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2012-11

福知山&つくばマラソン大会

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【福知山&つくばマラソン大会】先日の3連休は全国各地で数多くのマラソン大会が開催されました。私も京都で開催された「福知山マラソン大会」と茨城で開催された「つくばマラソン大会」の2大会に足を運び、現地にて直接応援してきました。

今回、23日(金・祝)に開催された福知山マラソン大会、2日後の25日(日)に開催されたつくばマラソン大会ともにコンディションは良好でした。特に、2大会ともほぼ無風状態と、前週に開催された横浜国際女子マラソン大会とは正反対のコンディションとなり、どちらも好記録への期待が高まりました。

福知山マラソン大会では、視覚障害者マラソンの日本選手権も兼ねており、狙いどおりの好記録が誕生しました。特に、ロンドンパラリンピック日本代表の和田選手(全盲クラス)が、2時間36分32秒のアジア新記録&日本新記録をマークしたのをはじめ、期待の若手もキッチリと記録を残してくれました。

一方、つくばマラソン大会では、私がコーチする選手も6名出走しました。女子の部では、M・Sさんが堂々の3位入賞を果たしました。また、男子の部では、41歳のM・Kさんが、2時間52分27秒の大幅自己新記録。更に52歳のK・Kさんが、3時間4分44秒のこれまた自己新記録。同じく、51歳のK・Yさんも3時間6分32秒と目標を達成し、地元で一緒に走り込みを積んできた同世代のランナーたちへの熱いメッセージとなりました。

さて、前回もこのブログで取り上げましたが、マラソンはその日の天候に大きく影響を受け、天候の良し悪しが記録に直結するスポーツです。更に、レース中は常に暑さや寒さ等々、様々な状況に遭遇しますが、なかでも風による影響は記録に最もダメージを与える要因のひとつです。

また、私の経験上の話しになりますが、好調に仕上がった選手ほど当日の天候に左右される確率が高いと感じます。その理由はいくつかありますが、物を切る刃物に例えると理解し易くなります。すなわち、好調に仕上がった状態をカミソリとし、やや重い状態に仕上がった状態をナタとします。カミソリの場合、鋭い切れ味で物をきれいに素早く切ることが可能ですが、刃こぼれをし易く、切れる物が限定されます。一方、ナタの場合、鋭い切れ味と言うより、切りにくい物に対しても威力を発揮し、刃こぼれも少なく丈夫なつくりになっています。

これをマラソンに置きかえた場合、カミソリのように仕上がりが良かった場合、天候が少しでも悪い方に傾くと、一気に切れ味が悪くなり、失速していきます。逆に身体にキレのないナタのような仕上がりは、天候が悪い方に傾いても切れ味への影響は少なく、更にその状態を長くキープして後半に入っても粘れるケースが多いと感じます。

実は、先週の横浜国際女子マラソン大会では、好調に仕上がり期待していた3選手は強風にあおられ見事に失速し、逆に最後まで調整に苦しんだ他の3選手が目標どおりの走りを見せました。今回の2大会に出場したランナーたちの記録が当日の天候にどの程度影響を受けていたかは、もう少し解析する必要はありますが、絶好の天候により全員が良い方向に影響したことは間違いありません。

私が現役の頃からもトラックはカミソリのような仕上がり、マラソンはナタのような仕上がりが良いと言われてきました。今後は、この点をより具体的なデータとして実際の調整期に落とし込んでいくことが重要なポイントになると考えます。

しかし、これが最も難しい…。

第4回横浜国際女子マラソン

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【第4回横浜国際女子マラソン】先日の11月18日(日)、第4回横浜国際女子マラソンが開催されました。結果は、ケニアのチェロメイ選手が15k過ぎから独走し、強風が吹き荒れる悪コンディションの中、2時間23分7秒の大会新記録で圧勝しました。

2位は、日本人トップとなる那須川選手でしたが、チェロメイ選手から1k弱も離される内容に評価も様々でした。また、私がコーチしている選手も6名出場しましたが、今回は厳しい結果となりました。

さて、マラソンは、ひとつのマラソンのために膨大な量を走り込んでいく競技なので、ひとつのマラソン大会に向けた準備期間の長さも他の種目とは比較になりません。ところが、どんなに良い練習を積み重ね、絶好調に仕上がったとしても、記録はその日のコンディション(天候)に大きく左右されるスポーツでもあります。

また、マラソンを少し違う角度から見ると、登山に似ていると感じます。特に、富士山をこえるような標高の高い登山に近い気がします。つまり、目指している大きな山に向け、どれだけトレーニングを積んでも、最新の装備を準備しても、登頂成功の有無を決める重要なカギは、その日の天候です。同時に、どんなに経験豊富な登山家でもその日の天候を変えることはできないのです。したがって、最終的には運を天に任せる状態となります。

実は、マラソンも同様のことが当てはまるスポーツなのです。今回の横浜国際女子マラソンに向け、ほとんどのランナーは夏頃から走り込みを開始しています。もちろん、万全の調子に仕上げてきたランナーも多かったはずですが、今回の強風を変えることはできませんでした。

特に、オリンピックや世界選手権の日本代表を目指すことが難しい市民ランナーの目標は、順位ではなく「記録」となります。そのため、悪天候になったからと言って、勝負に徹するようなことはあり得ません。それだけに、当日の天候は最も重要であり、記録を目指す上での最重要事項とも言えます。

更に見方を変えると、今回の横浜国際女子マラソンが開催される日は、毎年11月の第3日曜日となっています。実は、この日の天候を振り返ってみると、今回のような強風だったり、ミゾレに近い冷雨だったり、逆に高温だったりと、天候が安定しない代名詞となっているような日なのです。

私自身もこれまであまり注意していませんでしたが、今後は目標のマラソン大会当日の天候がどのようになるのかをもっと注視していく必要があると、強く感じております。マラソンは登山に似ていると話しましたが、同じ悪天候でも登山は登頂する日をずらすことができます。しかし、マラソンはスタートする日時が決まっているので、どんな悪天候だったとしても必ずスタートします。

今後は、マラソンを目指す上で過去の天候等の分析も重視し、天候が悪化するリスクの高いマラソン大会には最初からエントリーしないことも必要なのかもしれません。

期分け・55

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【期分け・55】前回は、パターン1である2日間連続でスピードトレーニングを実施する流れを検証しました。今回は、パターン2である「土曜日:スピード系トレーニング+日曜日:スタミナ系トレーニング(土、日曜日を入れかえても可)」についてです。

このパターン2については、既にこのブログでも取り上げたので、詳細につていは割愛しますが、推奨できるパターンとなります。もちろん、その前提としてスピード系トレーニングについては、各ランナーに応じた疾走(スピードアップ)する適切な距離と、その設定タイムと本数を間違わないようにすることは言うまでもありません。同じく、スタミナ系トレーニングについても根拠のない距離を走っても狙った効果を得ることは難しくなります。

また、2日間連続でスピード系とスタミナ系をセットで実施するため、それぞれの強度は特に注意する必要があります。具体的には、自身の全力に近いような強度で2日間連続で実施してしまうと、前回お話しした2日間連続でスピード系トレーニングを実施するパターンと同様のリスクが発生してきます。

ところが、スピード系とスタミナ系トレーニングの両方を6割から8割程度に抑えることで、2日間連続の効果が期待できます。具体的には、土曜日のスピード系トレーニングを8割程度の強度に抑えることで、ゆとりを持ちながら心肺(血管込)に適切な負荷を与えることができます。もちろん、脚筋にも疲労は残りますが、翌日のスタミナ系トレーニングに向けてのフォーム修正や心肺(血管込)への刺激にもなります。

そして、2日目のスタミナ系トレーニングを前日同様、8割程度の強度で実施します。と、言うより前日の疲労も残っているので、8割程度の感覚ではいつもより遅くなります。そのため、8割と言いつつ、もう少し頑張るような感覚が必要となるはずです。実はこの感覚が大切で、いつもの8割程度の内容にも関わらず、強度的にはもう少し苦しくなります。つまり、全力に近い負荷を身体に与えなくてもそれと同様の効果が期待できるとも言えます。これは、スピード系とスタミナ系を逆の日程にした場合も同様の感覚になります。

このように、本来1回のスピード系やスタミナ系トレーニングで心肺(血管込)や脚筋を別々にそれぞれ追い込むところを、強度を抑えることで、2日間連続のセットトレーニングが可能になります。その結果、負荷をかける心肺(血管込)や脚筋の異なる個所を連続で強化することが可能となり、短期間で効率的かつ効果的なトレーニングが期待できると考えます。

つづく。

絆・2

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【絆・2】千葉県富津市富津公園において、日本盲人マラソン協会主催の強化合宿を先日の11月3日(土)から1泊2日の日程で実施しました。今回も現役学生ランナーをはじめ、多くのランナーたちからの力強いサポートを得ることで密度の濃い合宿となりました。あらためて、厚く御礼申し上げます。

さて、今回の合宿からロンドンパラリンピックで4位入賞を果たした弱視の岡村選手も本格復帰し、この合宿から合流しました。岡村選手は、年齢的にはベテランの域に入っていますが、世界と互角に戦うための走力と高いモチベーションを維持しており、4年後のブラジルリオでも十分に戦える選手です。

しかし、ロンドンから帰国後は年齢的なこともあってか、今後のスケジュールについては、名言を避けていました…。そんなこともあり、我々関係者も様々なことを危惧しておりましたが、これからも我々と共に戦っていくことを自ら決断し、再び一緒に世界を目指せることになりました。特に、若手選手諸君にとっては、何物にも代えられない最高の目標となり、チームとしての高いモチベーションも維持していくことができます。

また、合宿後の今月23日は、京都福知山マラソン大会が開催されます。この大会は、盲人マラソン日本選手権も兼ねており、多くの盲人ランナーを輩出してきた伝統ある大会です。もちろん今回も多くの盲人ランナーがエントリーしております。

そして、その中に今回初マラソンとなる全盲の谷口選手も含まれております。谷口選手は、まだ22歳と期待の若手選手のひとりですが、先日開催されたロンドンパラリンピックを目標に1500mでは、参加A標準記録を突破するまでに成長しました。本当にあと一歩のところで日本代表入りを逃しただけに、私自身としても責任を感じているところでした。しかし、その後も変わりなく地道に走り込む姿勢と、絶対に投げ出さない強い意志に、逆に勇気と希望を与えられました。もちろん、ロンドンパラリンピックに出場した先輩ランナーたちへの力強い後押しになったことは間違いありません。

そんな谷口選手が、いよいよマラソンデビューです。このブログにも何度か記載しておりますが、マラソンは理屈抜きで経験から学ぶことが圧倒的に多く、若いときからマラソンを経験していくことは、トラックを走る上でも必ずプラスに働くと確信しております。

同時に、私がイメージしている以上のスピードで進化している谷口選手のマラソンデビューは、ここまで共に切磋琢磨してきたベテラン選手たちへの起爆剤にもなります。今年の京都福知山マラソンはこれまで以上に注目です。

つづく。

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