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2017-01

マラソンシーズン

20170130-大阪国際女子マラソン

【マラソンシーズン】いよいよ2016年度(2017年3月末まで)後半のマラソンシーズンが本格的にスタートしました。その皮切りとして先日の1月29日(日)は、多くのマラソン大会が全国各地で開催されました。

特に、同日開催された大阪国際女子マラソン大会は2020東京五輪に向け、新しいヒロイン誕生を期待して大いに注目。結果は、重友選手が後半追い上げて見事な復活優勝を果たしました。

さて、私が主宰する富津合同マラソン練習会で切磋琢磨している女性市民ランナーの方々からもこの大阪国際女子マラソン大会を目標に多数の方が走り込んできました。ところが、今回は不調から復帰途上の方も多く、自己記録更新を目指したトレーニングを順調に積んでこれた方は2名のみでした。

2人とも40歳代の女性市民ランナーで、1人は初のサブスリー達成を目標に頑張ってきた方です。2人とも昨年夏以降の同練習会において、30k以上の距離走も順調に消化し、昨年11月に開催された「つくばマラソン大会」においては2人とも自己記録更新を達成しております。

またその後も、怪我や故障もなく順調に走り込み、今月に入ってからの最終調整期においても、量から質に変換するポイント練習も無事に走り切ることができていました。こうなると、記録更新はほぼ間違いありません。

ところが、大会が近づいてくるに従い「私は本当に大丈夫なのか?」と、精神的な不安は加速度的に増していきます(私は不安症候群と呼んでいる)。これは一流の実業団選手をはじめ、どのランナーにもあることです。

そして、意外と多くのランナーがこの不安な気持ちに負けてしまい、調整期に入っているにも関わらず、不必要な走り込みやスピード練習、経験のない補強運動や各種治療、あるいはサプリメント等を取り入れて最後は自滅しています。更に、このような負のスパイラルに陥る方は毎回繰返す傾向が強くなっていくのも特徴です。

その対応策としては、これらの不安を払拭できる本人の「度胸とハッタリ(自信と開き直り)」をどれだけ持てるか否かになります。もちろん、自分自身の力で解決できる方は問題ありませんが、他人の力(コーチ等)を必要としている方もいることでしょう。

果たして大阪国際女子マラソン大会に出場した2人の女性市民ランナーの方は、これらの不安を見事に断ち切り、目標の記録達成を手にすることができました。自身3度目のサブスリー達成となったEさんは「2時間56分20秒」の自己新記録達成。初のサブスリーを狙ったTさんは「2時間58分28秒」の見事な初サブスリー達成。

この後も3月一杯までは、全国各地で大きなマラソン大会が多数開催されます。もちろん、富津合同マラソン練習会で切磋琢磨している市民ランナーの方々もそれぞれの大会で自己記録に挑戦します。

今年もたくさんの感動に出会えたらと思います。

マラソンに向けて・11

20170125-失速

【マラソンに向けて・11】今回は、失速の原因がエネルギーに起因するケースについてです。前回同様、今度はエネルギーのA1ゾーン、B1ゾーン、C1ゾーンで考えていきます。

マラソンのスピードはB1ゾーンに相当しますが、C1ゾーンとの境目のスピードで走っていた場合、後半は苦しくなってきたのでB1ゾーンのペースに落としたとしても、間もなく更に失速してしまうケースがあります。

この場合、B1ゾーンのペースに落としたと言え、依然としてB1ゾーンのペースで走っている以上、グリコーゲンを確実に消費していきます。同時に、前半でC1ゾーンに近いスピードでグリコーゲンを多量に消費してしまったので、やがてグリコーゲンが枯渇して再びペースダウンに陥ります。こうなると、もはや回復の見込みは難しくなります。

次に、持ち味のスピードを武器にトラックや駅伝で大活躍し、マラソンに挑戦してきたばかりの男子選手に多い例です。スタート直後からのハイペースにも関わらず、見た目も本人の感覚も非常に軽く、中盤までは余裕で走っていたのに25kあたりから突然の失速に見舞われるケースです。

この選手の場合、スピード豊かで耐乳酸性が高いのが特徴です。また、酸素負債で説明すると、BゾーンとCゾーンの境目が高いので、速いスピードに対応できる能力も高い。したがって、前半はハイペースの割には、乳酸の蓄積が意外と進んでいなかったと考えられます。

ところが、エネルギー的にはC1ゾーンに近いB1ゾーンで走り続けていたことになり、グリコーゲンの消費は確実に進み、グリコーゲンが枯渇した時点で終わってしまったと思われます。

もちろん、この判断は難しく原因をつかむのはとても難しいのは事実です。しかし、原因がグリコーゲン不足やグリコーゲンの消費効率の悪さだとしたなら、単にスピード練習を増やしただけでは次回以降のマラソンを攻略していくことは難しいと考えます。

また、このタイプの選手がマラソンをしっかりと走れるまでには、相応の苦労と時間を伴い、前半軽く後半失速するパターンを繰り返します。少なくとも私の経験上そう思います。

マラソンにおいてもスピードのある選手が有利である点に違いありませんが、ハーフマラソンや30kとは違い、マラソンはスピードに頼って走り切れる距離ではないとも言えます。

マラソンに向けて・10

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【マラソンに向けて・10】今回からマラソンにおける最も重要課題のひとつである「失速」について考えていきます。

単に失速と言っても「酸素摂取量<酸素消費量」に陥り、酸素負債による失速があります。この場合、ペースを落とし「酸素摂取量≒酸素消費量」に戻せば乳酸も除去できて再び元気に走れるはずです。

ところが、同じ失速でも原因がエネルギーである場合、復活が相当難しくなります。特に、グリコーゲン枯渇による失速の場合、単にペースを落としたとしても復活することは、ほぼ不可能と言えます。

もちろん、どちらも失速ですが、2つの失速に違いがあるのと同時に、その原因を判断することはとても難しいのも事実です。まずは、具体的な失速例を参考にしながら更に掘り下げていきます。最初は酸素負債による失敗例です。

その具体例として、後半苦しくなってペースダウンしたが、落ち込みを最小限に防いでゴールできたケースです。この場合、いわゆるBゾーンとCゾーンの境目だったペースがCゾーンのペースに上がったため、酸素負債が限界近くに達したのです。

従って、ペースをBゾーンに落とすことにより、乳酸をうまく除去しながらゴールできたと考えられます。ところがこの時、ペースの落とし方が足りず、BゾーンとCゾーンの境目ギリギリで走っていると、再び酸素負債が発生します。

しかし、今度は限界点を超えて筋肉が耐えられなくなり、大失速になる可能性が高まります。もちろん、こうなると筋肉のダメージが大きくなり、修復不可能に陥ります。では、Bゾーンまで落とせば絶対に復活できるかと言えば、必ずしもそうではありません。

この場合、失速の原因が単に乳酸の蓄積だけではないからです。この点がとても難儀なところですが、次回は同じ失速でもエネルギーの視点から考えていきます。

2017年始動!

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【2017年始動!】日本盲人マラソン協会主催の強化合宿を1月7日(土)からの3連休を活用し、千葉県富津市富津公園において実施しました。

日本盲人マラソン協会としては、今年最初の強化合宿になります。

今回の強化合宿は選手と伴走者、更にスタッフを加えると総勢45名の参加となりました。実は、昨年のリオパラ代表選手はもちろん、他の強化選手たちの走力も着実に向上しており、それを支えている伴走者(ガイドランナー)の負担は一気に増大してきました。

そのため、その対応策として伴走者の数を増やしたのです。もちろん、狙いとしては伴走者の負担軽減と、トレーニングの質と量を高めていく為となります。その結果、2017年最初の強化合宿となった今回は、どの選手も質の高い走り込みを実施することができました。

そして、今年は選手の強化はもちろんですが、国際大会や各種競技会で選手と共に戦う伴走者の育成にも力を注いでいきます。これまであまり触れてきませんでしたが、パラリンピックや世界選手権等の国際大会において、伴走者の故障や怪我によるレース中のアクシデントは数多くおこっています。

伴走者は視覚障害選手の目となり身体の一部に相当します。そのため、伴走者のトラブルは視覚障害選手自身の責任になりますが、視覚障害選手の走力が上がれば、伴走者の走力は更にその上を要求されます。つまり、これまで長年一緒に走ってきた伴走者が、逆にレースでは足手まといになってしまうケースが発生することもあります。

視覚障害マラソンにとって、伴走者の協力は必要不可欠であり、視覚障害選手にとっては全てと言っても過言ではありません。しかし、パラリンピックをはじめ、国際大会を目指していく選手を強化していくことで、選手の走力が格段にアップしていく結果、誰もが善意で気楽に伴走を手伝うことが難しくなってしまう矛盾も兼ね備えているのです。

これは視覚障害マラソンにとっては宿命でもあります。同時に最重要課題のひとつでもあります。

これまで日本盲人マラソン協会として積み上げてきた経験と実績を活かし、2020東京パラリンピックに向け、視覚障害選手の強化と共に、今年は国際大会で十分に対応できる伴走者の育成にも力を注いでいきます。

年末年始・2

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【年末年始・2】今年も昨年同様、元旦のニューイヤー駅伝、箱根駅伝の感動から1年がスタートしました。どちらの駅伝もチーム内のエースと言われる選手たちが期待通りの堅実な走りで他チームの追撃を抑え、その脇を固める他の選手たちがノビノビと快走できるレース展開を作っていました。その結果、高いチーム力でライバルチームを圧倒していたと感じました。

そして、毎年恒例のことですが、駅伝翌日の各新聞は優勝したチームの裏話等が数多く掲載されております。そして、これも毎年恒例のことですが、やはり日々の規則正しい生活から好結果が導かれていることも掲載されています。

では、優勝以外のチームは逆に不摂生が敗因なのでしょうか?

もちろん、そんなことはありません。今はどんなチームも日常生活の全てを陸上競技に捧げていると言っても過言ではないほどの摂生した生活を送っているはずです。しかし、駅伝は勝負事なので必ず優劣がつきます。

つまり、同じ日常生活でも勝てばそれが勝因となり、負ければそれが敗因と言われます。

しかし、毎年安定したパフォーマンスを発揮しているチームは、周囲から日々入ってくる各種情報に振り回されることがありません。外部からの情報や内部で発生するトラブルに翻弄されない確固たる「チーム力」を構築し、それらを継承しているからでしょうか。

そして、高いチーム力で育まれた選手たちは、個人種目であるマラソンにおいても、そのチーム力を十分に活かし、快走してくれるに違いないでしょう。

あらためて本年もよろしくお願い申し上げます!

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