Home > Archives > 2009-03

2009-03

東京マラソン

3万人以上のランナー達が、東京の街を駆け抜ける壮大なスケールの東京マラソン!

と言っても、今年でまだ3回目の開催ですが、東京を中心に全国各地に広がった空前のマラソンブームをひき起こすキッカケとなった大会のひとつです。そして同時に、日本を代表する超ビッグイベントな大会に成長したと言っても良いでしょう。

実は、私も記念すべき第1回大会となった、「東京マラソン2007」を完走しました。その時の、途切れ目のない沿道の凄い人波と、東京の各名所を駆け抜ける爽快感は、昨日のことのように覚えています。

さて今年の大会は、私が指導する選手達の応援&サポートとして、沿道側にまわりました。それは同じチームメート達と手分けをし、各ポイント地点に分散しての応援となります。私は、JR新橋駅近くの20k地点での応援です。その地点は、20k地点側に立つと反対車線は、ちょうど11k地点となり、2回応援することができます。

毎度のことですが、マラソンの応援を実際に沿道で行うと、特に男子選手達のスピードの速さに驚かされます。今回も世界選手権代表を賭けたトップランナー達の先頭争いは迫力満点でした。ところが、その男子先頭集団がちょうど20k地点を通過している時、反対車線の11k地点は、かつてどの大会でも見たことのないような数のランナー達が、途切れ目無く押し寄せ、まるで川のようです・・・。

第1回の大会で、私はコースを走りながら沿道の人波の多さに驚きましたが、そんな比ではありません。まさに隙間無くびっしりと、ランナー達が駆け抜けていく様子は圧巻です。しかし、今年の大会は残念ながら天候に恵まれず、特に後半は台風並の強風が吹きつける厳しいコンディションとなり、3万人のランナー達を最後の最後まで苦しめました。

今更ながらマラソンは、長時間屋外で動き続ける競技であるが故に、自然(天候)との闘いとも言えます。自分自身の体調や調子を自分の意志でコントロールすることでさえ、とても難しいことなのですが、当日の天候を自分自身でコントロールすることは、どんな一流選手でも不可能です。

だからこそ、どんな悪天候になっても諦めない強い精神力と、レース中に刻一刻と変化する様々な状況にも柔軟に対応できる適応力を兼ね備えていなければなりません。また、途中までどんなに凄いラップタイムをキープできたとしても、最後までゴールしないと、マラソンの記録として残りません。マラソンは誰でも簡単にはじめられ、誰でも気楽に参加できるからこそ、目の前にある壁は意外とシンプルで厳しいものなのかもしれません・・・。

ところが、今年の東京マラソンは、そんな厳しいコンディションだったにも関わらず、完走率は昨年同様の約97%と、驚異的な数値だったようです。これは本当に驚きの数値であるのと同時に、3万人以上のランナー達を裏方として支えている様々な方のご尽力でもあり、そのサポート体制や大会運営の充実は、世界のトップクラスに到達したことの証しではないでしょうか。

そして、来年以降もマラソンの素晴らしさと、数々の感動を我々に与えてくれる、「東京マラソン」であり続けることでしょう・・・。

粘りのトラックレース

先日の15日(日)は、熊本県熊本市にあるKKWINGにおいて、身障者の陸上競技大会である「九州チャレンジ陸上競技場選手権大会」が開催されました。この大会に向け、強化合宿を実施してきた日本盲人マラソン協会からも5名の選手が出場しました。

以前に、このブログでも紹介したトラックレースへの参戦です。5千メートルに1名、1万メートルに4名が出場しました。ところが、障害者の陸上競技大会は障害別のカテゴリーが細かくわかれている関係で、各種目とも少人数になるケースが多々あります。

案の定、今回5名がエントリーした種目においても、彼らだけの出場となりました。つまり単調な400メートルトラックをほとんど競い合うこともなく、ただひたすら単独で周回を重ねて走ることになります。それは肉体的にも精神的にも想像以上に辛く、特にメンタル面が大きく影響する長距離レースにおいては、とても厳しい条件になることは間違いありません。

しかし、そのことが逆に選手達を鍛える貴重な実戦練習になることも確実です。私は、それぞれが単独走になる中、どこまで粘り強さを発揮するのかを注視しました。特に、4千メートルから7千メートルあたりまでの最も苦しい局面をどう乗り切っていくのか・・・。コーチとして最も重要な評価ポイントのひとつとなります。実はこの粘り強さを発揮できる選手は、マラソンに移行しても、その持ち味を十分に発揮できるタイプが多いのです(経験上)。

最初に、5名のトップバッターとして加治佐選手(T12)が、5千メートルに出場しました・・・。

◆5千メートル(T12):加治佐博昭/優勝/17分43秒81。

彼の走力からするとやや物足りない記録でしたが、スタートから独走だったにも関わらず終始安定して刻んだ正確なラップは、4月のマラソンにつながります。・・・そして、いよいよ1万メートルです。

◆1万メートル(T11):高橋勇市/優勝/36分03秒80、新野正仁/2位/36分59秒54(自己新記録)。◆1万メートル(T12):堀越信司/優勝/33分56秒76(日本新、大会新、自己新記録)。◆1万メートル(T13):岡村正広/優勝/32分37秒78(日本新、大会新)。

4名とも粘りのある素晴らしい走りを披露してくれました。特に、堀越選手と新野選手の中盤からの粘りは力強く、更に残り2千メートルも驚異の粘りを発揮し、見事な自己新記録を達成しました。

ここでもうひとつ注目する点として、それぞれが34分と37分の大台をラストのキックで突破した点です。このように数秒単位で大台を突破していく走りは大きな自信となり、次のレースに必ず活きてきます。

実は、パラリンピックをはじめ国際大会や国際マラソン大会には、必ず標準記録が設定されており、その記録を突破した選手にしか出場する権利を与えません。特に、パラリンピックやオリンピックのように、4年に一度しか開催されない大会を目指す場合、数秒差で出場の明暗をわけるケースが多くなります。

だからこそ、日々のトレーニングやたとえ小さな大会出場においても、「1秒」にこだわる姿勢が大切になってくるのです・・・。

名古屋国際女子マラソン

藤永佳子選手の見事な初マラソン初優勝の快走で幕を閉じた名古屋国際女子マラソン。同時に、高橋尚子選手の引退レースでもありました。至極当然のことですが、どんなに凄い実績を残した選手でも必ず引退を迎え、どんな大会でも毎年必ず優勝者が誕生します。

そして、栄光ばかりを見続けることは難しいことですが、悪いことも永遠には続きません・・・。今回のマラソンは色々と深みのあるレースだったと、個人的には強く感じた次第です。

さて、その名古屋国際女子マラソンには、私が指導する選手も3名出場しました。3選手とも昨年11月の東京国際女子マラソンを走り、直後に次の目標を今回のマラソンに設定しました。※選手と言っても、もちろん市民ランナーです。

と言いながら3選手達は、住んでいる場所はもちろん、仕事や生活環境も全く違い、日々のトレーニングでもほとんど接点はなく、トレーニング計画も違います。それぞれが単独で日々のトレーニングを継続し、それぞれが目標のマラソンに向かって高いモチベーションを保ってきました。

このように書くと、とても簡単そうに見えますが、自分自身の目標に向かって日々のトレーニングを単独で淡々と継続できるようになるには、やはり数年の年月がかかります。実際に3選手とも私がコーチを引き受けるようになって5年以上の積み重ねがあり、多くの失敗や挫折を乗り越えてきました。もちろん3選手とも最初は、サブスリー(3時間以内)どころか、名古屋国際女子マラソンに出場(3時間15分以内)することすら出来ませんでした。※マラソンは、たったの半年や1年程度の継続で結果を出せる競技ではないのです。

しかし、「継続は力なり」と強い意志を持って、地道にトレーニングを積み上げてきた凄い選手達です。

◆名古屋国際女子マラソン結果:M・SA選手/2時間54分07秒(自己新記録)、M・KA選手/2時間55分21秒(自己新記録)、M・Y選手/30k地点で棄権(体調不良)。

以上のように、2名の選手が自己記録更新を達成することが出来ました。また、M・Y選手は3選手の中で最も好調だったのですが、大会数日前に体調を崩し残念な結果となりました。あらためてマラソン調整の難しさを再認識すると共に、体調不良の中でしたが、中間点までのレース展開は次に活かせる内容でした・・・。

引き続き今週末以降も、荒川市民マラソン、東京マラソン、長野マラソン、かすみがうらマラソン・・・等々と、私が指導する他の選手達も次々とマラソンに挑戦します。今回の名古屋国際女子マラソンを通じて、私が経験し学んだことや3選手達のトレーニング実績やレース結果については、これからマラソンを走る選手達への貴重なデータとして必ず活かしつつ、今後も新たな可能性を選手達と共に追い続けて行きます。

週末合宿・4

今回も前回同様、週末合宿についてです。

さて前回までは、どのようにして効果的なトレーニング計画を組み立てるのかを、中心に考えてきました。もちろん今回も考え方のベースは全く同じですが、日曜日にレースを組み込んだケースの週末合宿を考えていきます。

実は、先日の千葉県富津市で実施した日本盲人マラソン協会(JBMA)主催の強化合宿がこのパターンでした。まずはその時のトレーニング実績を記載します。

◆JBMA強化合宿1日目(2月28日)/午後13時00分:集合。午後13時10分:ミーティング&勉強会。午後14時30分:20k走から30k走(各自の調子で)。◆JBMA強化合宿2日目(3月1日)/早朝:各自ジョギング&散歩。午前:千葉県民マラソン大会参加(5k、10k)。

上記合宿のポイントとして、初日に長い距離を走り(スタミナ)、翌日のレースは比較的短い距離をトライアル(スピード)として全力で走る流れです。つまり、2日間の流れを、「スタミナ+スピード」としています。

一見すると、とても無謀な感じがしますが・・・、そこが狙いで重要なポイントとなります。

具体的には初日のトレーニングで、比較的ゆったりとしたペースで長距離を走り、スタミナ養成をします(走力に自信のない方はLSDでもOK)。その結果、翌日のレースでは身体に疲労感が残っている状態になるので、思うようなスピードが出しにくくなります。

実は、スピードを出し過ぎないようにする点が重要で、前日の疲労が微妙に残っているため、レースでは自分自身が持っているスピードに到達しない段階で苦しくなってきます。逆に言えば、本来ならもっと強度的に追い込めるトライアル(スピード)も、いつもより早い段階で同等の強度(苦しさ)に到達します。※もちろん個人差があります。

別の見方をすれば、故障や怪我を起こし易いスピード系のトレーニングも、前日に長距離走をプラスすることで、トップスピードまでペースアップしなくても、同等の強度や負荷を身体へ与えることができます。つまりその強度差分だけ、身体への負担を軽減することができるとも言えるのではないでしょうか(故障防止)。※専門的な話は割愛します。

また、今更ながら日々のトレーニングは継続が命です。しかし、翌日に故障や怪我を引き起こすような高強度のトレーニングは逆効果です。ところが、翌日に全く疲労感の残らないトレーニングを継続しても狙った効果を期待できません。この矛盾との戦いこそが日々のトレーニングとも言えます。

しかし、その矛盾や日々のマンネリ化を打開するひとつの手段として、レース出場をセットにした週末合宿は、有効的なトレーニング方法であることは間違いありません。

Home > Archives > 2009-03

Search
Feeds

ページの先頭へ