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2017-05

スピード養成期・8

【スピード養成期・8】先日の5月20日、秋田県秋田市において第59回東日本実業団陸上競技選手権大会が開催されました。今回も同大会において「視覚障害5000m」を実施して頂きました。

「視覚障害5000m」を初めて実施頂いたのが、2012年の第54回大会。そして、今回は初めてIPC公認として実施することができました。まずはご尽力頂いた大会関係の皆様方に厚く御礼申し上げます。

今回、初めてIPC公認記録になることで、男子6名、女子7名の強化指定選手が記録に挑戦しました。特に、女子T11クラス(全盲)と女子T12クラス(弱視)においては、日本記録更新の可能性が高く、大いに期待されました。

また、この時期は日本盲人マラソン協会としても秋以降のマラソンに向けた「スピード強化」と位置付け、トレーニングやレースも積極的にトラックで強化しているところでもあります。

結果は、女子T12クラスで道下美里選手が従来の日本記録を大幅に更新する「19分10秒66」の自己新記録でゴール。他の選手たちも気温が26度以上に上昇する厳しいコンディションでしたが、最後まで粘りある走りを披露してくれました。

同時に、今年もオリンピックを目指す実業団選手をはじめ、日本陸上界を牽引している各実業団チームの関係者が見守る中でのレースは、視覚障害マラソンを理解して頂く上でも最高の舞台となりました。

この後も6月と7月にIPC公認のトラックレースが続きます。数少ないチャンスで結果を残す必要があるのは、視覚障害マラソンの宿命です。更に、これからの季節は暑さが厳しくなっていき、トラックでのレースは過酷を極めます。

それらに負けない体力と精神力を日々のトレーニングで培い、皆様方の前で記録更新達成ができるよう精進していく所存です。

あらためてご声援をお願い申し上げます。

スピード養成期・7

【スピード養成期・7】前回の続きになりますが、トラックレースはスピード、ロードレースはスタミナのような印象を受けると、話しをしました。

これについては前回説明したとおり、走る路面の違いからの影響が大きく、トラックレースは弾むような路面からより速いスピードを追及できるような軽やかなランニングフォームが要求されます。

一方のロードレースは、硬い路面からのダメージを抑えながらより長い距離を走り切れる効率的なランニングフォームが必須です。もちろん、単純にランニングフォームから全てを説明することはできませんが、大きな違いのひとつであると思います。

そして、トラックレースとロードレースの最も大きな違いは、レース中の景色が同じか否かです。つまり、トラックレースは1周400mの同じトラック上をひたすら周回するため、景色に変化がありません。しかし、ロードレースは一般の公道を使って街中や郊外を走るので、レース中の景色が変わります。

そのため、同じ場所を単に周回するトラックレースは、精神的に苦手とする声はよく耳にします。逆に、トラックレースは400m毎のラップタイムを正確に把握できるので、ロードレースより走り易いと言った声も耳にします。

このようにトラックレースとロードレースでは感覚的な違いもあり、どちらが走り易いかについては個々によって違います。しかし、マラソンを最大の目標とするランナーにとって、課題のひとつであるスピード養成を実現するためには、トラックレースは必須であると言えます。

その主な理由を上記した中から集約してみます。

■理由1).スピードを出せるランニングフォームの体得。■理由2).正確なスピード感覚の体得。■理由3).精神的スタミナの体得。

もちろん、他にもあると思いますが、次回からこの3つについて掘り下げていきます。

スピード養成期・6

【スピード養成期・6】ゴールデンウィークも終わり、通常の生活リズムに戻りました。同時に、連休を活用し、合宿やレースを連戦した方は疲労が出てくる頃と思いますが、皆さんは大丈夫でしょうか。

さて、今回からスピード強化の代名詞とも言える「トラックレース」について考えていきます。今更いうまでもありませんが、陸上競技大会はいわゆるトラックと呼ばれる陸上競技場にて開催されます。もちろん、世界選手権やオリンピックにおいても、マラソンや競歩以外の競技は全て陸上競技場内で実施されます。

はじめに、トラックレースとロードレースの違いを幾つかあげてみます。

1つ目は、何と言っても走る路面が違います。具体的には路面の硬さ、硬度が違います。トラックの場合、路面がゴムのような素材になっているので、走ると弾む感覚があります。一方のロードは、アスファルトかコンクリートで覆われているので、弾む感覚を感じることはほとんどないと思います。

つまり、路面の硬さや硬度の違いは、そのまま脚や身体に伝わる衝撃の違いに現れます。そのため、一般的にロードを走る時のシューズは、路面からの衝撃を吸収するためソールに厚みがあり、その素材にも工夫がされています。

逆にトラックを走る時のシューズは、路面の弾力をうまく推進力に変える必要があるため、素足感覚に近くピンの付いたスパイクを履きます。もちろん、長距離選手はスパイクを使用しなくてもソールの薄いシューズを履いたりもします。

2つ目は、競技の距離が違います。既にご存知のとおり、トラックレースの長距離種目は、1周400mのトラックを周回することになり、最長でも1万mまでです。一方のロードレースは、トラックレースの倍以上のハーフマラソンや4倍以上のマラソン、更にウルトラマラソンへと、距離はどんどんのびていきます。

以上のようにたった2つの視点からトラックレースとロードレースを比較しても、トラックレースはスピード、ロードレースはスタミナの印象を受けると思いますが如何でしょうか。

次回もトラックレースとロードレースの比較をしながらその違いを考えていきます。

スピード養成期・5

【スピード養成期・5】5月2日(火)から5月6日(土)の日程で、日本盲人マラソン協会主催の強化合宿を長野県菅平高原において実施しました。

今回の合宿は「スピード強化」をテーマにトレーニングを実施しました。したがってポイント練習はトラックでのトレーニングがメインとなります。いわゆるインターバル走やペース走です。

同時に4月までは、ロンドンマラソンやかすみがうらマラソンを目標にしたマラソントレーニングが中心だったので、トレーニングの流れを切り替える移行期にも相当します。

また、菅平高原の標高は1200mから1500m前後の高地でもあるので、心肺の強化に最適なのは言うまでもありません。実際に走ってみると分かりますが、菅平高原に到着して直ぐにジョギングをすると、心拍数が普段より多く、息苦しさを感じます。

さて、そんな環境の中、今回のトレーニングは、インターバル走とペース走の2本立てです。具体的には、どちらも設定ペースを落とし気味にし、途中でペースを切り替える内容としました。

実際にインターバル走で1200mを5本実施する場合、最初の800mを抑え気味に走り、最後の400mをペースアップします。同様に、12000mのペース走の場合は、2000mを抑え気味に走り、次の1000mをペースアップする3000mを1セットとし、それを4回繰り返しながら12000mを走ります。

そして、午前中にインターバル走を実施したら午後はペース走と、1日に2つのポイント練習を実施する流れにもしました。もちろん、強度は高くなりますが、マラソンを目指した合宿と違い、1日の走行距離は半分程度になります。

ところが、スピード練習に移行できていない選手が多いこともあり、こちらが指示した設定タイムどおりに走れた選手は少なく、強化合宿のトレーニングとしては厳しい内容となりました。

一方で、どの選手も身体に大きな刺激が入った点は間違いなく、どの選手もこの強化合宿の後に続くトラックレースにつながる有意義な苦しみだったと思います。

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