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IPC世界陸上競技選手権・3

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【IPC世界陸上競技選手権・3】大会最終日のマラソンも無事に終了しました。結果は、全盲(T11クラス)の和田選手が銀メダルを獲得。続いて実施された車イスマラソンでは、男子の部で洞ノ上選手が銅メダル、女子の部で土田選手が銀メダルを獲得し、日本チームとしては有終の美を飾ることができました。

あらためて、選手の皆様、スタッフの皆様、お疲れ様でした。また、この大会に参加するにあたってたくさんの方々からご支援ご協力を賜りました。この場をお借りし、厚く御礼申し上げます。

さて、今大会は、昨年のロンドンパラリンピックで惨敗した翌年の大会だけに、選手の選考段階から様々な不安要素ばかりに目が行きました。大きな理由のひとつとして、実際にロンドンパラリンピックで陸上競技が獲得したメダル数は、たったの4個です。そして、その内の3個はひとりの選手が複数種目で獲得したメダルです。更に、その選手はロンドンパラリンピック後に競技を引退しただけに、今大会はチームの軸となる選手が抜けた状態での戦いとなるからです。

ところが、最終日のマラソンを含め、日本チームは合計10個のメダル(金1個、銀5個、銅4個)を獲得しました。これは、監督としての目標であった6個を上回り、今後の強化に弾みのつく好成績だったと言えます。更に、メダルや入賞と違った視点から見た場合、自己記録を更新した種目が12種目もあり、暑さの厳しいコンディションでしたが、各選手のピーキングもほぼうまくいったと評価できる記録も多かったと感じます。

一方で、種目毎に精査していくと、勝負するには日本とのレベル差が大きすぎる種目、高いレベルで各国の選手が拮抗して今後の強化策が難しい種目等、頭の痛い課題も浮き彫りになりました…。

いずれにしろ、今回メダルを獲得した種目を軸に一層の強化をすすめていく所存です。

また、次世代を担う若手選手の発掘及び育成についても待ったなしの状況です。しかし、今大会に参加した20代前半の若手選手は、世界の雰囲気にのまれることなく力を出し切った選手が多かった点については今後の希望となりました。特に、大会初日の男子車イス1万メートル(T54クラス)で、今大会初のメダルを獲得した渡辺選手は2016年のパラリンピックだけでなく、更にその先の大会も視野に入る将来性豊かな選手と感じました。

帰国後は今大会の成績を細かく解析し、あらためて今後の強化につなげていきます。

今後とも皆様方の絶大なるご支援ご協力をよろしくお願い申し上げます。

おわり。

IPC世界陸上競技選手権・2

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【IPC世界陸上競技選手権・2】競技がはじまって4日目が終了しました。ここまでの日本チームは、メダル4個(金1個、銀1個、銅2個)を獲得です。監督の立場として、メダル獲得数の目標(予想)は6個と考えているので、選手たちは健闘しています。もちろん、スタッフたちの支えがあってのことです。また、メダル獲得以上に自己記録更新が既に7個もでており、現地入りしてからどの選手も調子を崩さず、ピーキングがうまくいっていることが何よりです。後半戦に向け、更に気を引き締めていきます。

さて、あらためてリヨンのコンディションですが、当初の予想に反して連日猛暑です。気温は35度前後まで上昇し、夜の22時頃まで明るいため、競技が進行している時間帯は全て暑さとの戦いでもあります。選手はもちろんですが、選手のため早朝から深夜まで動き回っているスタッフたちの体調も心配なところです…。

今回、私は監督なので、原則として競技中はスタンドで全ての競技を観察しながら全体を把握するようにしています。同時に、国際大会への帯同はそれなりに経験していますが、競技を最初から最後までスタンドで観る機会は意外と経験しておりません。ご存知のとおり、障害者の陸上競技は、車イスをはじめ手足の切断(機能障害等)、視覚障害、脳性まひ、知的障害等、それぞれの障害と程度によってクラスが分かれています。そのため、同じ100mと言ってもその記録や競技スタイルは様々で、同じように評価することはできません。

しかし、一般の陸上競技同様、障害者の陸上競技も強豪国はアメリカを軸に形成されており、その記録も驚異的なスピードで更新され続けています。特に、視覚障害や切断クラスの短距離種目については、日本の一般競技者と遜色ないレベルまで到達している種目も多く、障害者の域を超えている感もあります。

具体例として、T11クラス(全盲)の男子200mは、伴走者と走って22秒台の記録が当たり前です。そして、程度の軽いT13クラス(弱視)の男子200mは、21秒06と驚異的な速さです。更に、T43クラス(両脚下腿切断)の男子200mは20秒66と、もはやオリンピックレベルにまで到達しており、これまでのような障害者陸上の関係者だけでの強化や選手発掘は困難な状況になりつつあります。

そんな厳しい状況の中ですが、冒頭に記載したとおり、日本チームはここまで4個のメダルを獲得するなど、健闘しています。

後半戦に向け、引き続き選手とスタッフがひとつになり、各選手が最高の調子でスタートに立つためのピーキングをしっかりとしていきます。

つづく。

IPC世界陸上競技選手権

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【IPC世界陸上競技選手権】障害者陸上の世界選手権がフランス・リヨンで開催されます。今回、私は日本チームの監督として帯同します。

7月15日(月)11時に日本を出発し、パリ経由でリヨンに到着したのは現地時間の深夜0時過ぎでした。途中、パリでの乗り継ぎや待ち時間等もあったので、約24時間の長旅となりましたが、毎度のことながら海外遠征は移動時にコンディションを崩す選手もいるので、特に障害の重たい選手に対するサポートは細心の注意をはらいます。

また、これまで大きな海外での大会は、日本選手団として全員一緒に移動するケースが多かったのですが、今回は各選手の競技スケジュールに合わせて幾つかのグループ別での移動となりました。したがって、一緒に行動できない選手の調子を把握することが難しいので、現地にて直接顔を合わせるまでは安心できません。幸い、今のところ調子を崩している選手やスタッフは出ておりませんが、最後まで気を抜けない重要事項となります。

そして、現地入りが完了すると、翌日から順次トレーニングを開始します。至極当然のことですが、現地でのトレーニングは最終調整です。いわゆる狙ったレースへのピーキングです。

「迷ったら休養」です。

もちろん、これについてはどの選手も頭では理解できています。しかし、同じ練習会場にライバル国の選手や自分よりはるかに大きな身体をした外国選手を目の当たりにすると、状況が変わってくる選手もでてきます…。

ある意味、どのスポーツにも共通することですが、普段と違う環境下に置かれると、急に自分自身のフォームや調整内容に対する「不安」が心の中に芽生えてきます(不安症候群)。そして、厄介なことにその「不安の芽」が成長するスピードの速さは、これまで膨大な時間を費やして構築してきた「自信」をはるかに上回ります。つまり、狙った大会に向け、身体と心をつくっていくには膨大な時間と手間がかかりますが、それを崩すのは一瞬のことなのです。だからこそ、「迷ったら休養」を実践できるか否かは、重要なキーワードとなります。

また、世界選手権やパラリンピックは、世界ナンバーワンを決める極めて注目度も高い大会です。だからこそ、そこで結果を残せる選手は、末永く讃え続けられます。今回、日本代表選手として参戦する34名の選手については、最高の調子でスタートラインに立てるようスタッフが一丸となって選手をサポートしていきます。

皆様方の絶大なるご声援をよろしくお願い申し上げます。

つづく。

2013年スタート!

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【2013年スタート!】新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。今年はパラリンピックの翌年ですが、2016年のパラリンピックに向け、引き続き地道な強化を継続していきます。

さて、今年も元旦から駅伝中継にくぎ付けとなった方々も多かったと思いますが、いかがだったでしょうか。かくいう私も例年どおり、テレビの前から一歩も動けない状況でした。(笑)

特に、箱根駅伝は往路の山登りでトップに立った日本体育大学が、復路も堅実な安定した走りで逃げ切りました。しかも、昨年の箱根駅伝では事実上の最下位(※)となる19位と惨敗し、どん底からの優勝は見事としか言いようがありません。別府駅伝監督を筆頭に、この1年間の努力は並大抵なことではなかったと、我々にも想像できます。※昨年の箱根駅伝で最下位は東京農大ですが、5区でのアクシデントによるものでした。

しかし、現実にはどん底に落ちたチームを立て直すことは、どんな名監督でも簡単なことではありません。そんな中、日本体育大学は、昨年の4月から兵庫県西脇工高を駅伝強豪高に鍛え上げた渡辺公二氏(74歳)を特別強化委員長に迎えました。そして、選手の寮に一緒に住み込んで私生活から徹底指導したと言います。その内容は、毎日10分の雑草取りを厳命したりと、感謝の気持ちを第一にしたようです。

どんなスポーツにも共通しますが、あるレベルを超えてくると、チームや個人毎のトレーニング内容や強度等のレベル差がなくなっていきます。そして同時に、医科学的な要素やメンタル的な要素を取り込んでいこうとします。しかし、日本体育大学が実践した「当たり前の日常生活をいかにして安定させるか」が、実は最も大切な要素であると、今回あらためて証明したとも言えます。

それは、日々進化するトレーニング方法や理論を受け入れて実践していくためにも、まず最初に日々の生活を律し、食事や睡眠時間等の基本的なことを確実に継続していくことが何よりも大切だと…。

今年の強化は初心にかえって、この点をより重視していきます。

(優勝した日本体育大学をはじめ、4位に躍進した帝京大学、伝統の力を発揮して6位に返り咲いた順天堂大学は、盲人マラソン強化合宿に対しても伴走協力として、積極的に学生ランナーを派遣いただいている大学でもあります。)

期分け・46

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今回も前回の続きですが、少し脱線した話しをしていきます…。

何度も話していますが、マラソンを攻略していく方法や考え方はたくさんあり、どれが正解とか間違っているとは簡単に言えません。むしろ、目指している記録や各選手の走力によって様々な攻略方法があって当然です。

ところが2000年以降、アフリカ勢の台頭により5000m以上の長距離種目は驚異的な記録に飛躍していきます。そして、その波はマラソンにも押し寄せ、もはや2時間の壁も夢ではなくなりつつあります。

かつて、2000年以前は「短距離は素質が全てであり、長距離は努力である」と、聞かされることが多かったと感じます。しかし、2000年以降、むしろ長距離の方が素質的な部分に影響されているのではと強く感じます。そして同時に、長距離種目でも盛んにスピードを重視する傾向が強くなり、20代前半からマラソンに挑戦する選手は少なくなりました。

ところが、2000年以降、短い距離から徐々に長い距離へ移行し、マラソンランナーとして活躍したランナーは、国内では逆にそれほど多くありあせん。男子選手では高岡選手、女子選手では弘山選手と、この2選手以外で目立った実績を残した選手は直ぐに思い浮かびません。※一発屋ではなく、安定した記録を残した選手として。

さて、高岡選手と弘山選手に共通している点は、20代はトラック種目で日本記録を連発し、少しずつ距離をのばしてマラソンランナーに成長していった点です。2人とも選手生命が長く、毎年安定したパフォーマンスを残していました。しかし、2人ともマラソンではオリンピックに出場することはできませんでした。

何度も言いますが、これが絶対と言うマラソンの攻略方法はありません。しかし、短い距離でスピードを磨き、そこから徐々に距離をのばしていってマラソンランナーとして成長していく方法は、とても理にかなっており理想的です。ところが一方で、とても長い年月と手間がかかり、多くの選手や指導者にとっては単なる夢を語っているだけで、あてのない目標にむかっている現実逃避のようにも感じます。

様々なトレーニング方法や考え方が確立してきた現在ですが、今一度、歴史をひもとき、1990年代まで主流だったトラックとマラソンを年間の中で同時に目指していく流れを見直してみることも必要な時代なのかもしれません…。

つづく。

GWを走る

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今年もいよいよGWになりますが、旅行をはじめ様々な計画を立てていることと思います。また、ランニング愛好家の皆様にとっては、恒例のランニング三昧になる連休と思いますが、いかがでしょうか。そこで今回は、この連休を活用したトレーニングについて考えてみます。

はじめに、今月のマラソンまでしっかりと走り、連戦が続いてきたランナーについてです。

特に、マラソンを何本も走り疲労の自覚症状がある場合や既に故障や怪我をしているランナーです。もちろん、もっと以前から故障のためトレーニングを中断しているランナーも対象となります。

至極当然のことですが、痛みや疾患等がある場合は完全休養となり、絶対に無理をしてはいけません。しかし、そうでない場合、このGW期間は期分けで言うところの「移行期(回復期)」となります。すなわち、軽めのジョギングや水泳、あるいは長めのウォーキング等を軸に回復を優先したトレーニングが有効的になります。

次に、マラソンの疲労もある程度抜けて気持ちもリフレッシュできているランナーです。

このようなランナーはGWを活用したスピードトレーニングをおすすめします。また、せっかくの連休です。いつも一緒に切磋琢磨している仲間たちとのミニ合宿は更にトレーニング効果を高めます。もちろん、宿泊が難しいのならいつもトレーニング会場にしている近くの競技場や河川敷等を活用し、午前と午後の2回実施する2部トレーニングがおすすめです。

また、この時期は初夏を思わせるような気温に上がる日もありますが、身体は暑さに順化していません。したがって、秋から冬のように長い距離を走り込むより、距離を短くしてスピードを上げるインターバルのようなスピードトレーニングの方が逆に安全で効果的ともいえます。

では、実施するにあたり具体的なポイントをあげてみます。

◆ポイント1).インターバルのトータル距離を3000m~5000m程度におさめる。例として、200m×15本~20本、400m×8本~12本、1000m×3本~5本程度の本数が効果的。◆ポイント2).リカバリー(休息)は距離でなく時間で管理し、疾走時間と同じ時間(1対1)で実施する。◆ポイント3).トレーニング強度の調整は、疾走時間ではなくリカバリー時間で調整する。つまり、強度が楽に感じるならリカバリー時間を短くし、苦しく感じるなら長くする。

そして、全てのトレーニングに共通しますが、特にスピードトレーニングについては、ラストまで確実に走り切れる本数と強度で実施していくことが重要です。すなわち、まずは余裕を持った設定ペースで後半まで走り、ラスト数本をペースアップできるような流れにできれば精神的にもゆとりが持て、スピードトレーニングも意欲的に取り組めると考えます。

市民マラソン大会

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先週の11月23日(水・祝)は、「福知山マラソン大会」が京都で開催され、栃木県では、「大田原マラソン大会」も開催されました。更に、11月27日(日)は茨城県において、「つくばマラソン大会」、山梨県では「河口湖マラソン大会」と、参加人数が1万人をこえる大規模市民マラソン大会も目白押しとなりました。

私がコーチする選手(市民ランナー)もそれぞれの目標に向かって、上記大会すべてに出走しました。コーチの立場とすれば、どの大会も応援にかけつけたいところでしたが・・・。今回は、23日の「福知山マラソン大会」と、27日の「つくばマラソン大会」に赴き、1万人のランナーがかけぬける迫力と感動を感じてきました。

特に、23日の「福知山マラソン大会」については、盲人マラソン日本選手権大会を毎年かねております。そして、今回は来年開催される「ロンドンパラリンピック」に向け、代表推薦選手を選考する重要な大会でもありました。

この大会で私は、ドーピング担当役員の立場でJADA(日本アンチ・ドーピング機構)から派遣された担当者と共にゴール後のドーピング検査に立ち会いました。今更説明するまでもありませんが、ドーピング検査は既に世界の常識と義務になっており、公式の大会なら必ず実施します。

また、意外な感じもしますが、ドーピングに対する認識は、一般の健常者スポーツより障害者スポーツの方が、より浸透していると感じます。もちろん、盲人マラソン協会としても強化合宿等を通じて必ずこのドーピングについての勉強会等を実施するようにしており、常にドーピングに対する知識や意識を高める努力を継続しております。

さて、今大会ではそのドーピング検査の対象となる部門に出場した視覚障害者選手は8名でしたが、どの選手も最後まで力を出し切り、強化合宿等の成果を十分に発揮してくれました。そのため、どの選手をロンドンパラリンピック日本代表推薦選手として選考するかは力が拮抗しており、選考は極めて難しくなりそうです・・・。

続く27日の「つくばマラソン大会」は、絶好のコンディションにも恵まれ、自己記録更新や目標記録を達成したランナーも多かった様子で、ゴール直後に仲間と涙を流しながら抱き合って喜んでいるシーンを数多く見受けました。もちろん、私がコーチしている選手(市民ランナー)も大幅に自己記録を更新することができました。特に、51歳の男性市民ランナーの方が、これまでの自己記録を約10分短縮し、「3時間突破(サブスリー)」でのゴールシーンは、この一年間で最も感動的なゴールのひとつとなりました。

来月以降も全国各地で市民マラソン大会が数多く開催されます。そして、これからもたくさんの感動シーンと出会えるよう、地道な練習会を確実に継続していこうと、一層強く感じた一週間でした・・・。

第3回横浜国際女子マラソン大会

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11月20日(日)、「第3回横浜国際女子マラソン大会」が開催されました。この大会はご存知のとおり女性ランナー限定の大会です。また、この大会は大会主催者側が設定している参加標準記録を決められた期間内に突破したランナーだけにしか参加資格を与えません。

至極当然のことですが、このように説明すると、とても厳しい大会のように感じます。実際に、私がコーチしている市民ランナーの中にも参加標準記録をあと数秒で逃してしまった人もおり、涙を流しながら悔しがっている姿を目の当たりにしたこともあります。また、逆にその標準記録突破を目標に掲げ、「一度は国際女子マラソン大会を走りたい」と、自分自身のモチベーションをキープしていく原動力にしている人もたくさんいます。

既にこのブログでも何度か記載してきましたが、「空前のランニングブーム」と、呼ばれています。その火付け役となった「東京マラソン」のように、制限時間をどんどん緩和している大会も多くなり、逆に誰でも気楽にマラソンを走れる時代となりました。

マラソンに関係している一人として、このことは大いに歓迎することでもあり、「単なるブームで終わらないでほしい」と、願っているところでもあります。しかし、一方で制限時間をどんどん緩和している影響もあってか、レジャー感覚でマラソンに挑戦いている人も多くなっていると感じます。もちろん、マラソンの楽しみ方や走ることの目的が多様化していくことはマラソンを普及させる視点からは大いにプラスです。

しかし、国際女子マラソン大会に出場する人数や3時間00分00秒を突破(サブスリー)する女性市民ランナーの数は、ランニング人口が増加している割には意外と増えていないと感じるのは私だけでしょうか・・・。

そして、更に追い打ちをかけるように、「第3回横浜国際女子マラソン大会」の参加標準記録が大幅に引き上がりました。具体的には、「3時間15分以内」が、一気に「3時間0分以内」までアップしたのです。その結果、スタートラインについた女性ランナーは、102名と大会史上最も少なくなり、更に完走できたのはたったの48名と、何ともさみしい大会に・・・。

参加人数や完走者の数が、オリンピック代表選考に影響を与えることはありません。しかし、一流選手たちと同じ土俵に立ち、一緒に走れる喜びや感動は市民ランナーにとって大きな意味があると考えます。そして、昨年までの参加標準記録である「3時間15分00秒」は、地道なトレーニングの継続で誰にでもチャンスのあるタイムと、個人的には思います。※私の経験上

もちろん、私がコーチする女性市民ランナーの中には、3時間40分以上だったマラソンの記録でも、「国際女子マラソン出場(3時間15分以内)」を目標に地道なトレーニングの継続をし、参加標準記録を手にした人も多くいます。そして、それを自信にその数年後には「3時間突破(サブスリー)」を達成し、更に大きく飛躍したケースも・・・。

このように多くの女性市民ランナーにとって、マラソンの「3時間15分」は特別な意味を持っていると感じます。

と、言いながら来年以降の参加標準記録を知る由もありませんが、何とか元の「3時間15分」に戻ってほしいと願っている一人です。

マラソンシーズン総括・下

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今回は、自己記録更新について少し考えていきます。

さて、マラソンの記録や成績を比較する指標は様々ですが、私が重視している指標のひとつに「自己記録更新回数」があります。もちろん、私が勝手につけた言葉です(笑)。

これは、まさに読んだ通りの指標です。つまり、マラソンを何回走り、何回自己記録を更新したかの回数です。実は、実業団選手(プロ)をはじめ市民ランナーの中には、自己記録を1度も更新することなくマラソンから身を引いていく人がいます。つまり、初マラソンの記録を生涯更新することができなかったケースです。

実は、個人差もありますが、「初マラソン」は初めての挑戦になるので、それほどプレッシャーはありません。しかし、未知への挑戦となるので、適度な緊張感を保ちつつ最後まで慎重に走ることもできます。その結果、思わぬ好記録でゴールする人が多いのも初マラソンなのです。

意外に思うかもしれませんが、私自身も「初マラソン」はプレッシャーもなく、適度な緊張感の中で走ったことを覚えています。同時に、初マラソンでのラスト「2.195k」は、生涯走ったマラソンで最も速かったラップタイムとなりました。もちろん、初マラソンでもスタートから10kを走るようなオーバーペースや途中の水分補給を全くしなかった人は、初マラソンから生地獄を見る結果になりますが・・・。

また、経験のない苦しみは、何とか我慢したり、無心になって向かっていくことができます。しかし、1度経験した苦しみに何度も挑戦することは簡単なことではありません。それは、マラソンも同じです。そして、マラソンの回数や経験を重ねる度に、マラソンを走るコツはつかめてきます。ところが、逆に苦しい経験も身体と心に蓄積され、その苦しさを乗り越えていくことが難しくなっていきます。これは、日々のトレーニングも同じです。

マラソンで自己記録を更新するため、これまで以上に多くの走り込みが実施できたなら、マラソンで自己記録を更新する可能性は高くなります。ところが、更なる記録更新を目指してよりハードなトレーニングを何年も継続していくことは簡単なことではありません。同様にレースでは、「マラソンが目標なので、短いレースを走っても意味がない」と、ハーフマラソン以上のレースに多く出場する人がいます。しかし、この場合も早い段階で記録の壁にぶつかり、気持ちまでもが燃え尽きてしまう人は意外と多いのです。

何度も記載していますが、マラソンは身体と気持ちだけで勝負していくシンプルなスポーツです。だからこそ1年間の「期分け」をしっかりと行い、トレーニング内容や出場するレースが偏らないようにしていくことは大切です。

新年度もはじまり、これからは気温や湿度も高くなっていきます。同時に、ランニングにとっては厳しいコンディションにもなっていきます。これからの季節は、10k以下のレースやトラックレースにも積極的に挑戦することが、秋からの「マラソン期」で自己記録を更新する道へつながると・・・。

おわり。

マラソンシーズン総括・上

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既にご存知のとおり、東日本大震災を境に開催予定だった大きなマラソン大会のほとんどは、開催自粛や中止となりました。そのため、私がコーチする選手たち(市民ランナー)のマラソンシーズンも3月末でひと段落することになりました。

さて、私は1年間を「期分け」し、トレーニングの内容や流れを組み立てています。特に、マラソンをメインに考えている選手に対しては、場当たり的なトレーニングやマラソン大会出場に陥らない様、期分けに沿った流れを重視しております。

従って、私がコーチする選手たちのマラソンシーズン(マラソン期)は、原則として秋から冬となります。もちろん平成22年度のマラソンシーズンも、昨年10月から今年の3月までと設定し、トレーニング計画や目標とするマラソン大会を決定してきました。

また、臨機応変にトレーニング方法や流れを変えていくことも大切ですが、1年間の流れを「期分け」し、同じ流れを何年も継続していくことも大切です。その結果、選手毎の様々なデータや持ち味等々が見えてくることは、私自身が経験から学んだ重要なポイントのひとつです。

では、実際に私がコーチしている選手たち(市民ランナー)のマラソンシーズンを、簡単に振り返ってまとめてみます。

◆平成22年度マラソン出場数(H22年10月~H23年3月):11大会(日本陸連公認大会)。◆延出場選手数:31名(男子7名+女子24名)。◆自己新記録達成回数:14回(男子4回+女子10回)。◆自己新記録達成率≒48%(初マラソン除く)。※初マラソン:2名(男子1名+女子1名)。

以上のような成績を残すことができました。もちろん、選手毎に課題はありますが、出場したマラソンの約半数で自己新記録を達成できた点は、大きな成果です。

次回は、その自己新記録についてもう少し考えていきます。

つづく。

※このブログもおかげ様で、スタートしてから丸3年間継続することができました。平成23年度も引き続きよろしくお願い申し上げます。

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