Home > Archives > 2009-11

2009-11

福知山マラソン

h21-11-26-1h21-11-26-2h21-11-26-3

京都・福知山マラソン大会が、23日(月・祝)に開催されました。ランニングブームの波は今や全国展開となり、この福知山にもたくさんのランナーたちが集まりました。また、この大会は全日本盲人マラソン選手権大会も兼ねており、視覚障害者ランナーやそれをサポートする伴走者たちの姿もすっかり定着しています。

私は、今年も全日本盲人マラソン選手権大会のスタッフとして今大会に参加しました。

さて、大会当日のコンディションですが、曇空でかなり冷え込んでいました。スタート時間となる10時30分頃の気温は、体感的には10度以下に感じました。しかし、ほぼ無風でこれからマラソンを走るランナーにとっては、逆に良かったようです。

10時30分、号砲と共に1万人近くのランナーたちが一斉にスタート!

と、言っても先頭がスタートしてから最後尾のランナーが通過するのに、やはり20分近い時間を要していました。しかし、特に大きな混乱もなく、視覚障害者ランナーたちも元気よく飛び出していきました。その後、途中の8k地点へ移動しての応援でしたが、ランナーたちの波が途切れることはなく、その様子はまさに川のようでした。

そして、今回もゴール地点は様々なドラマがあり、女性ランナーたちの頑張りが目を引きました。特に、大きな盛り上がりを見せたのは、3時間13分から15分あたりでしょうか。その記録はご存知のとおり、女性ランナーたちにとって憧れの国際女子マラソン大会参加標準記録(3時間15分以内)でもあるからです。

ちょうどそんなとき、ゴールしてくるランナーたちを出迎えていたボランティアスタッフの高校生10数名が「お疲れ様でした!」と、大きな声にとびきりの笑顔をそれて、ハイタッチをはじめたのです。ゴール地点はいちだんと笑顔に包まれ、その出迎えを受けたランナーたちは「また、マラソンに挑戦しよう!」と、大きな感動を受けたに違いありません。

私は、表彰式を手伝うため一旦その場を離れました。そして、再びゴール地点に向かったのは、ゴール地点を閉鎖(6時間が制限時間)する直前でした。すると、「お疲れ様でした!」と更に大きくなったあの声が・・・。

空前のマラソンブームと言われてからもう数年が経ちますが、もはやブームではなく、確実に定着してきたように感じます。それは、各種マラソン大会を支えているボランティアスタッフ方の熱い思いが、ゴールを目指すランナーたちの心まで届いているからではないでしょうか。そして、沿道の声援やボランティアスタッフの支えは、確実にランナーたちの後押しとなり、これからも自分自身との戦いに挑む全てのランナーたちに、勇気と感動を与え続けることでしょう・・・。

横浜国際女子マラソン

h21-11-19-1h21-11-19-2h21-11-19-3

国内初の周回コースとなった横浜国際女子マラソン大会が、11月15日に横浜で開催されました。私がコーチする選手(市民ランナー)7名もエントリーし、このマラソン大会を目標にトレーニングを積み上げてきました。まずは、その結果を下記に記載します。

◆横浜国際女子マラソン結果).M・KO選手/2時間41分04秒、M・SI選手/2時間51分04秒(セカンド記録)、M・YA選手/2時間52分46秒(自己新記録)、M・SA選手/2時間56分29秒(サード記録)、M・KA選手/2時間58分39秒、A・KA選手/3時間6分56秒、K・TO選手/DNF。

大会当日は、スタート時の気温が20度をこえており、最も恐れていた海岸からの風もかなり強く、選手にとっては厳しいコンディションとなりました。案の定、先頭集団のスピードも序盤から上がりません。また、時間の経過と共に風がどんどん強くなり、3週目となる28k以降は応援しているのも辛く感じるほどの突風が、時折吹き荒れていました。

マラソンは走っている時間が長いだけに、コースの特性や気象条件等に大きく左右されるスポーツです。今回の横浜は沿道から応援していて、その強風に体力を奪われ、大きくリズムを崩して後半失速する選手が多かったように見受けられました。そして、実際に歩き出したり、途中の関門で係員に止められる選手の姿を目の当たりにすることは、とても辛く苦しいことです。

私は、日々の練習の中で「市民ランナーの人たちが、無理して雨の中や風の強い日までも頑張って走り込む必要はあるのだろうか?」と、心の中で葛藤するときが多々あります。しかし、実業団選手(プロ)も市民ランナーも、同じランナーであるならどんな人でも、マラソン大会という発表会の舞台を目指して走り込みを地道に継続します。ところが、今回のように思いがけない悪コンディションにぶつかり、家族や職場の仲間が多数応援する目の前で涙ながらにリタイヤしたり、大きく失速している状況にコーチとして必ず立ち会います。それは最も辛い場面となりますが、それは現実です。

そして、そんな時は逆に「あの時、コーチの私が、雨の日や風の強い日でも、妥協することなく計画どおりのトレーニング指示を継続できていたなら・・・」と、必ず自責の念にかられます。

このように、今回もマラソンを深く考えることが多かった一方で、厳しいコンディションに負けることなく自己記録を更新したり、目標タイムを達成する頑張りを見せた選手もいました。もちろんコーチとして、これほどうれしくて充実した気持ちになることは、他にはありません。

マラソンは、走った選手はもちろん、携わった人たちに対しても様々な影響を与えるスポーツなのです。そして、そんなマラソンに関わり続けられることに感謝し、これからも選手たちと共に成長していければと、あらためて強く感じた「横浜国際女子マラソン大会」でした・・・。

マラソン・10

h21-11-12-1h21-11-12-2h21-11-12-3

「最終調整(仕上)期」:目標のマラソン大会1週間前から前日まで。

ここまで、駆け足でマラソン練習について考えてきましたが、いよいよ最後の期となります。しかし、この期についても前期同様、とにかく休養第一になります。

ところで、皆さんは1週間前の練習は何を実施するのでしょうか?

ほとんどの人が、10kから20k程度のペース走を実施するのではないでしょうか。もちろん、私が指導する市民ランナーたちも、10kから15k程度のペース走を実施して最後の仕上としています。ところが、1週間後に走ったマラソン大会での結果については、残念ながら全員が笑顔になるとは限りません。

なぜ、同じにならないのでしょうか?

実は、前期から距離を落として各自の目標タイムに合った設定タイムを守ってきた人については、ほぼ間違いなく調子が上がってきています。たとえ本人にその自覚が無かったとしても、1週間前のペース走でそれを実感できる人がほとんどです。

マラソン大会1週間前の練習実績例として、◆1).調整のつもりで走った10k走で自己記録に匹敵するタイムで走れた。◆2).後半ペースアップしたら、いくらでもビルドアップできた。◆3).1週間前のハーフマラソン大会で大幅な自己新記録を達成した。◆4).15k走のつもりでスタートしたが、あまりにも軽かったので20kまで走った。・・・以上のような例を経験された人は多いと思います。実は、残念ながら上記の例はマラソンで失敗した人たちがよく話している内容です。※◆対策1).目標とするマラソンペース以上のスピードで追込むような走りはしない。最後まで余裕を持って走りきる。

また、逆に1週間前の10k走があまりにも調子が悪く、自分自身でも納得がいかないと、翌日の月曜日から水曜日にかけて、もう一度10k走にトライする人も意外と多くいます(追試)。この場合、更に失敗する確率が高まります。※◆対策2).追試は実施せず、勇気と決断を持って、狙っているマラソン大会での目標タイム自体を修正する。

マラソン1週間前は、どんな人でも前期以上にメンタル的(精神的)に不安定な状態になってきます。その結果、必要以上に速く走ったり、追試のような練習を急遽実施する人が多く、失敗を呼び込んでしまう人が後をたちません・・・。※不安症候群。

さて、今回もメンタル的な話が多くなりました。しかし、最終的に明暗をわけるのは、これまで積重ねてきたトレーニングや、それを継続してきた「自分自身を信じる力」の差ではないでしょうか。

そして、長期間のマラソントレーニングを通じて変化してきた自分自身の身体や気持ち。それを目標としてきたマラソン大会という発表会の舞台で出し切る達成感や感動こそが、マラソンの醍醐味なのです。

マラソン・9

h21-11-4-1h21-11-4-2h21-11-4-3

「第1次調整期」:目標のマラソン大会の3週間程度前から1週間前まで。

この期は、ペース走や距離走も20k程度までにとどめ、目標とするマラソンペースとほぼ同じ設定で実施します。もちろん調整段階に入ってくるので、この段階でスタミナが足りないからと言って、もう一度走り込むとか、40k走を実施すると言ったことは原則としてありません。調整のポイントは、走行距離を増やして調子を上げるのでなく、走行距離を落としながら調子を引上げていくことです。実は、狙ったマラソンで失敗してしまった原因の多くは、この期に走り過ぎてしまうことなのです。※「マラソン・4」より抜粋。

上記に記載したとおりですが、設定タイムや走り方については、前期とほぼ同じ考え方になります。サブスリー(3時間突破)を目指している人を例にあげると、距離も15kから20k程度に落とし、その設定タイムは4分15秒前後になります。また、余裕があったとしても設定タイムをキープし、残り数キロでペースアップする走り方に徹します。

さて、この期で最も注意するポイントが別にあります。それは、これまであまり考えていなかったことに対して、とても敏感になり、不安に感じてくることです(勝手に不安症候群と言っています)。具体的には、スタミナに対する不安、スピードに対する不安、体調管理に対する不安・・・。特に、目標のマラソン大会に向け、3週間程度を切ってくると、精神的に不安定になってくる人が突然多くなります。

その結果、思い出したように40k走を実施したり、タイムトライアルのようなペース走を実施したり、新発売のサプリメントを数種類服用したり・・・。そして、その多くの結末は、故障、風邪、バーンアウト・・・、更に目標のマラソン大会では後半失速・・・。

皆さんは、いかがでしょうか?

もちろん、私が指導している選手(市民ランナー)たちの多くも、この不安症候群を一度は経験しています。また、それを克服するのに、やはり数年の時間を要しているケースが多いのも事実です。

つまり、どんなに長期スパンでマラソンを目指したとしても、この期のトレーニング次第でマラソンの結果が決まると言っても過言ではないのです。すなわち、「迷ったら(不安になったら)休養」。このことを実行できるか否かが、重要なポイントとなります。

実際に、マラソン大会で後半大きく失速した人から話しを聞くと、「2週間前の20k走は、自己ベストとほぼ同じで走れたのに・・・」と、そんな内容をよく耳にします。まさに、2週間前は、不安症候群になっていたことの裏返しとも言えます。

このように、ほとんどの人は「休養=不安」と、感じるのではないでしょうか。少なくとも私はそうでした(涙)。だからこそマラソン3週間前からは「迷ったら(不安になったら)休養」と、強く意識していくことが必要と考えます。

つづく。

Home > Archives > 2009-11

Search
Feeds

ページの先頭へ