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2022-02

冬を走る・8

【冬を走る・8】今週末から大きなマラソン大会が3週連続で続きますが、最初の大阪マラソンに関しては、すでに出場ランナーの制限が発表されており、多くの市民ランナーは出場することができなくなりました。

さらに、3月に入ると、東京マラソン、名古屋ウィメンズマラソンと続きますが、今のところ出場制限のような発表はなく、このまま何もないことを祈るばかりです……。

また、毎年この時期は冬から春へと暖かい方に季節が移行していきます。そのため、長距離・マラソン選手にとっては、気温の上昇に伴い、調整が難しいと感じる選手も多くなる季節かもしれません。

実は、3月から4月は、マラソン大会の開催も意外と多く、同時期のマラソン大会を目標に走り込みを継続しているランナーの方々は特に、体調管理に注意してほしいと思います(花粉症もはじまったので)。

さて、昨日までの日程で、いつもの千葉県富津市富津公園において強化合宿を実施しましたが、別大マラソンも終わり、次は4月の「かすみがうらマラソン」が目標になります。もちろん、全ての選手がそれを目標にするわけではありません。トラックシーズンに入るので、そちらに目標をシフトしていく選手もいます。

特に、マラソンをメインに考えている選手たちの中には、4月からスピード強化の一環として積極的にトラックレースを走ると決めていたにも関わらず、結局は「何も走らなかった」と振り返る選手は、毎年一定数します(一般の市民ランナーの皆様も含め)。

ロードで実施される各種マラソン大会に関しては、常にアンテナを張って、大会申込みを抜け目なく実行できる方でも、トラック競技になると……。そんな方も今年はトラック競技だけでなく、河川敷などで定期的に開催されている10k以下の短いレースにも積極的に参加するのはいかがでしょうか。

マラソンは何十回も完走しているのに、ハーフマラソンより短い距離のレースはほとんど走ったことがない方は意外と多いからです。極端な例えになりますが、オリンピックのマラソン代表に選考される選手で、トラック競技や駅伝などを走ったことがない選手はいません。もちろん、それに対する例外も皆無です。

つまり、マラソンの自己記録を更新するためには、トラック競技や駅伝(短い距離のレースなど)を走ることは、必要不可欠なのです。

冬を走る・7

【冬を走る・7】先日の13日は、冷雨の中での富津合同練習会でした。その結果、多くの参加者が自分のイメージとかなりずれた悪い内容に陥っていました。もちろん、悪くなった最大の理由は、天候が悪かったためであり、マイナスに考える必要はありません。

しかし、3月のマラソン大会を目標に走り込んでいる方々にとっては、最後の調整(テーパリング)に入っていく時期なので、簡単に納得することは難しい。と、いいながら13日の練習をずっと悔やんでいても次に進まないので、上記したように、「悪かった原因は全て悪天候」とし、気持ちを切り替えることが大切です(月並みですが)。

さて、マラソンは本番のレースも含め、練習においても「長距離を長時間動き続ける特性」があるため、当日の天候に最も左右されるスポーツのひとつといえます。同時に、「長距離を長時間動き続ける特性」のため、同じ練習を短期間に何度も繰り返すことは、体力的にも難しい競技ともいえます。

つまり、「うまくいかなかったこと」を、短時間で繰り返し反復しながら身に付けていくことが、かなり難しい特性もあるといえるでしょうか。具体例として、午前中に40k走を実施したが、強風のため後半失速。そのため、風がおさまった午後からもう一度、40k走をやり直す。

こんなハードなことを実行できるランナーはほとんどいないと思われますが、いかがでしょうか。そこで、天気予報を常に確認し、「悪天候になる日は長距離練習を回避する方法が良いのでは?」と考えますが、マラソン大会の日程は原則として天候に左右されません。したがって、最終的には、マラソン大会当日のコンディションそのものが、その日の天候に左右されることになります。

このように、マラソン競技は練習も含め、当日の天候に左右される特性が強く、記録そのものも当日の天候に大きく左右されます(ある意味、それで記録も決まる)。そのため、別の見方をするなら「記録に対して、自分自身でコントロールできる部分が少ない競技」と、いえるかもしれません。

それらのことから、マラソンに向けた練習は、悪天候の中においても計画どおりに実行していくことは意味があるともいえます。つまり、マラソン大会当日のコンディションがわからない以上、逆にあらゆる天候下での練習経験は不可欠であると……。

そして、その積み重ねが、たんなる記録だけでなく、マラソン競技に不可欠な「勝負強さ(特に精神面)」を身に付けていく、最適な手段のひとつに違いありません。

冬を走る・6

【冬を走る・6】第70回記念大会となった今年の別府大分毎日マラソン大会でしたが、大会当日はスタート前から強い寒風がふきつける悪コンディション。そのため、多くの関係者が、「記録を狙うのは難しいかな?」と思っていたに違いありません。

しかし、ゴールまで積極的に競い合う好レースが続き、西山選手が「2時間7分47秒」の大会新記録で初優勝。更に、上位6名全員が「MGC出場権」を獲得し、記念大会に相応しいレースとなりました。そして、今回も実施いただいた「IPC視覚障がいの部」においては、T11男子で世界記録を樹立するなど、こちらも素晴らしい結果を残してくれました。

まずは、あらためて大会関係者の皆様に御礼申し上げます。

さて、今大会のIPC視覚障がいの部は、昨年実施された東京パラ大会においてメダルを獲得した選手たち全員がエントリーするなど、記録への期待は高まっていました。特に、トラックでメダルを獲得したT11クラスの和田、唐澤両選手が世界記録(2時間31分59秒/T11男子)を更新するのはほぼ確実な調子に仕上がっていました。

同様に、マラソンでメダルを獲得したT12男子クラスの堀越選手と、T12女子クラスの道下選手にもその期待がありました。両選手とも昨年9月の東京パラマラソン後も調子を崩すことなく、記録を狙えるモチベーションと、それに向けたトレーニングもしっかりと継続していたからです。

結果は、上記したとおり、T11クラスの和田、唐澤両選手が見事な世界新記録。そして、T12男子クラスの堀越選手は強い向い風の中、新記録を狙って一般選手たちの集団に位置しながら10kを通過。ところが、11k付近にある給水地点で他選手との接触を避けようとしたところ、まさかの転倒。立ち上がって走り出したが、そのときに強打(かなり深い擦り傷も)した脚や臀部のダメージが大きく、15k過ぎにリタイヤ……。

自他ともに記録への期待も大きかっただけに、堀越選手自身が無念だったことでしょう……。その堀越選手ですが、左目が義眼です。したがって、左側にいる他選手の動きや給水テーブル(障害物など)を把握することは特に難しく、過去にも今回のようなアクシデントは経験してきました。

実は、レース中は伴走者のいる選手より、単独で出走する弱視選手の方が、「給水をうまくとれない」、「転倒のトラブルに巻き込まれる」などのリスクが高く、レース本番に限っては、伴走者の有無がそのまま有利不利には結びつかないのです。とても悩ましい点ですが、弱視選手に対するレース中のサポートなどについては、あらためて再徹底していきます。

そして、最も注目されていたT12女子クラスの道下選手は、目標どおりに世界新記録ペースでレースを進めていきました。ところが、35k以降の強い向い風にリズムを崩し、惜しくも記録更新には届きませんでした。しかし、ゴール後はレースを振り返り、謙虚に自身の課題を自ら指摘し、それに対する具体的な対策のイメージもできていました(振り返りが、たんなるグチになっている選手は多い)。

引き続き、パリパラ大会に向け、皆様のご声援をお願い申し上げます。

冬を走る・5

【冬を走る・5】先日の大阪国際女子マラソン大会は、松田瑞生選手が大会新記録で優勝しました。また、同大会には富津合同練習会で切磋琢磨してきた女性市民ランナーの皆様も多数参加し、最後まで力走してくれました。そしてなにより、厳しい状況下にもかかわらず、大会開催にご尽力いただいた関係者の皆様には、あらためて御礼申し上げます。

さて、ご存知の方は多いと思いますが、松田瑞生選手が達成した大会記録については、「男女混合レースの部」と但し書きがつきます。つまり、大阪国際女子マラソン大会は前回大会から男子選手のペースメーカーをつけたこともあり、大会の扱いが女子ではなく、今回も男女混合大会扱いとなったのです。

したがって、大阪国際女子マラソン大会の大会記録は2つ存在することになります。ひとつは、女子選手のみ(ペースメーカーも含め)で実施してきたときに達成した「野口みずき選手の2時間21分18秒(2003年)」。そして、男子ペースメーカーがつくことによって、男女混合レース扱いとなった昨年からの記録です。

同様に、日本記録も厳密には2つ存在します。野口みずき選手の持っている「2時間19分12秒」は、男女混合レースでの日本記録となり、女子のみのレースで達成した日本記録は、一山麻緒選手が2020年の名古屋ウィメンズマラソン大会で達成した「2時間20分29秒」。

さらに、女子世界記録も男女混合レースでの世界記録は、「2時間14分04秒」。女子のみの世界記録は、「2時間17分01秒」となっています。もちろん、男子にかんしては、2つの記録はありませんが……。

また、今大会でも話題になった「男子のペースメーカー」については、現状のルール上では問題なく、ペースメーカーが走れる距離の規制もありません。あるのは、途中でペースメーカーが代わることができない点です。つまり、「ペースメーカーはスタートから行けるところまで」となるので、5kごとにペースメーカーをかえることはできません。

そのため、男子のレースについては、相当な実力者がペースメーカーを引き受けたとしても「ハーフから30k前後」が目標設定タイムの維持を保証できる限界になるでしょう……。一方の女子は、2時間10分前後でマラソンを走れる男子選手ならゴールまで余裕で並走することは十分可能です。

先日の大阪国際女子マラソン大会は、40k過ぎまで男子のペースメーカーが並走していたので、なかには違和感があるとの意見も散見されましたが、ルール上は特に問題ないといえるでしょうか。

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