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2012-12

年末年始

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【年末年始】今年もいよいよ数日となりましたが、皆さんにとってどんな一年だったでしょうか。自己記録更新や目標の記録を達成した方、怪我や故障に悩まされた方、振り返ると様々な出来事が頭の中を駆け巡ることでしょう。もちろん、良かった点、悪かった点を反省し、来年に活かしてほしいと思います。

同時に、これまた毎年のことですが、これから年末年始の休日に入ります。ところが、大掃除や忘年会、実家への帰省等々、同じ休日でも他の休日とは違い、かなり慌ただしくなります。一方で年が明けると後半のマラソンシーズンがはじまります。そのため、この年末年始は、後半のマラソンシーズンにとって、とても重要な時期となります。

さて、これまでも何度かこのブログでも取り上げてきましたが、年末年始の走り込みについてあらためて考えてみます。

はじめに、この年末年始に相当する12月24日前後から1月7日前後までの約2週間は、1月末から2月以降のマラソンを目指しているランナーにとっては、欠かすことのできない重要な走り込み期となります。特に、一般的な市民ランナーは、週末集中型のトレーニング方法を実践しているケースが多く、マラソンを目指していく上で休日の走り込みは重要なポイントになっています。

ところが、この年末年始に限って言えば、上記したような行事や予定が入り、いつものように走り込むことが難しくなっていきます。更に、飲食を伴う行事も多く、断ることすら難しいケースも多々見受けます。以上のことから走り込みが不足し、更に暴飲暴食が重なるパターンに陥り易く、マラソンを目標に走り込みを実施していくためには、逆に最悪の時期となり得るリスクを伴うとも言えます。

では、上記したような悪循環に陥らないための注意点をいくつかあげてみます。

◆注意点1).早朝型走り込みの実践:年末年始の予定は昼から夜にかけての行事が多いので、少し早起きをして早朝型の走り込みにシフトする。また、これを機に早朝型を習慣化していく。◆注意点2).LSDを軸にした走り込みの実践:どんな状況でも単独で30k以上の距離走が可能な方は別ですが、年末年始は無理に長距離を走るより、少しのんびりとした気持ちに切り替えて長時間を走るようにしていく。◆注意点3).ラジオを活用した走り込みの実践:元旦から3日までは国内最大級の駅伝中継が続きます。実は上記した以外に、この駅伝中継のために走り込みができなくなるケースもあります。そこで、ラジオ中継を聞きながら走ることができれば、モチベーションアップにもつながります。もちろん、音楽を聞きながら走ることと同様に、周囲への安全を確保した上でのことになりますが。

以上の3つが主な注意点となりますが、大切なことは忙しいことを理由に「走り込みができなかった」と、言うことを回避することが最大の目的となります。そのためには、年末年始を前に、最初から無謀な走り込み計画を組まず、少し気持ちにゆとりを持つことは大切です。

そして、この休日でヒットやホームランに相当する質の高い走り込みを過度に追及せず、休日明けからスムーズに移行するためのバンドに相当する「つなぐために走り込み」を意識することは、ひとつのポイントになると考えます。

最後になりましたが、このブログも皆様方のおかげで、何とか今年も継続することができました。あらためて感謝申し上げます。来年も何とか継続できるよう精進していきますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。

期分け・56

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【期分け・56】少し間が空きましたが、久々に期分けシリーズです。前回からの続きで週末トレーニングの組合せパターンについて検証していきます。今回はパターン3の「土曜日:スタミナ系トレーニング+日曜日:スタミナ系トレーニング」についてです。

結論から言いますと、このパターンについての判定は「〇」です。

特に、マラソンを目標に走り込みを継続している初心者から上級者ランナー全てのレベルにおいて効果的なトレーニングパターンと言えます。もちろん、ランナー毎に走力の差があるので全く同じ内容のトレーニングを実施することはできません。しかし、ある数値を用いることで推奨できるトレーニングパターンや内容が見えてきます。

その数値として、「AT(無酸素性作業閾値」や「LT(乳酸性作業閾値)」がよく登場します。実は、私も専門的なことを細かく説明することはできませんが、ポイントを説明すると次のようになります。

はじめに「AT」についてですが、ランナーなら誰でも経験していることです。すなわち、ゆっくりと走りはじめ、少しずつスピードを上げていくと、あるスピードから突然苦しさが増していきます。つまり、楽なスピードでは、疲労物質である乳酸が蓄積されることはありません。しかし、あるスピードからはその乳酸が蓄積はじめるため、それ以上のスピードで走ると苦しさが増していき、走り続けることができなくなります。その境界を「AT」と言っています。

次に「LT」ですが、血液中の乳酸濃度についてです。具体的には、VO2max(最大酸素摂取量)の50%~70%程度の強度であれば、血中乳酸濃度は2~3mmol程度でそれ以上増加することはありません。しかし、運動強度を急激に上げていくとこの血中乳酸濃度は急激に増加していきます。そして、3~4mmol程度を境にこのカーブが急激に上昇し、この限界点を「LT」と呼んでいます。同時に、マラソンのようなスタミナ系の運動は、VO2maxより「LT」の方が持久力を判断する上ではふさわしいと言われています。

また、「AT」も「LT」も境目はポイントではなく閾値と言うだけであって「ゾーン」と考えられており、個人差やその日の体調等によってかなり違いがあります。

以上のように言葉で表現すると、簡単に説明したつもりでもかなり専門的で難解になります。かくいう私もこれ以上専門的な話しをすることはできません。しかし、「乳酸」と言う言葉がひとつのキーワードになることは何となく理解できます。同時に、この乳酸がある一定以上蓄積されないペースなら理論上はずっと走り続けることが可能と言えます。

つまり、乳酸が急激に増加してくる閾値のレベルを改善することができれば持久力アップにもつながり、マラソンの記録も向上するはずです。

つづく。

絆・3

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【絆・3】視覚障害者マラソンの普及と発展に力を注いできた「NPO法人日本盲人マラソン協会(JBMA)」が30周年を迎えることができました。この30年の間、本当にたくさんの方々のご尽力とご支援に支えられてきました。あらためて、心より感謝申し上げます。

当協会は、故杉本博敬初代会長の「情熱と行動力」によって誕生しました。その杉本初代会長は自らも中途失明し、想像を絶する苦労を重ねた方です。しかし、同会長は周りの人々が「舌を巻くほどの情熱」と「圧倒的な行動力」で、次々と理解者を取り込んで当協会の礎を築きました。

さて、視覚障害者がマラソンを走るには伴走者が必要不可欠であり、その伴走者に対しても称賛の声があがります。もちろん素晴らしいことに違いありませんが、マラソンを走ろうと決意して行動をおこすのは、あくまでも視覚障害者本人です。したがって、視覚障害者本人の情熱と行動力が無いと、マラソンのスタートラインに立つことすらできません。つまり、伴走者は選手(視覚障害者)の情熱と行動力によって、選手(視覚障害者)から伴走されるのです。

1996年のアトランタパラリンピックで日本人初の金メダルを獲得した全盲の柳川春己氏は「金メダルをとる!」と、合う人たちに言い続けました。そして、まさに「舌を巻くほどの情熱」と「圧倒的な行動力」で、見事に金メダルを獲得しました。

これは、一般のマラソンにも当てはまります。今回の30周年記念大会にゲストランナーとして花を添えていただいた公務員ランナーの川内優希選手も決して恵まれた練習環境ではありません。しかし、実業団ランナー(プロ)たちも「舌を巻くほどの情熱」と「圧倒的な行動力」で結果を残し、今や日本陸連までも熱い視線を注いでおります。

先日の京都福知山マラソンで、全盲の和田伸也選手が2時間36分32秒のアジア新&日本新をマークしました。上記した柳川氏がアトランタパラリンピックでマークした記録は2時間50分56秒と、当時のアジア新&日本新でした。1996年から記録的には14分弱も進歩したことになります。しかし、柳川氏が残してきた功績には、未だ到達することはできません。

これから世界と勝負していくために必要なことは、トレーニング環境やそれを裏付ける資金等、ハード面の整備は欠かすことができません。しかし、先人たちが身を持って示してきたソフト面にあたる、マラソンに対する「舌を巻くほどの情熱」と「圧倒的な行動力」を取り戻すことが、実はこれからの時代にも必要不可欠であると感じます。そして今回、30周年の節目をあらたな土台とし、意識改革も含めた新しい歴史を構築していきます。

引き続き、皆様方の絶大なるご理解ご支援をよろしくお願い申し上げます。

つづく。

第66回福岡国際マラソン選手権大会

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【第66回福岡国際マラソン選手権大会】先日の12月2日(日)、国内最高峰のマラソン大会である「第66回福岡国際マラソン選手権大会」が開催されました。ロンドンオリンピック代表の藤原選手と公務員ランナーの川内選手との直接対決で何かと話題の多い大会でしたが、日本人トップは旭化成の堀端選手が2時間8分24秒の自己新記録での2位でした。

私も久々に現地にて応援をしましたが、曇り空でほぼ無風のコンディションに、記録への期待を込めての応援となりました。さて、私の選手は3名出場しましたが、3選手とも参加資格はマラソンを2時間42分以内のBグループです。そのため、スタートは平和台陸上競技場ではなく、隣の大濠公園となります。

実は、私自身にとっても大濠公園から選手を見送るのは初めての経験ですが、人数的に言うと、今回エントリーしたほとんどの選手は、この大濠公園からのスタートになります。また、今大会のようにスタート地点を分けてのスタートは、実際にどのようにスタートしていくのか、様々な視点から興味がありました。しかし、大濠公園からのスタートは陸上競技場とは違い、どの選手もスタート直前まで応援にかけつけた家族や仲間たちと談笑したり記念写真を撮ったりと、とてもリラックスした様子でした。

12時10分、号砲と共に一斉に福岡の街に駈け出していきました。途中、地下鉄を乗り継いで選手を応援しましたが、女子選手の応援と違って、スピードが速いのでゆっくり応援する時間はありません。数ヶ所のポイントで声をかけた後、ゴールの平和台陸上競技場に戻りました。果たして、私の3選手とも無事にゴールし、2選手は自己新記録をマークすることができました。

また、私がもうひとつ注目していた点として、川内選手を除く市民ランナーたちの中から何人の選手が「2時間20分」を突破してゴールするかです。しかし、残念ながら今回はそれに該当する選手はいませんでした。沿道で応援していると、ちょうど2時間20分突破を狙っている20数名の集団は形成されていたのですが…。

個人的な考えですが、高校時代や大学時代に陸上競技選手としての実績がほとんどない純粋な市民ランナーたちの中から「2時間20分」を突破できるランナーが次々に輩出される流れになったときが、本当の日本マラソン界の底上げだと思います。

と、言いながらマラソンの楽しみ方や価値観は様々です。同時に、仕事や家庭との合間をぬって走り込みを積み重ねている市民ランナーが、「2時間30分」を突破することも並大抵の努力ではありません。しかし、更にその上の「2時間20分の壁」に向かって本気で挑戦する市民ランナーが多くなることを期待するのと同時に、可能な限り応援していきたいと、強く感じた久々の福岡でした…。

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