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2013-05

第33回スポニチ山中湖ロードレース大会

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【第33回スポニチ山中湖ロードレース大会】先日の5月26日(日)、山梨県において山中湖ロードレース大会が開催されました。残念ながら私自身は現地での応援はできませんでしたが、私がコーチする選手たち(市民ランナー)も出場しました。

特に、ハーフ一般女子の部に出場した山口遥選手(AC・KITA)は、見事3連覇を達成しました。記録的にも1時間21分44秒と、自己記録には届きませんでしたが、同大会でマークした過去最高記録でした。

この大会は、ランニングブーム以前から人気は高く、このブログに記載したこともありますが、私も過去に優勝経験のある大会です。※第16回大会/ハーフ一般男子の部/優勝/1時間8分28秒。

至極当然のことですが、自分自身が過去に出場した大会において、自分のコーチする選手が優勝することは、とても感動的なことです。もちろん、優勝した山口選手は市民ランナーですが、20代と若く、将来性豊かな選手です。

これは、個人的な視点も入りますが、ランニングブームと言いつつも、男女とも20代の市民ランナーは圧倒的に少ないと感じます。また、私が現役時代の市民ランナーたちと比較しても、ストイックに走っている人は少なくなり、レベルも落ちている感は拭えません。※マラソンの記録を見ると、2時間20分前後で走っている市民ランナーが少なくなった。

そんな中、公務員ランナーの川内優希選手が出現し、低迷していた男子マラソンに勢いが戻ってきました。同じく、山口選手には女性市民ランナーとして、川内選手に匹敵するようなランナーに飛躍してほしいと期待している選手です。

そんな彼女も実は、今年に入ってから貧血に苦しみ、調子がなかなか上がりませんでした。しかし、思うようにスピードの上がらない辛い日々も、決して投げ出すことなく地道な取り組みを継続し、今回の優勝につなげました。

そして、今回の貴重な経験を目標である秋のマラソンにつなげて行ってほしいと…。

絆・8

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【絆・8】先日の5月18日(土)、茨城県笠松運動公園陸上競技場において、第55回東日本実業団陸上競技選手権大会が開催されました。そして、今年も昨年同様、同大会のプログラムに「視覚障害者1500m」を加えていただきました。まずは、ご尽力いただいた関係各位に感謝申し上げます。

今年の出場選手は、昨年のロンドンパラリンピックで銅メダルを獲得した全盲の和田選手を筆頭に4名でしたが、4選手ともかなり調子を上げており、自己記録更新も十分に可能な調子で挑みました。

◆視覚障害者男子1500m決勝:1位/和田伸也(全盲)/4分23秒11。2位/岡村正広(弱視)/4分26秒88。3位/谷口真大(全盲)/4分36秒21。4位/米岡聡(全盲)/5分25秒08。

残念ながらマラソンを狙っている岡村選手を除く全盲の3選手とも、目標タイムに届かない結果となりました。中でも、全盲の和田選手と谷口選手については、7月にフランスで開催されるIPC世界選手権(※)をイメージして挑んだだけに課題が残りました。※5月22日現在、日本代表選手は決定しておりません。

翌日の5月19日(日)は、兵庫県尼崎市において、第57回関西実業団陸上競技選手権大会の5000mが実施されました。同種目には弱視の堀越選手も出場し、ロンドンパラリンピックで自身がマークした日本記録更新を狙いましたが、後半大きく失速し、目標タイムには届かない結果となりました。

特に、ロンドンパラリンピックで好成績と好記録の両方を達成した和田選手と堀越選手については、周囲からの期待も大きかっただけに本人たちも落ち込んでいました。

至極当然のことですが、自分自身を評価してほしいとか、注目されたいと思ったなら、まずは相応の実績を残す必要があります。その逆はありません。昨年のロンドンパラリンピックにおいて、和田選手と堀越選手は素晴らしい結果を残しました。帰国後は、多くの関係者から表彰を受け、周囲から認められる選手へとステップアップしました。

しかし、周囲からの期待が重荷に感じる場面も増えており、記録や結果に対するプレッシャーを感じることが多くなってきたのも事実です。もちろん、ロンドンパラリンピック前もプレッシャーはあったと思いますが、心のどこかで「ダメで元々」と、プレッシャーを感じるより、チャレンジ精神の方が上回っていました。

ところが、最近は本来のチャレンジ精神以上に周囲からの期待(プレッシャー)が強くなり、それが各レースで見受けられるようになってきたのです。具体的には、レース中の「力み」です。特に、トラックレースでは、スタート直後からの「力み」は後半の大きな失速に直結します。

これは、多くの学生選手や実業団選手にも見受けられます。プレッシャーよりチャレンジ精神の方が上回る各種記録会や海外競技会では、常に好記録を残せる選手は多く見受けます。しかし、タイトルのかかった国際大会、国内の選手権大会や駅伝大会のように、プレッシャーの方が強く、結果を求められる大会で自己記録(目標タイム)を更新できる選手は意外と少ないのです。

和田選手、堀越選手ともに、周囲の期待を正面から受け止め、更に狙った大会で結果を残せる強い選手に脱皮するためにも、ここは避けてとおれない壁でもあるのです…。

つづく。

期分け・66

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【期分け・66】前回から少し間があきましたが、続きです。前回はスタミナ養成に効果的な走行時間について考えました。今回は、走行距離についてです。

前回は、ゆっくりでも「1時間40分~2時間30分」の間、走り続けることで、スタミナ養成には効果的である話しをしました。今回も同様に、サブスリーレベルランナー(3時間突破)を例に考えていきます。

では早速、前回の走行時間を走行距離に換算していきますが、その計算は、このブログの「期分け・62」で記載したサブスリーランナーの脚くつりに効果的なスピードである「4分28秒~4分44秒(1kあたり)」に、上記時間をあてはめます。

はじめに、4分28秒で計算すると、次の距離になります。

◆距離1:23k~34k≒25k~35k。

面白いことに、マラソンを走った場合のスタミナが枯渇してくる距離と、ほぼ一致しています。実は、前回の走行時間同様、ポイントはゆとりを持った走り込みです。すなわち、実際のマラソンでスタミナが枯渇してくる距離こそが、ひとつの目安となります。そして、ゆとりを持ったペースでその距離を繰り返し走り込んでいくことは、スタミナ養成に効果的な方法のひとつと言えます。

次に、4分44秒で計算します。

◆距離2:21k~31k≒20k~30k。

走るスピードが遅くなるので、当然のことながら走行距離も短くなります。では、この違いはどんな意味があるのでしょうか?

ヒントは気温や天候にあります。ちょうど今の時期が境目になると思いますが、秋から冬のマラソンシーズンがひと段落し、季節が春にかわる4月以降です。気温が一気に上がり、紫外線も強くなってくる季節ですが、身体は暑さに順化していません。

多くのランナーは、「スピード養成期」へと入っていきます。しかし、トレーニングのポイントがスピード系に移行したとしても、スタミナがベースになるのは年間を通じて変わることはありません。したがって、ある程度の距離走は年間を通じて必要不可欠なトレーニングになります。

ところが、気温が高くなってくるこの時期に、秋から冬のマラソンシーズンと同じ距離を同じ設定タイムで走り込むことは、とてもリスクが高いことは誰の目から見ても明らかです。そこで、ちょうどこの時期を境に距離と設定タイムを見直す必要が出てきます。

その目安となる設定タイムと距離が、上記の「距離2」となります。

つづく。

絆・7

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【絆・7】毎年恒例のGWも終わりましたが、計画どおりの走り込みや出場した大会では、目標を達成することはできたでしょうか?

さて、こちらも毎年恒例となりました、日本盲人マラソン協会主催の強化合宿を千葉県富津市において開催しました。今年は、初の女子強化指定選手も参加し、総勢32名と過去最大規模の強化合宿となりました。

はじめに、その強化合宿で実施したトレーニング内容を記載します。

◆5月3日(1日目):午後/ドーピング講習会(JADA)、120分LSD+1k走(全力)。◆5月4日(2日目):早朝/各自フリー、午前/30k走、午後/グループ討議(トレーニング方法等について)、90分LSD+1k走(全力)。◆5月5日(3日目):早朝/各自フリー、午前/400m×20本、午後:解散。

以上のような内容ですが、実施内容については、毎年大きく変わることはありません。淡々と毎年継続している内容です。昨年のロンドンパラリンピックで銅メダルを獲得した全盲の和田選手もこのトレーニング内容で、地道に力を付けてきました。特に、2日目は1日の走行距離だけで、60kを軽くこえる内容です。

今回の合宿では、成長著しい全盲の谷口選手も和田選手と同じグループで、同じ設定タイムで、同じ距離をパーフェクトに実施しました。また、弱視の岡村選手も元気な走りを取り戻し、久々に充実した様子を見ることができました。

一方、初参加の女子選手たちですが、合宿前はトレーニング内容や他選手とのコミュニケーション等に対し、不安を持っている選手もいました。しかし、合宿先の富津に集合し、一緒に切磋琢磨していく中で、表情や走りも自信に満ちた様子に変わっていきました。

今回、参加した女子選手たちの中に、その傾向の強い人もいましたが、一般の市民ランナーの中にも、情報過多になっているランナーは意外と多いと感じます。具体的には、トレーニング方法や食事、更には調整方法等に関する知識は豊富なのですが、自分自身の身体にその知識を落とし込んで、常に的確な設定タイムや距離を導き出すことがうまくできず、故障や怪我を繰り返すパターンに陥っているケースです。

もちろん、理論や知識を学ぶことは大切です。しかし、マラソンを攻略していく上で最も重要な要素は、自分自身が経験したマラソンや日々のトレーニングでの成功体験です。そして、その成功体験に最も近い理論やトレーニング方法を実践している人やチームこそが、実は自分自身に最も適した理論であり、トレーニング方法とも言えるのです。

また、いつの時代も口で言うのは簡単です。特に、マラソンについては、相応の手間と時間が必ず伴います。今回、初参加した女子選手たちも、これまで同様、地道な走り込みを継続していってほしいと、心から願っております。

つづく。

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