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2013-10

期分け・73

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【期分け・73】前回からの続きです。マラソンに向けた走り込みは「ペース感覚(走り込み)」を身につけるためには余裕を持ったペース、すなわち「甘さ(遅い=楽)」に対し敏感になれるか否かが、重要なポイントのひとつとなります。

その大きな理由のひとつとして、マラソンを走り切るには、まずはスピードよりスタミナ(持久力)がないと完走することができないからです。これは、オリンピックを目指すレベルの選手でも考え方は同じで、世界記録ペースで前半を通過してもゴールまでそのペースをキープするスタミナ(持久力)がなければ世界記録やメダルを手にすることはできません。

そして、そのスタミナ(持久力)を身につけるには、それ相応の距離と時間をかけて走り込むことが必要不可欠です。同時に、常にマラソン自己記録のペースで長距離や長時間の走り込みができたなら最も理想的ですが、人は「辛さ(速い=きつい)」に敏感です。したがって、能力限界の設定タイムは怪我や故障のリスクが格段にアップするのと、メンタル的にバーンアウト(燃え尽きる)してしまうリスクが大きくなります。

実は、公務員ランナーの川内優希選手が、毎週末のレースを活用して常にレースペースの走り込みを実施するトレーニング方法で結果を残しています。しかし、川内選手以外でその方法を選択している実業団選手(プロ)はほぼ皆無です。また、レースを活用した走り込みは、見かけや考え方はシンプルですが、国内では川内選手のみが結果を残せている極めて難易度の高い調整方法とも言えます。※私的にはリスクが高く、おすすめできない調整方法です。

以上のことからマラソンを攻略していく上での「ペース感覚(走り込み)」は、逆に設定ペースを落として長距離や長時間じっくりと走り込んでいく方法が、実はリスクも少なく最も近道であると考えます。そして、そのポイントが「甘さ(遅い=楽)」に対し敏感になることです。

これまでもこの「期分け」シリーズを通じて考えてきた内容と繰り返しになる部分も多々ありますが、「ペース感覚(走り込み)」を身につけていく重要な要素として、「時間」と「距離」のふたつに大きく分けることができます。

どちらも似たような感じを受けますが、ある一定の時間を走るのと、ある一定の距離を走るのでは、求めらられるペース感覚が微妙に違ってきます。そして、マラソンを攻略していく上でどちらも必要不可欠な要素になります。

次回からそれぞれについて考えていきます。

つづく。

期分け・72

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【期分け・72】前回は、10月の走り込みに入る前に「現状の自己分析」を実施する話しをしましたが、今回から結果が悪かったケースについて考えていきます。

あらためて、マラソンで失敗したパターンについて解析していくと、実に様々なケースがあります。代表的なのは、やはりマラソン当日のコンディションによるものです。多いのは、気温や湿度が高かったため脱水症になったケース。冬の冷雨や雪で低体温症に陥ったケース。海岸沿いのマラソンコースに特有の強い向かい風。…等々、どれもマラソンの記録を阻む最大の要因です。

次に、よく耳にするのは、やはり30k以降の失速です。そして、その原因の多くは前半のオーバーペースです。特に、男性市民ランナーに多く見受けられます。具体例として、元々運動神経が良く、短距離が速いタイプの方は10kまでの距離なら走り込みをしていなくても意外と速く、10kで40分を切ってしまう方も珍しくありません。このような方がマラソンに挑戦した場合、15kから20kあたりまで快調にとばし、そこから大きく失速するパターンは本当に多いと感じます。

更に、コースの起伏が大きいケースや途中の給水に失敗するケース等、もっと掘り下げていくと複数の要因が重なっているケースもあります。

そして、これらの要因について更に解析していくと、そのほとんどが「走り込み不足」にたどりつきます。上記した当日のコンディションについても、後半の失速についても、走り込み不足から起因する「ペース感覚をつかめていない」ことが、最も大きな要因のひとつとなります。特に、マラソンを走る場合、かなり余裕のある一定のペースで走ることが基本となります。

実は、多くの方は、物心が付いた頃から「走ること=全力疾走(競争)」とのイメージを植え付けられています。その証拠に幼稚園からはじまり、中学や高校でも「ゆっくり長く走る」ことを教える授業や指導はほとんど見かけることはありません。少なくとも私自身は受けたことがありません。

したがって、多くの方が持っている「ペース感覚」とは、全力で走る方への物差しであり、苦しいことを察知する感度ばかり発達していると考えます。一方で、マラソンを攻略していく上で重要な「ペース感覚」とは、その逆で、より楽に感じる「余裕度」を自分自身の中で構築していくことがポイントとなります。

別の表現をするなら「辛い(速い)」と「甘い(遅い)」です。辛さについては「激辛」と言うように細かく何段階にも分け、人はそれを感じることができます。しかし、甘さについては「激甘」とは言いません。コーヒーにスプーンで砂糖を入れていったとき、おそらく3杯も10杯も感覚的にはわからなくなります。

つまり、人は「辛さ(速い=きつい)」には敏感だが、「甘さ(遅い=楽)」には鈍感です。マラソンを攻略していく上での「ペース感覚(走り込み)」は、この「甘さ(遅い=楽)」に対し、敏感になる必要があります。だからこそ難しいのかもしれません。

つづく。

期分け・71

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【期分け・71】10月に入りましたが、思ったほど涼しくなりません。走り込みに最も適した月と話しましたが、厳しいコンディションが続いている状況です。…と、言いながら走り込みを断念する訳にはいきません。そこでもう一度、マラソンに向けた走り込みについての考え方を整理してみます。

はしめに、これからマラソンに挑戦しようとしている皆様方は、自分自身がどんな状況にあるかを確認することが最初の一歩となります。もう少し具体的に説明すると、今回が初マラソンなのか、既に何度かマラソンの経験があるのか。更に、マラソン経験があるなら、特に前回のマラソンが狙いどおりに走れたか。狙いどおりに走れた方は自己新だったか。そして、その成功要因を把握できているか。等々…。

逆に失敗した人は、その理由が当日の天候等によるコンディションだったか。あるいは、スタミナが枯渇し後半大きく失速したのか。その状態でも最後まで完走したか。その失敗要因を把握できているか。等々…。

このように、いくつかの項目を確認することはとても重要です。実は、これまでも「期分け」シリーズでマラソンに向けた走り込みを考えてきましたが、正確には個々に走力やトレーニング環境等が違うため、誰もが同じ走り込みを実施したからと言って、同じ結果を見込めるとは限りません。

実際に私が主宰する富津合同マラソン練習会においても、この時期はほぼ週末毎に40k走を実施しています。そして、多くの市民ランナーたちが切磋琢磨しながら走り込んでいます。ところが、同じ走り込みを実施して同じ大会に出場しても結果を残せるランナーと、思うように結果を残せないランナーが必ず存在します。

そして、目標を達成できたか否かに関係なく、その要因は何かを最初に考えることは、次のマラソンを目指す上で最も重要なデータとなります。もちろん、最初から科学的とか運動生理学的の専門的な解析を伴う必要はありません。上記したような項目について大まかでも把握しておくことが重要です。

この10月から本格的な走り込みを開始していく皆様方も、まずはこの点をしっかりと把握した上で走り込みを開始してほしいと思います。

次回からは、この点を考慮した走り込みを考えていきます。

つづく。

絆・12

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【絆・12】盲人マラソン協会主催の強化合宿を10月5日(土)から1泊2日の日程で、千葉県富津市富津公園にて実施しました。今回の強化合宿は、選手と伴走者及びスタッフの合計が38名と、過去最大の参加人数となりました。

また、今回は医科学サポートのご協力により、トレーニング中の乳酸値測定とハートレートモニターを着装して心拍数を記録しました。至極当然のことですが、医科学的な測定や解析を実施したからと言って直ちにトレーニングやパフォーマンスに反映できるものではありません。日々のトレーニング同様、今後も定期的にデータを積み重ねていくことが重要です。

同時に、測定した数値に異常があったからと言って、その選手の記録が悪くなるとも言えません。私の経験談になりますが、私も現役時代、月に1回以上は必ず血液検査を受けていました。当時の走行距離は、多い月は千キロに達していたので、貧血と常に隣り合わせの状況でした。もちろん、食生活や睡眠時間等にも注意していましたが、血液検査の数値が良い方に改善された場合、当時のお世話になった先生に必ず言われたのは、「今月は練習をかなり落としているね(サボっているね)」でした。

つまり、激しいトレーニングをしている選手の各種数値が改善されることは、逆にトレーニングを落としている(サボっている)疑いもあり、必要以上に練習を休めば必ず数値は改善されます。その証拠に、先生から強豪チームの血液データを見せていただいたことが何度かありましたが、力のない選手ほど各種数値が良い傾向にあったのです。つまり、力のない選手は練習量や質が足りていないのと、自分自身を追い込めない証拠でもあると教えていただきました。※参考までに今現在の私はジョギング程度なので、貧血とは全く無縁の健康的な数値となっております。

そして、医科学的なデータや栄養学的なサポートを取り入れることは、トレーニング量を減らして効率を上げることではありません。医科学的なデータや栄養学的なサポートが後押しすることで、トレーニング量や質を更に上げるためにあると考えます。即ち、これまで以上に苦しく厳しいトレーニングを可能にしていくためのサポートであるとも考えます。

今回、はじめて各種測定を受ける選手も多かったのですが、データ的に見ても強い選手は自分自身をキッチリと追い込みきれており、やはりデータは嘘をつかないとも感じました。もちろん、今後も定期的に医科学サポートを受けながら、世界と勝負できるトレーニングを目指していきます。同時に、選手たちの意識レベル向上にもつなげていきます。

つづく。

期分け・70

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【期分け・70】厳しかった残暑(猛暑)もひと段落し、いよいよマラソンシーズンの到来です。同時に、マラソンに向けた走り込みを実施するにも適した季節となります。特に、10月は1年間を通じて最も走り込みに適した月のひとつで、厳しい残暑を乗り切ったランナーの皆様方にとっては、実りの秋でもあります。

また、この「期分け」シリーズでもマラソンに向けた走り込みのトレーニング方法を取り上げてきました。その中において、この10月は「第1次走り込み期(8月~10月)」と位置付け、秋から冬のマラソンシーズンに向けた走り込み期としては極めて重要な期であります。そして、今年も10月に突入し、再び走り込みの季節がめぐってきました。

ところが、今年の夏は記録的猛暑となり、更に厳しい残暑が続きました。そのため、夏の走り込みを十分にできなかったランナーも多いと推測されます。同時に、秋のマラソンには間に合わないと、既に諦めムードに陥っているランナーも意外と多いのではと思いますが、いかがでしょうか?

マラソンで最も大切なことは、「最後まで諦めない心」です。

厳しい暑さのため、夏に思うような走り込みができなかった方々も、この10月での挽回は可能です。何度も言いますが、「最後まで諦めない心」です。まずは、この気持ちを常に忘れることなく、これからの走り込みを積み重ねてほしいと思います。

さて、これまで「期分け」シリーズの中で、マラソンに向けた走り込みについて色々と考えてきました。上記したように、秋のマラソンに向けた「第1次走り込み期」は、8月から10月としていますが、実に3ヶ月間の期間です。

実は、これまであまり触れてきませんでしたが、特に走歴の浅い市民ランナーの多くは、3ヶ月間も走り込みを持続していくことが体力的に難しく、逆に故障や怪我をしてしまう方も少なくありません。また、メンタル面でも単調な走り込みに飽きてしまい、途中で気持ちが途切れてしまうケースも見受けます。これは、意外にも実業団選手(プロ)の中でも見られるケースで、マラソンは難しいと思われる理由のひとつでもあります。

しかし、逆に上記の理由で夏の走り込みが不足した方でも気持ちを集中させ、10月の走り込みを充実させれば、11月下旬から12月以降のマラソンも十分に対応できると考えます。そのためには、「最後まで諦めない心」を忘れず、10月の走り込みに挑戦してほしいと思います。

つづく。

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