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2017-04

ロンドンマラソン

【ロンドンマラソン】先日の23日はロンドンマラソンが開催されました。そして、今年も昨年同様、「2017 World Para Athletics Marathon World Cup」も同大会において同時開催されました。

結果は、男子が金メダルと銅メダル、女子も金メダルと銅メダルを獲得することができました。まずは、今回のロンドン遠征にご尽力頂いた関係者の皆様方に厚く御礼申し上げます。

さて、今大会においては、渡航前から男女ともに金メダル獲得は必須だったので、そのとおりの結果を残すことができ、力を出し切った選手と伴走者には感謝の気持ちです。一方で今大会は多くの課題を残すことにもなりました。

中でも大会に向けたピーキングがうまくいかず、本来の調子と程遠い状態だった選手が多かった点は、今後の課題となりました。特に、大会1ヶ月前からの調整がかみ合わず、調整に苦慮した選手が多かったと感じました。

同様に伴走者の中にも調整がうまくいかず、最後まで苦しんでいた方がいた点も課題として残りました。至極当然のことですが、視覚障害マラソンの場合、選手が絶好調でも伴走者にアクシデントが発生すると、ゴールできないことになります。

しかし、そんな劣勢の中においても、メダルを取りこぼさなかった点はチームとして底力が付いてきたとも言えますが、やはり反省の多い大会でした。

あらためて、今大会はチームとして気持ちを引き締め、日々の生活習慣やトレーニング状況等を見つめ直す良い機会だったと思えるよう、今回の課題を2020東京パラに向けた強化に落とし込んで行きます。

スピード養成期・4

【スピード養成期・4】今回はスピード練習に移行する前の準備期における具体的なトレーニングを考えていきます。

前回記載したとおり、スピード練習に入る前に必要な準備として、「筋力の養成」と「フォームの養成」の2つをあげました。この2つの課題を満たせるトレーニングとして推奨するのは起伏走です。いわゆるアップダウンのあるコースを走る「クロスカントリー」がその代表的なトレーニングになります。

理想は芝生のある広い公園で適度な起伏があり、ある程度の距離を周回できるコースを作れれば問題ありません。もちろん、そんな広い公園が近くにある方は限られていると思いますが、近所の道路でも起伏のあるコースであれば大丈夫です。但し、起伏と言っても山道を走るような険しいコースは、怪我や故障のリスクが高まるので避けるようにしましょう。

果たして、実際に適度な起伏のあるコースで、スピードの強弱をつけて走ったり、上り坂を勢いよく駆け上がったりしながら一定の距離や時間を走ると、多くの方が翌日以降は筋肉痛になります。それは、3月までしっかりとマラソンを走ってきた多くの方も同様です。

つまり、マラソンや平地でのロング走で使われなかった筋肉を刺激している証拠でもあり、起伏走は平地以上の負荷がかかるトレーニングと言えます。もちろん、起伏を走ることで心肺機能への負荷も加わるので、そちらの強化にもなります。

更に、起伏を走るとスピードや全身への負荷も変化に富むので、必然的にそれに合わせた自在でダイナミックな動きも必須になります。つまり、変化に合わせられるランニングフォームの養成にもつながります。その結果、スピードの変化に対応できる自分自身に合ったランニングフォームに修正されていきます。

また、起伏のあるコースで走るのが難しい方は、単に100m程度の坂道走(上りも下りも)を取り入れる。また、平地やトラックにおいては、100m程度の距離をスピードに強弱をつけて走るウィンドスプリント(流し)を何本か繰り返すことでも同様の効果を期待できます。

実際は、上記したようなトレーニングを週に何回か取り入れながら、その間に軽めのスピード練習を加えていくと良いでしょう。それをある一定期間継続し、身体の筋肉痛も感じなくなり、スピードに乗れるスムーズなフォームが身についてきたと体感できてから、本格的にスピード練習の質と量を上げていきましょう。

スピード養成期・3

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【スピード養成期・3】多くの方が、昨年の10月から今年の3月までの間、各地のマラソンを走ってきました。それは同時に、スタミナ養成にもつながっており、これからスピード養成をしていく上で、十分な土台を構築しているとも言えます。

特に、マラソンで自己記録更新を達成できた方々については肉体的なスタミナはもちろん、精神的なスタミナも充実しています。したがって、これからはじまるトラックレースや10k以下の短いロードレースにおいても自己記録の更新が濃厚な状態であると感じます。

そして、4月に入ると積極的にインターバル等のスピード練習を取り入れていきます。ところが、スピード練習に耐え得る十分なスタミナが身についているにも関わらず、怪我や故障が多くなるのもこのタイミングでもあります。

怪我や故障の主な原因は、まさにいきなり激しいスピード練習を実施するからですが、別の言い方をするならスピード練習を導入するための準備が整っていないからなのです。具体的には大きく2つの準備が必要と考えます。

■準備1).筋力の養成:マラソンより速いペースで筋肉に強い刺激を与えるので、酸素の供給が不十分な状態で筋肉を動かすことになります。その結果、激しい筋肉痛が発生したり、肉離れをおこす結果を招いたりします。つまり、速いスピードを出せるように脚筋力をはじめ、全身の筋力を養成しておく必要があります。

■準備2).フォームの養成:速いスピードを出すことは、単にガムシャラに走ることではありません。効率の良いランニングフォームが大前提になります。特に、マラソンを走ってきた方々は、フォームがコンパクトになっている傾向が強いと感じます。そのため、スピード練習に対応できるダイナミックな動きを取り戻しておく必要があります。

以上の2つがスピード練習前の準備としては、最低限必要なことです。繰り返しますが、誰もが知っているスピード練習は準備を怠ると、大きな怪我や故障と紙一重であることを十分に理解した上で、取り組んでほしいと思います。

スピード養成期・2

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【スピード養成期・2】前回も記載したとおり、マラソンにとっての土台は持久力(スタミナ)です。スピードはその土台である持久力の上にのせていくイメージと考えます。

したがって、マラソンの記録短縮を目指していくには持久力とスピードの均衡を考えながらトレーニングを積み上げていく必要があります。ところが、一般的には持久力とスピードを同時に養成していくことは難しく、持久力が上がるとスピードが鈍り、スピードが上がると持久力が落ちる関係にあると言われています。この点は私の経験からもそう感じます。

そのため、まずは持久力である長く走る力をいかに身体にしみ込ませていくかが最初のポイントになります。持久力が高いと言うことは、有酸素能力を高めることでもあります。まさに土台つくりです。

そして、その身に付けた持久力の上にスピードをのせるイメージになります。ところが、スピードは無酸素能力と言われており、スピードを上げていくと乳酸が発生し、筋肉が疲労していきます。

つまり、マラソンも単に完走目的から記録短縮が目標になっていくと、スピード的な要素が加わり、極端に言えば無酸素運動の要素も加味されるようになっていきます。実際のマラソンレースにおいても、前半でスピードを上げ過ぎると、乳酸と言う借金が身体に蓄積されていくことになります。

よくマラソンレースで前半のハーフを予定より速く走ることを「貯金する」と言っているランナーがいますが、実際は借金になります。そして、後半は更に疲労して借金を重ねることになるので、前半の借金が大きいランナーは、30k以降にいわゆる破産状態(※)に陥る可能性が高いとも言えます。※大失速や途中棄権

と、言いながら自分自身が借金できる範囲を把握し、うまく借金しながらゴールできれば逆に記録短縮にもつながります。つまり、土台である持久力と言う貯金と、スピードと言う借金をうまくやり繰りしていけるか否かが、記録短縮のポイントであるとも言えます。

この点の考え方については、このブログでも何度か取り上げておりますが、スピード養成に入る前に再確認してほしいと思います。

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