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2009-06

レース対策・3

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前回、ハード面の対策だけでは、オーバーペースを防止することは難しいと、話をしました・・・。では、どんな対策を実施していけばよいのでしょうか?

それは、もう一方であるソフト面の対策に目を向ける必要があります。もう少しわかり易く言うと、感覚的な話です。実は、長距離走やマラソンのアドバイスや攻略法の話は意外と感覚的なことが多く、それだけメンタル的な部分も重要視されています。

そこで私も実践してきた、オーバーペースを自分自身で自覚するひとつの目安を紹介します。それは、スタートしてから最初の1分から2分程度(200mから400m前後)の間で、「今日は少し速いなぁ」と、感じるかどうかです。もしもそう感じたなら、それは間違いなく「全力疾走」をしています。

「えっ!」と、信じられないかもしれませんが、これは自分自身の経験も含め、ほぼ間違いありません。特に、市民駅伝大会を観戦していると、そのことが顕著にあらわれます。それはタスキをもらった瞬間、脱兎のごとく走り出していく姿はまさに「全力疾走」と、見ていてもハッキリとわかるからです。皆さんも思い当たる経験はありませんか?

では、それを防止する方法は?

至極当然な話になりますが、出足をおさえて走ることです。具体的には、◆対策1).10k以下のレースならスタート直後、1分から2分程度の間をおさえて走る。◆対策2).おさえて走っているときは、「ジョギング」をイメージする。

もちろん、スタート直後から、どんどん抜かれていく可能性が高いのですが、ここは我慢です(笑)。また、「ジョギングをイメージ」とは極端な感じもしますが、それでもスタート直後は必ず速くなります(汗)。

さて、各種マラソン大会で前方からスタートできず、やむなく後方からスタートすることになった経験は、皆さんにもあると思います。しかしそんなとき、全く意識していなかったにも関わらず、ネットタイム(※)では自己記録を更新していたケースは意外と多いのです。まさにこれこそが、スタート直後をしっかりとおさえた結果ではないでしょうか。

※日本陸連公認の大会を含めた各種大会での記録は、グロスタイムしか公式扱いされません。つまり、ネットタイムは参考記録扱い(自己満足だけの記録)となります。仮に、ネットタイムで国際マラソンの参加標準記録を突破したとしても、その記録では参加が認められませんので、注意して下さい。

このように、スタート直後の1分から2分程度の間、ペースをおさえることができたなら、少なくともオーバーペースによる後半の失速は、かなりの確率で防止できるでしょう。また、日々のランニング中でも、自分自身の感覚で1分や2分と感じたところで時計を確認し、実際の時間と一致していくように訓練していくことは、時間感覚を身につけるうえで有効的です。

最後に、オーバーペース防止策をまとめると、◆対策まとめ1).1k毎に時計を確認し、設定ペースを守る(ペースを確認する/ハード面)。◆対策まとめ2).スタート直後の1分から2分程度の間は、ジョギングをイメージし、スピードをおさえる(ペース&時間感覚を身につける/ソフト面)。

同時に、オーバーペースを防止するためにはスタート後、できるだけ早い段階で自分自身の気持ちと身体をうまくコントロールできるかどうかとも言えます。つまり、一緒にスタートした沢山の人たちにのまれることなく、冷静になれるかどうか・・・。

やはり、最後はこれですね(笑)。

つづく。

レース対策・2

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今回から10k以下のレースにおいて、オーバーペース防止対策の具体的な方法を、ハード面とソフト面の両方から考えていきます。

はじめに、オーバーペースを少し専門的に説明すると、「目標タイムより速いペースでスタートすることにより、早い段階で血液中に疲労物質である乳酸がたまり、同時に体内に蓄えていたグリコーゲンも一気に枯渇・・・云々」と、とても難しい話になっていきます(汗)。

もう少し、簡単に言うと、スタートから目標タイムより速いペースで走りだすと、早い段階でスピードが急激に落ち込み、どんなに頑張ってもペースを戻すことが出来ない状態になります。更に、手足が軽い酸欠のような状態となり、しびれるような感覚を伴うときもあります。そして、残念ながらゴールが近くなるほど更にペースダウンしていき、究極のビルドダウンとなってしまいます(涙)。

・・・と、わかり易く言えばこんな状態でしょうか。そして、初心者の人からベテランの人も含め、ほとんどの人たちが上記のことを体験していると思いますが、いかがでしょうか?

そこで最も一般的なハード面の防止策を紹介します。それは、自分自身の目標タイムを1k毎のペースに換算し、そのペースを守っていく方法です。例として、10kの目標タイムが50分00秒の人なら1kあたりの目標タイムは5分00秒となります。そして、1k地点を通過したタイムを確認し、走っているペースを微調整するのです。これは、ほとんどの人たちが実行している方法ですね(笑)。

ところが、自分の目標とする設定ペースが覚え易いタイムなら問題ありませんが、5分23秒と言うように覚えにくいケースも多々あります。この場合、リストバンドのようなものに設定ペースを記入し、直接腕に付けて走ったり、ランニング専用の腕時計に内蔵されているアラーム機能を活用したりと、それに対応する便利なグッズも数多く市販されています。是非とも利用して下さい。

しかし、この防止策には大きな問題点があります。それは、日本陸連公認コースなら距離表示が1k地点から必ず設置してありますが、一般的な市民マラソン大会については、その距離表示すら無い大会も少なくありません。つまり、最初から距離表示を目安にスタートしても、その距離表示が設置して無かった場合は、オーバーペース対策の対応ができなくなるのです。

また、距離表示を見ながら1k地点でオーバーペースを確認できたとしても、10k以下のレースでは既に手遅れになっているケースがほとんどです。このように、距離表示を目安に通過タイムを確認しながら走る方法だけでは、オーバーペースを完全に防止することは難しいと言えるでしょう。

更に、別の言い方をすれば、オーバーペースを防止していくのに、ハード面の対策だけでは不十分であるとも言えます。

次回は、ソフト面からの対策を考えていきます。

つづく。

レース対策・1

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早いもので、平成21年も間もなく半年が経ちます。同時に、平成21年度も3ヶ月が過ぎようとしています。皆さまにとって、ここまでのトレーニングや各種レースでの成績や記録は、満足のいく内容だったでしょうか?

・・・予想以上に頑張れた人。逆に故障や怪我等で満足に走ることができなかった人。それぞれが、様々な思いを抱いていると思います。しかし、ここまでを振返り、これからやってくる夏の走り込みや、秋からのマラソンシーズンに向け、具体的な課題や目標を再設定するには、ちょうど良い時期です。まずは、良かった点、悪かった点をしっかりと洗い出し、特に気持ちをプラス思考の方へリセットしましょう。

私がコーチする選手たちも、4月から「スピード養成期」として、10k以下のロードレースやトラックレース等を積極的に走ってきました。・・・成績や記録については、残念ながらやや低調でした。しかし、大きな故障や怪我をする選手も無く、スピード養成と言う目的は、十分達成することができました。※ここで言う選手とは、市民ランナーです。

そして、今月の28日(日)は、千葉・富里スイカロードレース大会が開催されます。この大会は、最長部門が10kにも関わらず、1万人以上の人たちが参加する全国屈指の市民マラソン大会です。もちろん、私がコーチする選手たちの多くも、出場します。

ところで皆さんは、10k以下のロードレースや駅伝を走るとき、どんな点に注意しているでしょうか?

様々な注意点がありますが、最も注意する点のひとつとして、スタート直後のオーバーペースがあげられます。さて、今更説明する必要もありませんが、各種レースのスタート直前は誰でも緊張します。そして、日々の練習と違い、たくさんの人たちと一緒に並んでスタートします。同時に、なぜかその人たちが自分より速そうに見えてきます(笑)。そんな心理状態の中、号砲が鳴ると自分自身の意識とは関係なく、物凄いスピードで走り出し、あっと言う間に脚が固まって動かなくなります・・・。

皆さんは、そんな経験ありませんか?

かくいう私も、過去に何度もオーバーペースで自滅し、狙ったレースを失敗してきました・・・(涙)。

そこで次回は、オーバーペースを自分自身で感じ取る方法や、その対策を考えていきます。

つづく。

トレーニング計画・18

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◆グループ3).自宅及び最寄駅やバス停から職場までの距離が、10kをこえる(60分をこえる)通勤ラン。

これだけ長い距離でも通勤ランをコンスタントに継続できる方は、かなりのレベルに達していると思われますが・・・。

しかし、更にもう少し細かくわけ、15k程度以下の通勤ランなら頑張れば何とか継続できそうな気もします・・・。ところが、片道20kをこえてくると、日々の通勤ランとしては負担が大き過ぎて、継続していくことが困難になってくる可能性が高くなります。と言いながらその分、平日に20kをこえる距離走を取り入れることも同様に、ほとんどの方にとって、かなり困難であることは確かです。

そんな状況もあって、休日にまとめて長い距離を走る方は意外と多く、トレーニング方法としても一般的です。しかし、もしも平日に20kをこえる距離走を取り入れることが可能なら、休日集中型トレーニングによる身体への負担も分散することができ、故障防止にもなるはずです。

そこで、今回のように10kをこえる通勤ランを、何とかうまく活用してみてはいかがでしょうか?

そのための具体的な注意点をあげると、◆注意1).週に1回から10日に1回、更に月に数回と予め実施する日を決める。◆注意2).実施する日に私用も含め、他の予定とバッティングしないように調整する。◆注意3).距離が長いので通勤時より帰宅時に実施するようにする。◆注意4).ランニング時の荷物を必要最低限にし、可能な限り身軽なスタイルで走る。◆注意5).ランニング中のトラブルに備え、コンビニの場所や自宅までの交通機関の確認をしておく。◆注意6).給水に必要な自動販売機の設置場所を確認しておく。

かなり前の話になりますが、実際に私の知人で、マラソンに向けた40k走は、全てこの平日の通勤ラン(帰宅時)のみでカバーし、当時の福岡国際マラソンや東京国際マラソン等に連続出場していた方もいました。つまり、自宅から職場が遠いからと言って、通勤ランを簡単にあきらめる必要はないのです。

さて、ここまで通勤ランを大きく3つのグループにわけ、それぞれの通勤ランについて考えてきました。大切なことは、自宅と職場との距離が近すぎるとか遠すぎると言って、最初から通勤ランができないとか、難しいと決めつけないことです。そして、何が可能で何が難しいのかを洗い出し、自分の生活スタイルに合ったパターンを見つけることです。

誰でも毎日の日課となっている何気ない通勤・・・。この当たり前の行動をランニングとうまくミックスさせることができたなら、皆さんのランニングライフは、一段と充実していくことでしょう。

トレーニング計画・17

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◆グループ2).自宅及び最寄駅やバス停等から職場までの距離が10k程度以下(60分以内)の通勤ラン。

さて、片道が10k程度の通勤ランになってくると、初心者の方にとって、日々継続していくには距離や時間が多過ぎる傾向になってきます。と言うより、かなり無理をする距離になってくると考えますが、いかがでしょうか?

それは、前回と同じように日々の走行距離を簡単に計算してみると、通勤ランだけでも月間400kを軽くこえてしまうからです。そして同時に、片道60分近く走ることで、道中における様々なトラブルが発生するリスクも各段にあがります。それは、途中で脚の故障や腹痛等の体調不良をおこした場合、自力で自宅や職場までたどりつけない可能性がでてくるからです。

そのため事前に、ある程度大まかなトラブルを想定し、その対応策も考慮しておく必要があります。具体的には、コース上にあるコンビニやタクシー等の交通機関を確認しておくことは最低限実施しておきたいことです。更に、身につけて走る荷物の大きさや重さ、そしてその中身について、よく吟味しておくことも重要になってきます。

では、事前準備をしっかり実施したからと言って実際に、初心者の方が片道10k程度の通勤ランを毎日継続できるでしょうか?

もちろん、あえて無謀なことに挑戦する必要はありませんが・・・。そこで、おすすめなのが、予め通勤ランする曜日を決め、計画的に実施していく方法です。

◆具体例).月曜日:10k通勤ラン(帰宅時のみ)。火曜日:10k通勤ラン(出勤時のみ)。水曜日:10k通勤ラン(無)。木曜日:10k通勤ラン(帰宅時のみ)。金曜日:10k通勤ラン(出勤時のみ)。・・・以上のように出勤時か帰宅時のどちらか一方のみを走るようにします。更に、上記のようなパターンにすると、スーツ等のかさばる衣類は、会社のロッカー等に置いて帰宅することが可能となります。

また、男女の国際マラソンに出場しているような高いレベルの方にとって、片道10k程度の通勤ランは、日々の練習にちょうど良い距離となります。実際に、この通勤ランだけのトレーニングで、素晴らしい成果を残している市民ランナーの方は多数います。

このように、「片道10k程度の通勤ラン」は、自分自身を飛躍させるためのヒントが、たくさん詰まったトレーニングとも言えるでしょう。

つづく。

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