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2013-04

第25回横浜駅伝

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【第25回横浜駅伝】4月29日、神奈川県横浜市の鶴見川ランニングコースにおいて、毎年恒例の横浜駅伝が開催されました。この駅伝大会は市民ランナーが参加するローカル大会ですが、7区間42.195kと本格的です。もちろん、各区間距離は男子高校駅伝と同じなので、走歴の浅いランナーがレジャー感覚で仲間たちと気楽に参加するには、少し過酷な大会と感じます。

また、近年のランニングブームは全国各地で開催される駅伝大会にも波及し、この大会でも今年は、670前後のチームがエントリーしました。全国的には、既にもっと参加チームの多い駅伝大会は数多くありますが、これだけ距離の長い駅伝としては異例の参加チーム数です。

さて、私がコーチするクラブチームも3チーム参加しました。特に、男女混合の部で7連覇中のAC・KITAは、8連覇に挑みましたが、7選手とも大きなブレーキもなく8連覇を達成することができました。

少し手前味噌的な話しになりますが、私なりに考えたこの駅伝大会の攻略ポイントをまとめてみました。はじめに、この駅伝大会を攻略していく上で難しい点は、大きく2つあります。

◆難点1).7区間と区間数が多い。◆難点2).8k以上の長距離区間が3つある。

誰もが真っ先に気が付く点ですが、それなりに走力のあるランナーに長距離区間をお願いするとしても、ひとチームに3名揃えることは難しい調整が必要になります。更に、区間数が多いので、長距離区間に3選手を配置してしまうと、チーム内で走力の落ちるランナーを短い区間に配置することになります。ところが、短い区間と言っても残りの4区間は、3k区間が2つ、5k区間が2つと、実は決して短い距離ではありません。

実際に横浜駅伝を毎年見ていると、1区の10k区間ではどのチームもエース級を投入しています。したがって、上位を狙っているチーム間のタイム差は意外とつかないものです。ところが、2区の3k区間にタスキが渡ると、レースは一気に終盤の様相を呈していきます。

力のあるチームは、1区を走った選手以上にスピードのあるランナーが登場します。ところが、メンバー編成がギリギリのチームは、チーム内で最も遅いランナーが登場します。その結果、1区の10k区間では、最大でも1分差が付くか否かの状況が、2区の3k区間だけで2分から3分の差が付くことすら珍しくありません。信じられないかもしれませんが、これが市民駅伝の大きな特徴でもあり、攻略していく上での重要ポイントになります。

特に、男女混合の部では、2区の3k区間は女子の指定区間となります。しかし、この女子区間に走力のあるランナーを配置できるチームは多くありません。案の定、今年の大会でも、私のチームはこの2区で先頭に立ち、あとはゴールまで独走でした。

同じく5区も3k区間ですが、こちらは男子区間となります。しかし、ここでも1区の10k区間や7区の8k区間にエース級を配置すると、この5区の3k区間は手薄となります。ここでも私のチームは毎年、チーム内で最も5kの走力があるランナーを配置することによって、勝負が後半までもつれても、この区間で確実に突き放す展開を実戦してきました。

実は、実業団(プロ)や学生、高校駅伝の攻略ポイントもほぼ同じで、「つなぎ」と言われている区間にどれだけの選手を配置できるか否かが、勝負の分かれ目になる駅伝は意外と多く、どのチームも頭を悩ませる点でもあります。

さて、10連覇まであと2つとなりました。何でも10年間継続していくことは言うまでもなく、たいへんなことです。たかだかローカルな市民駅伝大会での連覇ですが、連覇を継続していくためには1年間を通じてある程度明確な目標(期分け)や、それに沿ったトレーニング方法を構築していく必要があります。そして、その経験を積み上げていくことで選手(市民ランナー)たちは大きな自信をつかみ、最大の目標であるマラソンにもつながっていると感じます。更に、その自信がそれぞれの人生につながってほしいと…。

絆・6

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【絆・6】先日の4月21日(日)は、全国各地でマラソン大会等が多く開催されました。特に、障害者陸上に関する大会は、長野マラソン、かすみがうらマラソン、そして、熊本県で開催された「チャレンジ陸上大会2013」と、大きな大会が同日に3つも開催されました。

私自身は例年どおりなら、かすみがうらマラソンに役員として参加しますが、今年は熊本県で開催されたチャレンジ陸上2013へ出向きました。

前日の土曜日から全国的に悪天候が懸念されていましたが、案の定、東日本は厳しいコンディションとなりました。長野マラソンは積雪、かすみがうらマラソンも冷雨と、4月のコンディションとしては最も過酷な状況でした。

一方、熊本県の天候は回復し、朝から絶好のコンディションとなりました。今回、盲人マラソン協会の強化指定選手たちは、かすみがうらマラソンと、この熊本県で開催されたチャレンジ陸上大会2013に分かれました。その熊本には、トラック種目でIPC世界陸上を目指す、全盲の和田、谷口選手と、弱視の堀越選手の3選手が「5000m」に挑みました。

3選手とも好調をキープしており、特にロンドンパラリンピック5000mで銅メダルを獲得した全盲の和田選手は、そのときの日本記録を非公式ながら上回る「15分51秒」を、既にマークしております。3選手とも自己記録更新の期待がかかります。

12時45分、タイムテーブルどおりの時間にスタート。3選手ともそれぞれの目標タイムに沿ったそれぞれの設定タイムを刻んでいきます。ところが、3選手とも動きは悪くありませんが、設定タイムから微妙に遅れていきます。具体的には、1周(400m)毎に1~2秒前後ずつ遅れていく感じです。結局、3選手ともゴールでは、目標タイムに対して20秒~25秒前後遅れのフィニッシュとなりました…。※谷口選手はそれでも自己新記録でした。

3選手ともゴール後は首をかしげており、目標タイムを達成できなかった原因を特定できていない様子でした。もちろん、次の大会に向け、立て直していくしかありません。しかし、障害者陸上で国際公認記録となるIPC公認大会は、国内に4大会しかありません。すなわち、残りの大会はあと「3」です。

一般選手のように、日本陸連公認の各種記録会に出場しながら調子を上げていくことは、ルール上難しい状況です。そのため、常に調子のピークをしっかりと合わせていく「ピーキング」が最重要となります。※日本陸連公認とIPC公認は、原則としてリンクしません。

今回の熊本県で、日本記録も幾つか誕生しましたが、全体的に記録は低調でした。今シーズン最初のトレックレースだったことが、記録低調要因のひとつであったことは誰もが感じるところです。しかし、上記したとおり、「今年度のIPC公認の国内大会は残り3」です。

少ないチャンスで世界へのキップを目指すのが、障害者陸上の宿命でもあります。そのためには、「自己記録更新」を狙える状況を常にキープしておくことが、何より優先されます。

つまり、日々のトレーニングはもちろん、日々の自己管理や生活習慣等々、記録を最優先した生活スタイルにシフトしていく必要があるのです。今後は更に、この点を意識した強化を継続していきます。

つづく。

絆・5

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【絆・5】平成25年度もスタートし、マラソン&駅伝シーズンからトラックシーズンへと、本格的な陸上競技シーズンに突入しました。既に、全国各地で本格的な大会や記録会が始まり、私がコーチする選手たち(市民ランナー)も、果敢にトラックレースへ参戦しております。

さて、今年度はロンドンパラリンピックの翌年と言うこともあり、2016年のパラリンピックに向けた強化体制を再構築していくための大切な1年にもなります。

その第一歩として日本盲人マラソン協会は、今年度から正式に女子マラソンの強化をスタートします。最初の1期生となる女子選手は6名です。もちろん、全員が視覚障害者ですが、弱視から全盲の方までと、カテゴリーは様々です。

ところが、パラリンピック種目に女子マラソンは存在しません。トラックでも長い距離は1500mまでと、マラソンどころか中距離種目もままならない現状です。しかし、彼女たちの中には、既に一般の大阪国際女子マラソンや名古屋ウィメンズマラソン等に出場しているランナーもいます。ある意味、男子選手以上にハイレベルな大会を経験しています。

そんな彼女たちの快走をもっと広く認知していただき、逆に、パラリンピック種目に加えていただけるよう、積極的にアピールしていく必要があります。

4月20日(日)、茨城県で開催される「かすみがうらマラソン」では、初めて「IPC公認女子の部」として6選手全員がスタートラインに立つ予定です。既に何度もこのブログで説明しておりますが、IPC公認になると、ドーピング検査や伴走者に対する厳格なルールが適用されたりと、彼女たちにとってはすべてが初めての経験であり、そのことがストレスになることも多くなります。

この1週間の間でも服用しようとする風邪薬の成分を入念に確認したり、レース中に飲食予定の安全性を確認したりと、慣れない確認作業に苦労しております。しかし、この経験を積み重ねていくことが、世界的にも認知されるマラソンランナーへの道であると、確信しております。

視覚障害者の女性ランナーたちにとって、新たな歴史の第一歩として、おくすることなく果敢に挑戦してほしいと心から願っております。そして、その走りを支えていけるよう、今年度も地道な強化活動を継続していく所存です。

皆様方の絶大なるご声援をよろしくお願い申し上げます。

つづく。

期分け・65

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【期分け・65】前回、スタミナが枯渇してくる時間と距離の目安を導きました。今回からその数値をもとにスタミナ養成に結びつく具体的な走り込みについて考えていきます。

はじめに、前回数値化したスタミナが枯渇する時間についてもう少し掘り下げてみますが、スタミナが枯渇する時間は「1時間40分~2時間30分」と、数値化しました。これは狙ったマラソンで目標タイムどおりにペースを守った場合の例でした。すなわち、ある程度ゆとりあるペースと言いながらも、それなりに速いスピードです。

ところが逆に、ゆっくりでも構わないので、「2時間」走り続けて下さいと、サブスリーレベルのランナーたちにお願いします。それぞれが、ジョギングに相当するゆっくりペースで走りだしますが、1時間を過ぎてくるあたりから様子が…。

「2時間」走り続けて下さいと指示したにも関わらず、急に体操やストレッチをしたり、ウィンドスプリント(流し)を入れたりと、淡々と走り続けることに対する集中力が散漫しているランナーが、増えてきます。更に様子を観察していると、中にはペースを上げてある程度のペースで走りだすランナーも…。そして、多くのランナーは80分~90分程度の時間で止めてしまいます…。

実は、スタミナの話しをしていくと、ほとんどのランナーは肉体的な部分しか考えません。ところが、上記のようにゆっくりでも2時間走り続けることすら苦手なランナーは意外と多いのです。なぜなら肉体的なスタミナは十分でも精神的なスタミナが不足しているからなのです。つまり、多くのランナーは肉体的な限界を感じる前に、淡々と走り続けることに耐えられなくなる、「精神的なスタミナ不足を露呈」してしまうからです。

このように多くのランナーは、走るスピードに関係なく、淡々と走り続ける(動き続ける)ために必要な「精神的なスタミナ養成」も肉体的なスタミナ養成同様に、重要な要素となります。そして、前回数値化した「1時間40分~2時間30分」は、肉体的なスタミナが枯渇する目安だけでなく、精神的なスタミナも枯渇してくる目安なのです。

もちろん個人差もありますが、上記の時間ならある程度のスピードで走っても、ゆっくり走っても大差なく、逆に肉体面、精神面の両スタミナを同時に強化していくためのちょうど良い目安になると考えます。

つづく。

期分け・64

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【期分け・64】前回は、マラソンを走った多くのランナーたちが、ゴール後に話している内容を実例としてまとめました。今回はその実例をもとに、スタミナを養成していくための時間や距離を考えていきます。※今回もサブスリーランナー(3時間突破)を軸に考えていきます。

はじめに、前回の実例をもう少し別の見方から考えていきます。

◆実例1).マラソンは、どんなランナーでも35kの壁がある。→ 特に、マラソンを2時間30分前後で走れる男子選手からサブスリーを目指す男女選手までと、レベルの高いランナーに多いと感じます。そして、この35kを時間に換算すると、概ね「2時間00分~2時間30分前後」に相当します。-①

◆実例2).初マラソンでも30kまでなら誰でも走れる。→ このコメントについても、初マラソンと言ってもある程度の走力が伴っているランナーたちです。具体的には、初マラソンでも3時間30分以内を目標にできるランナーたちとなります。ところが、更に速い3時間以内を目標にしているランナーに限っては、30k手前の25k前後で失速してしまうケースも多いと感じます。そして、このケースについても、25kから30kを時間に換算すると、概ね「1時間40分~2時間30分前後」に相当します。-②

◆実例3).どんなランナーでも実力に見合った設定タイムで刻んでいくと、2時間前後でスタミナは枯渇してくる。→ このコメントについては、上記の実例1と実例2を言い換えたような内容です。つまり、実例1のランナーたちは、ちょうど35k前後に相当し、実例2のランナーたちにとっては30k前後の距離となります。-③

以上のように言い換えることもできますが、いかがでしょうか?

次に、上記をもとにし、サブスリーランナーに置き換えた数値を考えます。

◆数値化1).①と②からスタミナが枯渇してくる時間は、「1時間40分~2時間30分」。-④

◆数値化2).③と④からスタミナが枯渇してくる距離は、「25k~30k」。-⑤

今回は、無理に話しを結びつけた感もありますが、まずはスタミナが枯渇してくる目安となる「時間と距離」が少し見えてきました。次回は、今回の数値をベースに、本命のスタミナ養成に結びつく「時間と距離」を考えていきます。

つづく。

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