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2013-06

期分け・68

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【期分け・68】スピード養成期中のスタミナ養成についてです。はじめに、前回の最後に記載したとおり、まさに今の季節は気温と湿度が高くなるため、秋から冬と同じ設定タイムで同じ長距離を走ることは難しい状況です。つまり、根性とか気合いで乗り切れるコンディションでないことを、はじめに理解しておくことは大切なことです。

次に、このスピード養成期は、既に多くのレース(トラックや10k前後までの短いロードレース)を走っているレース期でもあります。したがって、年間を通じて最もスピードを高めようとしている期でもあり、秋から冬のマラソンを目標にしているスタミナ養成期とは、スタミナのとらえ方が違います。

では、あらためてスタミナとスピードの関係を簡単にまとめてみます。(私の経験上から)

長く走る(スタミナ)ためには、速さ(スピード)を抑える必要がありますが、速く走る(スピード)と、長く走る(スタミナ)ことはできません。このように、スピードとスタミナは相反する面をもちながら、どちらも必要不可欠な要素です。同時に、一方を高めると一方が犠牲になるような関係にあることから、スピードとスタミナを同時に高めることが難しい大きな理由のひとつです。だからこそ、「期分け」の考え方で、スピードとスタミナをそれぞれ高めていくことは、効果的な方法と言えるのです。

そこで次に出てくる疑問として、「スピードとスタミナはどちらが先か?」です。

これは、「卵が先か?鶏が先か?」の話しに似ていますが、長距離(マラソン)の基本はスタミナ(持久力)です。つまり、長く走り続けることができなければ、レースを完走することはできないからです。これについては、至極当然のことであり、この点は絶対にブレてはいけない部分であると、私は考えます。

以上をまとめると、◆1.スピードとスタミナは同時に強化することは難しい。◆2.スタミナは長距離(マラソン)の最も重要な要素であり、土台となる。

このように、スピード養成期中であってもスタミナを養成するトレーニングは必要不可欠です。しかし、スピード養成期のように、スピード系トレーニングに重きを置いた期間においては、スタミナ系トレーニングは土台部分をキープするとらえ方にシフトすることで逆に、スピードトレーニングとのバランスがとれると考えます。

つづく。

絆・10

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【絆・10】梅雨入りし、気温も湿度も一気に上がってきました。そんな中、6月15日(土)から6月16日(日)の日程で盲人マラソン強化合宿を実施しました。今回の合宿は、来月にフランスで開催されるIPC世界陸上競技選手権の代表選手を対象にした強化合宿です。

そのIPC世界陸上競技選手権には、盲人マラソン協会から全盲の和田、高橋、谷口の3選手を日本代表選手として派遣します。今回の合宿は、代表選手としての参加は全盲の谷口選手ひとりでしたが、ロンドンパラリンピック代表の岡村選手も参加してくれました。

今回も1泊2日の短期合宿で、トレーニング内容については次のとおりです。

◆1日目:午後/3000m+2000m+1000m+600m+300m。◆2日目:早朝/各自フリー、午前/30k走。

上記のように、トレーニングの流れは「スピード+スタミナ」です。谷口選手は、トラックの1500mと5000m、そして、マラソンの3種目に出場します。特に、トラック種目については、大幅な自己記録更新が期待されます。この点も考慮し、、初日にスピード系のトレーニングを実施しました。

余談になりますが、全盲の谷口選手には、必ず伴走者が必要になります。ところが、谷口選手もこれまでパラリンピックに出場してきた全盲ランナーたち同様、「伴走者泣かせ」の選手に成長してきました。

具体的には、これまでのトレーニング成果が実を結びだし、走力がグングン上がってきております。その結果、市民ランナー方の伴走対応が難しいレベルになってきたのです。実際に今回の合宿も、当初は現役学生選手に伴走の打診をしましたが、ちょうどこの時期は学生選手たちもトラックシーズンです。そのため、週末毎に各種トラックレースに出場するので、とても伴走をお願いできる状況ではありません。

そんな中、今回は何とか2時間35分前後でマラソンを走れる2人の市民ランナーにお願いしました。しかし、上記のようなスピードトレーニングになると、2人で交代しながらやっと谷口選手の伴走ができる状況でした。

視覚障害者マラソンの強化を仰せつかってもう何年にもなりますが、選手の育成同様に伴走者に対する走力の要求レベルが更に高くなってきたのも事実です。もちろん、他にも課題はありますが、これまで同様、様々な方々のお力を賜りながら少しずつでも選手のトレーニング環境を改善していきたいと思います。

つづく。

絆・9

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【絆・9】去る6月8日(土)から2日間の日程で、第24回日本身体障害者陸上競技選手権が大阪において開催されました。今更ながら、この時期のトラック競技は、気温や湿度が高くなり、特に長距離種目にとっては過酷なコンディションとなります。案の定、初日の6月8日(土)は、梅雨明けを思わせるほどの天候となり、厳しい状況でした。

そんな中、日本盲人マラソン協会の強化指定選手も多数参戦し、自己記録の更新へ挑みました。

◆1日目:T11男子800m/和田伸也/2分11秒05(優勝・日本新)、T11男子5000m/谷口真大/16分57秒83(優勝)、T12女子800m/近藤寛子/2分56秒32(優勝・自己新)。

◆2日目:T11男子1500m/和田伸也/4分22秒11(優勝)、T11男子10000m/谷口真大/35分09秒58(優勝・自己新)、T12男子10000m/熊谷豊/33分30秒96(優勝)、T12女子1500m/西島美保子/5分38秒58(優勝・自己新)、T12女子1500m/近藤寛子/5分52秒23(2位・自己新)。

以上のように結果を並べると、概ね全員が合格点に届く内容でした。中でも女子強化選手の西島選手と近藤選手は、慣れないトラックレースでしたが、見事に自己記録をマークしました。

今回の結果は、今年度から立ち上げた女子強化の成果とは言えませんが、少なくとも彼女たちの「マラソン(走ること)」に対する意識が大きくプラスに転じてきたことは間違いありません。そして、この「意識改革」こそが、強化の第一歩であり、全てのベースになると考えます。

また、男女とも若い高校生選手も出場しており、選手が極端に少ないこの世界においては、とても明るい収穫となりました。同時に、若い選手たちが目標を持って競技に取り組める環境整備や情報提供が重要なことは言うまでもなく、我々の方から積極的に歩み寄っていく姿勢がより重要であると、あらためて感じた次第です。

さて、話しは変わりますが、7月(来月)にフランスで開催される「IPC世界陸上競技選手権」に、日本盲人マラソン協会からは、全盲の和田、谷口、高橋の3選手が選考されました。また、私も日本チームの監督として帯同します。

あらためて、日本代表選手たちに対する皆様方の絶大なるご声援を、よろしくお願い申し上げます。

つづく。

期分け・67

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【期分け・67】今回は、これまでの流れを簡単にまとめてみます。はじめに、スタミナ養成に効果的な時間と距離をまとめると下記のようになります。

◆効果的な時間:1時間40分~2時間30分-①

◆効果的な距離:25k~35k-②

更に、ポイントを絞ると、スタミナ養成に効果的な時間は、「2時間」。また、距離としては、「30k」がひとつの目安になると考えます。これについては、様々な考え方があり、絶対とは言えませんが、少なくとも私自身の経験上、とても効果的と考えます。

同じく、上記を効率的に導くスピード(設定タイム)についてまとめると、次のようになります。

◆効果的な時間のスピード:ゆっくりでもOK-③

◆効果的な距離のスピード:5kのスピードを100%と、した場合の83%~87%-④

もちろん、より速く走ることが効果的と言うわけではありません。特に、走歴や走力の不足しているランナーが全力に近いスピードで走り続けることはおすすめできません。既に何度も話していますが、その最大の理由として、怪我や故障に直結し易いことは言うまでもありません。

更に、サブスリーレベルのランナーを例に考えた場合、脚つくりとして走り込んでいくスピードは、上記④から導いた4分30秒前後が効果的です。同時に、そのペースで30k走ると、2時間弱となります。

ところが、前回の「期分け・66」にも記載したとおり、これから気温や湿度が一段と高くなってくるコンディション下では、身体へのダメージや負担はより大きくなる方向に変わっていきます。もちろん、この点も前回少し触れましたが、この時期は設定タイムと距離を見直す必要があり、重要なポイントとなります。

では、この時期は具体的にどのような設定タイムに変更し、どの程度の距離にすることで、スピードとの両立が可能になるのでしょうか?

次回からは、この点にポイントを絞って考えていきます。

つづく。

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