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パラリンピック Archive
秋を走る・9
- 2022-10-28 (金)
- パラリンピック | マラソン | マラソントレーニング
【秋を走る・9】この1週間で一段と冷え込んできました。比較的温暖な千葉県富津市においても早朝の冷え込みを感じます。そんな中、10月最後の強化合宿を実施しました。目的は、12月に開催される防府読売マラソン大会に向けた走り込みです。
しかし、そろそろ走り込みの疲労もピークに差し掛かってくる時期でもあります。したがって、全体的には重たい感じが支配的で、合宿計画を微調整する選手も見受けられました。
さて、12月のマラソンに向け、おおむね1ケ月前に当たるこの時期は疲労の蓄積もあり、選手によっては故障ギリギリの状態で踏ん張っているケースもあります。また、選手の心理としては「ここで練習を落としたらもったいない」と、いわゆる根性と気合いだけで走っている選手も散見されてきます。
その結果、本当に故障に追い込まれ、狙ったマラソン大会を断念するケースもありますが、いわゆる「のるか反るか」の考えは賢明ではありません。つまり、疲労の蓄積によって脚などに痛みがあるか否かなど、ここからは自身の状態を客観的に捉え、現実的な判断をしていくことがポイントになるからです。
同様に、過去のトレーニング実績とも照らし合わせ、同じような状態に陥った経験がある場合は、それを参考にすることも良いでしょう。このように、走り込みの疲労がピークに差し掛かるこの時期は、自身の感覚と客観的なデータ(血液検査など)を照らし合わせながら自分の状態を正確につかむことが何よりです。
その結果、今の状態からでも調整可能なゾーンに残っていると判断できるなら、そのまま調整していけます。一方、不安要素が多く、調整が難しいと判断する場合は、逆にいくつかの選択を考えます。
ひとつ目は、当初の目標タイムを下方修正し、何とか出場する方向に持っていく選択です。この場合、どの程度の調子なら最後まで走り切れるかの判断がポイントになります。しかし、下方修正も極端に遅くなるようなケースなら思い切って回避する方が良いでしょう。
そこでふたつ目は、ここまでのマラソン練習を一旦白紙に戻し、体調の回復を最優先する選択。もしくは、12月以降のマラソンに目標をスライドし、今のマラソン練習を修正しながらそのままま継続していく選択になります。
何れにしろ、本格的なマラソンシーズンに突入したばかりのこの時期は、焦る必要はありません。来年3月までをマラソンシーズンと捉えるなら、仕切りなおす時間はタップリとあります。不本意ながら「体調不良」と判断できる方は、ここで無理をしないように……。
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秋を走る・8
【秋を走る・8】東京パラリンピックから1年が過ぎました。過ぎてしまえば遠い昔の出来事のような気がするのは、パラリンピックごとに感じることです。私自身は、東京パラで7大会連続のパラリンピックとなりましたが、母国開催だったこともあり、その思いはより強く感じたのかもしれません……。
さて、その東京パラのメイン会場となった新国立競技場を発着点とする東京レガシーハーフマラソン大会が開催されました。そして、そのコースは東京パラのマラソンコースとほぼ同じで、東京パラのマラソンに出場したパラ選手たちにとっては、思い出深いそのコースを走ることができました。
また、2020年4月以降はコロナ禍の影響で、多くのマラソン大会などが中止や延期に追い込まれていただけに、今回のような大会復活を多くの市民ランナー方が待ち望んでいたことでしょう。
まずは、大会開催にご尽力された関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
秋も深まり、いよいよ本格的なマラソンシーズンに突入しておりますが、目標のマラソン大会に向け、練習の一環としてハーフマラソンに出場する方も多いと思います。距離もマラソンの半分であり、ここまでの調子を確認するにはちょうど良いともいえます。
しかし、ハーフマラソンのその距離は20kを超えるので、特にマラソン練習の一環として走る方は目的などを明確にしておく必要があります。その主な理由として、スタートから記録を意識し過ぎると、15k以降は大きく失速するリスクが高まるからです(特に、今回のようにラスト数キロが上り坂の場合)。
そして何よりも、マラソン練習の一環として出場したハーフマラソンにおいて後半失速すると、どんなレベルのランナーでもスタミナへの不安を残すことになります。同時に、後半の失速は脚へのダメージを残すことにもなり、翌日からも続いていくマラソン練習に悪影響を与えます。
これらの点は予め考慮し、前半はマラソンのイメージで抑え気味に走り、後半もペースをキープしながら、少しずつビルドアップしてゴールすることを、個人的には推奨します。今年は多くの大会が復活しているだけに、マラソン練習の一環としてハーフマラソンに出場予定の方は、特に注意してほしいと思います。
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秋を走る・7
【秋を走る・7】強化合宿を千葉県富津市で実施する場合、トレーニングのメインとなる距離走(30k~40k)は可能な限り多くのランナーたちと切磋琢磨できるように調整しています。また、何度かこのブログにも記載しましたが、マラソンや長距離種目は、究極の個人競技のひとつです。
しかし、競技の特性上、単独で走り込むより、同じ走力の仲間たちと切磋琢磨しながら走り込む方が、効率的なのも確かです。また、お互いを理解する意味でも、同じマラソンを目指す仲間として一緒に走り込むのは良いことです。
特に、マラソンや長距離種目のトレーニングをわかり易く表現すると「ただ走っているだけ」なので、はじめて会う人はもちろん、老若男女関係なく、誰でも一緒に走れます。つまり、練習会などに初参加しても、自分の走力に合いそうなグループに入り、集団の後ろに黙って付いて走れば良いので、シンプルで簡単なことが何よりの特徴です。
そこに、「過去の実績」や「個々のプライド」など何もなく、ただ一緒に最後まで走り切るだけです。もちろん、途中でそのグループから遅れたり、やめてしまったとしても、誰に迷惑をかける訳でもなく、すべてを自己完結できるのがマラソン練習会なのです。
これは、いわゆるパラスポーツのカテゴリーに入るランナーに対しても同じで、一緒に走ることは全く違和感もなく、問題もありません。どんな人でもマラソン練習会に「参加してみようかな?」と、思い立ったのなら、その練習会が自分自身の走力に合っているか否かを確認し、積極的に参加すべしです。
また、上記したように「ただ走っているだけ」にもかかわらず、練習後はお互いをたたえあう光景を必ず目にします。まさに、マラソン大会のゴールと同じです。これは人間の特性なのか否かは知りませんが、初対面でも同じ目的を持って集団で行動(走る)すると、最後は必ず仲間意識が芽生えています。
その意識は「ただ走っているだけ」のマラソントレーニングにとっては、とても大切な要素です。なぜなら、記録を目指していくほど、さらに「ただ苦しいだけ」の要素も濃くなってくるため、その苦しみを乗り越えていくには、仲間の力が不可欠になってくるからです。
10月に入り、本格的な走り込みに入っていますが、富津合同マラソン練習会を通じて「仲間意識の見える化」を、さらに実践していきます。
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秋を走る・5
【秋を走る・5】23日の3連休をはさんだ日程で強化合宿を、いつもの千葉県富津市富津公園において実施しました。ちょうど台風の接近と重なりましたが、トレーニングには影響ありませんでした……。
また、同じ3連休に岐阜県において全日本実業団対抗陸上競技選手権大会も開催されました。同大会には、強化合宿などでもガイドランナーをつとめている山口遥選手も出場したので、ちょうど23日に千葉県から岐阜県へ移動し、翌日の24日に千葉県へ戻る日程で遠征しました。しかし、こちらは台風の影響をもろに受けることになりました……。
さて、次のターゲットとなる12月の防府読売マラソン大会に向けた走り込みのピークは10月になります。今回の強化合宿は故障明けの選手もいたので、足慣らし的な位置付けにもなりました。内容も距離走を2本実施しましたが、特に具体的な設定タイムなども決めず、個々の体調や調子に合わせた感覚で走りました。
また、12月の防府読売マラソン大会に向けてどのように調子を合わせていくのかを、この段階でよく考えることは重要ですが、逆に12月の同大会に調子を合わせることが難しいと判断する選手もいるかもしれません。しかし、年明けの2月に実施予定の別府大分毎日マラソン大会に合わせることは十分可能です。その場合、12月の段階でどの程度の調子に戻しておくかの目安は必須になります。
よくあるパターンとして、現時点で調子が悪いからといって何も考えずに走り込みを重ねた結果、調子のピークが大きくずれてしまうことです。実際にあった例として、年末から年明けの1月前半に調子のピークが訪れてしまい、練習のつもりで出場したハーフマラソンで自己新を達成(無欲で出場)。しかし、2月の別府大分毎日マラソン大会で大失速(狙って出場)。
このように「練習のつもり」というのが曲者で、無欲とはプレッシャーを感じていない状態にもなります。一方、無欲で達成した記録に気分を良くし、本命のマラソン大会では自他ともに期待を寄せることになります。すると、これまで感じたことのないプレッシャーを背負うことにもなり、マラソン大会当日は高い確率で失速することにつながるのです。
あらためて、現時点における調子の良し悪しに関係なく、目標のマラソン大会に向けたトレーニング計画を考え、それに沿って走り込んでいくことがベースであり、重要です。その結果、自身の心と体の調子をコントロールしていくことにもつながり、いわゆるポイント練習ごとにプレッシャーを感じることにもなります。
そして、その計画的なプレッシャー(ポイント練習)を受け止めていくことが、本命のマラソン大会当日に力を発揮できる心と体の強化にもつながっていくと考えます。
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秋を走る・3
【秋を走る・3】先月の北海道マラソン大会からちょうど2週間経過しましたが、次の目標となる12月の「防府読売マラソン大会」を目指した強化合宿を開始しました。もちろん、選手たちの回復状態を最優先しながらでしたが、主力選手たちは元気に走り込んでいました。
「マラソンを走ったあとの回復期間(練習量を落とす期間)は?」
ある意味、この問いに対する回答は永遠の課題でしょうか。専門的な文献や一般論などは多数ありますが、「あまり当てにならない」というのが現場での肌感覚になります。別の見方をするなら、「回復期間は個人差が大き過ぎる」とでもいいましょうか。
もちろん、選手個々の定期的な血液検査の結果や日々の体調チェックなど、ある程度科学的なデータを照らし合わせての判断にもなりますが、人の体は必ずデータどおりになりません。
マラソンのようなハードなトレーニングを日々継続している選手たちの血液結果が、異常値を示すことは珍しくありません。ところが、走ることなどせず、普通の健康的な生活をしている人は、そのような異常値はほとんどないと思います(病気などは別)。
したがって、マラソン後や合宿期間中に実施する血液検査で数値が改善された選手の場合、純粋に改善したことを評価するよりも、単に練習を休み過ぎたり、練習の強度不足を、まずは疑います。つまり、練習やレースで結果を残せていない選手ほど、逆に血液状態が良いケースも意外と多いからです(私の経験上)。
さて、話しが脱線しましたが、マラソン後の回復期間については、上記したように個人差が大きいことは間違いなく、その見極めは簡単ではありません。しかし、ひとついえるのは、計画的にしっかりとマラソントレーニングを積んでマラソンに挑んだ選手ほど、走った後も大きな故障やケガに陥ることなく、次の目標に移行している確率が高いのは確かです。
しかし、マラソンは競技の特性上、その記録は当日の天候などのコンディションに最も左右されます。したがって、特に走り込みをしていなかったとしても偶発的に好記録をマークする選手が存在するのもそのためです。ところが、そのような選手の中には、そのマラソン後に故障したり、次のマラソンでは大きく失速したりと、いわゆる「一発屋」で終わる確率も高いと感じます……。
まとまらない話しになりましたが、要はしっかりと走り込みをしてマラソンに挑んだ選手ほど、その結果の良し悪しに関係なく、マラソン後の回復期間は短い傾向になると感じます。すなわち、マラソンに向けた走り込みを計画的に実施することで、その後の故障やケガのリスクも軽減できるともいえるでしょう。
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秋を走る・1
【秋を走る・1】3年ぶりの開催となった北海道マラソン大会は大いに盛り上がりました。その大会当日の天候は曇りで気温も25度前後でしたが、湿度が60%を超えており、意外と厳しいコンディションだったと感じました……。あらためて、大会開催にご尽力いただいた関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
そんな中、ブラインドマラソンの選手たちも3年ぶりに出場し、男子は昨年の東京パラで銀メダルを獲得した和田伸也選手が大会新記録で優勝。女子も東京パラで金メダルを獲得した道下美里選手が自らの大会記録を更新する新記録で3連覇を達成しました。
しかし、今回の北海道マラソン大会に向け、強化合宿などを重ねてきたにもかかわらず、直前にコロナ感染する選手や故障する選手を複数出してしまった点。大会当日は途中棄権する選手も複数出してしまった点など、強化責任者としては猛省する大会となりました。
この後、12月の防府読売マラソン大会を目標に強化活動を継続していきますが、手綱を引き締め、しっかりと立て直していく所存です。引き続き、皆様の絶大なるご支援をお願い申し上げます。
一方、ブラインドマラソンの強化合宿などで選手をサポートしながら一緒に切磋琢磨してきたガイドランナーでもある山口遥選手が、女子の部で優勝し、目標のMGCを獲得しました。
特に、35k以降は上記したブラインドの和田伸也選手と競り合いながらゴールを目指す姿は、強化合宿などでいつも見ている映像そのものでした。彼女にとっても、いつもの練習と同じ感覚で最後まで粘り抜けたことが、最大の勝因だったことでしょう。
そんな彼女は、これまで厚底シューズを本格的に使用したことは、ほとんどありませんでした。しかし、この北海道マラソン大会に向け、走り込みの段階から厚底シューズを徹底的に履いて履きつぶし、履きこなせる段階まで持っていきました。
さらに、彼女は50回以上のマラソン経験があるにもかかわらず、スペシャルドリンクを置いたことは一度もありません。そもそも、真夏の距離走においてもほぼ給水を取りません。とにかく暑さには強く、炎天下の練習で彼女がつぶれた姿を見たことはありません。
ところが、この給水を適当に考えて一流になった選手はいません。マラソンでさらに飛躍するうえで、この給水問題は避けて通れないことも確かです。今回の北海道マラソン大会で、彼女は初めてスペシャルドリンクを置き、そのドリンクを取りながらゴールを目指しました。
あらためて、今回のレースは終盤にブラインドの和田伸也選手と競り合えたことは大きかったのですが、それを可能にしたのは厚底シューズとスペシャルドリンクだった点も確かです。このように、50回以上もマラソンを完走しているベテラン選手が、まるで初心者ランナーのような対策でMGCを獲得したのです。
しかし、どんなレベルに到達しても自分自身に不足している点を素直に認め、それを素直に修正(試みる)する気持ちと姿勢を持っている選手は確実に成長します。彼女が今後も飛躍する可能性がある最大の理由は、そこになります。
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夏を走る・5
【夏を走る・5】先週は梅雨らしい季節と話していたところ、なんと梅雨が明けました。また、雨天で走り易い日もあると、選手にも話しをしていましたが、梅雨が明けると連日35度前後の猛暑日です……。
その梅雨明けとほぼ同じタイミングの6月25日から29日の日程で強化合宿を千葉県富津市富津公園において実施しました。もちろん初日から最終日までの間、連日30度を超える厳しコンディション下でのトレーニングになりました。
今回の強化合宿には順天堂大学から3選手がガイドランナーなどのサポートとして参加頂きましたが、その3選手は今年の箱根駅伝で3位入賞を果たした主力メンバーです。また、その3選手を大学で指導している順天堂大学コーチの仲村先生にも帯同頂き、動きつくりなどの指導や選手個々にアドバイスなども頂戴しました。
駅伝強豪大学なので、「何か特別なノウハウがあるのかも?」と思いがちですが、仲村先生の指導やアドバイスはシンプルで的確であり、何よりも「日々の継続」を強調していました。我々はどうしても新しい情報ばかりに目が向きますが、地道に足元を固めていくことの大切さを再認識することができました。
さて、今回の合宿は連日30度を超える厳しい暑さの中でのトレーニングでしたが、どの選手も既に暑熱順化ができており、暑さを理由に途中で大きく離脱する選手は皆無でした。これは、昨年の東京パラを目指していた同時期よりも明らかに調子が良く、どの選手も毎年積み重ねてきた経験や実績を活かせています。
そして、来週末からは恒例の北海道北見合宿に入ります。同合宿中は、今年もホクレン・チャレンジディスタンス大会に出場し、5000mを2本走りますが、間に40k走をセットにして走り込んでいきます。
その後、8月下旬に開催予定の北海道マラソンを目標にした調整に入ります。ただし、7月後半からの強化合宿は涼しい北海度ではなく、再び千葉県富津市富津公園に場所を戻します。今年は夏マラソンに向けた最後の調整をあえて暑い場所で実施します。
2024年のパリパラに向けた暑熱対策もこれまでの経験と実績を活かしながら、あらたな経験と実績も加味していきます。
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夏を走る・4
【夏を走る・4】私の住んでいる千葉県も今年は梅雨らしい天候が続いています。そのため、気温も比較的高くない日もあるので、私のようにジョギングをするだけなら問題ないでしょうか……。
先日の日曜日は、富津合同練習会を実施しました。天候は曇っていたのですが、スタートした9時からゴールのお昼頃までは、ちょうど晴れました。したがって、気温も一気に上昇し、長い距離を走るには過酷なコンディションに……。
同練習会に参加しているメンバーの中には、8月に開催予定の北海道マラソンを目標にしている選手もいます。また、その大会にむけた準備(走り込みなど)を開始する時期にも入っています。
あらためて、夏マラソンは7月から8月あたりの暑い季節にマラソンを走るため過酷です。しかし、本当に過酷なのは、その夏マラソンを走るための準備(走り込みなど)です。なぜなら、8月のマラソンを目標にすると、その準備(走り込みなど)を開始するのは、遅くとも暑くなってくる6月からになるからです。
昨年の9月5日は東京パラのマラソンでしたが、メダルを獲得することができました。そのマラソンに向けた最後の追い込みを開始したのは、昨年の6月からでした。具体的なポイント練習のひとつは、6月から8月第1週までの間に実施した9本の40k走でした。
経験上の話になりますが、いわゆる冬のマラソンはハーフマラソンなどで調子が上がっている場合、スタミナに不安(走り込み不足)があっても、勢いで好記録をマークするケースが多々あります(トップ選手も含め)。
ところが、夏マラソンの場合、スピードが出せる調子に仕上がっていても、スタミナ(全身持久力)がないと最後まで走り切ることはかなり難しいといえます(大失速する)。つまり、暑さの中で長時間動き続けるには、スタミナがより重視されるのです(暑熱対策も含め)。
また、暑い中で長時間走ると、どんなレベルの選手でも脱水症状などの様々なリスクがともない、計画どおりに走り込むのが難しいのは確かです。しかし、計画どおりに走り込めていないと、夏マラソンで勝負するのが難しいのも確かです。
また、この相反するような課題を解消できる的確な方法を、私は見聞したことはありません。つまり、夏マラソンが無くならない限り、この矛盾(?)と向き合い続けていくのでしょうか……。
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夏を走る・3
【夏を走る・3】先日の11日から12日の日程で、日本パラ陸上競技選手権大会が兵庫県神戸市で開催されました。同大会に向け、4月後半から強化合宿を重ねてきたので、その成果を確認するために、私も神戸に行きました。
果たして結果は、東京パラのT12女子マラソンで金メダルを獲得した道下選手が、5000mでアジア新記録を達成するなど、目標どおりの記録を残した選手を多数確認することができました。一方、うまく調子を合わせることができなかった選手もいました。
また、その結果を振り返ると、日本代表選手として東京パラを走った選手のほとんどは目標どおりの結果を残していました。ところが、出場できなかった選手ほど練習の成果を記録として残すことができなかったように見受けました。
やはり、大舞台を経験した選手たちは、「確実にひと回りもふた回りも成長した」と、レースをみていてもはっきり確認できました。あらためて、「人は大きな経験をすることで、大きな成長をする」と、感じました。
そして、我々は国から予算を頂戴して選手強化を継続している以上、最終目標は「パラリンピックでメダルを獲得する」です。それ以外はありません。もちろん、選手個々に走力やトレーニング環境が違うので、誰もが最初からその目標に到達することはできません。
陸上競技でパラリンピックを目指すパラ選手は、オリンピックを目指す一般選手に比べると、競技人口は圧倒的に少なく、いわゆる底辺が広いピラミッド型にもなっていません。したがって、一度パラリンピックに出場するレベルに到達した選手が、長期間に渡ってその地位をキープする傾向が強い特性を持っています(競争原理が働きにくい)。
逆の見方をするなら、パラリンピックに出場したことのない選手が、パラリンピック日本代表選手を倒すことは、一般のトップ選手がオリンピック日本代表選手に勝つこと以上に難しいと感じます(私の主観)。
2024年5月に今大会の会場において、WPA世界陸上競技選手権大会が開催されます。そして、この大会で上位入賞した数名の選手にはパリパラリンピックの出場切符が渡されます。今回、目標どおりのタイムに到達しなかった選手たちも、そのチャンスを手にできるよう、今日からさらに精進してほしいと願っております。
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夏を走る・1
【夏を走る・1】5月28日から4泊5日の日程でいつもの千葉県富津市富津公園において強化合宿を実施しました。今回の強化合宿は、6月11日から開催される日本パラ陸上競技選手権大会に向けたスピード強化がテーマでした。
5日間の中で実施したポイント練習は、ロードでの距離走が1回、トラックでのスピード練習が2回。ところが、実施したその3日間とも快晴となり、気温も30度を超えるなど、長距離選手にとっては過酷なコンディションになりました。
さて、今回の強化合宿に参加した選手は、東京パラT12マラソンでメダルを獲得した堀越選手、道下選手。同じく東京パラT11トラックでメダルを獲得した和田選手など、主力選手が揃いました。
また、今回の強化合宿に参加したガイドランナーもエース級が揃い、質の高いトレーニングを切磋琢磨しながら消化することができました。その強化合宿中の具体的なトレーニング内容は割愛しますが、私が強化合宿を見てきた中でも歴代トップ5に入るような充実ぶりだったことは間違いありません。
とくに、合宿最終日に実施した「ペース走+インターバル走」は、全選手がこちらの指示した設定タイムを上回る積極的な走りをしていました。また、いつものように強化合宿を見ていて久々に「これは強い!」と、選手たちの成長に手ごたえを感じました。
そして、選手たちの快走には、常にガイドランナーたちの支えがありますが、今回のようにトップガイドランナーが揃うと、強化合宿(トレーニング)が引き締まります。その結果、選手たちも消極的な姿勢や走りを見せなくなります。
あらためて、マラソンや長距離は個人競技ではなく、「チーム競技」であると強く感じました。もちろん、レース中は個人ですが、過酷で単調なマラソントレーニングを単独で乗り越えていくには限界があります。
つまり、強化合宿(定期練習会も)のように仲間と切磋琢磨しながら厳しいトレーニングを重ねていくことで、はじめて個人の力も上がっていくのです。少なくとも私はそう確信しております。これからも目の前に立ちはだかってくる困難を「チーム力」で乗り越えいきます。
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