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2013-11

期分け・75

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【期分け・75】今回は、走り込みに必要な「時間走」について考えていきます。はじめに、前回まとめた時間走のポイントを振り返ります。

◆時間走:ペース設定や走行距離を頭の中から切り離し、体調や調子に合わせてゆっくり長く走り続けることが目的となる。ロングジョグやLSD、仲間と楽しく走るマラニック等が、これに該当する。

以上のように、ゆっくり長く走り続けることが大きな特徴であり、重要なポイントとなります。また、「ロングジョグとLSDとの違いは?」、「ゆっくりとは?」との質問を受けることが多々ありますが、ランナー毎の走力によっても相違があります。そのため、心拍数でペースを管理したり、1kあたりのペースで管理するランナーもいます。

しかし、あまり神経質になると、今度は「ゆっくり長く走る」ことが、逆にストレスになってしまいます。したがって、どのランナーにも共通する目安として「楽しく会話のできるスピード」が、効果的でわかり易いので推奨します。もちろん、マラニックも同様です。

更に、「長くとは?」との質問も多いのですが、これについてもランナー毎の走力によって違ってきます。初心者の場合、30分から40分程度しか走れない方にとっては、60分でも長くに該当します。もちろん、マラソンを何度も完走した経験のある方なら2時間から3時間以上も走り続けることは可能でしょう。

このように、ランナー毎の走力によって「ゆっくり長く走る」ことの捉え方は、多少の相違があります。しかし、どのレベルのランナーにも共通した目的や狙いとしては、次のことがあげられます。

◆目的1:ゆっくり長く走ることで、筋肉内の毛細血管を発達させる。→ 筋持久力の向上。◆目的2:ゆっくり長く走ることで、体脂肪の燃焼(ダイエット)。→ ランナー体型への進化。◆目的3:ゆっくり長く走ることで、長時間への耐性強化。→ 肉体的及び精神的スタミナの養成。

実はこれら3つの目的は、マラソンに必要なスタミナ(持久力)を養成していくためのスタミナ(持久力)養成となります。ちょっとわかり難い表現ですが、家に例えると、基礎部分(土台)に相当します。この基礎部分(土台)がしっかりしていないと、どんな立派な家をその上に建てても地震や強風で倒れてしまいます。

同様に、マラソンを攻略していく上でもこの考え方は同じです。「ゆっくり長く走る」ことで、マラソンに必要なスタミナ養成していく上で必要不可欠な基礎部分(土台)を構築していくのです。

つづく。

横浜国際女子マラソン

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【横浜国際女子マラソン】本格的なマラソンシーズン開幕の先頭をきって、「横浜国際女子マラソン」が、11月17日に開催されました。今年から参加標準記録も「3時間15分以内」に緩和され、招待選手13名と328名の女性ランナーがエントリーしました。

しかし、当日のコンディションは、気温が20度近くになったのと、海からの風が強かったことも影響し、記録的には低調な結果でした。また、その結果に対する日本陸連関係者やマスコミ関係のコメントは日本女子マラソン界に対する危機感をあらわにする内容が多かったように感じました。

実際に私も現地の沿道で選手たちの応援とサポートをしましたが、私の選手たちも(市民ランナー)、全員が厳しい結果となりました。マラソンはゴールタイムが全てであり、ある意味残酷なスポーツでもありますが、今回の結果を素直に分析し、次回以降のマラソンに活かしていきます。

さて、若手選手の台頭が期待されている日本女子マラソン界ですが、今回の横浜国際女子マラソンにエントリーした年齢構成を簡単にまとめると次のようになります。◆招待選手:合計13名、29歳以下=4名(31%)。◆一般参加選手(ほとんどが市民ランナー):合計328名、29歳以下=25名(8%)、30歳代=106名(32%)、39歳以下合計=131名(40%)。

いかがでしょうか?

この数値をどのように判断するかは個々の捉え方になりますが、女性市民ランナーの29歳以下はたったの25名で、全体の8%にすぎません。私自身は、女性市民ランナーのマラソンコーチをするようになって10年以上になります。この間の主要国際女子マラソンのほとんどは現地にて応援してきましたが、参加している女性市民ランナーのメンバーはほとんどかわっていない印象を持っていました。上記の数値は今回の横浜国際女子マラソン大会に限ったデータですが、私自身の印象を裏付けるデータのひとつにも感じます。※サブスリーを達成している29歳以下の女性市民ランナーは極めて少数となっている。

また、日本マラソン界に、とても大きな波がおきました。それは、2007年の東京マラソンをきっかけにはじまった「ランニングブーム」です。最近では、全国各地のマラソン大会でエントリーすら難しい状況となっており、ますますブームに拍車が掛かっています。しかし、実際にはランニング人口の増加が、日本マラソン界のレベルアップにはリンクしておらず、逆にマラソンのレジャー化が進んでいる状況と感じます。更に厳しい見方ですが、上記の数値は、ランニングブームが女性市民ランナーのレベルアップにも影響を与えていないとも読み取れます。

ここで、女子マラソン日本歴代10傑の記録を確認してみます。日本記録は野口みずき選手が2005年のベルリンマラソンでマークした「2時間19分12秒」です。高橋尚子選手が世界初の2時間20分を突破したのも2001年のベルリンマラソンでした。その記録を渋井陽子選手が破ったのも2004年のベルリンマラソンです。そして、日本歴代10位も大南博美選手が2004年のベルリンマラソンでマークした「2時間23分26秒」です。

ベルリンマラソンばかりが目に付きますが、実はランニングブームがはじまった2007年以降にマークされた日本歴代10傑以内の記録は、2012年の大阪国際女子マラソンで重友梨佐選手のマークした「2時間23分23秒」だけなのです。それも歴代9位です。この実態からも長期低迷期に入っていると言えます。

以上のように日本女子マラソン界が厳しい状況なのは、私も間違いないと感じます(女性市民ランナーの底辺も含め)。もちろん、他にも様々な要因が重なっていることも事実です。また、私のような単なる市民ランナーを指導する者が偉そうに言うことではありませんが、男子マラソンの川内優希選手のような女性市民ランナーを発掘・育成していくことは、日本女子マラソン界復活にも必要不可欠と感じた横浜でした…。

期分け・74

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【期分け・74】今回から「ペース感覚(走り込み)」のポイントとなる「時間走」と「距離走」についてそれぞれ考えていきます。

はじめに、それぞれの特徴をシンプルにまとめてみます。

◆時間走1:走り続ける時間を決めてスタートする。そのため、どんなに速く走ってもゆっくり走っても終わる時間は同じであり、走るスピードに目的を左右されない。つまり、同じ時間内での走行距離が多い少ないが重要な要素ではない。◆距離走1:走り続ける距離を決めてスタートする。したがって、速く走った場合と遅く走った場合ではゴールタイムに違いがでてくるため、設定ペースによって目的が左右される。つまり、同じ距離の場合、設定ペースが重要な要素となる。

次にもう少し別の見方をすると…。

◆時間走2:最初はゆっくり走りだし、調子が良くなってビルドアップしても走り続ける時間は同じ。すなわち、ペース設定はそれほど重要ではなく、途中で速くなってきた場合は再びペースを落とし、目的の時間を走り続けられるペースに戻すことがポイント。場合によっては、意図的にランニングとウォーキングを交互に繰り返す場合もある。◆距離走2:ペース設定によってトレーニング強度が大きく左右されるため、スタート前にどんなペースで目的の距離を走り切るかを決めることがポイント。すなわち、場当たり的なペース設定でスタートし、後半ペースダウンしたり、歩き出したりすることは目的から大きく逸脱することになる。

以上のように「時間走」と「距離走」ではポイントが微妙に異なり、更にまとめると次のようになります。

◆時間走3:ペース設定や走行距離を頭の中から切り離し、体調や調子に合わせてゆっくり走り続けることが目的となる。ロングジョグやLSD、仲間と楽しく走るマラニック等が、これに該当する。◆距離走3:ペース設定や走行距離を重視する。それによって強度も変化するため、計画した距離を設定どおりに走ることが目的となる。比較的短い距離も含めたペース走やタイムトライアル、場合によってはレースもこれに該当する。

次回も更に考えていきます。

つづく。

絆・13

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【絆・13】盲人マラソン協会主催の強化合宿を千葉県富津市において実施しました。今回は、11月2日(土)から11月4日(月・祝)までと、2泊3日の日程です。しかし、これまでは諸事情によりほとんどの強化合宿は1泊2泊と、週末を活用した慌ただしい日程が多かったので、久々に2泊3日の強化合宿でした。

と、言いながら1泊が2泊へ増えただけですが、時間的にはかなりゆとりが出てきます。そして、捻出できた時間をトレーニング以外の目的に活用することが可能となります。今回の具体的な合宿内容を記載すると、次のようになります。

◆11月2日(土):午後/集合、競技規則講習会(外部講師)、60分ジョグ+1k走。◆11月3日(日):早朝/各自調整ジョグ。午前/40k走。午後/トレーニング方法の意見交換会(現役学生ランナーと)、体幹トレーニング(外部講師)、各自調整ジョグ。◆11月4日(月・祝):早朝/各自調整ジョグ。午前/3k × 3本。午後/解散。

以上のように単に走り込むだけの強化合宿ではなく、様々な視点に立ったプログラムを組み込むことが可能となります。至極当然のことですが、これは極めて重要なことです。

特に、今回はガイドランナー(伴走者)として、国際武道大学陸上部から4名、帝京大学駅伝競走部から5名、計9名の現役学生ランナーをお招きすることができました。そして、彼らを交えての意見交換会は、選手たちはもちろん、私自身にとっても参考になる意見が多く、たいへん有意義な時間でした。

同時に、トレーニングにおいても、単に全盲選手のガイドランナーのみならず、単独走となっている弱視選手のペースメーカーも担っていただきました。特に、全日本インカレで入賞実績のある学生ランナーにも参加いただいたことで、かつてない質の高いトレーニングを実施することができました。

さて、今月23日に開催予定でした「京都福知山マラソン」が、先日の台風被害により中止となりました。この大会は盲人マラソンの日本選手権も兼ねており、今回参加した強化選手の多くがエントリーしていました。そこで急遽、大会申込が間に合った12月の防府マラソンを選手に紹介することになりました。※但し、日本選手権としては実施しない。

どの選手も調整計画を大幅に変更し、モチベーションを維持させることに苦労していました。しかし、今回の強化合宿において、現役学生ランナーたちの積極的なサポートのおかげで、気持ちと身体をもう一度スイッチすることができました。

最後になりしましたが、大切な選手を快く強化合宿に派遣いただいた国際武道大学の前河先生、帝京大学の中野監督、講習会にご足労いただいた講師の先生方、そして、毎度お世話になっている富津岬荘の皆様方に、あらためて感謝申し上げます。

つづく。

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