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2016-11

マラソンに向けて・7

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【マラソンに向けて・7】先日の11月20日(日)に開催された「つくばマラソン」では、私が直接コーチする12名の市民ランナー方も出場し、7名の方が見事に自己新記録を達成しました。

今回は参考までに、それぞれの具体的な目標タイムと実績タイムを振り返ってみます。

◆男性市民ランナーNさん:2時間39分40秒~2時間41分40秒/目標タイム⇒2時間42分47秒(サード記録)/実績タイム。◆男性市民ランナーUさん:2時間49分49秒~2時間51分58秒/目標タイム⇒2時間48分45秒(自己新記録)/実績タイム。◆男性市民ランナーIさん:2時間55分59秒~2時間57分15秒/目標タイム⇒2時間56分25秒(自己新記録)/実績タイム。◆男性市民ランナーIさん:2時間55分59秒~2時間57分15秒/目標タイム⇒3時間4分34秒(セカンド記録)/実績タイム。◆男性市民ランナーNさん:3時間31分00秒~3時間34分30秒/目標タイム⇒3時間31分35秒(自己新記録)/実績タイム。

◆女性市民ランナーEさん:2時間55分59秒~2時間57分15秒/目標タイム⇒2時間56分45秒(自己新記録)/実績タイム。◆女性市民ランナーTさん:2時間59分20秒~3時間3分40秒/目標タイム⇒3時間3分31秒(自己新記録)/実績タイム。◆女性市民ランナーHさん:2時間59分20秒~3時間3分40秒/目標タイム⇒DNF。◆女性市民ランナーKさん:3時間13分59秒~3時間15分40秒/目標タイム⇒3時間13分31秒(自己新記録)/実績タイム。◆女性市民ランナーMさん:3時間26分46秒~3時間29分59秒/目標タイム⇒3時間27分38秒(セカンド記録)/実績記録。◆女性市民ランナーIさん:3時間26分46秒~3時間29分59秒/目標タイム⇒3時間26分23秒(自己新記録)/実績タイム。◆女性市民ランナーKさん:3時間59分6秒~4時間3分0秒/目標タイム⇒4時間17分25秒(サード記録)/実績タイム。

今年のつくばマラソンは予想どおり、コンディションやコースも良かった様子でした。また、どの方も自分自身の調子と実際の目標タイムがマッチングしていた点が好結果につながりました。まさに目標ラップ表が戦術レベルまで昇華できた点が大きかったと感じます。

もちろん、数名の方が目標タイムに到達することが出来なかった点は、今回の反省を次回のマラソンに活かしていくのは言うまでもありません。

また、12月以降も全国各地でマラソン大会が目白押しです。これからも常に自己分析を怠らないように、日々の走り込みを継続してほしいと願っております。

マラソンに向けて・6

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【マラソンに向けて・6】今回は前回までの話を一旦置いて、少し違う話をします。

さて、10月から本格的なマラソンシーズンがスタートし、11月はマラソン大会が特に多くなってくる時期でもあります。そして、多くの市民ランナー方が自己記録更新等の目標を掲げてマラソン大会に挑んでいます。

かくいう私が直接コーチしている市民ランナー方も毎週のように各地のマラソン大会に出場しております。もちろん、それぞれがそれぞれの目標タイムを目指してスタートしますが、毎度のことながら目標を達成した方、残念ながら目標を達成できなかった方と様々です。

そして、ゴール後は誰でも反省し、良かった点や悪かった点を振り返り、次に活かそうと誓います。ところが、何度走っても同じような後半の失速や坂の多いコースを攻略できない等々の失敗を繰り返す市民ランナーは意外に多いと感じます。

また、どのランナーも目標タイムを設定するのと同時に、1k毎や5k毎のラップタイムを割り出し、それを目安にゴールを目指します。ところが、この目標タイムから導いた「目標ラップ表」が単なる目標タイムであり、自分自身の実態に合っていない場合が多いとも感じます。

つまり、目標ラップ表を考えるまでは良いのですが、これが自分自身の今の調子と、更に出場するマラソンコースや当日の予想されるコンディション等を加味した上での「戦術」レベルまで昇華できているか否かが重要なポイントになるのです。

具体的なポイントとして、目標のマラソン大会3ヶ月前からのトレーニング状況、更に半年前の調子(特にスピード面)、逆に2週間前からの体調。そして、目標のマラソン大会のコース状況、当日の予想される天候等については最低限考慮した上で戦術(目標ラップ表)を考える必要があります。

実は、箱根駅伝や実業団駅伝等の各種駅伝大会では、これらの状況等を加味した上で戦術(目標ラップ表)を立てながら適切に選手を配置していきますが、マラソンを攻略していく上での考え方も同じです。

目標ラップ表と戦術は似ているようですが、かなり違います。単なる目標ラップ表が戦術レベルに昇華できるようになってくると、どのマラソン大会でも安定したパフォーマンスを発揮できるようになっていきます。少なくとも私自身のこれまでの経験からは間違いないと思います。

マラソンに向けて・5

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【マラソンに向けて・5】前回まで走るスピードの違いから3つのゾーンに分けて考えてきましたが、ここまでを少しまとめてみます。

AゾーンからBゾーンまでのスピードだと理論上は、乳酸が発生してもそれを取り除くために必要な酸素を取り込めている状態なので、長時間(距離)走り続けることが可能です。ところが、BゾーンからCゾーンにスピードが上がると、その境目と言われているATやLTをこえるため、乳酸を取り除くために必要な酸素を十分に取り込めない状態になっていきます。

この状態になってくると、体内に蓄積されていく乳酸を取り除くために必要な酸素を取り込めない借金生活に陥っていきます。そして、この酸素が不足し、乳酸が蓄積した状態に耐え得る能力を乳酸耐性とも言い、その能力は個人差が大きく、それを正確に把握することはとても難しいとも言われています。

これを実際のレースであるマラソンに置き換えてみ見ると、常にBゾーンとCゾーンの境目に近いスピードで走り続けることができれば、発生する乳酸を抑えながらゴールできます。また、自分自身の乳酸耐性能力をある程度把握できているランナーなら、残りの距離に応じてペースアップ(ラストスパート)し、ゴール地点で乳酸耐性の限界に達するように走り切ることができます。

しかし、このように自分自身の能力を正確に把握した上で、当日の目標タイムを割り出し、更にそのとおりのラップを刻んでゴールするのは相当難しいのは言うまでもありません。そのため、後半の失速を用心してCゾーンに近いBゾーンで走り、後半ペースアップをしたにも関わらず、かなりの余力を残してゴールし、力を出し切れなかったケース。

逆にスタート直後から周りのペースにつられてしまい、オーバーペースによる酸素負債に陥り後半大きく失速するケースと、思うように力を出し切れないランナーが多いのが現状です。ところが、スタートから自分自身の適切なペースを守り、Cゾーンのペースをキープしながら走っていたにも関わらず、中盤から後半にかけて大失速してしまうケースがあります。

つまり、単に酸素負債が原因ならペースを落として「酸素消費量≒酸素摂取量」の状態に戻せば乳酸も除去できて再び元気に走れるはずですが、実はそう簡単にはいきません。なぜなら走るために必要不可欠なエネルギーの話が絡んでくるからです。

マラソンに向けて・4

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【マラソンに向けて・4】マラソントレーニングの肝となるBゾーンを引き上げる具体的なトレーニング方法等については後にするとし、話しを一旦Cゾーンに移して行きます。

Bゾーンから更にスピードを上げていくとCゾーンに入っていきますが、その境目をATとかLTと言っています。そして、その境目をこえてCゾーンに入ってくると、発生する乳酸を除去するために必要な酸素を十分に取り込めない状態になっていきます。

つまり、有酸素運動域から無酸素運動域に入っていきます。もちろん、無酸素と言うのは無呼吸ではなく、「酸素摂取力<酸素消費量」の状態を指します。

また、このCゾーンに入ると心拍数も頭打ちになり、更にスピードを上げようとしても逆に失速していきますが、無酸素運動域だから全く走れなくなる訳ではありません。なぜなら、人はある一定のレベルまで酸素が不足した状態(酸素負債)に耐えられる能力をもっているからです。

この酸素負債に耐えられる能力は、乳酸を蓄積できる能力と置き換えることもでき、「乳酸耐性」とも言われています。そして、この乳酸耐性は個人差が大きく、かつその能力を正確に把握することは難しいとも言われています。これは、私の経験からもそう感じます。

そして、このCゾーンの代表的なトレーニング方法としては、何と言っても「インターバル」があげられます。具体的にはCゾーンのスピードで一定距離(時間)を疾走し、連続してBゾーンのスピードに落として乳酸を除去することを繰り返すトレーニングです。

同様に不整地や起伏を活用したクロスカントリー走も同じような効果が期待できます。

マラソンに向けて・3

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【マラソンに向けて・3】今回は、Aゾーンより走るスピードが上がってくるBゾーンについて考えていきます。前回のAゾーンは、ほとんど乳酸が発生しないスピードのため、「いつまでも走り続けられる体感のスピード」と話をしましたが、Bゾーンは少し体感が変わっていきます。

つまり、Aゾーンよりもスピードが上がってくるので、乳酸が発生していきます。ところが、自分自身の乳酸除去能力が上回るので、体内にほとんど乳酸が蓄積されないスピードになります。専門的には前回同様、「酸素摂取量>酸素消費量」から「酸素摂取量≒酸素消費量」の範囲になるでしょうか。

もう少し具体的な例で言うと、Aゾーンより少し呼吸も荒くなってきて、常に会話をしながら走り続けることが苦しくなってくるスピードです。同時に、Aゾーンのようにいつまでも走り続ける体感は薄れてきますが、「かなりの長時間は走り続けることが可能なスピード」となります。

実際のトレーニングに当てはめてみると、LSDよりもリズムとスピードがもう少し速くなります。一般的な表現で言うと、「ジョグ(ジョギング)」と呼ばれているスピードに該当します。実は、LSDとジョギングの境目を定義するのは難しく、個々の走力によっても大きく違いますが、ここではジョギング程度のスピードと表現しておきます。

これは、AゾーンとBゾーンの境目あたりに相当するスピードに該当しますが、更にスピードが上がると、今度はCゾーンとの境目に近づいていきます。そして、その境目に近いスピードに該当するトレーニングが、長い距離をある一定のスピードで走る「距離走(ペース走)」となります。

それは上記した「酸素摂取量≒酸素消費量」となり、まさにマラソントレーニングの中心となる「30k走」や「40k走」に該当します。そして、このBゾーンとCゾーンの境目がATとかLTと言われます。

もちろん、このBゾーンで実施する「距離走(ペース走)」の目的は、Bゾーンの引き上げになります。つまり、Bゾーンの上限(Cゾーンとの境目)が上がれば、ペースを上げても乳酸が蓄積し難い身体になってくるので、マラソンを攻略していく上では最も重要なトレーニングのひとつになる訳です。

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