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2021-08

8月を走る・4

【8月を走る・4】北海道北見市で実施してきた調整合宿は、全日程を無事に終了しました。また、今合宿も北見市の皆様方からの絶大なるご支援により、計画どおりのトレーニングを消化することができました。重ねて御礼申し上げます。

そして、昨日の夕方、強化拠点にしているいつもの千葉県富津市に移動しました。いよいよ最終調整です。そして、一夜明けた本日、選手たちは調子を確認しながら軽めに走りましたが、北海道と湿度が大きく違うので、体感する暑さの違いを感じました。しかし、先週からこの湿度を見越して、北海道北見市において暑熱順化を再開していたので、特に心配はありません。

具体的な実施方法は、室温を35度以上、湿度を70%以上に上げた部屋で1時間程度運動を実施する方法です。もちろん、計画したトレーニングとは別となります。これを数日間実施すると、発汗などが変わっていきます……。

さて、9月5日のマラソンに向け、残すポイント練習もあと数回となりました。ここから先は、想定外の体調不良(風邪など)や想定外の怪我(段差での転倒など)によるアクシデントに最大の注意をはらっていきます。

これはどんなレベルのランナーにも当てはまりますが、絶好調に仕上がっているときに限って、上記したような想定外のアクシデントにより狙ったレースを、棒に振ってしまったランナーを過去に見てきました。最後まで気を引き締めていきます。

本日、新国立競技場において、T11クラスの男子5000mで唐澤選手が銀メダル、和田選手が銅メダルを獲得しました。同じブラインドマラソンチームとして切磋琢磨してきた仲間の快走に、富津で調整している選手とガイドランナーたちも大きな「勇気と力」をもらいました。

後に続くよう、最終調整に集中していきます。

8月を走る・3

【8月を走る・3】8月7日から北海道北見市において調整合宿を実施しております。しかし、8日から日中の気温が、20度前後の肌寒い日が続いてきました。涼しい北海道と言いながら、逆に不安になっていましたが、ようやく本日30度をこえました。

もちろん、最終調整のため、涼しい同地を選んで滞在していますが、1週間以上も涼しい日が続くと、計画以上に調子が早く上がっていく恐れがあります。調子が悪く、何をやっても調子が上がっていかない状態は最悪ですが、どんどん勝手に調子が上がっていくのも困ります。

ここで調子についてですが、様々なとらえ方があります。個人的には、調子は「消耗品」と考えております。具体的には良い調子を貯めるまでには時間がかかりますが、良い調子を貯めておくコップの底には大なり小なりの穴があいており、早く貯めても底から抜けていきます。また、良い調子の量は決まっているので、あとから補充することは絶対にできない。そんなイメージでしょうか。

つまり、タイミングがずれて調子が上がりだすと、その調子を制御しながら目標の大会当日に合わせることは難しくなると言うことです。また、よく勘違いするのが、トレーニングの強度と量を増やして走力そのものを引き上げることと、トレーニングの量を落としながら身体面と精神面の調子(コンディション)を引き上げていくことは似ていますが違います(強化合宿と調整合宿の違い)。

至極当然のことですが、目標の大会3週間前になると、これから猛練習をしても走力を上げることはできません。ここからは上記したとおり、トレーニング量を落としながら(原則として質はキープ)、調子を引き上げていく段階に入ります。

また、ここから多くの選手は「不安」との葛藤にもなります。具体例として、「ここから練習を落として大丈夫だろうか?」「やり残したことはないだろうか?」など、いつもなら考えもしないことを思いつたりします。更に、いわゆるSNSからの情報や、家族や仲間たちからの励ましなどにも心を揺さぶられ、ときには危険な状況に追い込まれたりします。

いよいよ最後の最も難しいかじ取りに入ります……。

8月を走る・2

【8月を走る・2】8月7日から北海道北見市において、最後の調整合宿に入りました。このまま9月5日のパラマラソン当日まで、選手とガイドランナー、そして、スタッフ全員が一緒に調整します。

つまり、地元開催の利点を活かした、これまでのパラリンピックとは違った調整の流れになりますが、ここまでは計画どおりにことは進んでおります。しかし、本来であるなら、開催国に長時間のフライトで移動し、最初に日本との時差に体を慣らさなくてはいけません。

同時に、現地の気候などにも体を慣らす必要があり、更にその土地に慣れる必要もあります。おちろん、口で言うのは簡単ですが、最初につまづくと、そのまま大会当日まで不調を引きずっていく可能性が高くなります(実際にそうなります)。

また、選手村に入村したらすぐに、各部屋の間取りや使い勝手などの確認(国によって微妙に違っていたりする)。更に、選手村内の食堂や各施設との位置関係など、確認することが多くあります。そして、何よりも選手村から各競技会場へ移動するためのシャトルバスの乗り方や移動時間などを確認し、実際に乗って移動してみます。

実は、シャトルバスを運転するボランティアの中には、指定されたルート(道)を知らないまま運転を引き受けている人もいたりします。実際に、2016年リオ大会においても、最初に乗った陸上競技場行きのシャトルバスが道に迷い、狭い路地に何度も入り込み、何度もUターンしました。信じられませんが、海外におけるこのトラブルは意外と多く、確認が必須です。

このように、日本では絶対に起り得ないようなことが、国際大会においては普通におこることがあります。また、直近の大会は施設そのものが未完成の状態で大会が実施されているケースも見受けられるので、最初から「話し半分」程度の気持ちも必要に感じます。

他にもいろいろとありますが、国際大会は現地入りした後、上記したようなことをいかに短期間でものにできるか否かは、選手の調整にも大きく影響します。また、これらについては、事前に視察していても、実際に人とものが動き出した後とでは大きな乖離があるので、何度経験してもその現場で素早く対応するしかありません。

今回は東京開催なので、これまでのような不安要素がほぼ「0」に近く、選手とガイドランナーの調整に集中することができます。本当にありがたいことです……

8月を走る

【8月を走る】先週の土曜日から2泊3日の日程で、菅平合宿を実施しました。これは毎年実施しているクラブチームの合宿です。このブログでも記載してきましたが、合宿の日程が短期間であっても、準高地である菅平高原で走り込むのは、秋以降のマラソンに向け、プラスになります。

また、今回も例年どおり、メインのトレーニングは「距離走」です。その距離はそれぞれの走力や調子によりますが、最長で40kを走りました。そのスタートは、それぞれの距離と設定タイムごとにグループをつくり、時間差で出走していきます。

標高が1300m前後にある起伏コースで実施したため、途中で送れる人もいましたが、おおむね予定どおりにゴールしていました。しかし、これも毎年のことですが、せっかくの機会だからと言って、いつもより速いグループでスタートしたり、いつもより長く走ろうと、欲を出し過ぎた人ほど、うまく走れない傾向になりました。

そして、これも毎年のことですが、過去の実績や経験だけにたより、「このペースや距離なら大丈夫」と単純に判断してスタートする人は多い。その結果、途中で失速したり、ゴールできなくなった人の多くは、この考え方(過去の実績や経験にこだわり過ぎる)に陥り易いと感じます。

つまり、現時点の調子や走力はもちろん、当日のコンディションなどを加味していないことが主な原因となります。そして、ゴール後にそのことを指摘しても、そうなる人は、その事実を受け入れようとしない傾向も強いと感じます。

「ゆとりを持って走り込む」ことは、どのレベルのランナーにも不可欠な点です。しかし、どのレベルのランナーであっても、「過去の実績や経験」にこだわり過ぎて、「もっと長く、もっと速く」ばかりを追求し、結果的には何度やっても「最後までやり遂げられなかった実績」を繰り返している人は意外と多いのです。

やはり、何事もそうですが、まずは確実にやり遂げることが大切です。引き続き、夏の走り込みを継続していくには厳しい状況が続きますが、ゆとりを持って、確実に走り込んでほしいと思います。

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