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2011-02

第2回横浜国際女子マラソン大会

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先日の2月20日に、「第2回横浜国際女子マラソン大会」が開催されました。この大会は、本来なら昨年11月に開催される予定でしたが、APEC横浜の開催に伴い、今月にスライドしました。従って、今回の開催は2010年度開催分となるので、今年の11月にもう一度、「第3回横浜国際女子マラソン大会」が開催されます。

・・・と、前置きが長くなりましたが、今回の大会には、私がコーチする女子選手(市民ランナー)も2名出場しました。2選手とも私がコーチする選手(市民ランナー)の中では、比較的トレーニングの流れが安定しており、更に練習量の多いグループに入る選手たちです。

更に、ふたりとも年間を通じて故障や体調不良が少なく、それは「身体が丈夫」であることの裏返しでもあります。また、至極当然のことですが、そのことはライバルより量と質をあげたトレーニングを積めることにもなり、それだけ記録に対する期待や可能性が広がってくることにもつながります。ところが、今回の結果は明暗を分ける内容となりました。

◆K選手:2時間55分49秒。◆O選手:3時間3分16秒。

実は、今回のマラソンを目指した走り込みの中では、若さと勢いのあったO選手の方に記録への期待がありました。もちろん、ベテランのK選手も自分自身の流れを崩さず堅実な走り込みを継続していました。

しかし、実際のマラソンでは、最後まで設定タイムを堅持し、力を出し切ったのはK選手でした。そして、期待のO選手でしたが、設定タイムを維持できたのは、25kまでで、その後は無念の失速・・・。

ふたりの明暗を分けた要因は様々ですが、トレーニングの段階でも設定タイムや走行距離を常に意識しながら走り込めていたのは、K選手でした。そして、O選手に関しては、若さと勢いに任せた内容が多く、逆に自分自身の調子を正確に把握することができていない感もありました。

さて、ベテランの域に入ってきたK選手が初めてサブスリーを達成したのは、2004年1月です。その後も毎年安定した結果と記録を残し続け、今回のタイムは彼女自身にとっては、なんと11回目のサブスリーでした。

一方のO選手は、昨年11月に初マラソンに挑戦し、今回が2回目のマラソンでした。ところが、O選手にとっては、今回も厳しい結果となりました。しかし、マラソンランナーとしての大切な資質である「身体が丈夫」であり、「スピード」と「スタミナ」も兼ね備えています。あとは、焦らず経験を積んでいくことが大切なポイントになるでしょう。

今回のマラソンは、自分自身の体調はもちろん、はやる気持ちを如何にしてコントロールしていけるかが重要なポイントであるかを、あらためて教えてくれました。

「ハーフマラソンは10kの延長だが、マラソンはハーフマラソンの延長ではない」

そして、コーチとしては選手への結果を求め過ぎず、腰を据えてじっくりと向き合っていくことが・・・。

第60回別大マラソン大会・下

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2月6日の別大マラソン大会に出場した6選手(市民ランナー)の設定タイムと実績タイムは前回のブログで紹介しました。今回は、目標の別大マラソン大会に向けたトレーニングの流れ及び調整のポイントを振り返ります。

と、言いながら結果的には、6選手とも同じようなトレーニングの流れと調整を実施しています。これは、コーチの私が意図的に指示した訳ではなく、個々の調子や体調を重視した結果としてのことです。つまり、その流れは、1月下旬から2月上旬のマラソンを目指しているランナーにとっては、ひとつのトレーニングパターンとして参考になると考えます・・・。

◆ポイント1).昨年11月下旬から12月上旬のマラソンで自己新記録か、それに準ずる記録をマークしている。◆ポイント2).そのマラソン後に故障や体調不良もなく、12月から年末年始のトレーニングで走れなくなるようなトラブルは無かった。◆ポイント3).別大マラソン大会の2週間前と3週間前の距離走をほぼ完璧に実施できていた。

以上のような共通したポイントに絞れますが、特に目新しいことではありませんね。では、各ポイントについて少し解説を加えてみます。

◆ポイント1の解説).「トレーニングの継続」:6選手とも夏以降、大きな体調不良等もなく、秋のマラソンに向けたトレーニングを計画的に継続できていた。◆ポイント2の解説).「自己管理の徹底」:目標のマラソンに向けて、日々の体調管理(食事や睡眠)や身体の手入れについても日常生活の中で習慣化されていた。従って、秋のマラソン後も大きなダメージもなく、通常のトレーニングを短期休養で再開できた。◆ポイント3の解説).「自身の身体と感情のコントロール」:常に全力のトレーニングではなく、メリハリを付けながらトレーニングを継続し、特にポイント練習(距離走)では、より集中していた。

さて、何度かこのブログにも記載していますが、マラソンは道具を使うスポーツではありません。そのため、「走る」だけの単調なトレーニングを如何にして継続していけるかが、最も重要なポイントになります。ところが、単調な上に、たかだた半年や1年程度の継続で目標の記録や成果を出せるほど、簡単なスポーツではありません。そして更に、焦って欲を出し過ぎると必ず怪我や故障をします。これらは、他のスポーツと大きく違う部分(上手い下手がない)であり、マラソンの難しく残酷な部分でもあります。

「努力は簡単に報われない」

今回紹介した6選手(市民ランナー)についても、試行錯誤を数年単位で繰り返しながら身の丈に合ったトレーニング方法やマラソンを体得していきました。もちろん、これからも上記記載のポイントを軸に地道なトレーニングを継続していくことこそが、重要なカギであることは間違いありません。

「継続は力なり」

このように、マラソンは自分自身の目標に到達するまで、膨大な手間と時間がかかるスポーツです。しかし、それが逆にマラソンの魅力であり、ゴール後の深い満足感や大きな達成感につながる部分なのです。

おわり。

第60回別大マラソン大会・上

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第60回の記念大会となった「別大マラソン大会」が、2月6日(日)に大分県で開催されました。私が直接コーチする選手(市民ランナー)も6名参加しました。そして、その中には女性ランナーも3名含まれています。実は、今回の60回記念大会から女子の部が新たに加わり、伝統の別大マラソン大会に、女性ランナーも堂々と出場できることになったのです。

一方で、残念ながら日本マラソン界の低迷が、ここ数年指摘されています。しかし、今回のように、伝統ある大会が積極的に間口を広げていくことは、マラソン低迷を打開するひとつのきっかけにつながると、私は信じています。

さて、今回出場した6名の選手(市民ランナー)たちも、あこがれの別大マラソン大会を目指し、昨年の秋ごろから本格的な走り込みを継続してきました。また、何度かこのブログでも指摘していますが、1月下旬から2月上旬のマラソン大会は、市民ランナーにとって、記録を狙いにくい時期と言えます。それは、目標のマラソン大会時期から逆算すると、最も走り込みが重要な時期が、1年で最も忙しい12月から年末年始にあたるからです。

今回、別大マラソン大会に出場した6名の選手(市民ランナー)たちも、様々な苦労と工夫を重ねながら地道な走り込みを継続してきました・・・。

まずは、今回の別大マラソン大会での設定タイムと実績タイムを記載します。

◆N・T男子選手:設定タイム/2時間41分59秒→実績タイム/2時間40分53秒(自己新記録)。◆H・Y男子選手:設定タイム/2時間46分59秒→実績タイム/2時間47分47秒(自己新記録)。◆K・Y男子選手:設定タイム/3時間9分40秒→実績タイム/3時間8分6秒(自己新記録)。◆M・T女子選手:設定タイム/2時間55分48秒→実績タイム/2時間55分46秒(5位入賞)。◆M・K女子選手:設定タイム/2時間57分14秒→実績タイム/2時間56分52秒(7位入賞)。◆K・F女子選手:設定タイム/3時間21分59秒→実績タイム/3時間20分58秒(自己新記録)。

以上のように出場した6名全員が、設定タイムをほぼクリヤーすることができました。・・・と、言うものの個々には、反省する部分も多々あり、この点については、次回以降のマラソンに活かしていく課題でもあります。しかし、6名とも今回の別大マラソン大会に向けたピーキングが良かったことは確かであり、それが貴重な経験と財産になったことは間違いありません。

そこで次回は、今回の別大マラソン大会に向けた、最後の調整部分を振り返っていきたいと思います。

つづく。

IPC世界陸上競技選手権大会・4

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熱戦の続いた「IPC世界陸上競技選手権大会」も1月30日のマラソンを最後に閉幕しました。そして、その最終日のマラソンで日本勢は、素晴らしい走りを披露してくれました。

車椅子マラソン女子の部に出場した土田選手は、ラストの競り合いを制し、見事に金メダルを獲得。同じく車椅子マラソン男子の部は、ゴール直前まで大混戦となりましたが、その激戦の中、副島選手が銅メダルを獲得しました。

また、弱視のマラソンでは、岡村選手が銅メダルを獲得。そして、全盲のマラソンでは、和田選手が銅メダルと、まさに有終の美を飾るに相応しい活躍を見せてくれました。

その和田選手については、前回のブログでも紹介しましたが、目標どおりの見事なメダル獲得でした。しかも1万メートルに続いての自己新記録達成です。至極当然のことですが、国際大会で自己記録を更新することは並大抵のことではありません。それは、異国の地でコンディションを整えることや、周囲からのプレッシャー等が、他の大会とは比較にならないほど、大きく難しくなってくるからです。

さて、一般のオリンピックや世界選手権に出場した選手たちが残すコメントで、「自己記録ならメダル獲得だった・・・」の言葉を、意外と多く耳にします。しかし、それは大きな舞台で自分自身の力を出し切ることが如何に難しいことかを、逆に物語っているとも言えます。

今回の大会で日本選手がエントリーし、出場した種目数は26選手(ID選手を除く)で、延59種目です。しかし、この中で自己新記録をマークしたのは、たったの3種目で2選手です。そして、そのひとりが和田選手であり、1万メートルとマラソンなのです。

ところが、オリンピックやパラリンピックをはじめ世界規模の大会は、記録よりメダル獲得を重視します。しかし、上記にも記載したとおり、「自己記録だったなら・・・」と、悔やむ選手の方が圧倒的に多く、「世界の大舞台では自己の力を出し切ることこそが、メダル獲得へつながる道である」と、国際大会へ帯同する度に強く感じることです。

そして、いよいよ来年はロンドンオリンピック&パラリンピックです。今大会の貴重な経験と実績を活かすべく、選手と共に更なる精進をして参ります。

最後になりましたが、今大会の出場に対し、たくさんの方々からのご理解とご支援を賜りました。この場をおかりし、厚く御礼を申し上げます。

おわり。

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