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ゴボウ抜き!

2014-12-10

【ゴボウ抜き!】12月の第1日曜日は、国内最高峰のマラソン大会である福岡国際マラソン選手権大会が開催されます。今年も12月7日(日)に開催され、国内外から実力のあるランナーたちが福岡の街を駆け抜けました。

そして今年も、私がコーチする3名の選手(市民ランナー)も出走しました。結果は、2名が自己新記録でゴールし、1名は35k過ぎにリタイヤでした。もちろん、3選手とも夏からこの福岡を意識した走り込みを積み重ねてきました。今回の結果は、その成果をしっかりと発揮した内容でした。残念ながらリタイヤとなった選手についても練習どおりの内容でした…。

今回の福岡国際マラソンは曇り空で風もなく、絶好のコンディションでした。特に沿道から応援していて、2時間20分から2時間30分前後を目標にしているランナーたちの前半がやや速いと感じました。実は、自己新をマークした私の選手たちもその付近のグループで予定どおりのラップを刻んで行きましたが、いつもより順位が後ろのような気がしたからです。

ゴールの競技場で選手たちを待っていると、続々と選手たちが帰ってきました。毎回のことながら最後の最後まで力走する姿は心を打たれます。しかし、2時間20分以降にゴールしてくる選手たちは、やはり失速しているケースが多いと感じました。スタート時のコンディションが良かったので、記録を意識して前半を予定より速く通過した選手たちが多かったのかもしれません。

そんな中、2時間28分台の自己新記録でゴールしたH選手は、中間点を1時間14分台で通過し、後半もほぼイーブンペースで帰ってきました。特筆は、中間点を通過した後、H選手はそこから何と103名のランナーを抜き去ってのゴールでした。マラソンでゴボウ抜きとは言いませんが、まさにそんな感じの走りでした。

さて、市民ランナーの方々がよく前半を予定より速く通過していくことを「貯金」と言っています。しかし、実際はトレーニングに裏付けされた根拠がない限り、前半で必要以上に体力を消耗するので、逆に「借金」をしてしまうことになります。同時に、前半はゆとりを持って「抜かれっぱなし!」、後半はリズムに乗って「抜きっぱなし!」のレース展開が、市民ランナーの方々にとっては理想のレース展開と考えます。

と、言いながら周りの状況に影響されることなく自分自身の目標ラップを刻んでゴールを目指すには、やはり日々の走り込みが大切なのは言うまでもありません…。

2014名古屋ウィメンズマラソン

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【2014名古屋ウィメンズマラソン】今年の名古屋は天候もよく、何より風がほとんど無い絶好のコンディションの中、スタートしました。そして、参加人数も1万4675名と、女性だけのフルマラソン参加者数として、昨年の同大会のギネス世界記録を更新したとのことでした。(2012年大会の参加人数は1万3114名、2013年大会は1万4554名。)

「日本女子マラソンの低迷」と言われていますが、同大会を沿道から応援する限り、そんな不安を感じることすらできない盛り上がりでした。また、国内で開催される国際女子マラソンの参加標準記録の目安となる「3時間15分以内」で完走した人数は314名と、昨年の264名を大きく上回っています。更に、3時間以内(サブスリー)で完走した人数も昨年の74名を上回る92名と、日本女子マラソンのボトムアップにも大きく貢献している大会とも言えます。

今回、私の選手(市民ランナー)は4名出場し、全員が無事に完走しましたが、88位でゴールしたK選手の頑張りは、特に印象的でした。ゴールタイムは「2時間59分43秒」と、ギリギリのところで3時間突破(サブスリー)でしたが、注目したいのは上記した3時間突破完走者92名の中で、中間点の通過タイムが1時間30分をこえていたのは、K選手を含めたったの2名です。同様に、2時間50分を突破した選手は今回41名ですが、中間点の通過タイムが1時間25分をこえて、2時間50分突破を達成した選手はいませんでした。参考までに、中間点の通過タイムが1時間37分30秒をこえて、3時間15分を突破した選手もたったの2名でした。

一般的に、マラソンを効率よく完走するには、最初から最後までイーブンペースでラップを刻んでいくか、前半を抑え気味に通過するのが良いと言われています。しかし、3時間や2時間50分、あるいは3時間15分と、ある壁(記録)を狙うとき、多くのランナーはその壁に不安やプレッシャーを感じ、万が一のことを考えだします。つまり、後半の失速が怖くなり、前半に「貯金」を作ろうとします。しかし、マラソンに限っては前半の貯金はオーバーペースを意味し、逆に後半での「借金(失速)」につながるケースが圧倒的に多く、判断の難しい点でもあります。

さて、3時間突破(サブスリー)でゴールしたK選手は、今回で15回目の3時間突破となりました。初めて3時間突破を達成したのは、2004年1月の大阪国際女子マラソンでした。それからちょうど10年です。この間、コンスタントに3時間突破を積み重ねてきた経験と実績があるからこそ、今回も周りのランナーに惑わされることなく、冷静かつ正確な自分自身の走りができたと言えます。

今後、単に自己記録更新だけでなく、K選手のような何年も安定したパフォーマンスを発揮し続ける価値を、もっと大切にしていこうと感じた名古屋でした…。

期分け・82

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【期分け・82】前回も記載したとおり、単に「ゆっくり長く走るトレーニング(LSD)」だけで、3時間突破(サブスリー)のレベルに到達することは、やはり難しいと考えるのが一般的です。したがって、「ペース走」や「インターバル」と言ったスピード系トレーニングもある程度取り込んでいくことになります。もちろん、何をどんな設定タイム(スピード)で、どの程度(距離)取り込んでいくのかは、個々の走力やランニング環境によっても違ってきます。

しかし、逆に「ゆっくり長く走るトレーニング(LSD)」を取り込むタイミングは大きく2パターンがメインになります。すなわち、スピード系トレーニングの前にするか後にするかですが、3時間突破(サブスリー)を目指すランナーにとって、「ゆっくり長く走るトレーニング(LSD)」の主な目的は、疲労回復にシフトしていきます。この点が、4時間突破(サブフォー)を目指すランナーと大きく違ってきます。つまり、スピード系トレーニングの後に取り入れるパターンが、疲労回復には効果的と考えます。

では早速、具体的なトレーニングパターンを考えていきますが、はじめに話しが少し脱線します。それは、これまであまり触れてこなかった部分でもあり、このブログで取り上げている3時間突破(サブスリー)を目指しているランナーの前提条件についてです。まずは、次の点を確認しておきます。

◆前提条件1).月曜日から金曜日までの5日間(一般的に言う平日)において、仕事やプライベートな私用が立て込んだとしても、コンスタントに3日以上は走る時間を捻出している。◆前提条件2).原則として、休日の優先順位はランニングからである。◆前提条件3).あらかじめ正確な距離を確認し、スピードを上げて走れる自分自身のランニングコース(トラックや公園・河川敷等)を確保してある。

以上の3点についてですが、いかがでしょうか。かなりハードルが高いと感じる方、逆にこの条件を満たしていなくても、3時間突破(サブスリー)を達成できた方もいることでしょう。

また、統計的にみると、1年間で3時間突破(サブスリー)を達成しているランナー数は、国内のフルマラソンを完走した全ランナーの中においても、たったの5%以下であるとも言われています。実際に私が市民ランナーを指導してきた経験からも、誰もが簡単に到達できるレベルではありません。

なぜなら、3時間突破(サブスリー)を目指すためのトレーニングは冒頭に記載したように、量(距離)だけでなく、質(スピード)も加味されてくるからです。そして同時に、レベルの高いトレーニングを継続していくには、上記した3つの前提条件となる「自分自身の環境を整えていく力」も、必要不可欠になってくるからなのです。

つづく。

東京マラソン

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【東京マラソン】ランニングブームの火付け役となった「東京マラソン」も今年で8回目となりました。毎年、沿道から応援してきましたが、3万人のランナーたちが都心を駆け抜けていく様子は圧巻です。同時に、30万人をこえる応募の中から抽選に当たることは年々厳しくなってきており、エリートの部でも男女の参加標準記録が引き上げられ、更に狭き門となりました。

今年は、そのエリート女子の部に、私の2選手(市民ランナー)も出場しました。もちろん、両選手とも実力者で、Y選手は先日の別大マラソンで初優勝し、短期間での出場。I選手も2010年の同大会で日本人1位になった実績のある市民ランナーです。ところが、今回の東京マラソンに向けては、両選手の調子を把握するのに苦労しました。

至極当然のことですが、どのマラソンに向けても単に「自己新記録を狙って頑張れ!」と、自分自身がコーチしている選手を安易に送り出すことは絶対にしません。それまでの走り込みや体調、更には精神状態等々を加味した上で、目安となる5k毎のラップ表を必ず選手毎に設定します。そして、ゴール後はそのラップ表との比較で反省をします。

今回出場するY選手は別大マラソン後も好調をキープしていました。しかし、自己記録更新と優勝の大きな目標を2つも達成した後だけに、肉体的スタミナではなく精神的スタミナの消耗が大きく、別大マラソンと同じ設定タイムで走らせることは難しいと判断しました。

一方、I選手は一昨年に出産し、ママさんランナーとなりました。その後、一旦は復活したのですが、昨年は故障や育児も重なり、どん底の状態でした。それでも昨年10月以降から少しずつ距離走ができるまでに回復してきましたが、万全な調子ではありません。

以上のことから、「どのような設定タイムで走るのがベストか?」を、東京マラソンの数日前まで迷いましたが、今回はY選手とI選手を同じ設定タイムにしました。それも後半ペースアップする設定タイムです。実は、マラソンの走り方としては前半おさえて後半ペースアップするのは理想的な感じを受けます。ところが、マラソンは当日のコンディションやレースの流れに大きく左右されるため、特に後半ペースアップする流れは偶発的にはまるケースが多く、次回以降の再現性が極めて難しいのです。

しかし、今回はマラソンに対する自信をより強固にする意味でも次のような設定タイムにしました。◆設定タイム1:1時間23分41秒(前半ハーフ)+1時間22分18秒(後半ハーフ)=2時間45分59秒(1分23秒のペースアップ/無風の場合)。◆設定タイム2:1時間23分41秒(前半ハーフ)+1時間23分41秒(後半ハーフ)=2時間47分22秒(イーブンペース/強風の場合)。※設定タイム1と2の間でゴールする。

果たして当日のコンディションは、気温がやや低い感じもしましたが、最も懸念していた風はほとんど無く、両選手とも設定タイムどおりの走りでゴールしてくれました。◆Y選手結果:1時間23分23秒(前半ハーフ)+1時間22分40秒(後半ハーフ)=2時間46分3秒(43秒のペースアップ/18位)。◆I選手結果:1時間23分25秒(前半ハーフ)+1時間23分13秒(後半ハーフ)=2時間46分38秒(12秒のペースアップ/19位)。

両選手ともゴール後は達成感に満ち溢れており、次のマラソンにつながる大きな自信を手にすることができた様子でした。もちろん、次回マラソンは「自己記録更新」を達成できるよう、引き続き地道な走り込みを継続していきます。

たくさんのご声援をありがとうございました。

期分け・81

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【期分け・81】引き続き、「ゆっくり長く走るトレーニング(LSD)」を取り入れたトレーニング計画についてですが、今回から「3時間突破(サブスリー)」を目指しているランナーの視点から考えていきます。

はじめに、「ゆっくり長く走るトレーニング(LSD)」の目的としては、4時間突破(サブフォー)を目指しているランナー同様、「期分け・76」に記載したとおりです。あらためて、その3つをあげると、目的1は「筋持久力の向上」、目的2は「ランナー体型の進化」、目的3は「肉体的及び精神的スタミナの養成」となります。つまり、マラソンに必要なスタミナ(持久力)の基礎部分(土台)を構築していくことが主な目的です。

ところが、3時間突破(サブスリー)を目指しているレベルになると、4時間突破(サブフォー)を目指しているランナーたちのように、「ゆっくり長く走るトレーニング(LSD)」をメインにしたトレーニング計画では、到達することが難しくなっていきます。

その主な理由としては、達成するための設定ペースが格段に速くなることです。このブログにも何度か記載してきましたが、3時間突破(サブスリー)を達成するためには、1kあたり4分15秒ペースで42.195kを走り切る必要があります。同時に、マラソンでこのペースを維持するための目安となる最低限の走力(スピード)として、次の条件が必要となります。

◆条件1:10kを40分以内で走れる走力(スピード)。◆条件2:5kを19分30秒以内で走れる走力(スピード)。

もちろん、個人差の大きな部分でもあるので、この条件に到達していないランナーで、3時間突破(サブスリー)を達成したランナーもいることでしょう。しかし、仮にこの条件で3時間突破(サブスリー)を達成し、それをひとつの指標となる持久係数から判断すると、実業団選手(プロ)以上のレベルに到達していることにもなります。即ち、現実的にはこの条件より更に速いスピードが求められるため、「ゆっくり長く走るトレーニング(LSD)」のみで、3時間突破(サブスリー)を目指していくことは、かなり難しいと考えられます。

前置きが長くなりましたが、3時間突破(サブスリー)を目指す1週間のトレーニング計画としては、スピード系の要素も加えていく必要が出てきます。つまり、「ゆっくり長く走るトレーニング(LSD)」をどのようなタイミングで実施していくかが、4時間突破(サブフォー)を目指しているランナーと、捉え方に違いが出てきます。

次回は、この点を軸に考えていきます。

つづく。

第63回別府大分毎日マラソン・下

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【第63回別府大分毎日マラソン・下】当日のコンディションは、早朝から快晴となりました。また、予報では何と18度まで気温が上がるとのことで、2月にしては想定外の気温です。

ところが、10時30分頃だったでしょうか、霧が突然出てきました。結局、霧が晴れることなく選手たちはスタートしましたが、霧のおかげで気温もそれほど上がらず、風もほぼ無風と逆にコンディションは良くなったように感じました。

また、先頭集団のペースも、何が何でも「3分/kペース」と言うような感じではなく、2時間10分切りを目指したペースで終盤まで集団を形勢し、見ごたえのある内容でした。同様に、今回も2時間30分をはじめ、2時間40分、2時間50分…と、それぞれの目標タイムに見合った市民ランナーたちの集団も形勢され、応援する側としても力が入りました。

そんな中、私の選手たち(市民ランナー)も、それぞれの目標タイムに向かって快走しました。特に、女子の部にエントリーしたY選手とK選手の2選手については、自己記録更新と共に上位入賞も期待し、送り出しました。

結果は、2選手とも目標設定タイムどおりにレースをすすめ、後半ややペースが落ちましたが、Y選手が優勝、K選手が2位と、素晴らしい結果を残してくれました。また、他の選手たちも今の力を出し切る内容で、次のマラソンにつながる走りでした。

そして、全盲ランナーの和田伸也選手と谷口真大選手も、一般ランナーたちの胸をかりて快走しました。日本記録を狙った和田選手は、自身の持つ日本記録には惜しくも届きませんでしたが、谷口選手は自己記録を6分も更新する頑張りでした。

◆男性市民ランナー:H選手/2時間29分55秒(自己新)、T選手/2時間46分12秒(自己新)、K選手/2時間52分52秒(セカンド)、Y選手/3時間6分26秒(目標達成)。

◆女性市民ランナー:Y選手/2時間41分56秒(自己新)/優勝、K選手/2時間53分35秒(セカンド)/2位、N選手/3時間4分36秒、K選手/3時間5分00秒、E選手/3時間7分45秒(自己新)、K選手/3時間7分56秒、F選手/3時間24分52秒(目標達成)。

◆全盲ランナー(T11クラス):和田伸也選手/2時間37分28秒(セカンド)、谷口真大選手/2時間42分28秒(自己新)。

さて、今回の別大マラソンを沿道から応援していて、あらためてランニングブームの勢いを感じました。と、言うより、ブームではなく確実に定着しています。それに伴い、単に「マラソン完走や大会出場」を目的にしていた方々が、マラソンを完走することによって、記録を目標に次のマラソンに挑戦する姿も増えてきました。

一方で、最初は自己記録更新が大きな目標になり、日々の走り込みも精力的に取り組んでいきますが、走歴やマラソン回数を重ねることによって逆に記録更新が難しくなっていく面も出てきます。今回の別大マラソンに出場した上記ランナーの中にも、その点を不安に感じたり、焦りを強く感じる方々もいました。

マラソンは記録重視で評価される面が強く、自己記録更新にこだわる姿勢は大切です。しかし、永遠に記録更新を目指していくことは残念ながら不可能です。その点を理解し、更に身の丈に合った目標を掲げて次のマラソンに挑戦していく姿勢は更に重要と考えます。もちろん、この個々の目標設定が最も難しいのですが…。

次のマラソンに向け、どのランナーも更にモチベーションを高めながら挑戦していけるよう、今後も地道な練習会を継続していきます。

おわり。

第63回別府大分毎日マラソン・上

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【第63回別府大分毎日マラソン・上】第63回別府大分毎日マラソンが、2月2日(日)に開催されました。伝統あるこの大会に、今回も私の選手(市民ランナー)も多数出場しました。また、日本盲人マラソン協会(JBMA)からも全盲ランナーである和田伸也選手と谷口真大選手が出場し、一般ランナーたちの胸をかりて快走しました。

さて、この大会は、2011年大会から参加標準記録を「3時間30分以内」に緩和したため、世界を目指すトップランナーから男女の市民ランナーまでの幅広いランナーたちが集う、名実ともに日本マラソン界を支える大会にリニューアルしました。

その後、参加人数も右肩上がりで増えており、今大会は過去最多の約3200名のランナーが参加しました。同時に、底辺拡大をはかったことで、一時期低迷気味だった同大会も再び活況を呈してきました。参考までに、過去5大会の2時間20分と2時間30分突破人数、そして、3時間突破人数を調べてみました。

◆2010年大会/2時間20分突破:22名、2時間30分突破:39名、3時間00分突破:470名(ゴール関門が3時間以内)。◆2011年大会/2時間20分突破:13名、2時間30分突破:40名、3時間00分突破:836名。◆2012年大会/2時間20分突破:22名、2時間30分突破:48名、3時間00分突破:815名。◆2013年大会/2時間20分突破:22名、2時間30分突破:44名、3時間00分突破:959名。◆2014年大会/2時間20分突破:26名、2時間30分突破:66名、3時間00分突破:997名。※女性ランナーは除く。

もちろん、大会当日のコンディションに記録は大きく左右されるので、単純に数字を比較できませんが、大会が盛況になってきていることは間違いありません。ところが、参加標準記録を「3時間30分以内」に緩和したと言っても市民ランナー的には、別大マラソンのハードルはかなり高い設定と言えます。しかし、その結果、先頭から後方ランナーたちまでが、本気で記録と向き合って激走している姿が多く、逆に大会を引き締めているようにも感じました。

前置きが長くなりましたが、私がコーチする選手たち(市民ランナー)も、この1年間、伝統の別大マラソンで快走することを目標に地道な走り込みを継続してきました。特に、2011年から新設された女子の部を目標に走り込む女性市民ランナーが多くなり、今回も7名の女性が挑戦しました。

そして何より、日本盲人マラソン協会(JBMA)から全盲ランナーの和田伸也選手と谷口真大選手が初参加しました。両選手は昨年夏にフランスで開催されたIPC世界陸上に日本代表として出場し、和田伸也選手が銀メダル、谷口真大選手が自己新記録で5位入賞。その後も好調をキープしている日本人トップ2の全盲選手です。

また、今回の別大マラソンは、今井正人選手や前田和浩選手等、国内外トップクラスの選手が多数招待されており、個人的にもマラソンファンとして楽しみな大会となりました。

つづく。

期分け・80

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【期分け・80】今回は、マラソンで4時間突破(サブフォー)を目指すための週末集中型によるトレーニングパターンのまとめです。

前回も説明したとおり、「ゆっくり長く走る(LSD)」トレーニングを週末集中型にシフトする主な理由として、仕事等による諸事情から時間を確保することが難しいからです。したがって、平日にまとまった時間を確保できるランナーは無理に週末集中型にシフトする必要はないと考えます。

このブログの「期分け・78」に記載した「週間トレーニング例1」か「週間トレーニング例2」のパターンを参考に、それぞれの生活パターンに応じた流れを構築してほしいと思います。

では、「ゆっくり長く走る(LSD)」トレーニングを週末集中型にシフトした週間トレーニングパターンを考えていきます。

はじめに、平日にあたる月曜日から金曜日までの捉え方についてです。上記したように平日にランニングの時間を確保することが難しいランナーにおすすめなのが、この週末集中型なのですが、平日でも何とか30分から60分程度の時間は捻出することが可能であることを前提に話しをすすめていきます。もちろん、ランナーとして、その程度の時間は早朝等の時間を活用して捻出してほしいところです。

◆週末集中型パターン1).月/休養、火/30分~60分LSD、水/30分~60分LSD、木/30分~60分LSD、金/30分~60分LSD、土/90分~120分LSD、日/90分~120分LSD。◆週末集中型パターン2).月/休養、火/30分~60分LSD、水/30分~60分LSD、木/30分~60分LSD、金/休養、土/90分~120分LSD、日/90分~120分LSD。◆週末集中型パターン3).月/休養、火/30分~60分LSD、水/30分~60分LSD、木/休養、金/休養、土/90分~120分LSD、日/90分~120分LSD。

以上のように、スピード系のトレーニングは組込んでいません。代わりに30分から60分程度のLSD(軽めのジョギング)と、休養で平日をつなぐ流れです。そして、ポイントになるのは休養の日数になります。1週間で休養が1日から3日までのパターンにしていますが、どのパターンも週末の2日間連続の「ゆっくり長く走る(LSD)」トレーニングが充実するように、心と身体をリフレッシュしながら調子を引き上げていくのが、平日の目的となります。

また、休養をうまく取り入れていくことで、超回復の効果を引き出していきます。超回復の詳細については割愛しますが、トレーニング後、24時間から48時間の休息をとることによって、トレーニング前より筋肉の総量が増加することを言います。同様に、週末集中型で走り込んだ後、休養や軽めのジョギングで疲労回復を促進することで、超回復の流れをつくっていくのです。

もちろん、回復の時間については個人差が大きく、どの程度休養するかが個々のノウハウにもなります。週末集中型で走り込んだ後、休養日やジョギングの時間等をいろいろと試しながら自分自身の生活や体調に合ったトレーニングパターンを構築してほしいと願っております。

つづく。

期分け・79

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【期分け・79】今回もマラソンで4時間突破(サブフォー)を目指しているランナーの週間トレーニングについて考えていきます。内容は前回同様、効果的に「ゆっくり長く走る(LSD)」をどのように組み込んでいくかについてです。

はじめに、私の経験上の話しになりますが、あらためて4時間突破を目指せるランナーについて大きく2つのタイプを記載します。もちろん、これが絶対と言うことではありません。

◆タイプ1).走る前から体型がスリムでサッカーやバスケットボール等のスポーツ経験(継続)があり、初めて走った10k程度のロードレース大会や数キロの駅伝大会では仲間より速い記録をマークしているランナー。◆タイプ2).いわゆるダイエット目的からランニングを開始し、大きな怪我や故障もなく、体重を順調に落としながら走る距離をのばしているランナー。

しかし、どちらのタイプも何度かマラソンを完走していますが、4時間の壁にぶつかっています。そして、タイプ1のランナーに多いマラソンとして、スタートから比較的速いラップを刻み、中間点前後から後半の失速です。同じくタイプ2のランナーに多いマラソンとして、スタートからゆっくり目のラップを刻むのですが、35k以降にペースを維持できないパターンです。

また、2つのタイプは全く逆のように見えますが、実はどちらも「ゆっくり長く走る(LSD)」トレーニングの不足が原因のひとつと考えられます。そして、走り込みが不足している原因の多くは、練習時間の確保が難しく、特に平日の走り込みが圧倒的に不足しています。

このようなケースは、必然的に週末集中型にシフトします。また、それが理想的と考えます。しかし、一般的なケースとして土曜日と日曜日の2日間で一気に走り込むと、足腰への負担が大きくなり、故障や怪我のリスクも増大します。

さて、皆さんは如何でしょうか?

ここで、2日間連続で実施するトレーニングとして推奨できるパターンと、できないパターンを記載しておきます。◆パターン1).スピード(土曜日)+スピード(日曜日)=☓。◆パターン2).スタミナ(土曜日)+スピード(日曜日)=〇(逆も有)。◆パターン3).スタミナ(土曜日)+スタミナ(日曜日)=〇。

以上、主な3つのパターンを記載しましたが、パターン2とパターン3が推奨できます。しかし、4時間突破を目指しているランナーにとっては、パターン2よりパターン3を推奨します。なぜなら上記したように、タイプ1とタイプ2のランナーの多くはスタミナ(持久力)が不足していることで「4時間の壁」を突破できないケースが多いからです。つまり、無理なスピード系トレーニングを実施するより、2日間連続での「ゆっくり長く走る(LSD)」トレーニングの方が効果的と考えます。

つづく。

絆・15

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【絆・15】今年最初の盲人マラソン強化合宿を千葉県富津市において実施しました。日程は1月11日(土)から1月13日(月・祝)にかけての2泊3日で、参加選手は男子が8名、女子が2名、選手をサポートするガイドランナー(伴走者)は10名、更にスタッフ等を含め総勢31名での強化合宿となりました。

また、今回もガイドランナーに国際武道大学陸上部の現役学生選手をはじめ、走力のある方々に参加いただいたことで、量も質も充実した強化合宿を実施することができました。まずは、今回の強化合宿にご尽力いただいた関係各位の皆様方に対し、あらためて御礼申し上げます。

はじめに、この強化合宿に初参加した新田選手を紹介します。彼は、右腕の肘から先端が先天的に欠損している障害を持っており、障害クラスで言えば「T46クラス」に該当する選手です。実は、いつもガイドランナーをお願いしている順天堂大学陸上部に所属している現役学生選手でもあり、本当に偶然知ることになった選手です。

既に皆様方も耳にしたことがあるかと思いますが、ひと口に「パラリンピックへの強化」と言っても、実はどのパラリンピック実施競技に関しても選手層が極端に薄く、新しい選手を発掘・育成していくことは最重点課題であるのと同時に、それが極めて難しい状況でもあります。

そんな中、いつもガイドランナーをお願いしている陸上競技の名門大学でもある順天堂大学陸上部にパラリンピックを目指せる新田選手が所属していたのです。まさに「灯台下暗し」です。早速、今回の強化合宿に参加を呼びかけ、初参加となりました。

と、言いつつ腕の障害は視覚障害と同じで、自身の脚で走ったり跳んだりするため、日頃は一般選手と全く同じ土俵で競技をすることも可能です。したがって、今回の合宿でも視覚障害選手と同じトレーニング内容で切磋琢磨することができます。

◆合宿1日目:午後/体幹トレーニング+調整jog+1k走。◆合宿2日目:早朝/調整jog、午前/30k走、午後/動作解析勉強会+調整jog。◆合宿3日目:早朝/調整jog、午前/1k×10本(ロードで実施)、午後/解散。

そんな新田選手も合宿初日は緊張した面持ちでしたが、パラリンピックに出場した選手たちと一緒に走り、宿舎では同室になることで、2日目からは本来の明るさも見えてきました。そして、最終日のトレーニングでは積極的に集団をリードし、力のあるところも見せてくれました。

合宿終了後、「2日目の日間走行距離は自己最高の53kを走れました」と、新田選手は初参加の強化合宿でしたが、何か自信をつかんだ様子がこちらにも伝わってきました…。

さて、冒頭にも記載したとおり、新しい選手の発掘・育成は待ったなしの状況です。しかし、今回の新田選手同様、かくれた逸材は必ず存在します。同時に、新しい選手を発掘・育成するための様々なプロジェクトや対策も必要不可欠です。

しかし、いつでも新しい選手を受け入れられる態勢をキープしていくためにも、地道な強化合宿の継続は強化全体の土台となります。今年もこのことを肝に銘じて取り組んでいきます。

つづく。

※毎週1回の更新を継続してきたこのブログも、おかげ様で「300回」となりました。今後ともよろしくお願い申し上げます。

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