Home > Archives > 2018-02

2018-02

連戦について・7

【連戦について・7】今回は、注意点3の「本命のマラソンの2週間から1週間前のタイミングでのレース」について考えていきます。

まずは、このタイミングでのレース結果は、「メンタル面」に直結する可能性が高いことです。ひとつは、予想外に悪いタイムで走った場合、「もうダメだ」と言う気持ちが支配的になり、マラソン当日に向けてマイナス思考に陥ってしまう可能性が高くなる点です。

こうなると、本当にダメになってしまう可能性が出てきます。同時に、それが焦りになって、本来なら練習量を落としていく時期にも関わらず、再び長い距離を走ったり、急激なスピード練習を再開したりと、本当に調子を落としていく方向に向かってしまう可能性も出てきます。

一方、想定以上に良いタイムで走った場合、今度は気持ちが高揚し、マラソン当日に向けて本来の調子を正確に見極めることが難しくなる可能性があります。実は、マラソン2週間前からのレースについては、順調に走り込みができた方ほど、自己新記録が出る可能性は高くなります。

そして、その調子をマラソン当日までキープできれば良いのですが、自己新記録をマースしたそのレースで力を出し切ってしまい、逆に本命のマラソンで失敗するケースも多いので、本当の調子を見極めるのが難しくなるのも事実です。

更に、出場したレースのコースやコンディションが極端に悪く、調子の良し悪しを判断することができないケースもあります。特に、起伏の多いコースを走ってしまうと、記録が悪くなるのはもちろんですが、起伏を走った疲労が残り、マラソン当日まで引きずってしまう可能性もあります。

以上のように考えていくと、良いことはひとつも無いように感じますが、2週間前からのレースを走って、更にマラソンでも記録を達成したケースもあります。重要なポイントは、これまで以上に自分自身が決めた設定タイムに沿って走り切ることです。

つまり、タイムが良くても悪くても、そこから本命のマラソンまで再調整する時期が短いので、スタート前に決めた設定タイムや戦術をゴールまで必ず守ることです。この点はどのタイミングで走ったレースも同じですが、2週間前からのレースは特に徹底するようにしましょう。

そして、エントリーした大会が起伏の多いコースだった場合、無理に走らず回避し、いつもの平坦な練習コースに変更することを推奨します。同時に、2週間前からのレースに出場するか否かに関係なく、この時期からの起伏走は避けるようにしましょう。

強化合宿

【強化合宿】2月10日(土)からの3連休を活用し、13日(火)までの日程で日本ブラインドマラソン協会の強化合宿を千葉県富津市富津公園で実施しました。

今回の強化合宿は、2月4日に開催された別大マラソンの翌週だったにも関わらず、その別大マラソンを走った男子選手2名も参加し、合宿では精力的な走り込みを見せていました。

特に、参加選手の中では、女子T11クラス(全盲)の2選手が、積極的に走り込んでいました。もちろん、既に今シーズンのマラソンで2選手とも自己新記録を達成しており、スタミナもスピードもレベルアップしています。

ひとりは、期待の若手選手であり、本格的にマラソンをはじめて数年ですが、この半年間で急激に成長してきている選手です。次のマラソンは、4月のかすみがうらマラソンになりますが、自己記録更新だけでなく、日本記録にも迫る走りが期待できます。

そして、もうひとりの選手は、逆に50代のベテラン選手です。既にマラソン歴は長く、一般的な感覚からすると、記録を狙うのは難しいと思われる年代に入っています。ところが、昨年12月の防府読売マラソンにおいては、11年振りとなる自己新記録を達成。更に、今回の合宿においても、40k走では過去最高タイムで走り切るなど、成長著しい選手なのです。

実は、1年前は本人の口からも、「もう限界」のような言葉も聞こえていましたが、今では「後ろ向きな発言」を完全に断ち、4月のワールドカップマラソンに向け、誰よりも積極的に走り込んでいます。

私も視覚障がいマラソンに携わるようになって20年以上ですが、あらためて「自己の限界に挑戦するのに年齢や性別は関係ない」と、思い知らされています。同時に、視覚障がいマラソンの強化を通じて、50代や60代になってからのトレーニング方法を選手たちと共に考えながら実践できる点は、本当に感謝の一言です。

また、その選手たちのガイドランナーとして、箱根駅伝常連大学の中央学院大学の3選手にも初参加頂き、新しい力を取り入れることもできました。50代の視覚障がい選手を20歳の現役学生選手がガイドする姿は、視覚障がいマラソンの醍醐味とも言えます。

引き続き、全員の力を結集し、世界を狙っていきます。

別府大分毎日マラソン

【別府大分毎日マラソン】伝統の第67回別府大分毎日マラソン大会が2月4日に開催され、今年も第18回視覚障がい男子マラソン選手権を兼ねての大会となりました。

同部門には7名の男子選手がエントリーし、女子選手は2名、計9名の視覚障がい選手が伝統の別府大分毎日マラソンに挑みました。

果たして当日は、早朝より粉雪が舞い、気温も終日4度前後で寒風が強く、選手たちにとっては想定以上の過酷なコンディションとなりました。

また、スタートから最初の折り返しである10kまでは向い風。10kから次の折り返しである35kまでは追い風。そして、35kからゴールまでは強い寒風の吹荒れる向い風と、35k以降の失速が懸念される中でのスタートでした。

一般男子の部は「MGCシリーズ」で、サブテンを目指した設定タイムをペースメーカーが正確に刻んで行きました。レースが動いたのは30k過ぎからで、ここまで多くの日本人選手も残っており、サブテンランナーが複数誕生する期待が高まりました。

しかし、35kからの強い向い風と寒さに、2位に入った園田選手以外の日本人選手はほぼ全員が失速し、サブテンを達成した日本人選手は園田選手ただひとりと、厳しいコンディションでした。

一方、視覚障がい選手たちも一般男子選手同様、30k過ぎまでは日本新記録を狙えるラップを刻んで行きました。特に、T12クラスの熊谷選手と岡村選手の積極的な走りに期待は膨らみました。

案の定、30k過ぎからは、リオデジャネイロパラリンピック銅メダリストの岡村選手が独走態勢に持ち込み、「勝負あった」の展開になりました。ところが、岡村選手が先頭で競技場に戻ってきたその30m後方に熊谷選手も粘っていたのです。そして、残り200mから熊谷選手が猛スパートし、逆転のゴール。

記録的には35kからの向い風の影響を強く受け、両選手とも失速しましたが、両選手とも2時間30分を突破。惜しくも日本新記録達成はなりませんでしたが、国内大会において視覚障がい選手2名が同時に、2時間30分の壁を突破する「史上初の快挙」となりました。

連戦について・6

【連戦について・6】前回からの続きで、注意点2について更に考えていきます。

前回は、本命のマラソンから4週間から3週間前のレース出場を否定するような事例ばかりあげましたが、別の見方として、「連戦について・3」にも記載したように、ハーフマラソン以下の距離だと想定以上に快走してしまう可能性もある点です。

走り込みの疲労も出てくる時期なので、レース中は最後まで重たい感じのままゴールすれば良いのですが、ハーフマラソン程度の距離だと、スタミナがアップしている分、最初からある程度のペースで最後まで押し切れてしまうケースがあります。

その結果、そのレースを境に調子が一気に上がっていく可能性もあり、こうなると狙ったマラソンに調子を合わせることが、難しくなっていきます。そこで、調子の波を狙い通りに導く必要があり、これが重要なポイントになります。

具体的には、トレーニング計画の流れを変えないようにして、レースに出場することです。つまり、練習の一環として出場するレースに対しては、「調整」をしないことです。

例として、日曜日のレースに向け、その週に予定してあるポイント練習の量を落としたり、疲労を抜くような内容に変更しないことです。このような調整を実施してしまうと、想定以上に調子が上向いて、上記のように陥ってしまいます。

更に、練習の一環として出場したレースに関しては、スタート前に必ず設定タイムを決め、その設定タイムに沿った走りに徹することが大切です。これは、どのレースにも当てはまりますが、特にマラソン4週間から3週間前のレースはより重要と考えます。

もちろん、設定タイムどおりに走れる自信が無いとか、逆に調子が思うように上がっていない場合は、勇気を持ってそのレースを回避することも必要です。その場合、大会参加費等の経費は全て無駄になりますが、レースを練習の一環として出場する方は、その決断のできる強い気持ちも不可欠です。

前回も記載しましたが、本命のマラソンに向けた4週間から3週間前の時期は、走り込み期から調整期に移行していく時期なだけに、レースで頑張り過ぎたり、追い込み過ぎたり、逆に後半大きく失速したりと、調子の波が大きく変わるような走りを回避することは必須です。

Home > Archives > 2018-02

Search
Feeds

ページの先頭へ