています。同時に、これまで基準にしてきた記録の目安が否定されつつある状況でもあります。もちろん、私が偉そうに言える立場ではありませんが……。

しかし、マラソンに関しては必ずしもそう言い切れないかもしれません。具体的には、福岡国際マラソン選手権大会のリザルトを拝見すると、一定の上位選手以外は自己記録に届かない選手の方が多かったと感じたからです。

今回の同大会は参加基準記録が過去最高となり、先頭集団から最後尾までまさにサバイバルレースとなりました。そのため、中盤までは走力に応じた適切な集団がいくつも形成されていました。しかし、30k以降はそれらの集団がほぼ崩壊し、厳しい状況に陥ってゴールしている選手たちが……。

さて、日本選手権大会の長距離種目も含め、いわゆるシューズ革命による記録向上は相当なものです。しかし、同じ選手がコンスタントに好記録や好成績を残し続けているかの判断については、少し違っているような気がします。

それは、シューズ革命などにより一気に速く走れるようになった分、フォームなどの変化がそのまま体への負担やダメージにも影響しているからでしょうか。それも本人には全く自覚がなく、そのシューズに慣れたころに突然襲ってくるような感じで。

今後もシューズ革命がもたらす記録ラッシュは継続し、それが常態化していく流れは間違いないでしょう。一方で、過去の経験や事例などに合致しないようなケガや故障。また、原因不明の不調などに陥る選手たちも増えてくるかもしれません。

何事も「一気に上がったことは一気に落ちる」と、言われています。あらためてこの点を肝に銘じ、今も昔も「自分自身の身体と常に対話できる選手」が生き残っていくと、強く感じた1週間でした。

GMOの吉田選手はアッパレでした!

冬を走る・2

【冬を走る・2】12月20日に開催される防府読売マラソン大会まで3週間を切りました。出場する選手たちは、いよいよ最終調整に入っていきます。引き続きコロナ対策を継続していくことは当然ですが、風邪やインフルエンザなどにも注意です。

と、言いながら身近に風邪をひく人や、インフルエンザにかかる人は例年に比べて少ないのは間違いありません。いわゆる手洗いや、うがいなどをより徹底している効果とも言われていますが、まさにそんな感じでしょうか。

さて、最終調整のポイントは「質をキープしながら量を落としていく」ことになります。この点はほとんどの人が知っていることですが、実際はうまく実行できていないケースの方が多いと感じます。

もちろん、単純に量を落としていけば疲労は回復していきます。このカラクリもほとんどの人が知っていることです。しかし、量を落としていけば、そこに費やしていた時間も余ることにもなります。具体例として、日曜日に40k走を実施していたのを20k以下の距離に落とすと、至極当然のことながら走行時間も半分程度になります。

同時に質をキープしていくので、同じ距離を走るなら短い時間で終わるようにもなります。また、ポイント練習以外のいわゆる「ジョグ」も短く切り上げるようになっていきます。その結果、毎日苦労して捻出していた練習時間が余るようになります。

実は、ここに見えない「すき間」が生じてきます。時間に追われながら何とか走っていた人も、少し周りを見渡したり、情報収集できる「すき間」ができます。それ自体は悪いことではありませんが、周りと自分自身を比較できる「ゆとり」にもなります。

しかし、周りと自分自身を比較したとき、「私の方が圧倒的に有利だ!」と思える人はほとんどいないと思います。逆に「みんなすごい!」と不安な気持ちになる人が多いのでは。そして、経験したことのないその情報をすぐに取り入れようとする人も……。

その結果がどうなるかは想像できると思いますが、上記したようなパターンに陥る人が多いのは、今も昔も変わりません。逆に情報化社会が進むにしたがって、増えてきているような気がします。

情報を全て遮断することはできませんが、今の時代は「知ることで安心する」よりも「知ることで不安になる」ことの方が多いのかもしれません。特に、最終調整に入るこの時期こそ、そのことを自覚しておくことは無駄ではないと感じます。

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