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2021-01

冬を走る・10

【冬を走る・10】1月31日は大阪国際女子マラソン大会が開催されます。ご存知のとおり、参加人数の絞り込みやコース変更など、開催にあたりかつてない厳しい決断がありました。それでも大会を走れる権利を獲得した選手の皆様においては、選ばれた代表として力を出し切ってほしいと願っております。

同様に、2月28日開催予定のびわ湖毎日マラソン大会も参加人数の絞り込みが追加で実施されました。こちらは更に厳しい参加条件が提示されました。また、今回が最後のびわ湖毎日マラソン大会とのことなので、土壇場で出場資格をはく奪された選手の皆様においては無念の一言かと思いますが、どうか気持ちを切らさず、これまで以上に走り込んでほしいと願っております。

さて、毎年1月から2月末あたりまでは、マラソンを走るのに最も適した気候になる時期です。そのため、全国各地で多くのマラソン大会がこの時期に開催されておりましたが、中止や延期が相次いでいます。もはや単に厳しい状況と言うより、「元の状態には戻らないかも?」と感じている人も多いかもしれません。

また、どんなスポーツもトップだけが頑張ってもやがて力尽きます。なぜなら、トップを支えるファンやそのスポーツの愛好家など、いわゆる底辺からの後押が必要だからです。マラソンならまさに市民ランナーの皆様でしょうか。

テレビ中継される各種駅伝大会やマラソン大会で快走するトップランナーをみて、多くの人たちが刺激を受けます。そして、同じようなスピードで走れなくても、自分も駅伝やマラソンに挑戦してみたいと、行動に移した市民ランナーが少しずつ増えていきます(もちろん、他の動機もありますが)。

そして、その市民ランナーたちの圧力がトップを更に押し上げていくのです。しかし、トップを押し上げる原動力となる市民マラソン大会が開催されない状況が続くと、至極当然のことながらトップの躍進も必ずブレーキが掛かってくることでしょう。

現在、国内のマラソン大会はトップランナーしか走れない異常事態が続いておりますが、日本のマラソン躍進を後押しているのは、市民ランナーの皆様なのは間違いありません。市民ランナーの皆様がマラソン大会を走れない状況はもう少し続きそうですが、何とか気持ちを切らすことなく、日々のランニングを継続してほしいと願っております。

冬を走る・9

【冬を走る・9】今年最初の強化合宿も無事に終了しました。場所はいつもの千葉県富津市富津公園でしたが、天候にも恵まれ、トレーニング計画は全て予定どおりに消化することができました。

また、ちょうど同じ期間中に箱根駅伝上位チームやニューイヤー駅伝上位チームの姿も見ることができました。そのため、富津公園周辺で合宿を受け入れている宿泊先は、ほぼ満室状態だったでしょうか。

これから3月末から4月上旬あたりまでは、富津公園周辺において強化合宿を実施するチームが増えます。もちろん我々も同地において強化合宿を継続していきます。したがって、我々にとっては、いわゆるエリートランナーたちのトレーニングを直接拝見できるチャンスでもあります。

SNSを検索すれば、マラソントレーニングなどの理論や知識については、誰もが簡単に知ることができるようになりました。また、動画も充実しており、言葉や文字だけでなく、動作を確認することも可能な時代です。

しかし、「1kを2分50秒ペースで走り続けるスピード感」や「選手のリアルな動きや息づかい」などは、その現場に身を置いて直視しないと、何かを感じ取ることはいつの時代も難しいと言えます。また、テレビ中継などで拝見するトップランナーのペース配分やフォームは洗礼されています。

ところが、同じ選手がトレーニング中に見せるフォームや表情は、決して洗礼されているとは言えません。まさに泥臭く、もがきながら走り込んでいる方が多いと感じます。いつの時代も、その泥臭いトレーニング過程を経たあとの姿が、テレビ中継されています。

大切なことは、逆にそのトレーニング過程において、「どれだけ泥臭く走り込んでいるのか?」とも言えます。また、我々は彼らの泥臭い姿に鑑みて、自分自身のトレーニング強度や量を確認する必要があります。まさに、そのお手本が目の前にあるのです。

もちろん、走力が圧倒的に違うので、我々が同じ距離を同じ設定タイムで走ることは不可能です。しかし、泥臭く取り組む姿勢に違いはありません。箱根駅伝やニューイヤー駅伝の大舞台において、洗礼された走りを披露するためには、「どのタイミングで一番もがき苦しんでいるのか?」、「そのとき、どれだけもがき苦しんでいるのか?」を、今年も直視しながら学んで(盗んで)いきたいと思います。

冬を走る・8

【冬を走る・8】今年最初の富津合同マラソン練習会は、タイムトライアルを実施しました。その距離は最長でハーフマラソン。前月同様、可能な限りいくつかのグループを形成してのスタートでした。

今回は年末年始をはさんだこともあり、思うように走れなかったランナーもいました。しかし、自己記録を大きく更新している姿も多く見ることができました。また、思うように走れず、激しく落ち込むランナーもいましたが、練習の一環としているので、目先の記録に一喜一憂する必要は全くありません。毎度のことですが、この後も地道に走り込んでいきましょう。

さて、昨年同様、今年も各種大会の延期や中止がしばらく続きそうです。多くのランナーにとって、少ないチャンス(大会)すらめぐってこない異常事態ですが、何とかモチベーションを維持してほしいと願っております。

一方、その少ないチャンス(大会)に調子のピークを合わせることができたランナーにとっても、次の的を見つけにくい状況が続くことになります。特に、昨年の11月以降のマラソンに出場できたランナーの多くは、この年末年始を休養(リフレッシュ)と位置付け、いつも以上に羽をのばしていたのでは?

私の経験上の話しになりますが、最も怪我や故障のリスクが高まるゾーンに入っている可能性があります。いつもなら何本もレースを走りながら本命のマラソンを目標にしていく流れです。しかし、最初から弓をいっぱいに引き、的の中心を狙っていく取り組みは、効率的に見えますが、心身ともに相当なダメージとストレスが残ります。

ところが、年末年始という特別なフィルターを通過することで、そのダメージが抜けたと勘違いするケースは多いのです。結果、トレーニングの再開と同時に脚の違和感を感じたり、身に付いているペース感覚に微妙な狂いが生じていたりします。どうか慎重にトレーニングを再開してほしいと思います。

同様に、これから少ないチャンス(大会)を活かそうとしているランナーも注意が必要です。数少ないチャンス(大会)は、参加人数も想像以上に絞っている可能性が高くなります。つまり、数百名程度の参加人数では、スタートからゴールまでの「42.195k」が、単独走になってしまう確率も一気に高まります。相当な覚悟を持ってスタートラインに並ぶ必要があると言えます。

「途中でやめるなら最初から走らなければ良かった……」

少ないチャンス(大会)は、そのようになる可能性が高くなることも肝に銘じておくことが必要です。場合によっては少ないチャンス(大会)と言いながら、無理にスタートしないことも正しい選択になるのかもしれません。

冬を走る・7

【冬を走る・7】今年も駅伝ではじまりました。元旦のニューイヤー駅伝、2日と3日の箱根駅伝ともに見ごたえのあるレースでした。もちろん、毎年違ったドラマが展開されますが、今年も最後の最後までどの選手も力を絞り出し、仲間にタスキをつなぐその姿に大きな勇気をもらいました。

これも毎年のことですが、優勝チームはひとつ、各区間の区間賞はひとり。栄光をつかめるチームや選手は氷山の一角です。それ以外のチームや選手の多くは「こんなはずではなかった」と、悔やむことの方が多いのかもしれません。

しかし、出場した全チーム、出走した全選手たちが持てる力を出し切り、力をぶつけ合った結果、多くの人たちに大きな感動と勇気をもたらしたのです。そして、それらの反響は大きなうねりとなり、再び出場したチームや選手たちの新たな原動力となるに違いありません。

さて、今年は延期になった東京パラリンピックが開催されます。いろいろと厳しい状況が続いています。同時に、開催に対する厳しいご意見なども多数見受けられます。しかし、強化現場としては、今年もメダル獲得を目標にブレることなく、地道に強化活動を継続していきます。

あらためて、本年もよろしくお願い申し上げます。

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