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2013-08

夏合宿・4

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【夏合宿・4】前回から「良いトレーニング」と、「凄い(無謀な)トレーニング」について考えています。はじめに、「凄い(無謀な)トレーニング」について考えましたが、今回は「良いトレーニング」についてです。

はじめに、「良いトレーニング」と、聞くと直ぐに記録が短縮できるとか、前回記載した「凄い(無謀な)トレーニング」をイメージし、実行するランナーが多いものです。確かに記録を短縮するには、ハードトレーニングが必要不可欠な時期もあります。しかし、短期間の夏合宿に関しては、それらのイメージを変える必要があります。

なぜなら、この夏合宿の目的は、9月以降から開始するマラソンに向けた本格的な走り込みを実施していくための「脚つくり」と、モチベーションを高めることが最大の目的だからです。つまり、本格的な走り込みに移行するための「心身の土台つくり(基礎)」となる走り込みです。

そのためには、次の3つのポイントが重要となります。◆ポイント1).余裕を持ったゆっくり目の設定タイムにする。◆ポイント2).日頃の走り込みより距離や本数を少し多めにする。◆ポイント3).所属クラブチームや友人たちと一緒に合宿する場合、走力のあるランナーがリーダーとなり、遅いランナーに合わせてペースメークする(走力別にグループを分ける)。

要約すると、「ゆっくり長く」がベースとなり、合宿計画を最後まで確実にやり遂げることが重要なポイントとなります。また、走力のあるランナーが遅いランナーに合わせたペースメークをすることは、走力のあるランナーにとっては無駄のように感じます。しかし、遅いと感じるペースを最初から最後までキッチリと刻んでいくためには、逆にしっかりとしたペース感覚が身に付いていないと務まりません。

実際に夏合宿や練習会等で現役学生ランナーに、1kあたり5分や4分30秒でペースメーカーをお願いすることが多々あります。ほとんどの学生ランナーにとっては、日々のジョギングより遅いペースになるので、気を抜いて走ると瞬く間にペースアップしてしまいます。ところが、走力のある学生は、どんなに遅いペースをお願いしても、キッチリと刻んで最後までペースがブレません。逆に、走力の安定していない学生ランナーは、出足が速くなったり、遅くなったりして、練習そのものが崩壊するケースは意外と多いのです。

このように、走力のあるランナーにペースメーカーをお願いすることで、彼らにとってもペース感覚を養成する絶好の機会にもなります。もちろん、後ろに付いて走るランナーにとっても一定のペースで走れるので、最後までしっかりと走り抜くことが容易になります。

そして何より、合宿に参加した仲間全員と一緒に最後までやり遂げることで、チームとしての達成感や一体感を味わうことができ、モチベーションも高まるに違いありません。

つづく。

夏合宿・3

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【夏合宿・3】この1週間も厳しい猛暑日が続きました。本来ならランニングはもちろん、外出そのものを控えて、涼しい場所で安静にしておくことを推奨する天候です。

しかし、前回もお話ししたとおり、この8月は秋からのマラソンシーズンに向け、極めて重要な走り込み期でもあるのです。そして、そのためには可能な限り涼しい場所や時間帯を確保しながらの走り込みとなり、仲間たちとの短期合宿がとても有効的な手段であると、話しをすすめてきました。

今回は、短期合宿の具体的なトレーニング内容に入っていく前に、どんな心構えが必要なのかを考えていきます。少しかたい表現ですが、要は短期合宿の具体的なトレーニング内容を考える上での注意点です。

実は、短期合宿を計画すると、良かれと思って考えたことが、「良いトレーニング」ではなく、「凄い(無謀な)トレーニング」になってしまうケースは意外と多いのです。その結果、短期合宿に参加した多くのランナーが、計画したトレーニングを最後までやり遂げることすらできず、逆に故障や怪我、あるいは熱中症等の危険なトラブルに巻き込まれてしまうケースも少なくありません。

ポイントは、「良いトレーニング」と「凄い(無謀な)トレーニング」をしっかりと見極める眼力を持ったコーチがトレーニング計画を立案することです。また、そのような短期合宿に参加することが理想的ですが、実際に参加してみないと分からないことなので、現実的には難しいことでもあります。※合宿に参加している個人毎の走力が違い、質や量の見極めが難しい。

では、短期合宿の具体例をあげて、トレーニング内容を考えていきます。まずは、短期合宿の失敗例です。

◆失敗例1).涼しい高原なので距離や時間を増やして40k走や3時間LSDを参加者全員で、ゆっくりペースでスタート。しかし、途中から先頭を走っていたリーダーが、どんどんペースアップ。最後は、リーダーが独走となり、他のランナーは大きく失速。更に、後方のランナーは歩きだし、途中リタイヤ。◆失敗例2).同じく長い距離を走る際の給水を各自に準備させたところ、500mlのペットボトル1本程度しか準備しないランナーが多く、案の定、前半から給水が底をつき、多くのランナーが脱水症や熱中症の危険な状況に陥った。◆失敗例3).トラックにおいて、インターバルトレーニングを実施。合宿なので本数を多くしたのだが、各自の設定タイムがバラバラだったので、出足からトラックを半周するほどの縦長状態。その後、最初から速く走ったランナーは中盤で力尽きてリタイヤし、後方のランナーはペースを乱されて途中リタイヤ。結局、誰もトレーニング計画どおりに完走できなかった。

以上の失敗例はほんの一部です。もちろん、少なくとも私が実際に目撃した事例です。まさに、折角の合宿なので、「充実したトレーニングを」と、考えて実行した結果、「良いトレーニング」から「凄い(無謀な)トレーニング」にシフトしてしまった事例です。

皆さんの計画した短期合宿は、大丈夫でしょうか?

また、これらの事例は市民ランナーの方々だけでなく、成績が低迷したり伸び悩んでいる学生チームや実業団チームにも見受けられる事例のひとつでもあります。

次回は、「良いトレーニング」について考えていきます。

つづく。

夏合宿・2

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【夏合宿・2】前回からの続きで短期夏合宿についてです。今回は、合宿での具体的なトレーニング計画を作成する前に、どんな点に注意していくかを考えていきます。

さて、短期合宿と言え、宿泊や移動を伴うので「お金と時間」がかかることは間違いありません。ましてや、涼しい環境を求めると、更に移動のための費用や時間も増していきます。この点については、皆さんも常に織り込んだ上で、合宿を計画していると思いますが、いかがでしょうか。

今回は合宿地を選定するための注意点をいくつか考えていきます。

最初の注意点として、合宿候補地までの移動手段と移動時間を可能な限り正確に把握することです。至極当然のことですが、ここをいい加減にしたまま合宿地を決めてしまうと、合宿当日に苦労する可能性もでてきます。その代表的な例として、合宿地への移動に時間がかかってしまい、トレーニング時間も大幅に減ってしまうケースです。主な具体例は次のとおりです。

◆例1).車で移動中、渋滞に巻き込まれてしまう。◆例2).公共交通機関を利用したが、電車やバスの本数が極端に少ない。◆例3).無事に合宿地に到着したが、合宿地内での移動する手段を確保できない。

ふたつ目の注意点ですが、トレーニング環境や施設を事前に把握できる合宿地を選ぶことです。人の話だけをあてにし、涼しいとか宿泊費が安い等の理由で安易に合宿地を決めてしまうと、現地到着後、現地のトレーニング環境を把握するのに時間がかかり過ぎてしまいます。その結果、計画どおりのトレーニングが実行できないケースも意外と多いのです。

◆例4).宿泊している宿からお目当てのランニングコースが意外と遠く、簡単にたどり着けなかった。◆例5).クロカンコースがあると聞いていたが、実際は手をついて登るようなガケがあったり、胸まである雑草をかき分けて道なき道を走るようなコースだった。◆例6).山の中なので走れる場所が限られており、逆に少ないランニングコースにランナーが殺到し、都内の皇居周辺と変わりなかった。

以上のような例をあげましたが、短期合宿は少ない時間との戦いでもあります。そのため、合宿地に到着するまでの交通手段や合宿地のトレーニング環境を事前に把握しておくことは、重要事項のひとつです。

また、上記したことは、誰でも理解していることですが、意外と頭の中から抜けている点でもあります。今一度、合宿候補地を再確認し、単に涼しいとか、宿が格安であると言ったことだけに目がいかないよう注意して下さい。

つづく。

夏合宿・1

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【夏合宿・1】8月に入りましたが、連日暑さとの戦いです。至極当然のことですが、暑い中でのランニングはとても危険です。しかし、秋からのマラソンシーズンに向け、そろそろ走り込みを開始していくのも8月あたりからです。とても矛盾する話しですが、暑い夏のランニングはとても危険ですが、とても重要です。

そこで今回から暑い8月に効率よく走り込んでいくため、夏休みやお盆休みを活用した短期合宿について考えていきます。

はじめに、短期合宿の「短期」とは、どの程度の日数を指すのでしょうか?

ほとんどの市民ランナーは、1泊2日から3泊4日程度の期間を指すと思います。もちろん、私が考えている短期についても同じです。実は、走りのプロである実業団選手や箱根を目指す学生選手たちの合宿は、1週間から2週間程度の期間が一般的で、それ以上の長期合宿も珍しくありません。

こんな話を聞くと、1泊2日程度の短期合宿で効果はあるのか疑問を持ったり、不安になったりする方もいますがご心配なく。合宿は目的や日数によって内容も変わり、単純に短期だから効果が薄いとは言えません。同時に、市民ランナーの方がマラソン合宿を実施するために1週間も休暇を取得したり、その費用を自己負担することは簡単なことではありません。

更に、ランニング漬になる合宿生活を、市民ランナーの方が1週間以上も継続することは体力的にも無理があり、仮に実現可能としてもおすすめできません。では、実際に短期合宿と長期合宿の違いをシンプルにまとめてみます。

◆違い1).合宿費用:短期=安い、長期=高い。◆違い2).スタッフ(世話役人):短期=不要、長期=必要。◆違い3).怪我や故障のリスク:短期=低い、長期=高い。

一つ目の合宿費用については、まさにそのとおりです(笑)。二つ目のスタッフについてですが、合宿期間が長期になるほど、選手たちの疲労も重なり、トレーニングの合間は食事か寝ているだけの状態になっていきます。そのため、動けるスタッフが帯同していないと、合宿そのものが計画的に実行できなくなります。※合宿に帯同してくれる人を探したり、その人の諸経費を誰がどのように負担するかの問題が発生する。

最後の怪我や故障のリスクについても、トレーニング漬になる合宿は身体への負担が格段に大きくなります。走りのプロである実業団選手や学生選手でも1週間以上の合宿を怪我や故障なくパーフェクトにこなすことは簡単なことではありません。※合宿中に怪我や故障をした場合の対応は、トレーナーを帯同させていたとしても難しいケースが多い。

以上のことから逆に短期合宿は、市民ランナーに適した無理のない合宿であると考えます。

次回は短期合宿について更に掘り下げていきます。

つづく。

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