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2015-11

秋の走り込み・10

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【秋の走り込み・10】マラソンにとって最後の調整が最も重要である点は、誰もが認識していることであります。ところが、それを実践して狙い通りの結果を手にする選手は、市民ランナーだけでなく実業団選手でも難しいことです。

万全の調整ができたとしても当日のコンディションやコースから影響を受けるケースも多々あります。今月15日に開催された「さいたま国際マラソン」においては、起伏のあるコースに多くの市民ランナーが苦しみました。かくいう私が指導する女性市民ランナーたちも誰ひとりとして自己記録を更新することができませんでした。

一方、その翌週の22日に開催された「つくばマラソン」は、逆に記録ラッシュとなりました。私が指導する市民ランナーも多数出場しましたが、ほとんどの方が目標どおりの記録でゴールしていました。

なかでもS選手は、目標の2時間50分突破を達成する「2時間49分27秒」の自己新で、女子総合3位入賞を果たしました。彼女を指導するようになって10年が過ぎ、彼女も40歳になりました。この間、初めてサブスリーを達成し、プライベートにおいては結婚や出産等も経て、今回の記録達成に結びつけました。参考までに彼女の2週間前からの調整内容は次のとおりです。

■11月8日(日):30k走、11月9日(月):45’jog+100m×5本、11月10日(火):45’jog+100m×5本、11月11日(水):10k走、11月12日(木):120’jog、11月13日(金):rest、11月14日(土):45’jog+1k走、11月15日(日):15k走、11月16日(月):rest、11月17日(火):30’jog+100m×5本、11月18日(水):5k走、11月19日(木):30’jog+100m×5本、11月20日(金):rest、11月21日(土):30’jog+1k走、11月22日(日):つくばマラソン/2時間49分27秒(自己新)。

実は、彼女の調整も他の選手たちと遜色ありませんでしたが、彼女は感情コントロールが優れており、大会当日に気持ちを合わせるのがとても上手な選手です。

マラソン調整は体調を重視しながら調子を合わせて行くのは重要です。しかし、マラソンは何時間も自分自身との葛藤がレース中にあり、気持ちで諦めてしまうランナーは意外と多いのです。

目標のマラソン大会に向け体調を整えていくと共に、期待と不安が交錯する自分自身の感情をコントロールしていけるか否かは最も重要です。そして、その感情コントロールこそが、マラソンのパフォーマンスに最も大きな影響を与える要素のひとつなのです。

第1回さいたま国際マラソン

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【第1回さいたま国際マラソン】先日の11月15日、第1回さいたま国際マラソン大会が、開催されました。この大会は昨年まで横浜において開催されていた国際女子マラソンを継承する大会で、リオ五輪の女子マラソン代表選考も兼ねていました。

ところが、エントリーリストを見ると国内有力選手の出場は少なく、寂しい感の漂う大会となりました。また、一般女性ランナーについても出場資格記録がサブスリーランナーは46名と、こちらも盛り上がりに欠ける印象を受けました。

更に、コースも小刻みなアップダウンが多く、特に後半は厳しい走りになることが予想できる難コースでもあります。

さて、今大会に私が指導している女性市民ランナーも多数出場しました。特に、日本代表チャレンジの部にエントリーした選手たちは、夏からの走り込みも予定どおりに消化しており、自信を持って送り出しました。

9時10分にスタート。その時のコンディションは、小雨で無風とマラソンにとってはまずまずです。20kあたりまではどの選手も順調でしたが、25kを過ぎると小刻みに続くアップダウンと、気温の上昇にペースが大きく乱れました。

それでも粘り強く走り抜き、次々にゴールしました。残念ながら私の選手たちは自己記録を更新できませんでしたが、最高順位が11位でゴールするなど、次のマラソンにつながる内容を残すことはできました。

参考までに、今大会にエントリーした女性市民ランナーの中で出場参考記録をサブスリーランナーは上記したとおり46名。その中で出走して完走したランナーは39名でした。彼女たちの結果に関する主なデータは次のとおりです。

■データ1).出場資格記録を上回った人数=3名/39名=7.6%。■データ2).サブスリーでゴールした人数=16名/39名=41.0%。■データ3).3時間3分オーバーでゴールした人数=20名/39名=51.2%。

他の大会と比較データする詳しいデータが無いので正確な評価はできませんが、私の記憶や経験の中においては、かなり厳しいコースであったと言えます。

出場された選手の皆様、本当にお疲れ様でした。

秋の走り込み・9

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【秋の走り込み・9】11月に入り、朝晩の冷え込みも一段と厳しくなってきました。いよいよ本格的なマラソンシーズンに突入です。さて、思い返せば夏の暑い季節も地道に走り込み、9月以降は30kや40kの長い距離を走り込み、マラソンに必要なスタミナを十分に蓄えてきました。

しかし、不思議なことにマラソンの結果は様々です。それどころか、目標タイムに到達できなかった市民ランナーの方が多いのではと感じます。なぜなら前回のブログに記載した失敗パターンに陥る市民ランナーが想像以上に多いからです。

そこで、今回からそれらの失敗パターンを防止するための具体的なポイントを考えていきます。

はじめに、10月までの走り込みと、11月に入ってからの走り込みの違いについてですが、簡潔に言えば量から質への転換です。まずはこの点が大きく異なり、この点が重要なポイントになります。

つまり、10月までの走り込みは、距離を走りるために設定ペースを落として距離走やペース走を実施してきました。ところが、11月に入り、狙ったマラソン大会が視野に入ってきた段階においても同様に走り込むと、至極当然のことながら疲労が抜けなくなります。

そのため、目標タイムを達成するためには、狙ったマラソン大会の概ね1ヵ月前からいわゆる「調整」が必要不可欠になります。これにより、10月までの走り込みで蓄積された疲労を抜いて、調子を引き上げることができます。これが、調整の基本的な考え方であり、最大の目的となります。

では、11月に入ったら練習量を落として単に休養すれば良いのかと言うと、そう簡単なことではありません。ここでもうひとつ重要な点は、狙ったマラソン大会の当日に調子を合わせることです。

確かにこれまでしっかりと走り込みを継続してきたランナーが、一気に休むと調子も一気に上がります。しかし、その調子の上がり方をコントロールしなければ狙ったマラソン大会において、目標タイムを達成することは難しくなります。

この点が調整の最も難しい点であり、世界を目指す選手や箱根を目指す学生選手たちも、実はこの調整で大会当日の明暗を分けたりするのです。

秋の走り込み・8

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【秋の走り込み・8】11月に入ると、朝晩の冷え込みも厳しくなってきます。一方で、10月の走り込みで疲労がたまっている状態から風邪をひきやすくなる季節でもあります。既に何度も話していますが、風邪は調整を失敗した原因の中でも特に多い理由のひとつです。十分に注意です!

さて、11月下旬から12月にかけてのマラソンを目標にしている市民ランナーの皆様にとっては、いよいよ最終調整の段階に入ってきます。調整の目的は身体の疲労を抜いて調子を引き上げていくことです。

つまり、走行距離を落としながら疲労を抜き、走行距離を短くしながら目標のマラソン設定タイムに近づけていくのが調整です。ところが、目標のマラソンに向け、1ヵ月程度を切ってくると、なぜか焦りを感じて気が付かないうちに多くの失敗をしています。

■失敗例1).急にスタミナの不安を感じて30k以上の距離走を詰め込む。■失敗例2).調整のつもりで出場したハーフマラソン等で力を出し過ぎる。■失敗例3).これまで経験したことのない針治療やマッサージ、サプリメント等を急に試しだす。

皆さんはいかがでしょうか?

これらの失敗を防止し、最後の調整をしっかりとできる市民ランナーは意外と少ないのも事実です。しかし、目標のマラソンに向けて何ヵ月も走り込んできたにも関わらず、直前のたった数週間の調整で全てが無駄になってしまうのは悔やみきれません。

次回からは、これらの失敗例をふまえて最終調整について考えていきます。

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