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2011-12

期分け・32

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今回は調整期に入ったが、諸事情により調整計画と違う内容を実施してしまうケースについて考えていきます。

実は、「調整計画と実施内容がどんどんかい離していくケース」が、失敗例の中では最も多いパターンのひとつです。しかし、多くの市民ランナーは自分自身の余暇時間を活用し、トレーニングを積み重ねていくスタイルなので、どうしても仕事や家庭が優先されます。その結果、想定外の用事に振り回されてしまい最後の調整で失敗するケースは意外と多いのです。

つまり、社会人(市民ランナー)としては、仕事や家庭を最優先することは、至極当然のことですが、マラソンで目標タイムを達成するためには、そのことが裏目にでてしまうことが多いのです。そして、この部分がマラソンの最も難しい点のひとつであり、マラソンの残酷な部分であると、少なくとも私は感じます。※真面目な人ほど失敗する?

しかし、調整の基本は「休養」です。更に前回も記載したとおり、「迷ったら休養」を実行に移せるか否かが重要なポイントであると考えます。

では、実際に調整計画と実施内容が相違した場合の「良いケース」と「悪いケース」に分けて考えてみます。

◆良いケース1).仕事や天候等により、予定していた走行時間(ジョグ)が短くなった。または、ゆっくり走ることになった。◆良いケース2).諸事情により、予定していたトレーニングが何もできず、「完全休養日」になった。◆良いケース3).身体が重く感じ、ペース走の設定タイムが予定より遅くなってしまった。または、途中でやめてしまった。

◆悪いケース1).仲間たちと一緒に走り、予定していた走行時間(ジョグ)より長く走ってしまった。または、ペース走を仲間の力をかりて、予定より速く走ってしまった。◆悪いケース2).仕事や天候等により、予定していた練習を翌日以降にスライドさせた。または、水泳や自転車トレーニングに振りかえた。◆悪いケース3).予定していた設定ペースで走り切れなかったので、翌日以降に再チャレンジした。

以上のようになりますが、いかがでしょうか?

また、良いケースを悪いケースと、悪いケースを良いケースと、逆に考えていた人も意外と多いのでは?

繰り返しになりますが、調整期に限っては「休養第一」です。この点をしっかりと押えることができた人は、マラソンで自己の目標を達成できる確率が飛躍的に高まります。そのためには、上記の「良いケース」と「悪いケース」をしっかりと理解しておくことは、大切なポイントになります。

※おかげさまで、今年も何とか「週に1回の更新ペース」を堅持することができました。来年もよろしくお願い申し上げます。

つづく。

期分け・31

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今回は、「調整期」の具体的な「内容&流れ」を考えていきます。

前回記載したとおり、この調整期に入るとメンタル的に不安定な状況に陥りやすくなります。そして更に、調整期にも関わらずハードトレーニングを実行に移して失敗するケースを多く目にしてきました。

それは、狙ったマラソン大会で失敗する原因の中では、おそらく上位にランクされる要因と思います。そして、そうならないような調整をしていくための最も基本的となることは次のことです。

「迷ったら休養!」

まずは、この点を頭の中に刻み、自分自身の中でいつでもブレーキを掛けられるようにしておくことが調整期の基本となります。しかし、なかなか実行に移せることではありませんが、常に意識していくことが大切です。

では、目標のマラソン大会から1週間前の具体的な調整計画と、それに対する二つの調整実績を次に記載します。

◆調整計画例:10k~15k走/日曜日 → 完全休養/月曜日 → 軽めのジョグ(30分程度)/火曜日 → 5k走/水曜日 → 軽めのジョグ(30分程度)/木曜日 → 完全休養/金曜日 → 軽めのジョグ(30分ジョグ)+1000m/土曜日 → 目標のマラソン大会/日曜日。

◆調整実績1(女性市民ランナー・スピードタイプ):15k走/日曜日 → 完全休養/月曜日 → 30分ジョグ/火曜日 → 5k走/水曜日 → 完全休養(マッサージ)/木曜日 → 30分ジョグ/金曜日 → 30分ジョグ+1000m/土曜日 → マラソン大会(2時間59分25秒・初サブスリー達成!)/日曜日。

◆調整実績2(女性市民ランナー・スタミナタイプ):120分ジョグ+100m×3本/日曜日 → 30分ジョグ/月曜日 → 60分ジョグ+1000m/火曜日 → 90分ジョグ+100m×3本/水曜日 → 30分ジョグ+マッサージ/木曜日 → 40分ジョグ/金曜日 → 30分ジョグ/土曜日 → マラソン大会(3時間9分3秒・自己新記録達成!)/日曜日。

以上のような調整実績となります・・・。

もちろん、上記したパターンが絶対ではありません。様々な調整方法やパターンのある中のひとつとして参考にしてほしいと思います。但し、それらの中でも共通している点として、「思い切って走行距離を落としていくこと」です。そして、それが最も重要なポイントになります。

次回はもう少し踏み込んで、調整期の計画と実績がズレてきたケースについて考えていきます。

つづく。

期分け・30

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今回は、「調整期」のメンタル面について少し考えます・・・。

この調整期は、「狙ったマラソン大会に向け、調子をより高めていく」ことが、重要な目的であると前回記載しました。ところが、目標のマラソン大会から2週間前後を切ってくると、精神的に不安定な状態に陥って、思いがけないトレーニングを実行に移すランナーが多くなってきます・・・。

この調整期の重要な目的のひとつとして、トレーニングの質や量を抑えていくことで、蓄えてきた走力(調子)を引き出していくことがあります。間違っても、トレーニングの質や量をアップさせて、更に上の走力を身に付けていくことではありません。

実はこのような話しをすると、ほとんどのランナーは、「そんなことは常識」と笑っています。ところが、多くのランナーは目標のマラソン大会が近付くにしたがって、大なり小なり、精神的に不安定な状態に陥っていきます。すると突然、「走りこみが不足している」とか、「スピードに自信がない」と本気で考えだし、これまで経験したことのないようなトレーニングを2週間前から実行に移すのです。

更に不幸なことに、、テストの一夜漬け同様、物凄い集中力を発揮し、ハードなトレーニング(調整)を見事に実施します。その結果、精神的にはある程度の不安を解消できるかもしれません。しかし、肉体的には確実に疲労が残るので、かなりの高い確率で目標タイムからは、ほど遠い結果と・・・。※大会直前に故障や怪我をしたり、風邪をひく最大の原因でもある。

そしてゴール後は、「あんなに良いトレーニング(調整)ができたのに」と、直前のハードトレーニングを反省するどころか、次回はもっと追い込むトレーニング(調整)を実行し、更に悪い結果を繰り返すランナーは意外と多いのです。※バーンアウト(燃え尽き症候群)に陥る原因のひとつである。

このように、マラソンは精神的に不安定な状況に陥りやすいスポーツであると感じます。その大きな理由として、既に何度も記載していますが、マラソンは道具を使わず、「心と身体」だけで勝負していくスポーツだからです。

だからこそ、調整期はその不安定になる精神面をいかにしてコントロールするかが、重要な第一歩となります。更に別の言い方をするなら「調整期」は、いかにして「休養」できるかが重要なカギとなるのです。

つづく。

期分け・29

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今回から狙ったマラソンに向け、仕上げ段階に相当する「調整期」について考えていきます。

はじめに調整期の期間についてですが、概ね狙ったマラソン大会当日から逆算して1週間から3週間前の期間を指します。もちろん、個人差も大きく実業団選手(プロ)の中でも比較的ゆったりと時間をかけて仕上げていく選手もいれば、一気にトレーニングの質や量を落とし、短期間で仕上げていく選手もいますが、そのどちらが良いとか悪いとかを判断することは簡単にできません。

具体例としては、記憶に新しい先日の福岡国際マラソンにおいて、日本人トップでゴールした川内選手のコメントを見ていくと、この大会のために特別なトレーニングや調整をした感じを見受けることはできません。一方、惜しくも日本人2位でゴールした今井選手の場合、かなり質の高いトレーニングや調整ができていたにも関わらず・・・。

更に、川内選手も今井選手も直前で体調を崩していた様子のコメントもありました。ところが、川内選手にとってはそれが「吉」と、今井選手にとっては「凶」となり、まさに調整の難しさを感じる部分でした。

このように、どんなに量や質の高いトレーニングを計画どおりに積めたとしても、最後の調整で結果が大きく左右されてしまうのです。実は、かつて私も調整で失敗したマラソンの方が多く、常に悩んでいたランナーのひとりです(涙)。

では、調整期で最も大切な要素とは何でしょうか?

様々なことが頭に浮かびますが、最も重要なことは「狙ったマラソン大会に向けて調子や体調を高めていくこと」と、なります。至極当然のことなのですが、上記したとおり、それは実業団選手(プロ)でも至難の業なのです。そして、更に重要なひとつとして、安定したパフォーマンス(成績や記録)を残せるよう、悪い調子を良い方向へ軌道修正する目的があります。

例として、走力や走歴が似た選手がふたりいたとします。同じ大会にふたりは出場し、ひとりは昨年の大会で2位だったが、今年は20位と大きく失速。一方、もうひとりの選手は昨年も今年も連続で3位・・・。この場合、後者の方が安定感はあり、次回大会も期待できると判断します。そして更に、調整能力が高いとも評価できます。

このように調整期は、最高のパフォーマンスを発揮するための最終準備期間ですが、単に勝ち負けだけが目的ではありません。すなわち、ここまで積み上げてきた力を最大限発揮できるよう、調子や体調を良い方向に整えていく期間となるのです。

つづく。

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