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2023-12

2023冬を走る・2-4

【2023冬を走る・2-4】今年も恒例の年末強化合宿をいつもの千葉県富津市富津公園において実施しております。また、先週の23日は、これも毎年恒例となっている「日体大女子長距離記録会」に強化指定選手たちも出場してきました。

2年前の同記録会においては、T11クラスの唐澤選手が5000mで世界記録(世界初の14分台)を達成しており、今年も自己の持つその世界記録更新を狙って参戦しました。また、同クラスの和田選手は10000mにエントリーし、同じく世界記録更新を狙いました。

結果は、両選手とも記録更新には届きませんでした……。しかし、その積極的な走りは、「2024パリパラでの2大会連続メダル獲得は濃厚」と、確信を持てる内容でした。

さて、年末強化合宿を実施している富津公園はコロナ禍も一旦落ち着いたこともあり、箱根駅伝に出場する某大学のエントリー選手たちが、いつものように年末ギリギリまで調整合宿を実施しております。そして、その横を我々が走り込みをしているいつもの光景に戻りました。

その年末強化合宿も、29日と31日に距離走(35k~40k)を2本実施する流れは毎年同じです。一方、毎年同じようなトレーニングを実施していくことでマンネリ化に陥る点は懸念されます。確かにそのリスクは否定できませんが、逆に毎年同じ時期に同じような練習を実施することで、選手の状態を比較検証し易くなるメリットもあります。

もちろん、我々は同じ流れを繰り返すことによるメリットの方を、フォーカスしてきました。来年はいよいよパリパラ開催の年になります。昨日実施した距離走のタイムや内容も、過去に実施してきた年末強化合宿時と遜色ないことも確認できました(良い意味で)。

そんな中、至極当然のことですが、調子が万全でない選手もいます(合宿不参加の選手)。しかし、不調から復帰してきた選手たちの経験と、そのデータも同様に蓄積されているので、大きな心配はなさそうです……。そして、この後は年明けの2月に開催予定の別大マラソン大会が、パリパラに向けた重要なターゲットになります。

現時点においては、どの選手にもパリパラ出場へのチャンスがあります。したがって、お互いがライバルになりますが、来年以降も強化合宿を軸に「チームジャパン」として、全員で切磋琢磨しながら世界を目指していく所存です。

引き続き、皆様方のご支援ご声援をお願い申し上げます。

2023冬を走る・2-3

【2023冬を走る・2-3】順天堂大学において測定合宿を実施してきました。今回の測定も前回同様、同大学大学院スポーツ健康科学研究科教授、町田先生のご支援ご指導のもと、無事に実施することができました。ありがとうございました。

あらためて、マラソンのパフォーマンスに影響する指標として、最大酸素摂取量(VO2Max)、乳酸性作業閾値(LT)などがあります。要は、体に多くの酸素を取り込みながら乳酸を貯めることなく走り続けることができれば、マラソンの記録は向上するはずです(理論上)。

しかし、それらの指標(数値)を正確に測定したり、そのデータを解析することは簡単ではありません。なぜなら、測定に必要な専用の器具や設備はもちろん、それらを正確に扱える知識や技量を兼ね備えている専門家の元でしか実施できないからです。

また、ひとりの選手を測定するのに、少なくとも1時間以上はかかります。今回も測定する選手の数は10名以上だったので、相応の時間や労力が必要になります。したがって、測定を実施するための日程や時間などを調整することも容易ではありません。

このように、測定と言っても簡単に実施することはできないのです。しかし、順天堂大学はオリンピックや箱根駅伝などにおいても多くのトップ選手を輩出しており、前述した測定設備の完備やそのデータなども豊富に蓄積されています。また、我々の測定結果についても的確な分析とコメントを頂戴しております。

もちろん、科学的な測定を実施したからと言って、それがマラソンのパフォーマンスに直結することはありません。至極当然のことですが、そのデータから個々の特性や課題を読み取り、日々のトレーニングなどに落とし込んでいくことが必須になるからです。

ところが、科学的なデータを解析すると、多くの選手は「トレーニングの量と質をもっと上げられる」となります。つまり、科学的トレーニングは、「効率的で楽」と思いがちですが、実際は科学的な裏付けがあるので、逆に「もっともっと厳しいトレーニングが可能」と判定されるのです。

今回の測定でも、個々の課題である弱点がそのままデータに反映されているケースが多かったと感じました。そして、それらの弱点を克服するには、トレーニングの量と質を上げることが必須であり、より厳しいトレーニングを自らに課していく気概も不可欠であると……。

結局は、根性論を後押しするのも、科学的トレーニングとも言えるのでしょうか……。

2023冬を走る・2-2

【2023冬を走る・2-2】12月10日に開催された「奈良マラソン」は、季節外れの高い気温となり、かなり厳しいコンディションでした。また、同大会のコースは、国内屈指の難コースと言われており、スタートからゴールまでのほとんどが、上りと下りの連続コースです。

そんな奈良マラソンですが、今年はようやくコロナ禍前の運営状態に戻り、4年ぶりの完全復活となりました。そして、マラソンに出場した1万人を超えるランナーたちが、元気よく難コースに挑んでいました。

さて、同大会は2010年から「奈良マラソン」としてスタートしていますが、私の選手(女子)たちにも2010年から声をかけて頂き、毎年欠かさず出場してきました(2020年はコロナ禍で中止)。

また、当初から女子の優勝を目標に、2時間50分以内の自己記録を持っている女子選手たちを送り込んできましたが、なかなか目標を達成することはできませんでした。もちろん、至極当然のことですが、どんな大会においても簡単に優勝することはできません。

特に、同大会は国内屈指の難コースであるがゆえに、30k以降のアップダウンで力尽きてしまうパターンが続きました。それでも、毎年チャレンジできるチャンスを頂き続けた結果、ついに山口選手が女子の部で優勝しました。

その山口選手は、この奈良マラソンでの優勝をきっかけに自己記録ものばしていきました。まさに、奈良マラソンに育てて頂いた選手です。そして、今年は5連覇(6回目の優勝)を達成。

しかし、今年の優勝は、山口選手にとっては最も苦しんだ優勝となりました。その原因や詳細については割愛しますが、来年もライバルたちが「打倒!山口!」で挑んでくるに違いありません。まさに「勝って兜の緒を締めよ」でしょうか。

そして、来年も奈良マラソンでの連覇をのばすためにも、ここからの1年間は仲間たちとさらに切磋琢磨していくことでしょう。

2023冬を走る・2-1

【2023冬を走る・2-1】先日の12月3日は、防府読売マラソン大会が開催されました。同大会は「日本視覚障がい女子マラソン選手権大会」も兼ねており、女子ブラインド選手はもちろん、男子ブラインド選手たちも出場しました。

また、同大会は、WPA公認記録を残すことのできる国内では数少ないマラソン大会のひとつに該当します。したがって、ブラインド選手たちにとっては、来年のパリパラに向けても最重要大会のひとつに位置します。

そして、どのブラインド選手たちも、今年の9月ころから同大会を目標に走り込みを継続し、スタートラインに立ちました……。

結果は、男女の優勝記録とも目標タイムには届きませんでしたが、自己記録を更新した選手を3名輩出できました。特に、期待の男女若手選手がそれぞれ自己記録を更新してくれた点は、次につながります。

一方、記録を期待していた男子主力選手たちが、目標どおりの走りをすることができませんでした。もちろん、単に希望的観測で期待をしていたわけではなく、記録を狙える根拠となる走り込みの量と質をクリアしていたからです。

あらためて、マラソンの難しいと言われる点として、上記したように走り込みをしっかりと積めていても結果に直結しないことが多々あることです。すでに何度もこのブログにも記載してきましたが、その主な理由のひとつとして、「マラソンは練習もレースも常に頭で考えるゆとりのある競技(無我夢中ではなく余力がある)」だからでしょうか。

また、好調な走り込みを積めた場合、自他ともに好調と自覚できる反面、体に蓄積している疲労などを感じにくくなる傾向があります(思考<肉体)。逆に、うまく走り込めていない場合は体の違和感も気になり、自身の逃げ道(言い訳)ばかりを考える傾向に陥ります(思考>肉体)。

もちろん、どちらに陥ってもマラソンをうまく走ることは難しくなります。しかし、どちらに向いても自身の思考と肉体を適切に修正することができないと、マラソンを安定して走ることもできません(パフォーマンスの再現性)。

今大会で優勝した川内優希選手は、それらを常にコントロールできている数少ない選手とも言えるでしょう(思考=肉体)。そして、今大会もMGC同様、「川内優希選手のことばかりが話題になった大会」と感じたのは、私だけでしょうか……。

川内優希選手は、今回もアッパレです!

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