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2010-06

再びトレーニング計画・11

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前回、「効果的なインターバルトレーニングとして、トータル走行距離が5kになるよう、1本あたりの疾走距離とその本数を調整することが、ひとつのポイントである」と、話をしました。しかし一方で、その距離に合わせた本数だと多すぎて、定期的に継続していくことが、難しくなってしまうケースが多いのも事実です。

また、このスピード養成期だからこそ5kのレースを積極的に走ったり、5kのタイムトライアルに挑戦する人も多数います。ところが、思うようにタイムが縮まらず悪戦苦闘している人が、意外に多いとも感じます。

皆さんは、いかがでしょうか?

実は、5kの記録短縮を目指し、それに見合ったスピードを身につけるための重要な指標となる距離があります。もちろん、まずはその距離を確実に走れないと、5kの記録更新は難しくなります。そして結果的には、10kの記録へも影響し、最終的にはマラソンの記録にも響いてくる可能性もあります。

さて、回りくどい話をしましたが、その指標となる距離は、3kです。

実際の例として、5kレースやタイムトライアルを拝見していると、3k手前で失速していく人を多く見受けます。同時に、このレースパターンを繰り返している間に、5kや10kレースに対する苦手意識が徐々に芽生えてきます。そして更に、短い距離のレースを敬遠するようになり、最終的にはマラソンの記録が低迷する原因のひとつにもなってくるのです。

このように、5kを基準にしたスピード養成が、逆に仇となるケースもあるのです。

更に別の見方をすると、3kを確実に走りきれるか否かは、5k~10k程度のレースを攻略していく上で重要な指標とも言えます。つまり、この3kをインターバルトレーニングの基準にすることで、5kに対する苦手意識を持っている人にとっても、より効率的なスピードトレーニングの実践につながっていくと考えます。

つづく。

盲人マラソン強化合宿

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6月19日から一泊二日の日程で、日本盲人マラソン協会主催の強化合宿を実施しました。場所は恒例の千葉県富津市富津公園です。また、今年度1回目の強化合宿となります。

今回の合宿は、7月4日(日)に開催される関東身障者陸上競技選手権大会と、7月31日(土)から8月1日(日)に開催されるジャパンパラリンピック大会に向けた強化が主な狙いです。特に、今年度は12月に中国でアジアパラリンピック大会、来年1月にはニュージーランドでIPC世界陸上競技選手権大会が開催されます。それらの参加標準記録を狙える最後のIPC公認大会が上記の二大会となります。

さて、日本盲人マラソン協会として強化指定選手に認定している選手は7名です。今回の合宿には、6名の強化指定選手が参加し、短期合宿でしたがお互いに切磋琢磨することができました。そして、今回も現役学生ランナーの力強い伴走協力を得ることで、質の高いトレーニングを積むことができました。また、この強化合宿は年に5回から6回程度と少ないですが、それでも確実に継続してきた成果がようやく記録となって現れてきました。

現時点で、IPC世界陸上競技選手権大会のA標準記録を突破した選手は、マラソンで弱視の岡村選手と全盲の和田選手。更に、1万メートルでは弱視の堀越選手にマラソンの岡村選手と、合計3名の選手が世界の壁を突破しました。また、日本身障陸連全体でも、このA標準記録を突破している選手は、先の3名を含めても10名弱です。

実は、来年1月に開催されるIPC世界陸上競技選手権大会の参加標準記録は、かつてないほど高い数字に設定されています。その結果、国内はもちろん、世界的にもその参加標準記録の高さに、動揺や混迷をきたしている面もあります。

そんな状況の中、日本盲人マラソン協会としては、「できることを確実に実行する」とし、定期的な短期強化合宿を何とか継続してきました。しかし、現実的には一泊二日の短い時間で、全てを強化できるほどマラソンは甘くありません。だが、選手間の交流や情報交換等の貴重な時間になったことは確実で、各選手たちが「高い意識」と「高いモチベーション」をキープしていくことにつながりました。

また、今回の合宿に参加した強化指定選手の中でも、残念ながらIPC世界陸上競技選手権大会に届かない選手もいます。しかし、新たに11月のマラソンやその先のロンドンパラリンピックに向け、高いモチベーションをキープしていくための貴重な合宿となったに違いありません。

今年度も引き続き皆さま方のご支援ご協力を、よろしくお願い申し上げます。

再びトレーニング計画・10

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前回からの続きで、5kのスピードをアップするためのスピードトレーニングについて考えていきます。もちろん、単に5kの記録更新を目指していくことだけが目的ではありません。このスピード養成期は、心肺機能を高めることが最大の目的です。この点をしっかりと押さえ、単に記録や結果だけに一喜一憂しないようにしましょう。

さて、スピード養成期の代表的なスピードトレーニングと言えば、もちろんインターバルトレーニングとなります。そして、そのインターバルトレーニングの基準となるスピードは、やはり5kのベストタイムです。これは、インターバルトレーニングの本数や設定タイムの基準にもなり、その効果や成果は様々な角度から既に実証されています。※専門的な説明は割愛します。

具体的には、インターバルトレーニングの本数として、疾走する距離の合計が5kになるようにします。そして、疾走するタイムは5kのベストタイムを疾走する本数で割り返したタイムがベースとなります。例として、5kのベストタイムがちょうど20分のランナーが、1000mのインターバルトレーニングを実施するケースで考えると、次のとおりになります。

◆1).本数=5k÷1k=5本。◆2).設定タイム=20分÷5本=4分。

つまり、5kのベストタイムが20分のランナーが、1000mのインターバルトレーニングを実施する場合、1本あたりの設定タイムを4分とし、休息を入れながら5本疾走するのがひとつの目安となります。同じように、400mのインターバルトレーニングの場合、本数は12本~13本となります。更に、200mのインターバルトレーニングについては、25本の本数を実施する必要がでてきます。

ところが、実業団選手(プロ)や学生選手ではない、市民ランナーがこれだけの本数を淡々と実施していけるのでしょうか?更に、この内容のインターバルトレーニングを毎週定期的に継続していけるのでしょうか?

少なくとも私の経験上、かなりの走力がある市民ランナーでも、定期的に継続していくことは難しいと感じます。つまり、定期的に継続できないトレーニングは、どんなに苦しくても狙った効果や成果を望むことは難しいとも言えます。

そこで、次回は実践可能なインターバルトレーニングを、更に考えていきます。

つづく。

再びトレーニング計画・9

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今回からスピード養成期に実施するスピードトレーニングに話しを移していきます。特に、スピード養成期のメインとなるインターバルトレーニングについて考えていきます。

実は、このブログでも何度かインターバルトレーニングについて記載しています。そして、これから考えていく内容は過去に記載した内容と同じこともでてきます。しかし、その点については逆に重要なポイントだからでもあり、再度考えていきたいと思います。

では最初に、スピードトレーニングと言っているそのスピードとは、何のスピードを指しているのでしょうか?また、何を基準にしたスピードのことを言っているのでしょうか?

前回までスピード養成期のレースについて考えてきましたが、「レースの距離は、5k~10k程度がベストである」と話しをしました。つまり、スピード養成期に実施するスピードトレーニングの目的は、「5k~10kのレースをスムーズに走りきるため」となります。そして、それに対応するためのスピードを身につける有効な手段がインターバルトレーニングであり、それを活用していく方法をこれから考えていきます。

さて、以前にこのブログでインターバルトレーニングを取り上げた時期は、秋から冬のいわゆる「マラソン期」でした。そのためトレーニングの流れも30k以上の距離走を定期的に取り入れ、持久力を養成する方がメインでした。つまり、マラソンに直接影響してくるスピードとして、10kのベストタイムを基準としました。

しかし、春から初夏にあたるこのスピード養成期については、その10kをよりスムーズに走るためのスピード養成が目的となります。そこで更に短い5kのベストタイムを基準としていきます。もちろん、10kと5kで基本的な考え方が大きく変わることはありません。

ところが、10kのレースは経験しているが、「5kを全力で走ったことはない」と言う人は、どうしたら良いのでしょうか?また、そのような人は意外に多いと感じるのですが、いかがでしょうか?

そんな人たちの有効的な対策として、5kのタイムトライアルを実施する方法が最も手軽で良いのですが、それより前回紹介した「10kの記録=(5kの記録×2倍)+1分」を応用します。具体的には、「(10kの記録-1分)÷2」から5kのタイムを導き、それをインターバルトレーニングの基準タイムとしていく方法です。

つづく。

再びトレーニング計画・8

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「スピード養成期は、短い距離のレースを積極的に走ることが効果的」と、話しをしました。ところが、これからレースを探すとなると、ほぼ間違いなく夏以降になってしまいます。もちろんそれでは、これまで同様?場当り的なトレーニング計画となってしまい、わざわざ期分けする必要も、意味もなくってしまいます。

では、レースの申し込みが間に合わなかった人や、申し込んだレース数も極端に少ない人はどうすれば良いのでしょうか?更に、ランニングブームの影響で参加申込者が殺到し、レースの申し込みができなかった人は、どうすれば良いのでしょうか?

・・・と言いながら実は、それらの問題をあまり難しく考える必要はありません。なせなら、レースと同じように、「正確な距離をスタートから積極的に走るトレーニング」を実施すれば良いからです。つまり、それに相当するトレーニングとは即ち、「タイムトライアル」となります。

タイムトライアルとは、正確な距離をレース同様、目標となる記録を目指してスタートから積極的に走るトレーニングです。そのため、とても負荷のかかるトレーニングであり、スタート前はレース以上に緊張する場合もあります。しかし、レースを走ったときと同様な効果も期待できるのが特徴です。

次に、タイムトライアルは、どの程度の距離を実施すれば良いのでしょうか?

もちろん、レースと同じ距離を実施できれば良いのですが、私の経験も含め、タイムトライアルで10k以上の距離を集中して走ることは、かなり難しいことです。しかも、平日のアフターファイブは集中力も切れ易く、長くなると失速する確率が更に増していきます。

そこで、これらの問題を可能な限り回避し、なおかつマラソンにつながるタイムトライアルの距離を考えた場合、実は「5k(5000m)」となります。

その理由として、マラソンを攻略していく上でひとつの目安となるのが、10kのスピードです。そして、その10kを攻略していく上でひとつの目安となるのが、5kのスピードとなります。以前にもこのブログに記載しましたが、「(5kの記録×2倍)+1分=10kの記録」となります。そして、「10kの記録×4.6~4.9(持久系数)=マラソンの記録」となり、マラソンの基礎となる距離は5kとなるのです。※詳細は割愛します。

スピード養成期のレースをまとめると、◆1).レースなら5k~10k程度の距離が効果的。◆2).レースに出場できない場合は、定期的なタイムトライアルで補い、その距離は5kが効果的。

つづく。

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