Home > Archives > 2017-06

2017-06

スピード養成期・13

【スピード養成期・13】今回からトラックレースを積極的に走る理由の3つ目について考えていきます。

■理由3).精神的スタミナの体得。

ここまでトラックレースについて色々と話しをしてきました。そして、皆様も感じていると思いますが、トラックレースは思っている以上に苦しくて過酷です。先日の日本選手権大会においても、男女の5千メートル、1万メートルともに、ロードレースのマラソンのように後半追い上げて上位に食い込む選手はいません。

と、言うより、スタートから自分自身のペースを守りながら上位を伺うのは、少なくともトラックレースにおいては相当難しい。したがって、トラックレースにおいては、先頭から離れたり、失速しだすと、それを立て直すことは困難であると言えます。

そのため一旦、自分自身の設定ペースを乱されてしまうと、あとは苦しみとの戦いに終始することになります。まさに上記した日本選手権大会と同様です。つまり、このブログに記載した「正確なスピード感覚の体得」と、矛盾するようなレース展開が多くなるのもトラックレースの特徴です。

また、先頭から離された後もトラックレースは周回コースが故に、更にもう一度後ろから抜かれることもあります。いわゆる周回遅れです。このように、一度リズムを崩すと徹底的に打ちのめされるのもトラックレースの大きな特徴のひとつと考えます。

更に、トラックレースは周回コースが故に、ロードレースのマラソンのように景色が変化しません。更に起伏もありません。そのため、苦しくなった後、気持ちを切り替えたり、リズムを取り戻すきっかけをつかむことが難しいレースと言えます。

これらは、ロードレースのマラソンでは決して経験することのできない別次元の苦しさであると言えます。

つまり、トラックレースは苦しくなった後、ライバルではなく自分自身の精神力だけが頼りになる本当のレースなのです。そして、その苦しみと戦いながら最後まで走り抜くことが、実は精神面のスタミナ強化につながるのです。

スピード養成期・12

【スピード養成期・12】さて、あらためて「正確なスピード感覚の体得」についてですが、単にロードレースのような「ペース感覚」とは少し捉え方が違う感じがします。

具体的には、400m毎にラップタイムを確認できるが故に、目標タイムに対しても1秒以下の誤差を確認することが可能です。そのため、その1秒以下の誤差がレース後半に、どのような影響をもたらすかを個々に考えておく必要があります。

同様に、スタートから他の選手が速いペースで前を引っ張り、先頭から離されていく展開になった時、自身の目からは遅れていく情報となります。しかし、実際は目標タイムより速いタイムで通過するケースはよくあります。

この時、先頭から離されながらも自分自身のペースをコントロールしていく能力が必須となります。実は、このようなレース展開に対応するのは最も難しい走法のひとつであり、逆にトラックレースではよくあるレース展開でもあります。

このように考えていくと、逆にトラックレースは避けた方が良いようにも感じますが、ロードのマラソンでは経験できないスピード感やそれに伴う苦しさを体感することは不可欠です。

一方で、このように話しを進めてくると、単にトラックレースだけでは正確なスピード感覚を体得することは難しいことにも気が付きます。そこで、あらためて重視する点としてトラックでのスピード練習になります。

具体的には、インターバルトレーニング時の設定タイムやリカバリーの時間に相当します。多くの市民ランナー方もインターバルトレーニングを実施していますが、多くの方がその設定タイムを正確に維持せず、単に一生懸命走っているだけの姿を多く目にします。

例として200mを疾走する際、設定タイムを40秒と決めているにも関わらず、最初は37秒とかでスタートし、最後は40秒すらキープできなくなるパターンです。このように、実際のタイムとスピード感覚が一致しないままトラックレースを走ることで、せっかくのトラックレースを台無しにしているのです。

定期的に実施しているインターバルトレーニングについては、設定タイムに対し、1秒以内の誤差で疾走することが基本です。まずはこのスピード感覚を身に付け、更にトラックレースでそれを実戦していくことで、「正確なスピード感覚の体得」につながると考えます。

スピード養成期・11

【スピード養成期・11】マラソンを最大の目標とするランナーにとって、スピード養成は必須の課題です。そして、その課題を克服する手段のひとつとして、トラックレースを積極的に走ることは重要なポイントです。今回は、その「理由2」について考えていきます。

■理由2).正確なスピード感覚の体得。

トラックは1周400mです。更に、100m毎にその正確な位置を確認することが可能です。すなわち、自分自身が目標とするタイムを100m毎に換算し、それを確認しながら走ることが可能です。

その結果、目標タイムを確実に達成できるはずですが、そう簡単には達成できません。それどころか、正確なラップを確認できるにも関わらず、そのラップどおりにレースを進めていけるケースの方が圧倒的に少ないのが現状ではないでしょうか。

その主な要因として、相手との駆け引きがトラックレースでは激しく、最初から速くなったり、遅くなったりと、スピードの変化が大きいことがあげられます。また、トラックの弾むような感覚から速いスピードで入っても、そのスピードが速いと感じにくい点もあるでしょうか。

ところが、一旦速く入ってしまうと、当然のことながら途中からそのペースを維持することが難しくなり、多くのランナーはレース終盤にかけて失速。更に、一旦失速するとロードレースのように後半盛り返すような展開は、ほぼ不可能になります。

まさに正確なペース感覚が欠如しているからに違いありませんが、トラックレースの難しいところでもあります。このようにトラックレースは、正確なペースを確認できるにも関わらず、相手のペースに巻き込まれるパターンも多く、設定タイムどおりにレースを進めるのは想像以上に難しい面もあるのです…。

スピード養成期・10

【スピード養成期・10】年間を通じてハーフマラソンやマラソンに絞ったレース出場を繰り返していくと、短期間で記録の頭打ちに陥る市民ランナーが多いと話しをしました。

その理由は常にゆとりあるスピードを維持し、長時間走り続けることを繰り返しているからに他なりません。つまり、スピードを上げて走ることを実施していないからでもあり、「スピードを出せるランニングフォームが出来ない」からでもあります。

この点を解決する代表的なトレーニングとしては、インターバルトレーニングがあります。そして、トラックレースになります。インターバルトレーニングは言うまでもなく、心肺機能を高めますが、実は神経系のトレーニングも兼ねています。

速く走るためには、手足を速く動かす必要がありますが、脳から速く走れと指令を出しても手足が反応しなければ速く走ることはできません。つまり、脳からの指令どおりに手足を動かす能力を高める必要があります。

専門的な説明は割愛しますが、美しく走ると言うより、手足を脳からの指示どおりに動かし、目標どおりのスピードをコントロールする能力とも言えます。もちろん、これが出来れば誰もが世界記録や日本記録を達成することが可能になるので、簡単に出来ることではありません。

特に、トラックレースではコンパクトにまとまったランニングフォームを一旦切り離し、とにかく1秒でも速く前へ進むことを第一に、手足をダイナミックに動かすことが求められます。同時に、ハーフマラソンやマラソンばかり走ってきた市民ランナーの皆様にとっては、トラックレースは過去に経験のない苦しみも伴うと思います。

具体的には、トラックレースはスタート直後から速いペースになる傾向が強く、そのため前半から苦しくなります。その結果、ランニングフォームは乱れ、速く走ろうとしても手足は固まって動かなくなっていきます。

しかし、この手足を懸命に動かして前へ進もうとする意識が重要で、トラックレースを繰り返すことで神経系も発達し、速い動きに対応できるようになっていきます。つまり、速い動きに対応できるランニングフォームの体得にもつながるのです。

神経系のトレーニングは、いわゆるドリル、ラダー等の補助的な運動が代表的ですが、上記したように、市民ランナーの方々はトラックレースを積極的に走ることでも十分に代用できると考えます。

スピード養成期・9

【スピード養成期・9】前々回、トラックレースを積極的に走る理由について3つあげましたが、今回からそれぞれについて考えていきます。

■理由1).スピードを出せるランニングフォームの体得。

最初から話が矛盾しますが、まずははじめに理解しておく点として、「正しいランニングフォームは存在しない!?」。もう少し言い方を変えると、「ランニングフォームは個々に違う」と、言う点です。

つまり、個々に顔や体型が違うように、ランニングフォームも個々に違い、個々の体型や身体の特徴に合ったランニングフォームがあります。そのため、ランニングフォームの美しさと、怪我や故障のリスクが高いか否か、速く走れるか否かとの関連性は必ずしも一致しません。

従って、上記した「スピードを出せるランニングフォームの体得」と、言うのは個々にランニングフォームの違いがあり、個々にとっての「スピードを出せるランニングフォーム」と、言うことになります。

前置きが長くなりましたが、ランニングフォームについて最も重要な視点のひとつなので、まずはこの点を理解しておく必要があります。

次に、ハーフマラソンやマラソンはアスファルトやコンクリート等で舗装された硬い路面上を走ります。同時に、スタートからゆとりある一定のペースを保ち、長時間走り続けるため、ランニングフォームもエネルギーロスを抑えようと、コンパクトに効率的になっていきます。

これはどのランナーもそのようになっていきます。具体的には、上下動が少なくなっていき、腕振りはダイナミックからコンパクトへ、更にストライドからピッチを意識したランニングフォームに変化していきます。

もちろん、ランニングフォームの効率化としては喜ばしいことで、怪我や故障防止にもつながります。ところが、年間を通じてハーフマラソンやマラソンばかり走っていると、短い距離からマラソンまで全て同じようなスピードしか出せないランニングフォームに陥ることがあります。少なくとも市民ランナーの方々を指導していると、意外と多く見受けます。

その結果、ハーフマラソンやマラソンの記録も短期間で頭打ちになります。

Home > Archives > 2017-06

Search
Feeds

ページの先頭へ