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2017-07

夏の走り込み・2

【夏の走り込み・2】今回は「暑熱順化」についてもう少し詳しく考えていきます。

はじめに、久々に運動すると汗がベタベタするような経験はないでしょうか。これは水分と一緒に、身体に必要なナトリウムが対外に排出されている悪い汗だからと言われています。

ところが、暑熱順化すると、汗腺の働きが改善され、汗が対外へ出ていく前にナトリウムを体内へ再吸収できるようになり、大汗をかいても適切な水分補給をすれば回復し易い身体になると言われています。これにより、脱水症状や熱中症のリスクが大幅に下がるのは言うまでもありません。

では、どのようにすれば暑さに慣れていくのでしょうか。専門的な文献には様々なことが書かれていますが、やはり普段の生活を改善していくことが最も重要なようです。具体的には冷房の温度を高く設定したり、入浴時は湯船につかり、汗をじっくりと出すことは効果的と言われています。

そして何より、ウォーキングやジョギングのように汗をかきながら行う有酸素運動は最も効果的に暑熱順化を促進すると言われています。もちろん、高温多湿の環境下や体調不良時の無理は厳禁であり、常に適切な水分補給は必須です。

暑い中で積極的に走ることは何か矛盾を感じますが、これまでに私が経験したことからも一致します。今月上旬に実施した北海道での盲人マラソン強化合宿では、暑さに対し極端に苦手意識を持っている全盲の女子選手がいました。この選手は確かに暑くなると極端にタイムが落ちます。

合宿最初の距離走は、30度をこえる中で実施しました。案の定、最後は脱水症状でかなり危険な状況になりました。その後も2回距離走を実施し、何れも30度をこれる炎天下での練習でしたが、1週間後の3本目は多少ゆとりを持ってゴールできたのです。

もちろん、疲労も蓄積している中でしたが、見るからに発汗量も少なくなり、ゴール後も余裕がありました。まさに、この合宿中に暑熱順化ができた様子でした。

ただし、一度暑さに順化しても、やめてしばらくすると、その効果は元に戻ると言われています。そのため、この時期だけでなく、年間を通じて普段から日中に汗を流すトレーニング環境を作り、継続することがポイントになります。

ここ数年、温暖化の影響もあって、10月以降のレースも気温が高く、危険なコンディションが増えています。つまり、暑熱順化は年間を通じた課題と捉え、秋からのマラソンシーズンに対応するためにも、この夏を活用して暑さに強い身体をつくっていきましょう。

夏の走り込み

【夏の走り込み】今年も暑い夏の到来です。もちろん、暑い中で走るのは誰もが辛く避けたいと思いますが、暑さを理由に走ることを簡単に休む訳にはいきません。なぜなら、今年も秋からのマラソンシーズンに向け、走り込みを開始していく時期だからです。

このブログでも毎年のように、夏の走り込みについて考えてきましたが、今年も同じように考えていきます。

さて、走り込みを重ねていく前に必須なことがあります。それは、暑さに身体を慣らすことです。すなわち、「暑熱順化」と言われている「身体を暑さに順応」させること。まずは、この暑熱順化について考えていきます。

はじめに、「暑いと身体はどうなるか?」です。

暑い中で身体を動かし続けると体温が上昇していきます。通常は36度から37度前後に保たれている人の体温も身体を動かすときに筋肉から発生する多量の熱に加え、暑いときは対外からも熱が侵入してきます。この結果、体温は上昇し、40度前後に達してくると疲労困憊して動き続けることが困難になると言われています。

この時、身体は体温が上昇するのを防ぎ、熱を体外へ逃がすための2つの機能が備わっています。1つ目は「皮膚血流反応」と言い、皮膚の血管を拡張させ、血流を増やして皮膚の表面から熱を体外に放出させる機能。2つ目は「発汗反応」で、いわゆる発汗することで、汗が蒸発するときの気化熱で熱放散を行う機能です。

これらの熱放散機能は鍛えることによって、その機能を向上させることができます。日ごろから身体を暑さに慣らすことで、上手に体温を放散することができるようになり、これを「暑熱順化」と言っています。

熱放散機能を鍛え暑熱順化が整ってくると、暑い中での運動に対しても身体が反応できるようになっていきます。具体的には、皮膚の血流量が増え、多少の暑さであれば、汗をかかなくても熱を放出できるようになります。また、皮膚血流反応だけでは間に合わないと判断した場合、早いタイミングで多くの汗をかけるようになり、効率的に体熱を放出できるようになると言われています。

北海道合宿

【北海道合宿】7月9日(日)から1週間の日程で、日本盲人マラソン協会主催の強化合宿を、今年も北海道北見市常呂町において実施しました。

また、ちょうどこの時期は北海道内を転戦するシリーズで開催される「ホクレンディスタンス(中長距離の記録会)」が、実施される時期でもあります。今年はこの開催時期に合宿日程を調整し、9日の北見大会と13日の網走大会に初参戦しました。

もちろん、視覚障がいクラスの種目は存在しないので、今年から新しく種目を追加頂きました。まずは、ご尽力頂いた大会関係者の皆様、日本陸連の皆様方に厚く御礼申し上げます。

9日の北見大会は5000m、13日の網走大会は1500mの実施でしたが、両日とも記録的猛暑の中でのレースとなりました。したがって、記録を狙うには厳しいコンディションでしたが、視覚障がい選手たちにとっては、国内外の一流選手が切磋琢磨する伝統ある大会を走れたことは大きな自信になりました。

さて、今回の強化合宿ですが、このホクレンディスタンスを組み込んだ走り込みを実施しました。具体的な実施内容は下記に記載しますが、この1週間は記録的猛暑が続き、北海道とは思えない蒸し暑さが続く中での強化合宿となりました。

9日(日):ホクレンディスタンス/5000m、10日(月):32k~40k走、11日(火):200m×15本+ロングジョグ、12日(水):32k~40k走、13日(木):ホクレンディスタンス/1500m、14日(金):32k~40k走、15日(土):200m×15本。

かなりハードな内容でしたが、どの選手も故障することなく乗り切りました。特に、連日30度以上の悪コンディションでしたが、どの選手も後半は暑さにも順化していきました。そのため、14日は最後の距離走でしたが、疲労がピークにも関わらず、どの選手も一番ゆとりを持って走り切れていました。

今回の強化合宿は、2020年の東京パラを意識した最初の夏合宿でしたが、暑さ対策を考える上でとても参考になるデータと経験を得ることができました。

この後、7月下旬から長野県菅平高原に場所を移し、強化合宿は続いていきます。

スピード養成期・14

【スピード養成期・14】ここまでトラックレースを積極的に走る3つの理由について考えてきました。

もちろん、それ以外にもトラックレースのメリットはあります。同時に、実際のトラックレースを通じて体感することは、ランナー毎にそれぞれです。要はロードレースのマラソンと違う点を体得することで、逆にマラソンを攻略するきっかけにつながれば良いのです。

さて、トラックレースを積極的に走る3つの理由以外のメリットとして、もう1つあげておきます。それは、ビデオ撮影が容易である点です。もちろん、自分自身で走りながら撮影することはできないので、ランニング仲間や家族等にお願いし、スタンド等から自分自身が走る姿を撮影してもらいます。

ロードレースでもビデオ撮影は可能ですが、沿道から撮影したとしても目の前を通り過ぎてしまうと、それ以上の撮影は困難になってしまいます。しかし、トラックレースは1周400mのトラックを周回するので、スタンド等の1ヵ所から全てを撮影することが可能です。

そうやって撮影したビデオを振り返ることで、自分自身のランニングフォームやラップタイム等を正確に解析することが可能になります。これは、ロードレースではとても難しい作業ですが、トラックレースにおいては誰でも簡単に実施することが可能です。

更に、同じトラックレースで走った自分より速いランナーのランニングフォームやラップタイムの解析も可能になるので、自分自身の良い点や悪い点を他のランナーと対比しながら振り返ることもできます。

市民ランナーの多くは自分自身が走っている姿を自分自身で見た経験が少ないので、とても参考になると思います。と、言うより、自分自身の走っている姿を見て「この変なフォームのランナーは誰?」と、衝撃を受ける方も意外と多かったりもします…。

是非ともトラックレースに出場する際は、ビデオ撮影もセットで挑むようにしましょう。

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