Home > Archives > 2009-10

2009-10

マラソン・8

h21-10-29-1h21-10-29-3h21-10-29-4

「第2次マラソン準備期」:目標のマラソン大会の5週間前から3週間程度前まで。

この期の設定タイムを簡単に説明すると、「前期より速い設定タイムで走るが、目標のマラソンペースよりは若干遅いペースで走るタイム」と、なります・・・。とてもわかり難い言い方ですね(笑)。

そこで、今回は具体的な設定タイムの導き方を説明していきます。そして、そのベースとなるのは自分自身が狙っているマラソン大会での目標タイムとなります。まずは、その目標タイムを明確にしておく必要があります。もちろん目標タイムは、あこがれのタイムでなく、到達する可能性のあるタイムを指します。

では、実際にその目標タイムを、3時間突破(サブスリー)に設定している人を例にして考えていきますが、その考え方はとてもシンプルです。それは、目標としているフルマラソンのタイムを40で割ったタイムを、1kあたりの設定タイムとするのです。

サブスリーを目標にしている人の場合、3時間00分00秒を40で割ります。すると、4分30秒となります。これが、1kあたりの設定タイムとなります。そして、その設定タイムで25kから30kのペース走を実施していくのが、この「第2次マラソン準備期」となります。

サブスリーを達成するには、1kあたり4分15秒程度のペースを刻んでいく必要があります。しかし、この期の設定ペースは4分30秒と、若干遅めになります。もちろん、同じサブスリーを目指している人でも個人差が大きく、スピードに自信のない人は、更に10秒程度落とし、4分40秒程度でも問題ありません。但し、逆にスピードに自信のある人が、設定タイムを速くしていくことはご法度です。この点だけは、注意しましょう。

かなり余裕がある場合でも、その設定タイムをしっかりとキープし、ラスト2kから5k程度をペースアップするようにします。また、更に余裕があるからと言って、5k以上も手前からペースアップすると、後半失速したり、適切な練習強度を逸脱し、故障や怪我の原因にもなります。※「マラソン・7」を参考。

特に、この期は自分自身の設定タイムより、速く走りきることが目的ではありません。設定タイムに対し、どれだけ余裕を持ちながら走りきれるのかが、重要なポイントとなります。この点は、常に意識しておくようにしましょう。

また、自分自身の設定タイムについては、一度1k毎に書き出し、頭の中で整理しておくと、より正確なラップを刻めるようになります。

※上記の計算で導きだした自分自身の設定タイムで、30kのペース走を最後まで走りきれなった場合・・・。無理をしないで目標タイムそのものを見直しましょう。ときには、目標を下方修正する勇気と決断もマラソンには必要です。

つづく。

マラソン・7

h21-10-21-1h21-10-21-2h21-10-21-3

「第2次マラソン準備期」:目標のマラソン大会の5週間前から3週間程度前まで。

この期は、前期より若干距離を短くし、その分、設定タイムを上げます。もちろん目標とするマラソンペースより遅めですが、かなり実戦的なペース走や距離走を取り入れます。また、ラスト数キロはペースアップし、心肺や脚により負荷をかけるような走りを意識していきます。

このブログの「マラソン・4」で記載した説明を、そのまま引用すると上記のようになります。もちろん、各人の走力や目標タイムも違うので、必ずしも全ての人にあてはまることではありません。しかし、大切なことは、目標のマラソン大会に向かって距離を増加していくのでなく、距離を落としながら逆にスピードを上げていくような流れにしていくことが、ひとつのポイントとなります。

その点を踏まえつつ、具体的な距離や設定タイムについて考えていきます。

まず最初は、距離についてです。前期は、距離で走り込むなら30kから40k。時間で走り込むなら3時間から4時間程度と話しをしましたが、今期は30k前後がひとつの目安となります。具体的には、25kから30k程度となります。また、時間で走り込んでいた人も、この期からは距離で走り込むようにしていきす。

次に、設定タイムについてです。実は、この設定タイムの考え方こそ個人差が大きく、経験的な要素が色濃く反映される部分です。しかし、この期でも大切なことは、前期よりペースを上げるとしても、ある程度の余裕を保ちながら走りきれるペースがポイントとなります。

この期でよくある失敗例として、距離を落とした分、目標のマラソンペースより速い設定タイムでトライするパターンです。この場合、単に後半失速してしまう可能性が高くなります。しかし、最後までそのペースで走りきれたとしても、その数日後から調子や体調がどんどん上がってくるケースが多く、調子のピークがマラソン大会前にきてしまうことが多々あります。※故障や怪我のリスクも格段にアップします。

つまり、速過ぎる設定タイムで距離走を実施すると、調子のピークが大きくずれてくる確率が高くなるのです。ところが、当の本人は、そのことに気がつくことはほとんどなく、当日のマラソン大会では、後半大きく失速・・・。これまでそんなパターンに陥ったランナーたちを、数多く見てきました・・・。

このように、いたずらに設定タイムを上げ過ぎることは、大きなリスクがついてきます。この点をしっかりと頭に入れて、次回は具体的な設定タイムを考えていきます。

つづく。

マラソン・6

h21-10-14-4h21-10-14-21h21-10-14-31

「第1次マラソン準備期」:9月第1土・日曜日から目標のマラソン5週間程度前まで。

前回、「精神的なスタミナを養成する」ことは、特に重要な目的であると話しましたが、今回はその点をもう少し掘り下げて話しをすすめていきます。

さて、皆さんは、なぜマラソンが辛いと感じるのでしょうか?

「後半、脚が動かなくなるから」、「数時間も動き続けなくてはいけないから」、「脚がとても痛くなるから」・・・と、いろいろな理由をあげてみたところで、誰もが経験しているようなことばかりが直ぐに浮かびますね。

しかし、別の見方をするとマラソンは、「常に頭の中で、様々なことを考えながら動き続けることが可能なスポーツ」とも言えます。つまり、球技のように夢中でボールを投げたり、追いかけたりするような、「無我夢中(無心)」になる瞬間がほとんどないのです。そのためマラソンは、単調な運動を繰り返しながら、常に頭の中で様々なことを考えるゆとりがあります。※マラソンは、無我夢中で走ったり、頭の中が真白になるようなペースでは走らない。

ところが、そのゆとりこそが逆に、「ゴールまで、まだ20kもある・・・」とか、「隣で走っている人の呼吸が激し過ぎて気になる・・・」等々、マラソン中は様々な邪念が頭の中を常にめぐることになり、それがメンタル面に大きく影響します。マラソンは、自分自身の精神的に弱い部分との葛藤が必ずあり、本当はそれが最も辛いのです。

かくいう私もかつて、40k走を実施しているとき、自分自身との葛藤に負け、途中でやめてしまった経験が何度もあります(涙)。また、私が主宰している練習会でも、このようなパターンで途中リタイヤしてしまう人が、毎回必ずいます。※このような人は、はたから見ていてよくわかります。

皆さんは、いかがでしょうか?

ゆっくり長く走ることは、最初は楽なように感じます。しかし、自分自身の弱い部分との葛藤が必ずあり、実はとてもストレスがたまるのです。だからこそ、「第1次マラソン準備期」は、マラソンを走るための土台となる脚つくりはもちろん、長時間動き続けるための、「精神的スタミナ」を養成する大切な期となるのです。

つづく。

マラソン・5

h21-10-6-1h21-10-6-2h21-10-6-3

「第1次マラソン準備期」:9月第1土・日曜日から目標のマラソン5週間程度前まで。

まずはじめに、この期はゆっくり長く走るトレーニングがメインとなります。具体的には、距離走なら30kから40k程度まで、時間なら3時間から4時間程度動き続けることがひとつの目安となります。また、自分にとってかなり余裕のあるペースを保ち、最後までゆとりを持って走りきることがポイントです。

次に、この期の目的をいくつかあげてみます。

◆目的1).ゆっくり長時間動き続けることで脚筋力を強化する。◆目的2).身体の中にある毛細血管を発達させ、持久力を向上させる。◆目的3).長時間動き続けることで、距離や時間に対する不安を払拭させる(精神的なスタミナを養成する)。・・・他にも専門的な細かいこともありますが、主な目的は以上の3つに集約されます。

もちろんどれも重要な目的なのですが、3番目に記載した「精神的なスタミナを養成する」ことは、特に重要な目的と考えます。実は、マラソン練習でよく見かける失敗パターンのひとつに、40k走を実施しようとスタートしたが、途中で力尽きてしまったケースです。そして、その時「来週は、40k走を完走できうように頑張ります」と、コメントしている人たちです。

いかがでしょうか?思い当たる人はいませんか?

傾向的に上記のような失敗パターンの人は、マラソン大会が目標でなく、トレーニングをすること自体に目標がすり替わってしまい、結果的には怪我や故障をする確率が飛躍的に高くなります。そのため、トレーニングの中で同じ失敗(怪我や故障)を繰り返し、目標のマラソン大会前に、精神的にもバーンアウトしてしまう傾向が強いのです。※このブログの「マラソン・2」を参照下さい。

最終的に目標タイムを達成するためには、ある設定タイムを正確に刻んでいく必要はあります。しかし、この期の目的は、ゆっくり長く走ることです。それにより、距離や時間に対する不安を払拭させることと、スピードを上げ過ぎないようにすることで、怪我や故障を防止しながら脚筋力や持久力を養成することなのです。※この期で速く走り過ぎた結果、潰れて途中リタイヤしてしまうと、距離や時間に対し、逆に不安を残すことになります。

既に何度も話していますが、マラソンは道具を使うスポーツではないので、技術的な要素が極端に少なく、とても単調で根気の必要なスポーツです。そのため、球技をする感覚でマラソントレーニングに挑むと、ほぼ間違いなく怪我や故障をします。

つまり、それを防止するための最短で最も効率の良い方法のひとつが、この「期わけ」なのです。特に、この「第1次マラソン準備期」は、マラソントレーニングの中で最も大切な土台部分を構築していく重要な期です。焦らずゆっくり、じっくりと走りましょう。

つづく。

Home > Archives > 2009-10

Search
Feeds

ページの先頭へ