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2012-09

期分け・51

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【期分け・51】今回はLSDをどのようなパターンでスピードトレーニングとセットにしていくかを考えていきます。具体的には、前回のブログの最後に記載しましたが、「スピードトレーニング+LSD」と、2日間連続で実施していく方法です。

はじめに、ここで言うLSDの時間ですが、可能であるなら100分以上ゆっくり動き続けることを推奨します。また、走るペースについてですが、目安としては笑いながら会話のできるスピードです。もちろん、それぞれの走力や走歴によってもペースは違いますが、「1kを何分ペースで走る」と、言った考え方は全く必要ありません。

更に、1人で走る場合の目安としては、口を閉じて鼻だけの呼吸で走れるペースがわかり易いと思います。これを実際に実行してみるとわかりますが、ペースを上げることは難しく、かなりゆっくりのペースで走ることになります。もちろん、この場合についても、「何分ペースで走る」と、言った考え方やとらえ方は全く必要なく、決めた時間をじっくりと動き続けることがポイントです。

実際に、スピードトレーニングを実施した翌日は、特に膝から下の筋肉を中心に疲労が残っており、人によっては筋肉痛が出ているかもしれません。したがって、いつものようにリズムよく走ることは難しくなるはずです。そのため、「スピードトレーニングの翌日にLSDができるのか?」と、不安になる方もいます。しかし、実際に走ってみると、前日の疲労も残っているので、逆にゆっくり走るしかありません。

但し、ここで重要なポイントとなるのは、自分自身の身体との対話です。いつものように、軽い体操とストレッチ後に、何気なく走りだし、その日の体調や調子に合わせてスピードを上げたり下げたりする走り方ではありません。

走っているときの意識は、常に自分自身の身体の内側に集中させて、前日のスピードトレーニングで疲労している筋肉の個所や身体の動きをしっかりと確認しながら走るのです。そのため、時計を見ながらペースを確認する余裕も少なくなり、その必要も薄れていきます。

また、このとき、手足の先までしっかりと酸素が送られているイメージを持ち、スピードトレーニングで筋肉にたまった疲労物質を汗と一緒に身体の外に押し出していくイメージで走ります。そして更に、LSDの後半に入ってきたとき、身体が少しずつ軽くなっていくような感覚がつかめてくれば、合格です。

つまり、前日の疲労を抜きながら、次のトレーニングに向けて体調を引き上げるイメージです。そして同時に、スタミナも蓄えていくようなイメージをしっかりと持ちながら走ることが、重要なポイントとなります。

つづく。

期分け・50

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【期分け・50】前回は、LSDの目的や方法について話しをしました。今回は、LSDをスピード養成期の中にどんなタイミングで取り入れていくかについて考えていきます。

はじめに、走歴の浅い方やランニングが日々の生活に定着していないような方の場合についてです。いわゆる初心者と呼ばれている方々についてですが、ゆっくり長く走ること自体が強度の高いトレーニングとなります。したがって、週末や休日はLSDのみを継続していても、十分なトレーニング効果を得ることができます。

また、このレベルの方は、スピードトレーニングを実施することが怪我や故障に直結し易くなるので、LSDを軸にしたトレーニング計画を推奨します。前回のブログでも話しましたが、LSDの効果は主に、「体内の毛細結果を発達させ、全身の筋持久力を向上させる」、「体脂肪を燃焼させ、マラソン向きのスリムな身体をつくる」の2点があります。

実は、LSDを継続し、この2点の効果がしっかりと見えてくれば、無理なスピードトレーニングを実施しなくてもそれに近い効果を得ることが可能です。もちろん、初心者の方だけでなく、マラソン経験のあるベテランランナーの方でも怪我や故障を防止していく意味でも、このLSDをもう一度見直してみる価値は大いにあります。

では、実際にスピードトレーニングとの組み合わせをどのようにしていくかを考えていきます。

ポイントは、スピードトレーニングを実施する日を基準に考えてどのタイミングでLSDを実施するかです。どんなトレーニングにも共通しますが、何を何時、どんなタイミングで実施するかの判断が最も重要になってきます。今回の場合、ゆっくり長く走るトレーニングをどのタイミングで実施するかになります。

具体的には、「スピードトレーニングを実施する日の前なのか後なのか?」、「スピードトレーニングを実施する日の前後にセットで実施するのか?」、「スピードトレーニングを実施する日から少し日にちをあけて実施するのか?」、いづれかになります。

至極当然のことですが、たかだかLSDを実施するタイミングに対しても様々な組み合わせがあり、どれが正しい方法かを簡単に判断することはできません。しかし、長年の経験や残してきたデーター等から効果の得やすい組み合わせを推奨することはできます。それは、スピードトレーニングの翌日にLSDを実施する組み合わせです。

すなわち、「スピード+ゆっくり長く」と、2日間連続でポイント練習を実施する方法です。

次回は、更に掘り下げていきます。

つづく。

ロンドンパラリンピック・4

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【ロンドンパラリンピック・4】最大の目標としてきたマラソンも無事に終了しました。3人の選手と5人の伴走者で世界に挑んだ結果は次のとおりです。

◆岡村正広(T12・弱視クラス):4位入賞/2時間28分51秒(日本新記録)。◆和田伸也(T11・全盲クラス):5位入賞/2時間40分8秒、伴走者:志田淳、中田崇志。◆高橋勇市(T11・全盲クラス):7位入賞/2時間42分9秒、伴走者:大崎栄、北村拓也、早田俊幸。

目標のメダル獲得には、あと一歩でしたが、全員が入賞を果たすことができました。

今回のマラソンコースは小刻みなアップダウンとコーナーの多さに当初から記録より勝負重視のレースになると予測していました。そのため各選手の設定タイムは下記のとおりとし、それぞれのラップタイムをマイル換算したラップ表を作成しました。

◆岡村正広:2時間24分52秒~2時間27分58秒。◆和田伸也:2時間39分38秒~2時間42分27秒。◆高橋勇市:2時間42分27秒~2時間45分16秒。

9月9日8時00分、T12クラス(視覚障害)とT46クラス(腕の障害)が一緒にスタート!

スタート直後から視覚障害クラスの5選手がトップ集団を形成し、岡村選手の設定どおりのペースでレースは展開されました。また、和田選手と高橋選手も設定タイムどおりの走りで前半を自重し、11番から13番あたりをキープしながらレースを進めました。

レースは後半に入り、先頭集団に動きが出てきます。優勝したスペインの選手がペースアップすると、3人の先頭集団から岡村選手が脱落していきます。しかし、このときの30k通過ラップは、1時間43分2秒と設定した上限タイムとわずか2秒の相違しかなく、あまり余裕がありません。その後、ビルの影から日向に変化する個所で恐れていた転倒もあり、メダルへの可能性が遠のいていく展開となりました。しかし、最後まで持ち前の粘り強さを十分に発揮し、堂々の4位でゴール!

一方、和田選手と高橋選手は淡々と設定タイムを刻み後半に突入していくと、8位集団を猛追です。圧巻は、40k過ぎからの驚異的なスパートで順位をアップし、和田選手が5位、高橋選手が7位と、共に入賞を果たしました。参考までに和田選手と高橋選手は、T11クラス(全盲)ならワンツーフィニッシュでした。

4年前の北京パラリンピックで、視覚障害マラソンは障害クラスの統廃合により、T12クラス(弱視)に統合されました。その結果、メダルどころか入賞もできない厳しい成績での帰国となりました。

この4年間、その時の悔しさを糧に地道な強化を積み重ねてきました。今回のロンドンパラリンピックでは、メダル獲得にはなりませんでしたが、全員が入賞する快挙を果たせました。また、5位に入った全盲の和田選手は、トラックの5000mで日本人初となる銅メダルを獲得するなど、これまでの強化の方法や方向性が間違っていないことを証明することもできました。

しかし、世界との距離はまだあり、4年後のブラジルに向け、引き続き地道な強化で課題を克服していきます。

最後になりましたが、ここまで様々な方から多くのご支援を賜りました。本当にありがとうございました。4年後に向け、更に突き進んでいきます!

おわり。

ロンドンパラリンピック・3

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【ロンドンパラリンピック・3】多くの勇気と感動を与えてくれたロンドンパラリンピックも終盤です。ここまで多くの世界記録やパラリンピック記録誕生の瞬間を目にし、世界の驚異的なレベルアップに驚くばかりです。一方、日本チームの苦戦を目の当たりにすることは逆に多く、既に多くのメディアで報道されているとおりです。

しかし、それぞれの敗因を分析すると、単なる強化の遅れとも言えない側面も見えてきます。特に陸上競技の視覚障害クラス(T11~T12&F11~F13)や手足障害クラス(T42~T46)では、多くの種目が日本の一般選手と同等以上のレベルに到達しています。

つまり、単なる強化費や強化方法より、選手(タレント)の発掘方法をどのように構築していくかは、これからの最重要課題ではと強く感じます。特に今大会は、ホスト国であるイギリス、前回の開催国の中国、そして、次回開催のブラジルの圧倒的な強さばかり目についたのと、どの種目もそつなく多くの選手をエントリーしており、その選手層の厚さにただ単に驚くばかりでした。

さて、そんな中、立位長距離マラソンチームの選手たちは、ここまで目標どおりの力を出し切れています。

◆結果1).T11(全盲)クラス1500m:和田伸也(伴走者・中田崇志)/予選落ち(あと1人で決勝)/4分18秒71(日本新記録)。◆結果2).T12(弱視)クラス5000m:堀越信司/5位入賞/14分48秒89(日本新記録)、岡村正広/8位入賞/15分45秒98。◆結果3).T11(全盲)クラス5000m:和田伸也(伴走者・中田崇志)/銅メダル/15分55秒23(日本新記録)。

4年前の北京パラリンピックの惨敗を糧に地道な強化を積み重ねてきた選手の努力と、それを支えてきた多くの伴走者たちの成果であります。特に、どこまでの記録を狙え、どこまでの順位を狙えるかを選手と伴走者が共によく分析していました。そして、単なる憧れや理想論に陥らないよう、常に現状を直視し、強化の方向性がブレなかった点は大きかったと感じます…。

残すは、最大の目標であるマラソンです。

この4年間の集大成をしっかりと出し切れるよう、最後まで集中します。

皆様方の絶大なるご声援をよろしくお願い申し上げます。

つづく。

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