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2020-07

大会新記録

【大会新記録】少しずつ陸上競技会も再開されてきましたが、先日の7月23日からの4連休は、4月から延期された「第83回東京陸上競技選手権大会」も開催されました。また、多くの種目で国内トップクラスの選手たちも参戦していました。

特に、一般男子のトラック競技は、長距離とリレー種目を除く全種目で大会記録が更新されていました(男子200mはタイ記録)。私自身、この大会を毎年観戦していないので確かなことは言えませんが、一般男子のトラック競技は大会史上最もレベルの高い年になったのではないでしょうか。

また、一般女子のトラック競技も大会記録を更新している種目もあり、大会全体としても見ごたえのある競技会でした。そんな中、女子の10000mと5000mに好調の山口選手も出場しましたが、女子10000mは、なんと彼女ひとりの出場でした。

「400mのトラック25周をたったひとりで走るのか?」と、選手以上にコーチの私が不安を感じていましたが、女子の10000mは男子選手と同時スタートに。しかし、男子選手との力差は歴然なので、1周の400mごとに10秒前後の差がついていくことは予想できます。つまり、単独走とほぼ同じになる可能性は濃厚です。

男女10000mのスタートは24日の17時00分。天候は曇りでしたが、気温は30度をこえており、湿度も70%前後と、10000mを走るには蒸し暑く厳しいコンディションです。また、男子選手と同時スタートなので、つられて最初の2000mまでを速く通過すると、蒸し暑さの影響で5000m以降は大失速する確率が高くなります。

さて、スタート時の目標タイムとして、1000mあたり3分15秒ペースを堅持し、「32分30秒」としました。レース展開としては男子選手たちが、4000m過ぎあたりから追いついてくる(周回差)ので、少しずつ抵抗しながら後半の失速をくい止めるイメージです。

スタートから単独走の山口選手は5000mを「16分13秒」と予定どおりの通過。ところが、蒸し暑さの中、体力の消耗は予想以上な感じで、ペースを維持するのがやっとの状況です。更に、後半の目標になりそうな脱落してきた男子選手たちはリタイヤし、結局は後半の多くも単独走が続きました。

しかし、その後半はマラソンランナーらしい粘りを発揮し、9000mの通過は「29分19秒」。残り1000mも更に粘り抜き、「32分28秒90」でゴール。この記録は一般男女の長距離種目で唯一の大会新記録でもありました。

合宿の意味・4

【合宿の意味・4】北海道北見市における強化合宿は無事に終了しました。特に、後半の1週間は走り込みに切り替え、40k走を3回実施しました。ペースを落としているとは言え、それなりにハードな内容でしたが、脱落する選手はいませんでした。

また、最終日は「3000mタイムトライアル」を実施しましたが、驚くことに合宿2日目よりもタイムが良くなっている選手がほとんどで、自己記録を更新する選手もいました。その最終日はコンディションが良かったこともありましたが、積極的に記録へ挑戦する気持ちがそのまま走りにも伝播していました。

また、今合宿もコロナ対策のひとつとして、伴走者を必要とする選手に対する「伴走者は1人」とし、合宿期間中における「伴走者の途中交代はなし」との参加条件を提示。もちろん厳しい参加条件な点は十分に承知していますが、今合宿には2人の選手が伴走者を1人伴って参加しました。

帯同してくれた2人の伴走者は全てのトレーニングを選手と一緒に走り切りました。伴走者としては至極当然のことですが、実は1人の選手に対し、伴走者の複数帯同を認めだしてから伴走者のアクシデントも増加しています。

選手の走力が上がってきているので、単独伴走は厳しくなっているのは事実です。しかし、最初から「選手の半分を走れば良い」と考え、合宿に帯同してくる伴走者が本当に合宿前半でつぶれてしまうトラブルはおきています。しかもなぜか2人同時につぶれてしまうことも意外と多かったりします。

今合宿に帯同してくれた2人の伴走者は、選手の横で3回のタイムトライアルや3回の40k走などをたんたんと走り切っていました。また、一緒に走った選手は2人とも最終日の3000mタイムトライアルにおいて、合宿2日目の記録を上回っていました。

私自身が、合宿中に伴走者の走力や調子を気にせず、選手だけに集中できた合宿は久しぶりだったかもしれません。伴走者が本当に黒子のような存在になると、選手の走りはどんどん良くなります。また、その走りが単独走の選手たちにも伝播し、合宿全体が引き締まっていきます。

8月も北海道北見市において強化合宿を実施します。内容は距離走を平地から起伏走に切り替えたり、滑走路の長い直線を使ったインターバル走を取り入れたりする分、もう少しハードになります。今合宿同様、帯同してくれる伴走者の走力がしっかりしていれば次回合宿も全く問題なく乗り切れるでしょう。

最後になりましたが、我々の強化合宿を心よく受け入れていただいた、北見市の皆様に心より御礼申し上げます。

合宿の意味・3

【合宿の意味・3】北海道北見市で実施中の強化合宿は前半の山場である「5000mタイムトライアル」を本日実施しました。今合宿2日目に「3000mタイムトライアル」を実施したので、2回目のタイムトライアルになります。

結果は、東京パラリンピック日本代表内定選手である男子の堀越選手が、自身のセカンド記録に相当する「15分1秒」で駆け抜けました。また、同じく日本代表内定選手である女子の道下選手に関しては、自身の持つ日本記録を30秒以上更新する「18分37秒」をマーク。

両選手とも4月から5月までの自粛期間もしっかりとトレーニングを積めていた選手たちです。もちろん、その間は孤独なトレーニングでしたが、自分自身との葛藤を繰り返す中で精神面もたくましく成長していました。そして、その成果が本日のタイムトライアルでした。

実は、合宿2日目に実施した「3000mタイムトライアル」において、本日のタイムを予測できていたので、最初からその記録を狙い、その通りのタイムでゴールしました。このように、タイムトライアルの場合、やみくもに最初からただ単に頑張るのではなく、正確な狙いを定めて走る点はポイントです。特に、「3000mタイムトライアル」を定期的に実施することは、様々な視点からも重要な目安になります。

また、本日はホクレンディスタンス網走大会も開催されましたが、今回も強化合宿にサポート役などで帯同している山口選手も女子5000mに出場し、15分34秒の自己新を達成しました。彼女もその3000mタイムトライアルを一緒に実施し、9分19秒で走っていました。その結果から本日の3000mも9分18秒から20秒で通過すれば、15分30秒前後の記録が出ることは予測できていました。

果たして、本日の3000m通過は「9分20秒」。ラスト300mから実業団選手たちに競り負けましたが、目標はマラソンなので特に気にする必要はありません。マラソンに必要なスピードが十分に備わってきている点を確認できたので目的は達成です。

さて、明日から本格的な走り込みに切り替えます。早速、明日の早朝8時から「40k走」を実施します。来週の水曜日までの間に、40k走を3回実施予定です。夏の走り込みは、ペースを落とし、じっくりと走り込んでいくことがポイントになります。

ところが、頭では理解していても実際は、ペースが速くなってしまうランナーは意外と多いのです。特に、マラソンをうまく走れないランナーほど、ペースが速くなったり、意図的に速く走ろうとする傾向にあります(私の経験上)。

夏の走り込みはこれからなので、特に1本目の明日は気楽にいきます。

合宿の意味・2

【合宿の意味・2】ご存知のとおり、今年開催予定でした東京オリパラは来年に延期となりました。本来なら今年の7月と8月は最後の走り込みと調整のため、北海道で長期合宿を計画していました。

もちろん、それらの計画を大きく見直すか否かの検討もしましたが、来年の東京パラリンピックに向けた夏の強化合宿を検証する意味も含め、今年の夏は本来の強化計画どおり実施することにしました。

先日までの長野県菅平合宿においては、距離走も32kまでにし、各選手の調子を見極めることに重点を置いた走り込みを実施しました。しかし、今度の北海道合宿からは、いよいよ本格的な走り込みを開始していきます。

毎年、7月の北海道合宿は日本陸連様のご配慮により、「ホクレンディスタンス」にも出場してきましたが、今年はコロナ禍などの影響もあり、同大会には出場しません。その分、7月の北海道合宿はタイムトライアルを何度か実施予定です。

実は、4月からの自主トレ期間において各自で実施したタイムトライアルでは、5000mの自己記録を更新したり、10kの自己記録を更新する選手がかなりいました。その記録も日本記録を大幅に更新している好記録ばかりでした。たらればの話しになりますが、今年もホクレンディスタンスに出場していたなら、日本記録だけでなく世界記録を更新する可能性のある選手もいました。

いずれにしろ、7月の北海道合宿から本格的な走り込みを実施していきます。そして、8月も北海道でしっかりと走り込み、8月後半からは千葉県富津市に場所を移します。本来であるなら、9月6日は東京パラリンピックのマラソンです。

その日は延期になりましたが、同日に千葉県富津市においてトライアルを実施し、来年の東京パラリンピックに向けた夏合宿の検証をする計画です。もたもたしていると、今年の夏もあっという間に過ぎてしまうので、暑熱対策などもしっかりと実施します。

さて、上記したホクレンディスタンスもはじまりましたが、東京オリンピックを目指しているトップ選手たちは軒並み好記録ラッシュのような印象です。あらためて、「強い選手はどんな状況下でもしっかり走っている」。

我々も出遅れないよう、緊張感と危機感を持って夏合宿に挑みます。

合宿の意味

【合宿の意味】7月5日まで長野県上田市菅平高原において強化合宿です。先月から活動を再開しましたが、各選手の課題もつかめてきた感じです。また、前回の合宿同様、実業団チームの多くがこの菅平高原で合宿しており、日ごろあまり目にすることのない一流選手たちの貴重なトレーニングを拝見しております。

さて、コロナ禍の影響で4月以降やむなく自主トレに終始してきたランナーは多かったと思いますが、合宿などでみんなが集まって切磋琢磨することの意味について少し考えてみます。まずは、至極当然のこととして、長距離やマラソンのトレーニング方法はほぼ確立されています。

どの選手もマラソンを目指すのに、キャッチボールをやったり、パターの練習をしたりはしません。まずは走ります。そして、長く走ったり、速く走ったりしながらマラソンに対応できる身体をつくっていきます。

個々にマラソンの目標タイムは違いますが、どんな目標タイムであっても、それを達成するための走行距離や設定タイムなども概ねつかめています。そのため、自主トレなどの期間もどんな距離をどの程度のタイムで走り続ければ良いかも把握することができます。

ところが、慣れない単独トレーニングを継続していると、多くのランナーが、「この距離とタイムで大丈夫?」と不安に陥っていきます。まさに「自分を信じて愚直に継続する」だけですが、ある意味、それが最も難しいことである点を、このコロナ禍で味わったランナーは多かったのではないでしょうか。

さて、定期的に合宿や練習会で仲間たちと切磋琢磨していると、あることに気が付いてきます。「距離走は遅い設定タイムで走っているのに、マラソンは速い人がいる」、「スピードトレーニングをほとんど実施しないのに、マラソンはどんどん速くなっている人がいる」。あるいは、「インターバルトレーニングの設定タイムは遅いのに、5000mは速い人がいる」。これはどんなレベルのランナーにもあてはまることです。

このように、運動生理学的に云々と言うより、過去の経験などから身に付けたトレーニング方法を継続した結果、速くなっている人がいる事実を目の前で知る事ができます。「こんな練習で速くなるんだ!?」と、目の前で起っていることほど、説得力のあることはありません。

講習会などで専門的な講義を受けるより、目の前で起っている事実を知る方が、「これでいけるんだ!」と多くの刺激やヒントを得られることはたくさんあります。合宿や練習会に参加する意味は、コロナ禍の後ほど、深くなっていくでしょう。

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