Home > トレーニング計画

トレーニング計画 Archive

秋を走る・11

【秋を走る・11】全国各地でマラソン大会や駅伝大会が目白押しですが、どの大会も参加者はかなり減少している様子です。やはり、2020年4月以降はコロナ禍の影響でマラソン大会の中止が相次ぎ、ただ走っている状況に見切りをつけた方々が増えたのでしょうか。

ランナーにとっては本当につらい期間でしたが、ようやく元の状況へ動き出したようです。と、言いながら富津合同練習会で切磋琢磨している方々は、この間もたんたんと走り込みを継続し、復活した各種大会を元気に出走しております。

一方、マラソンは己の鍛えた身体と心だけで勝負する競技です。したがって、どんな理由であれ、一旦走ることをやめてしまえば少なくとも身体には何も残りません。あれだけ意識してきたペース感覚やランニングフォームなど、全ては無になってしまうのです(逆に体重が増えてマイナスになってしまう)。

このように、マラソンは球技などのように道具を使わない分、技術ではなく体力と精神力だけが頼りの競技です。そのため、上記したように一旦やめてしまうと、その体力や気力も消えてしまう残酷な面も持ち合わせています。特に、ケガや故障などを克服した経験の少ない方の場合、ランニングを再開すること自体も難しいかもしれません。

かくいう私も、今ではジョギングを何とか継続している状況ですが、自らレースを走ることはすでに離れています(レースを走りたい気持ちもほぼない)。しかし、仲間のレースに帯同し、沿道からその力走する姿を応援するのは、とても楽しいと感じます。この感覚は、現役時代には無かったことです。

今、コロナ禍の影響でレースから離れてしまい、そのまま走ることからも遠ざかってしまった方は、マラソン大会の応援に足を運んでみることを推奨します。と、言うよりもランニングをはしめたそもそものキッカケが、仲間の応援に行った方も多いのでは……。

また、私が現役時代の市民マラソン大会は、参加者が千人をこえる大会自体も少なく、マニアックな方ばかりが走っていたような記憶があります。しかし、いわゆるマラソンブームと呼ばれてからは、1万人をこえる大会も多くなり、その大会を走っているランナーたちは、本当に楽しそうで、みんなが輝いています。

コロナなどの不安要因は残っていますが、再び輝いているランナーたちであふれているマラソン大会が、全国各地で復活していくことを確信しております。

秋を走る・10

【秋を走る・10】今年も残り2カ月を切りました。また、11月に入ると、いよいよマラソンや駅伝シーズンも佳境に入っていきます。特に、10月下旬から11月上旬は駅伝が続いており、「駅伝シーズン第1章」とも言えるでしょうか。

さて、かなり昔の思い出話で恐縮ですが、ちょうどこの時期は当時の青森から東京間を、7日間でタスキをつなぐ「青東駅伝(現在は中止)」の開催日程とも重なっていました。そして、当時の私は千葉県代表選手(11年連続出場)として同駅伝にも出場していました。

この駅伝の主なルールとして、出場する代表選手は7日間で最低1回、最高3回出走することになっており、私は毎年3回出走していました(3回を必ず走らされていた)。また、各区間の距離は概ね10kから20k程度の間で、私は15k以上の長距離区間を任されることが多かったと記憶しております。

そして何より、この青東駅伝には高校生や市民ランナーから箱根を目指す学生選手、五輪選手を含めた実業団選手たちが、一堂に会してタスキをつなぐ壮大な駅伝だった点です。今思うのは、この駅伝を通じて「長距離走」への心構えと、その厳しさや達成感の全てを学び、「凄い経験をさせてもらった」と、懐かしい思い出と共に感謝の気持ちです。

あらためて、私が偉そうにウンチクを言える立場ではありませんが、大学駅伝や実業団駅伝のように、ひと区間が10k以上の距離を走る駅伝は、特に経験が必須です。最近は、各地区の実業団駅伝にクラブチームが参加できるようにもなり、実業団駅伝を走ることへの敷居が下がっている点は良い傾向だと感じます。

一方、ゴールでは見たことのないようなタイム差がついてしまい、応援に駆けつけた側も気の毒になってしうことは多々あります。つまり、実業団選手(プロ)たちは、この駅伝こそが主戦場なので、キッチリ調整して「本気」で挑みます。そして、その本気力は市民ランナーの皆様が考えているレベルをはるかに超越しているので、ゴールでは大人と子供以上の大差もつきます。

また、多くの市民ランナーは、レースではハーフマラソン以上の距離を走る傾向が強く、実業団駅伝のような大会を目指すには、そのレース選択は適切でないとも感じます。やはり、10kから16k程度のロードレースを積極的に走る経験が駅伝(マラソンも)には必要です。具体的には「スタートから突っ込み、つぶれてから粘り倒す経験」を繰り返すことで、駅伝(マラソンも)に必須なペース感覚や後半の苦しさを耐えしのぐ忍耐力を、心と身体が体得していきます。

もちろん、その経験が最終的にはマラソンにも活かされることは言うまでもなく、今年度はハーフマラソンだけでなく、是非とも10kレースなどへの出場も検討してみましょう。

秋を走る・8

【秋を走る・8】東京パラリンピックから1年が過ぎました。過ぎてしまえば遠い昔の出来事のような気がするのは、パラリンピックごとに感じることです。私自身は、東京パラで7大会連続のパラリンピックとなりましたが、母国開催だったこともあり、その思いはより強く感じたのかもしれません……。

さて、その東京パラのメイン会場となった新国立競技場を発着点とする東京レガシーハーフマラソン大会が開催されました。そして、そのコースは東京パラのマラソンコースとほぼ同じで、東京パラのマラソンに出場したパラ選手たちにとっては、思い出深いそのコースを走ることができました。

また、2020年4月以降はコロナ禍の影響で、多くのマラソン大会などが中止や延期に追い込まれていただけに、今回のような大会復活を多くの市民ランナー方が待ち望んでいたことでしょう。

まずは、大会開催にご尽力された関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

秋も深まり、いよいよ本格的なマラソンシーズンに突入しておりますが、目標のマラソン大会に向け、練習の一環としてハーフマラソンに出場する方も多いと思います。距離もマラソンの半分であり、ここまでの調子を確認するにはちょうど良いともいえます。

しかし、ハーフマラソンのその距離は20kを超えるので、特にマラソン練習の一環として走る方は目的などを明確にしておく必要があります。その主な理由として、スタートから記録を意識し過ぎると、15k以降は大きく失速するリスクが高まるからです(特に、今回のようにラスト数キロが上り坂の場合)。

そして何よりも、マラソン練習の一環として出場したハーフマラソンにおいて後半失速すると、どんなレベルのランナーでもスタミナへの不安を残すことになります。同時に、後半の失速は脚へのダメージを残すことにもなり、翌日からも続いていくマラソン練習に悪影響を与えます。

これらの点は予め考慮し、前半はマラソンのイメージで抑え気味に走り、後半もペースをキープしながら、少しずつビルドアップしてゴールすることを、個人的には推奨します。今年は多くの大会が復活しているだけに、マラソン練習の一環としてハーフマラソンに出場予定の方は、特に注意してほしいと思います。

秋を走る・7

【秋を走る・7】強化合宿を千葉県富津市で実施する場合、トレーニングのメインとなる距離走(30k~40k)は可能な限り多くのランナーたちと切磋琢磨できるように調整しています。また、何度かこのブログにも記載しましたが、マラソンや長距離種目は、究極の個人競技のひとつです。

しかし、競技の特性上、単独で走り込むより、同じ走力の仲間たちと切磋琢磨しながら走り込む方が、効率的なのも確かです。また、お互いを理解する意味でも、同じマラソンを目指す仲間として一緒に走り込むのは良いことです。

特に、マラソンや長距離種目のトレーニングをわかり易く表現すると「ただ走っているだけ」なので、はじめて会う人はもちろん、老若男女関係なく、誰でも一緒に走れます。つまり、練習会などに初参加しても、自分の走力に合いそうなグループに入り、集団の後ろに黙って付いて走れば良いので、シンプルで簡単なことが何よりの特徴です。

そこに、「過去の実績」や「個々のプライド」など何もなく、ただ一緒に最後まで走り切るだけです。もちろん、途中でそのグループから遅れたり、やめてしまったとしても、誰に迷惑をかける訳でもなく、すべてを自己完結できるのがマラソン練習会なのです。

これは、いわゆるパラスポーツのカテゴリーに入るランナーに対しても同じで、一緒に走ることは全く違和感もなく、問題もありません。どんな人でもマラソン練習会に「参加してみようかな?」と、思い立ったのなら、その練習会が自分自身の走力に合っているか否かを確認し、積極的に参加すべしです。

また、上記したように「ただ走っているだけ」にもかかわらず、練習後はお互いをたたえあう光景を必ず目にします。まさに、マラソン大会のゴールと同じです。これは人間の特性なのか否かは知りませんが、初対面でも同じ目的を持って集団で行動(走る)すると、最後は必ず仲間意識が芽生えています。

その意識は「ただ走っているだけ」のマラソントレーニングにとっては、とても大切な要素です。なぜなら、記録を目指していくほど、さらに「ただ苦しいだけ」の要素も濃くなってくるため、その苦しみを乗り越えていくには、仲間の力が不可欠になってくるからです。

10月に入り、本格的な走り込みに入っていますが、富津合同マラソン練習会を通じて「仲間意識の見える化」を、さらに実践していきます。

秋を走る・6

【秋を走る・6】マラソンシーズンに向け、本格的な走り込みを開始する10月に入りましたが、寒暖の差が大きい1週間となりました。皆様におかれましては、体調など崩していないでしょうか。

ここ数年はコロナ禍の影響で、マスク着用が徹底されたこともあり、逆に風邪をひいた人を見かけることは、ほぼありませんでした。しかし、本来ならこれから風邪やインフルエンザが流行する季節に入ります。

そのため、走り込み期間中に風邪をひいてしまい、狙ったマラソン大会に調子を合わせることが難しくなってしまうケースは、毎年必ず見受けます。まさに、今週のように寒暖の差が大きくなると、体調を崩す確率は高まります。

あらためて、体調管理の徹底をお願いします。

さて、今週末から強化合宿を富津公園において実施しますが、トレーニングの軸は「距離走」です。具体的には40k走をベースとしますが、個々の体調や調子によって距離は調整します。

また、故障が完治したばかりなど、単に調子が悪いとかでなく、いわゆる「病み上がり」の状態である場合は距離ではなく、時間で走ることを推奨します。具体的な方法としては、距離走グループと一緒にスタートし、2時間とか3時間が経過した時点でストップする走り方です。

この場合、いつもより遅い設定タイム(グループ)で走ることがポイントです。脚の状態や体調などを、一歩一歩確認しながらゆとりを持って走ります。そして、スタート後、決めた時間を経過した時点で終わりとし、その時点での脚の状態や体調を確認することも忘れないように。

さらに、10月は「走り込み月間」と意気込んで、走行距離を一気に上げると、一気にケガや故障をおこすことにもなります。この点も十分に注意が必要です。具体的な走行距離の目安は、9月走行距離の2割増し程度に留めると良いでしょう。

何事も一気に上がったら一気に落ちます。特に、走り込みはケガや故障に直結するので、慎重に走り込んでいくことも不可欠です。

秋を走る・5

【秋を走る・5】23日の3連休をはさんだ日程で強化合宿を、いつもの千葉県富津市富津公園において実施しました。ちょうど台風の接近と重なりましたが、トレーニングには影響ありませんでした……。

また、同じ3連休に岐阜県において全日本実業団対抗陸上競技選手権大会も開催されました。同大会には、強化合宿などでもガイドランナーをつとめている山口遥選手も出場したので、ちょうど23日に千葉県から岐阜県へ移動し、翌日の24日に千葉県へ戻る日程で遠征しました。しかし、こちらは台風の影響をもろに受けることになりました……。

さて、次のターゲットとなる12月の防府読売マラソン大会に向けた走り込みのピークは10月になります。今回の強化合宿は故障明けの選手もいたので、足慣らし的な位置付けにもなりました。内容も距離走を2本実施しましたが、特に具体的な設定タイムなども決めず、個々の体調や調子に合わせた感覚で走りました。

また、12月の防府読売マラソン大会に向けてどのように調子を合わせていくのかを、この段階でよく考えることは重要ですが、逆に12月の同大会に調子を合わせることが難しいと判断する選手もいるかもしれません。しかし、年明けの2月に実施予定の別府大分毎日マラソン大会に合わせることは十分可能です。その場合、12月の段階でどの程度の調子に戻しておくかの目安は必須になります。

よくあるパターンとして、現時点で調子が悪いからといって何も考えずに走り込みを重ねた結果、調子のピークが大きくずれてしまうことです。実際にあった例として、年末から年明けの1月前半に調子のピークが訪れてしまい、練習のつもりで出場したハーフマラソンで自己新を達成(無欲で出場)。しかし、2月の別府大分毎日マラソン大会で大失速(狙って出場)。

このように「練習のつもり」というのが曲者で、無欲とはプレッシャーを感じていない状態にもなります。一方、無欲で達成した記録に気分を良くし、本命のマラソン大会では自他ともに期待を寄せることになります。すると、これまで感じたことのないプレッシャーを背負うことにもなり、マラソン大会当日は高い確率で失速することにつながるのです。

あらためて、現時点における調子の良し悪しに関係なく、目標のマラソン大会に向けたトレーニング計画を考え、それに沿って走り込んでいくことがベースであり、重要です。その結果、自身の心と体の調子をコントロールしていくことにもつながり、いわゆるポイント練習ごとにプレッシャーを感じることにもなります。

そして、その計画的なプレッシャー(ポイント練習)を受け止めていくことが、本命のマラソン大会当日に力を発揮できる心と体の強化にもつながっていくと考えます。

秋を走る・4

【秋を走る・4】先日の17日からの3連休を活用し、長野県菅平高原において合宿を実施してきました。ちょうど台風が接近していましたが、幸い大きな影響もなく、無事に走り込むことができました。

さて、今合宿の目的は「40k走(距離走)」でした。もちろん、標高も高いので、それぞれの走力に合わせて距離や設定ペースを調整しましたが、全員が概ね予定どおりに走ることができました。

また、同じ周回コースにおいて、箱根駅伝を目指している大学チームも走り込んでいました。もちろん、我々とは別次元のペースですが、チーム状態の良い大学は最後まで集団が崩れることはほとんどありません。一方、チーム状態に不安がありそうな大学は、序盤から集団を維持することが難しくなっていました。

このように集団で距離走を実施している様子を拝見すると、そのチーム状態やその中で走っている個人の調子がよくわかります。マラソンや長距離種目は個人競技ですが、長い距離や長い時間走り続けるトレーニングがメインなので、常に単独走でそれを継続していくのは難しいのも確かです。

したがって、逆に「集団で長距離を走るトレーニング(距離走)」を組み込むことで、個々の走力を効果的に向上させることができます。特に、個人競技の究極ともいえるマラソンや長距離種目は、このような集団による効果があらわれ易い競技特性があると感じます。

しかし、その集団走(距離走)を効果的に継続していくにはいつくかの条件があります。まずは、適切な距離と設定ペースになります。そして、何よりもその集団走の先頭を走る司令塔の存在です。いわゆるペースメーカーの走力と能力になります。

具体的には、設定ペースを寸分の狂いなく、安定して最後まで走れることが第一条件になります。次に、集団全体やある個人が後方からあおってきたとき、それをおさえ切れる強いメンタルを持っていることもペースメーカーとしての重要な条件になります。

すなわち、そのチーム内においては、エース的存在ともいえるでしょうか。このような条件を兼ね備えたペースメーカーをになえる優秀な選手が、チーム内に複数存在するならそのチームは間違いなく成長していけます。

もちろん、それはクラブチームなどが主催している練習会などにも当てはまります。特に、思うような成果が出ていない場合、まずはペースメーカーの実力や適正を再確認してみることは必要です……。

秋を走る・3

【秋を走る・3】先月の北海道マラソン大会からちょうど2週間経過しましたが、次の目標となる12月の「防府読売マラソン大会」を目指した強化合宿を開始しました。もちろん、選手たちの回復状態を最優先しながらでしたが、主力選手たちは元気に走り込んでいました。

「マラソンを走ったあとの回復期間(練習量を落とす期間)は?」

ある意味、この問いに対する回答は永遠の課題でしょうか。専門的な文献や一般論などは多数ありますが、「あまり当てにならない」というのが現場での肌感覚になります。別の見方をするなら、「回復期間は個人差が大き過ぎる」とでもいいましょうか。

もちろん、選手個々の定期的な血液検査の結果や日々の体調チェックなど、ある程度科学的なデータを照らし合わせての判断にもなりますが、人の体は必ずデータどおりになりません。

マラソンのようなハードなトレーニングを日々継続している選手たちの血液結果が、異常値を示すことは珍しくありません。ところが、走ることなどせず、普通の健康的な生活をしている人は、そのような異常値はほとんどないと思います(病気などは別)。

したがって、マラソン後や合宿期間中に実施する血液検査で数値が改善された選手の場合、純粋に改善したことを評価するよりも、単に練習を休み過ぎたり、練習の強度不足を、まずは疑います。つまり、練習やレースで結果を残せていない選手ほど、逆に血液状態が良いケースも意外と多いからです(私の経験上)。

さて、話しが脱線しましたが、マラソン後の回復期間については、上記したように個人差が大きいことは間違いなく、その見極めは簡単ではありません。しかし、ひとついえるのは、計画的にしっかりとマラソントレーニングを積んでマラソンに挑んだ選手ほど、走った後も大きな故障やケガに陥ることなく、次の目標に移行している確率が高いのは確かです。

しかし、マラソンは競技の特性上、その記録は当日の天候などのコンディションに最も左右されます。したがって、特に走り込みをしていなかったとしても偶発的に好記録をマークする選手が存在するのもそのためです。ところが、そのような選手の中には、そのマラソン後に故障したり、次のマラソンでは大きく失速したりと、いわゆる「一発屋」で終わる確率も高いと感じます……。

まとまらない話しになりましたが、要はしっかりと走り込みをしてマラソンに挑んだ選手ほど、その結果の良し悪しに関係なく、マラソン後の回復期間は短い傾向になると感じます。すなわち、マラソンに向けた走り込みを計画的に実施することで、その後の故障やケガのリスクも軽減できるともいえるでしょう。

秋を走る・1

【秋を走る・1】3年ぶりの開催となった北海道マラソン大会は大いに盛り上がりました。その大会当日の天候は曇りで気温も25度前後でしたが、湿度が60%を超えており、意外と厳しいコンディションだったと感じました……。あらためて、大会開催にご尽力いただいた関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

そんな中、ブラインドマラソンの選手たちも3年ぶりに出場し、男子は昨年の東京パラで銀メダルを獲得した和田伸也選手が大会新記録で優勝。女子も東京パラで金メダルを獲得した道下美里選手が自らの大会記録を更新する新記録で3連覇を達成しました。

しかし、今回の北海道マラソン大会に向け、強化合宿などを重ねてきたにもかかわらず、直前にコロナ感染する選手や故障する選手を複数出してしまった点。大会当日は途中棄権する選手も複数出してしまった点など、強化責任者としては猛省する大会となりました。

この後、12月の防府読売マラソン大会を目標に強化活動を継続していきますが、手綱を引き締め、しっかりと立て直していく所存です。引き続き、皆様の絶大なるご支援をお願い申し上げます。

一方、ブラインドマラソンの強化合宿などで選手をサポートしながら一緒に切磋琢磨してきたガイドランナーでもある山口遥選手が、女子の部で優勝し、目標のMGCを獲得しました。

特に、35k以降は上記したブラインドの和田伸也選手と競り合いながらゴールを目指す姿は、強化合宿などでいつも見ている映像そのものでした。彼女にとっても、いつもの練習と同じ感覚で最後まで粘り抜けたことが、最大の勝因だったことでしょう。

そんな彼女は、これまで厚底シューズを本格的に使用したことは、ほとんどありませんでした。しかし、この北海道マラソン大会に向け、走り込みの段階から厚底シューズを徹底的に履いて履きつぶし、履きこなせる段階まで持っていきました。

さらに、彼女は50回以上のマラソン経験があるにもかかわらず、スペシャルドリンクを置いたことは一度もありません。そもそも、真夏の距離走においてもほぼ給水を取りません。とにかく暑さには強く、炎天下の練習で彼女がつぶれた姿を見たことはありません。

ところが、この給水を適当に考えて一流になった選手はいません。マラソンでさらに飛躍するうえで、この給水問題は避けて通れないことも確かです。今回の北海道マラソン大会で、彼女は初めてスペシャルドリンクを置き、そのドリンクを取りながらゴールを目指しました。

あらためて、今回のレースは終盤にブラインドの和田伸也選手と競り合えたことは大きかったのですが、それを可能にしたのは厚底シューズとスペシャルドリンクだった点も確かです。このように、50回以上もマラソンを完走しているベテラン選手が、まるで初心者ランナーのような対策でMGCを獲得したのです。

しかし、どんなレベルに到達しても自分自身に不足している点を素直に認め、それを素直に修正(試みる)する気持ちと姿勢を持っている選手は確実に成長します。彼女が今後も飛躍する可能性がある最大の理由は、そこになります。

夏を走る・13

【夏を走る・13】先日の土曜日から2泊3日の日程で、長野県菅平高原において合宿を実施しました。合宿中は概ね天候にも恵まれ、計画どおりの走り込みを消化することができました。そして、秋からのマラソンシーズンに向け、9月にもう一度、菅平合宿を実施する予定です。

いわゆる温暖化の影響なのでしょうか、ここ数年は9月に入っても気温の高い日が多くなり、走り込みに適さない日も増えてきた感じがします。しかし、11月以降のマラソン大会を目標にした場合、9月と10月はとても重要なトレーニング期間に位置します。

具体的には、春先に培った「スピード」と、夏に培った「スタミナ」を融合させ、マラソンを目標タイムで走り切るための「スピード持久力」を養成していく期間に当たるからです。7月と8月は暑い中での走り込みだったので、あえて設定タイムを落とし、時間をかけてじっくりと走り込む期間としましたが、9月からの走り込みを夏と同じにすることはできません。

しかし、上記したように9月も暑い日が多くなり、スピード持久力養成を目的にした距離走を確実に実施するためにも、菅平合宿を9月に実施するようになりました。もちろん、短期合宿なので距離走の回数は少ないですが、とても重要な合宿と考えます(私の経験上)。

さて、今週末は北海道マラソン大会が3年振りに開催されます。コースも昨年の東京五輪コースが一部加わるなど、リニューアルされました。また、パリ五輪マラソン日本代表選考会である「MGC」の出場権を獲得できる大会にも指定されているので、男女とも国内トップ選手が多数出場します。

このように3年振りの開催ですが、とても注目される大会になっています。出場される市民ランナーの皆様にとっても久々の厳しい夏マラソンになると思いますが、まずは無事に完走してほしいと願っております……。

ホーム > トレーニング計画

Search
Feeds

ページの先頭へ