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夏合宿・2
【夏合宿・2】今回から夏合宿の確認事項について、それぞれを掘り下げていきます。
■確認事項1).合宿地の決定(日程、宿泊場所、自宅からの距離・移動手段、他)
あらためて言うまでもなく、夏合宿を計画する上で最も重要な項目です。ところが、意外と安易に考え、後で後悔するケースを見受けることは多いのです。特に多いのは、短期合宿にも関わらず、自宅から遠すぎてしまう失敗です。
暑さを避けて可能な限り涼しい環境で走り込みを実施したい気持ちばかりが先行し、合宿地に移動してみたら夕方になってしまうケースです。移動時間の目安として、その日の朝に自宅を出発したらお昼には合宿地に到着できる移動距離が推奨です。
この時、合宿地までの移動手段として、電車やバス等のアクセスをしっかりと確認し、実際にそこまでどのように移動するかを決定することは必須事項です。また、車での移動についても渋滞の有無等もあらかじめ予想し、時間にゆとりを持って計画することは重要事項になります。
同時に、宿泊場所となる宿とは事前によく連絡を取り、チェックインやチェックアウトの時間を確認しましょう。一般的な14時から15時のチェックインだと初日は単なる移動日となってしまいます。また、チェックアウトが10時だったりすると、帰る日も移動日となってしまいます。
その場合、1泊から2泊の短期合宿の場合、単なる観光になってしまい、目的の走り込みができなくなってしまいます。そのため、事前に宿泊する宿とチェックインやチェックアウトの融通をきかしてもらえるか否かを確認し、必要であればしっかりと交渉することも必要になります。
更に、宿の朝食や夕食についても確認しておき、昼食の有無や追加できるか否かも重要な確認事項となります。
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夏の走り込み・2
【夏の走り込み・2】いよいよ関東も梅雨明けとなり、連日の猛暑です。走り込みどころか外出すること自体も危険な天候です。と、言いながら秋からのマラソンシーズンに向けて夏の走り込みはとても重要です。
既にこのブログでも夏の走り込みについては何度も取り上げてきましたが、重要なポイントである点は毎年同じです。今年もあらためて考えていきます。
最初に、夏の走り込みにとって何がネックになるかをあげてみますが、最もネックになるのは「暑さ」です。誰もが最も感じることですが、具体的には気温と湿度が高くなることです。
参考までに熱中症予報(熱中症指数)によると、気温21度以下が「ほぼ安全」、21度から25度が「注意」、25度から28度が「警戒」、28度から31度が「厳重警戒」、31度以上が「危険」となっております。すなわち、健康のためには真夏のランニングは実施しない方が良いと言うことになりますね。
そして、この暑さと同時に夏の日差しとともに降り注ぐ「紫外線」も走り込みの大きなネックとなります。具体例として屋外でゴミ拾い等の奉仕活動で1日炎天下の屋外にいると、紫外線の影響もありグッタリと疲れます。特に、肌を露出した状態だと、首筋や両肩から腕、そして顔が日焼けします。これらは主に紫外線の影響で、身体へのダメージはランニング以上な感じもします。
以上のことから逆に、暑さ対策のポイントとして大きく次の2点にまとめることができます。
■ポイント1).気温が高くならない時間帯や涼しい場所でランニングを実施する。■ポイント2).可能な限り紫外線を浴びないような対策をしてからランニングを実施する。
特に、ポイント2については、ランニング時に日焼け止めクリームの使用、ウェアーの工夫やサングラスの使用等により、誰でもある程度の紫外線を防止することは可能です。もちろん、直ぐにでも実施してほしい点です。
皆さんは、紫外線対策を実施しているでしょうか?
次回からは、ポイント1について考えていきます。
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期分け・98
- 2014-08-28 (木)
- トレーニング計画 | マラソントレーニング | 夏を走る
【期分け・98】今回は、夏の走り込みについてのまとめとなります。いろいろと話しをしてきましたが、最後は週末を活用し、涼しい高原(高地)等で実施する短期合宿についてです。もちろん、思い付きで土地勘も無い場所へ出向いていくことはおすすめできませんが、諸問題を解決している場合は、是非とも実施してほしいと考えます。
しかし一方で、短期間で涼しい高原(高地)等を走っても効果が無いと考えるランナーもいるかもしれません。実際に、ひと昔前はそのように言われていましたが、最近の研究では短期間の高地トレーニングでもそれなりに効果があるとの報告もあります。詳細は割愛しますが、暑い場所で苦しむより、涼しい高原(高地)等で走り込む方が精神的にもリフレッシュできます。
では早速、高原(高地)等での短期合宿についての具体的なトレーニング計画を考えていきますが、はじめに何を目的にわざわざ遠い高原(高地)までいくかです。短期間と言いいながらも「走り込み」なのか、「スピード強化」なのか、それとも…。実は、この目的が曖昧になる市民ランナーが多いのと、現地入りしてからトレーニング計画をガラリと変更してしまう市民ランナーも意外に多いと感じます。
要は短期合宿の場合、あれもこれも実施する時間が無いのと、体力的にもハードになってしまうので、目的を明確に絞ってから現地入りするのが間違いありません。そして、夏の短期合宿は、「走り込み」がメインとなり、秋からのマラソンシーズンに向けても良い流れとなります。まさに、「スタミナ養成(土台づくり)」です。
そして、そのポイントは大きく3つです。
◆ポイント1).ゆっくり長く(LSD)。◆ポイント2).設定タイムを落とす(距離走&ペース走)。◆ポイント3).起伏を活用(クロカン)。
何と言ってもまずは「ゆっくり長く走る(LSD)」ことが、第一歩となります。高原と言っても標高が千メートルをこえてくるので、人によっては調子が上がらない場合も少なからずあります。そんな場合も、ゆっくり動き続けることができれば、短期合宿の目的は十分に果たすことができます。
次に、距離走やペース走ですが、どうしてもいつもと同じペースにしたり、仲間と競い合ってペースを上げ過ぎるケースは本当によく見かけます。その結果、一緒にスタートした仲間全員が失速し、「誰も最後まで走り切れなかった」何てパターンも意外と多いのです。これでは、何のための短期合宿なのか、目的すら分からなくなります。そこで、効果的な具体的方法として、普段実施している距離走やペース走の設定タイムから「30秒/k」程度遅くします。更に、仲間と一緒に最後までじっくりと、余裕を持って走り切るようにします。この時、スタート直後は「こんなに遅くて良いの?」と感じますが、後半はボディブローのように効いてきます。まさに、遅くても効果的なのです。
最後に高原(高地)は、どうしても平地部分が少なく、どこを走っても起伏があります。そこで、その環境をうまく活用し、積極的にその起伏を走るようにすることで、脚筋力の強化にもつながります。もちろん、クロカンコースがあれば積極活用し、登山道やハイキングコース等が設置されているなら、そのコースをゆっくり走ることも効果的と考えます。そして、このときも怪我や故障防止の視点からもペースを絶対に上げないことがポイントとなり、途中で苦しいと感じるなら歩いても十分に効果があります。
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期分け・97
- 2014-08-21 (木)
- スピードトレーニング | マラソントレーニング | 夏を走る
【期分け・97】実業団選手や箱根駅伝選手たちとの相違点である、3つ目について考えていきます。まずは、3つ目の相違点を振り返ってみます。
◆相違点3).いつもと同じ環境の中で暑さ対策を考えていく必要がある。
少し、ネガティブな感じですが、多くの市民ランナーは、実際に涼しい高原等での長期合宿(短期も)を実施することは難しい環境です。したがって、今ある環境の中で何か対策を考えていく必要があります。もちろん、気温が35度をこえるような猛暑の中で走り込むことは、健康的ではありません。
しかし、暑いので何もしないでは、マラソンを目指すと言う意味では逆に「走力の衰え」にもつながっていきます。まさにこの矛盾との戦いが、暑さを克服していくポイントとも言えます。
そこで、具体的な暑さ対策をいくつかあげてみます。
◆対策1).涼しい時間帯を有効活用。
特に、涼しい早朝に走ることを強くおすすめします。なぜなら、早朝練習を実施するには起床時間を決める必要があります。同時に夜更かしができなくなります。そのため、ランナー的生活の基本である「規則正しい生活習慣」を身につけることにもつながります。実は、「規則正しい生活習慣(早朝練習)」を定着させる季節としては、逆に夏が最適なのです。
◆対策2).距離より時間で管理。
気温の高い中において、長距離を走ることは様々なリスクがあります。特に、暑い中において30kとか40kと、走る距離を決めてスタートすることはとても危険です。なぜなら、距離を決めるとペースが気になり、結果的には涼しい季節との比較になってしまい、肉体的にも精神的にもリスクが高くなるからです。そこで「何分走る」と、暑い夏は時間管理にシフトし、ゆっくり動き続けることを意識しながらマラソンに必要不可欠なスタミナの土台をつくることに主眼を置くようにします。もちろん、途中でウォーキングを取り入れ、ランニングと交互に繰り返すことも暑さ対策としては効果的です。
◆対策3).給水の確保。
何と言ってもこれが最重要ですね。特に、多くの市民ランナーは単独で走り込むことが多いので、給水対策も自分自身で考える必要があります。具体的な対策例として、予め給水を準備し、ランニングコース上に置いたり、人目につかない場所に置いたりしますが、肝心な時に準備していた給水が紛失していた話しは良く聞きます。そこで、夏は予めランニングコース上を下見し、自動販売機やコンビニがどこにあるかを確認しておき、小銭を持って走ることをおすすめします。これは、万が一体調不良になった時、助けを求める意味で予防対策にもつながります。
以上、駆け足で暑さ対策について話しをしてきましたが、年々暑さが厳しくなってきているようにも感じます。とてもランニングどころでは無いと言うのが本音ですね。しかし、夏は秋からのマラソンシーズンに向けた基礎体力(スタミナ)を養成する大切な時期でもあります。したがって、上記したことにこだわらず、水泳や山登り等、夏に相応しいスポーツを積極的に取り入れていくことも暑さ対策としては正解です。暑い夏だからこそ、ランニング以外のスポーツにも視野を広げてみることは大切かもしれませんね。
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期分け・96
- 2014-08-13 (水)
- スピードトレーニング | マラソントレーニング | 夏を走る
【期分け・96】引き続き、夏の走り込みについてです。前回は、「夏の走り込み」と言っても実業団選手や箱根駅伝選手たちとは相違点があり、具体例を3つあげました。今回もこの点についてもう少し考えていきます。
◆相違点1).長期合宿のために休日取得が難しい。
一般的な見方になりますが、ほとんどの方は有給休暇と言え、勝手気ままに取得することは難しいと思います。したがって、夏季でも週末を活用した短期合宿や練習会が、走り込みのメインとなります。そして、重要なポイントのひとつとして、短期合宿の場合、合宿地までの移動時間をしっかりと計算しておく必要があります。具体的には、早朝に自宅を出発しても午前中には余裕を持って到着できる移動距離が短期合宿地への移動範囲と考えます。もちろん、夏休みを活用し、2泊以上の合宿を実施する方もいるでしょうが…。
◆相違点2).合宿をサポートしてくれる仲間や環境を確保することが難しい。
合宿地を決めたら、次に宿泊先や現地までの移動手段を確保する必要があります。同時に、うまく確保できた場合、現地に移動してからの動きが重要になります。具体的には仲間から合宿の話しだけ聞き、現地での土地勘が薄い方々だけでいくと、「どこをどのように走るのか」、「聞いていたクロカンコースまで遠すぎて移動できない」等々のトラブルが必ず発生します。同時に、現地練習での給水や備品等の段取りも意外と大変です。
以上の2点については、走り込み以前の話しになります。しかし、物事は何でもそうですが、段取りが大切です。実は、実業団チームや箱根駅伝を目指す大学チームには、優秀なマネジャや主務と言われる専門の裏方が必ず常駐しています。そして、合宿はもちろん、ありとあらゆる段取りやサポートを仕切っています。
したがって、選手たちは、常に「走ること」だけに没頭できます。コーチは、常に「選手を観察」することに没頭できます。このように、強くて安定しているチームには、必ず優秀な裏方がいるのです。
ところが、一般的な市民ランナーの短期合宿や練習会に、このようなサポートできる方を常駐させることは相当難しいと思います。そのため、短期合宿を企画する際はこの点を十分に吟味し、合宿地に精通した仲間の確保や現地での移動手段に必要な車や自転車、練習に必要な給水等の備品をどのように準備するかを、まずはじっくりと吟味することが短期合宿への第一歩となります。
つづく。
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期分け・95
【期分け・96】いよいよ8月に突入し、暑い日々もまだまだ続きそうです。ランニングにとっては過酷な季節が続きますが、走らない訳にはいきません。また、10月以降からはじまる秋のマラソンシーズンに向け、そろそろ走り込みを開始していく季節でもあります。
もちろん、本来なら運動を控えなくてはいけない季節でもあります…。また、これまでもこのブログで何度も取り上げてきましたが、あらためて今回から秋のマラソンに向けた「夏の走り込み」について考えていきます。
はじめに、「夏の走り込み」と聞くと、何をイメージするでしょうか。多くの方は涼しい高原や北海道等で走り込みをしている実業団選手や箱根駅伝選手の姿をイメージすると思いますが、いかがでしょうか。
実際に彼らは暑くなる夏の期間は涼しい場所で長期合宿をしながら走り込んでいきます。その月間走行距離は、箱根駅伝を目指す学生選手でも千キロを軽く超え、マラソンを目指している実業団選手に匹敵する距離を走り込んでいます。
そして、夏の走り込みで培ったスタミナを土台にし、涼しくなっていく季節に沿って量から質へとトレーニング内容を移行していきながら狙っている駅伝やマラソンに仕上げていきます。この大まかなトレーニングの流れや考え方は、市民ランナーも同じになります。
ところが、一般的な市民ランナーのほとんどは、仕事や家庭がメインとなり、ランニングは余暇となります。したがって、実業団選手や箱根駅伝選手たちのように、夏の間涼しい場所で長期間徹底的に走り込むことは、事実上不可能と言ってよいでしょう。
つまり、同じ「夏の走り込み」と言っても市民ランナーの場合、その内容や方法に相応の違いが出てきます。まずは、その相違点をいくつかあげてみます。
◆相違点1).長期合宿のための休日取得が難しい。◆相違点2).合宿をサポートしてくれる仲間や環境を確保することが難しい。◆相違点3).いつもと同じトレーニング環境の中で暑さ対策を考えていく必要がある。
皆さんは、いかがでしょうか。もちろん、上記した3つとは無縁の市民ランナーもいることでしょう。しかし、仮に長期合宿が可能となり、涼しい環境で走り込めたとしても、今度は逆に慣れない環境下で一気に走り込んだ結果、怪我や故障に直結するケースも意外と多いのも事実です。
次回は、この点も含めて更に考えていきます。
つづく。
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期分け・94
- 2014-07-30 (水)
- トレーニング計画 | マラソントレーニング | 夏を走る
【期分け・94】ここまで「スピード養成期」としてトラックレースへ積極的に出場する話しをしてきました。具体的に何分何秒の設定タイムでどのように走るかの話しより、我慢とか忍耐と言ったような話しに終始してきた感はあります。
もちろん、トラックでしっかりと自己記録更新を目指していくためには、マラソン同様に綿密なトレーニング計画が必要不可欠である点は違いありません。しかし、今回に関しては、トラックレースの経験が少ない市民ランナーの方々がどのようにトラックレースを捉えるかに視点を置きました。
その結果、マラソンやロードレースとは違う「苦しさ」や「緊張感」を体感できることが分かりました。それは、単に苦しいと言った感覚だけでなく、ある一定のペースで長く走っていくマラソンの苦しさとは違いました。
特に、マラソンの記録が停滞気味になっている方や単に長く走るトレーニングを軸に走り込んできたランナーにとってその苦しさも、逆に新鮮だったのではと思いますが、いかがでしょうか。
さて、ランニングをはじめた当初のように、走り込んでもマラソンの記録が短縮できないとか、いくら走り込んでも目に見える成長を感じられなくなることを、「プラトー現象(停滞期)」とも言います。
実は、マラソンだけでなく物事がひたすら右肩上がりに成長していくことはほとんどありません。必ず、怪我や故障をしたり、それを通じて気持ちが萎えたりと、停滞する時期が必ず存在します。例えるなら階段の踊り場のような位置でしょうか。
このように、プラトー現象(停滞期)に陥ると、モチベーションが下がり、走ることへの意欲も低下して更に走れなくなる…等の悪循環にも陥り易くなります。これは、実業団選手や箱根駅伝選手にも見られる現象であり、休養や気分転換、あるいはトレーニング方法の見直しをすることによって、克服できることでもあります。
すなわち、トラックレースを積極的に走ることで、これまで経験したことのない苦しさや緊張感を体感することは、プラトー現象(停滞期)から抜け出すキッカケをつかんだり、陥らないための予防策にも活かせるのではないでしょうか。
単に、スピード養成するためにトラックレースを走るのではなく、走ることに対するマンネリ化やモチベーション低下を打開するヒントも、トラックレースにはあると考えます…。
つづく。
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絆・22
【絆・22】関東地方も梅雨が明け、本格的な夏到来です。そんな中、千葉県富津市において、日本盲人マラソン協会主催の強化合宿を7月19日から21日の日程で開催しました。この日程で強化合宿を開催するのは毎年恒例となっておりますが、今回は来月実施される北海道マラソンに向けた強化と位置付け、参加選手たちも例年以上に気合いが入っていました。
また、今回は強化スタッフの一員でもあり、元五輪選手の大崎栄氏にも全日程参加いただき、選手たちにトレーニングに関する講義や直接指導をお願いしました。実は、「オリンピック選手と市民ランナーの違いは?」と、聞かれたところで、トレーニング内容の質や量に違いこそありますが、大きな違いはそれほどありません。
しかし、あらためてオリンピック選手になった大崎氏の話しを拝聴すると、語弊があるかもしれませんが、「意外と頑張っていない」と感じます。つまり、トレーニングの継続を重視しており、走りのリズムや生活のリズムを常に意識しているので、トレーニングにも「メリハリとゆとり」があって常に自然体なのです。
実は、この点は市民ランナーの方々も常に意識し、頭では理解しています。ところが、市民ランナー(盲人ランナー)の多くは、大会が近づくと焦って走行距離を大幅に増やし、大会直前に怪我や故障をするパターンに陥り易いのです。そして、怪我や故障をすると、更に焦って痛みを我慢して走り続けます。その結果、気持ちまで燃え尽き(バーンアウト)、せっかく始めたランニングも短期間で遠のいていくケースは後を絶ちません。
さて、今回の強化合宿において、故障明けの選手も何人かいました。至極当然のことながら「無理をするな」、「自分のペースで」と、スタッフから言われ、本人も十分に理解しているのですが、やはり最終日には思うように走れない選手もいました。気持ちばかりが焦り、「早く調子を戻したい」、「北海道マラソンを走りたい」と、自分自身の体調や状態を正確に把握できていなかったのです…。
誰もがトレーニングの量と質を上げれば、パフォーマンスがアップすることを知っています。しかし、それを実現するためには、自分自身の「感情をコントロール」することと、自分自身の「身体との対話」が重要であることも理解できます。
ところが、周りに影響されず、毎日同じような自分のリズムでそれらを継続していくことは、実は最も難しい…。
だからこそ、そこに飛躍のポイントが…。
つづく。
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期分け・93
- 2014-07-16 (水)
- トレーニング計画 | マラソントレーニング | 夏を走る
【期分け・93】トラックレースが苦しい要因について少し専門的な話しをしてきました。そして、ひとつの大きな要因としてはオーバーペースでしたが、マラソンやロードレースにもオーバーペースはあります。
しかし、トラックレースの場合、スタート直後から全力に近いスピードになってしまう点が、マラソンやロードレースのオーバーペースとは若干異なります。したがって、トラックレースの方がより早い地点で失速し、後半の苦しさに直結していきます…。
先日の7月12日(土)に千葉県千葉市において、伝統の「第46回千葉県クラブ対抗陸上競技大会」が開催されました。今でこそ「クラブチーム」の言葉をよく耳にしますが、「千葉県実業団対抗陸上」と言わず、「千葉県クラブ対抗陸上」として同大会を40数年前から開催してきた点は、ある意味先見の目があり驚きです。もちろん、私自身も現役時代に何度も出場させていただいた思い出の大会でもあります。
そして、近年のランニングブームが同大会にも少しずつ影響してか、一般の市民ランナーたちもこの大会に出場するようになってきました。この大会は、とてもアットホーム的な雰囲気があり、初心者の方でも陸上競技を楽しめる大会なので、陸上競技の普及と言う意味からも参加者が更に増えていってほしいと願っております。
さて、この大会の大きな特徴として、毎年7月に開催されます。したがって、ほとんど真夏に近い炎天下での競技会となり、特に中長距離種目にとっては過酷を極めます。果たして、今年の大会も快晴となり、気温も33度以上、湿度60%前後と、厳しいコンディションとなりました。
また、4月から7月前半あたりまでを、「スピード養成期」と位置付け、積極的にトラックレースに出場する話しをしてきました。その結果、冒頭に記載したとおり、マラソンやロードレースとは違う苦しさを経験しました。更に、4月から7月前半のトラックシーズンは、一部のナイター競技会を除くと、ほとんどの競技会が炎天下での開催となります。
つまり、暑さの中で走る苦しさも、トラックレースを通じて経験することになります。実は、スピード強化と矛盾しているような感じですが、マラソンと比較すると5000mは距離も短く、厳しいコンディションの中でも前半からスピードを上げて走ることで、マラソンとは違う苦しさや我慢を身体が体感することになります。
このような厳しいコンディション下でも、短時間での苦しさや我慢を経験することは単にスピードを付けるとかだけでなく、逆にマラソンのような長時間耐える苦しさや我慢に対する余裕度としても効果を発揮してきます。(私の経験上)
この点は、短い距離のレースでもロードではなく、積極的にトラックレースを走る意味があると考えます。
つづく。
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期分け・92
- 2014-07-09 (水)
- トレーニング計画 | マラソントレーニング | 夏を走る
【期分け・92】トラックレースが苦しいと感じる要因について考えていますが、前回はいきなり「AT値」が登場しました。今回もその続きになります。
前回、5000mを20分ちょうどで走れるランナーの場合、その平均スピードの90%に相当する4分27秒前後のペースで走ると理論上、乳酸が蓄積せずに(疲労せず)ランニングを長時間継続することが可能と、話しをしました。
もちろん、走歴の浅い市民ランナーの場合、5000mの速度に対して70%かもしれません。この点は、必ずしも全てのランナーに当てはまる訳ではありませんが、上記したランナーの場合、4分27秒前後のペースはマラソンペースとほぼ一致しています。つまり、乳酸が蓄積せずに(疲労せず)ランニングを長時間継続できる上限のペースがマラソンペースにもなります。
ところが、トラックレースで5000mを走る場合、自己記録を目指してスタートすると、至極当然ながらマラソンペースよりも速いペースになります。具体的には、5000mを20分ちょうどで走れるランナーの場合、自己記録を更新するためには、4分以内のペースが必要になります。
しかし、トラックレースの場合、スタート時の混雑等もないため、トップスピードでスタートすることが可能です。更に、最短で100m毎のペースを確認することも可能であり、正確なペースを保つことも可能です。したがって、スタートから4分切りペースを刻んでいくことは十分可能な状況が揃っています。
特に、トラックレースの経験が浅い市民ランナーは、このように考えスタートするケースが多いのですが、1000mを通過したあたりから急激に呼吸も苦しくなります。更に、手足も思うように動かなくなって、ほとんどのランナーはペースを保てなくなるだけでなく、大きく失速していくパターンに陥ります。
この時、体内では「AT値」を大きく上回るオーバーペースでスタートしたが故に乳酸を除去できる能力を発生量が上回り、過剰な酸素負債になっているのです。つまり、乳酸を除去するために必要な酸素量を取り込めない状況です。同時に、心拍数も頭打ちになり、酸素摂取量より酸素消費量が多くなるので、呼吸は苦しくなり、手足もうまく動かせない状況に陥っています。
これが、「トラックレースは苦しい」と、感じる大きな要因のひとつなのです。
つづく。
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