Home > Archives > 2018-11

2018-11

振り返り

【振り返り】本格的なマラソンシーズンに突入し、既にマラソンを何本も完走している方も多いと思います。同時に、マラソンを走るごとにそのレースを振り返り、次レース以降の改善点としている方もいるでしょう。

よく耳にするのは、「振り返りと反省は違う」です。と、言いながらも良かった点、悪かった点を洗い出していくことは必要です。もちろん、それがないと振り返りをする意味も薄まります。

また、振り返りでよく耳にするのは、「〇日前に風邪をひいて体調を崩してしまった」、「レース中に我慢(根性)が足りず、メンタルの弱さを露呈した」。この2点はどんなレベルのランナーでもほぼ必ず出てくる点です。

至ってシンプルな内容ですが、逆に永遠のテーマと言えるかもしれません。一般的にランナーは調子が良いときほど体調の維持・管理は難しくなり、どんなに苦しいトレーニングを積んでいても、実戦の緊張感や苦しさを超える体験はできません。

かくいう私も現役時代は上記2つの壁にぶつかってばかりいました。更に、指導する立場になった今もこの2つの壁に苦しめられています。これからも様々な角度から対応策を模索していきます。

さて、マラソンの振り返りで重要な点があります。それは、当日のコンディションです。つまり、天候やコースなどです。ご存知のとおり、マラソンは屋外で長時間走る競技です。その競技特性から当日の天候とコースに記録は大きく左右されます。と、言うよりこれで記録は決まると言っても過言ではありません。

ところが、悪天候の中を走った後の振り返りを「メンタルが弱い」と、反省する方は意外と多いのです。同様に、コースの起伏が激しく、どう考えても記録は狙えないにも関わらず、自分自身の走力の無さばかりを責めている方もいます。

確実なことは言えませんが、大会は毎年同じ日程で開催されているので過去の天候などを検証すると、毎年晴れている大会、雨の多い大会、風の強い大会など、大会ごとの傾向をつかむことができます。

つまり、マラソンの振り返りをするとき、当日の天候やコースなどを最初に吟味し、起伏の激しいコース、強風や雨天傾向の強い大会を回避していく選択は、振り返り時の正しい判断と言えるかもしれません。

ピーキング

【ピーキング】11月18日は東京学芸大学記録会が開催され、IPC公認・視覚障がい男女1500mと同男子5000mを実施いただきました。まずは、IPC公認のためご尽力いただいた関係者の皆様に御礼申し上げます。

主な結果は、男子T11クラスの和田選手が、1500mと5000mの両種目ともに今シーズンベスト記録をマーク。特に、5000mはアジア新記録でした。また、先日のアジアパラで金メダルを獲得した男子T12クラスの堀越選手も、5000mで今シーズンのベスト記録をマークしました。

さて、パラリンピックを目指す選手は、オリンピック同様に参加標準記録が設定されており、まずはその記録を突破する必要があります。ところが、オリンピックと違う点は、日本陸連公認の大会や記録会などで記録を残しても、その大会や記録会がIPC公認としての諸条件を満たしていなければ、その記録はパラリンピック出場として公認されません。

つまり、日本陸連公認がそのままパラリンピックに出場するためのIPC公認記録にはならないのです。詳細は割愛しますが、このIPC公認大会にするためには手続きや準備が必要で、なおかつ誰もが簡単にできるものではありません。

そのため、パラリンピックを目指す陸上選手は、オリンピックを目指す選手と比較した場合、記録を狙う機会が極端に少なくなります。今回の東京学芸大学記録会は、ブラインド選手にとっては記録を狙える貴重な機会となりました。

今回、各選手は記録を狙うために調整してきましたが、狙った記録を達成できなかった選手の方が多かったのは残念でした。もちろん、単に調子が悪かったと言う選手はいませんでしたが、この記録会に調子を合わせることができなかったのです。

前述したとおり、単に日本陸連公認の記録会に出場してもIPC公認扱いにはなりませんが、ブラインド選手たちは一般の記録会にも積極的に参加しています。実は、今回の記録会前に調整として出場した日本陸連公認の記録会において好記録をマークした選手も多数いました。

しかし今回、明らかに調子のピークがずれ、残念ながらピーキングを失敗した選手が多かったのです。パラリンピックを目指す選手は、数少ないIPC公認大会において記録を残すことが必須で、単に調整で出場した日本陸連公認の大会や記録会で世界記録をマークしてもIPC公認条件を満たしていなければ記録は無効になります。

一般陸上関係者の皆様には、とてもわかり難いシステムですが、大は小を兼ねないのがパラリンピックの世界でもあります。今回の記録会を、ピーキングについて再構築する良い機会にしていきます。

風邪の季節へ

【風邪の季節へ】季節は秋から冬へと移り、マラソンや駅伝を走るにはより絶好の季節に入っていきます。そして、いよいよ本格的な風邪とインフルエンザが猛威を振るうシーズンへの突入でもあります。

夏から走り込みを開始し、秋からの本格的な走り込みも順調に積み重ね、自他ともに自己記録更新を狙える調子に仕上がった矢先に風邪をひく。別の意味で、「マラソンの王道?」とも呼べるほど、風邪で記録更新のチャンスを棒に振る選手を毎年必ず見受けます。

誰もが好んで風邪をひくわけではありませんが、好調な選手ほどリスクが高まっていると感じます。専門的な話は割愛しますが、例として好調な選手はトレーニング前後でもよく話し込んでいる傾向があります。

特に、難易度の高いトレーニングを難なく走り切った後ほど、仲間から持ち上げられます。その結果、寒い中でいつまでも話しをすることになり、風邪をひいてしまう。また、練習後に仲間と食事にでかけ、人混みの中を長時間過ごしたことで風邪をひいてしまう。他にも様々な行動パターンから風邪を呼び込んでいる選手が後を絶ちません。

マラソンを目指して走り込みを積み重ねている以上、脚の故障や怪我を避けることは難しいことです。しかし、この場合は専門のトレーナーや治療師にケアをしていただくことで、かなり回復することができます。同時に、多少の痛みならレースそのものを走ることも可能です。

ところが、風邪をひいた場合、同じようにはいかないケースがほとんどです。つまり、多くの場合がダイレクトに呼吸器官をやられるので、軽いランニングですら呼吸が苦しくなってしまいます。

更に、風邪を回復させるため、数日間安静にすると、今度は筋肉の状態も変わってしまい、目標のマラソンへの調整も狂いが生じます。このように、一旦風邪をひいてしまうと、その影響は頭で考えている範囲を大きく逸脱していくのが常です。

これから年末に向け、気温は一段と下がり、ランニングにとっては最適な季節に入る一方、忘年会をはじめ多くの飲み会や付き合いが増える時期です。もちろん、一切の付き合いを断ち、風邪やインフルエンザ防止に徹する生活ができれば理想的ですが…。

マラソンで記録更新を達成するために何ヶ月も費やしてきた日々を、たった1回の風邪で棒に振らないよう、十分に注意していきましょう。

シーズン突入

【シーズン突入】本格的な駅伝・マラソンシーズンに突入し、私の地元でもある千葉県富津市富津公園においては、箱根駅伝出場大学や実業団チームが連日合宿に訪れています。

日本ブラインドマラソン協会主催の強化合宿も、来年3月まではここ富津公園を拠点に強化合宿を重ねていきます。そして、先日の11月2日からも、この富津公園で強化合宿を実施しました。

もちろん、実施内容は走り込みがメインですが、12月に開催される防府読売マラソン(兼日本視覚障がい女子マラソン選手権)に出場する選手たちにとっては、特に重要な強化合宿となりました。

昨年12月の防府読売マラソンにおいては、女子選手を中心に自己記録を更新する選手が多く、昨年の強化合宿においてもよく走り込めていました。しかし、今年は記録的猛暑の影響もあり、夏の走り込みが思うように積めなかった選手もいました。そんな影響で、今回の強化合宿も少し懸念していましたが、大きく逸脱している選手はいませんでした。

強化合宿のメイントレーニングは、合宿3日目に実施した40k走です。もちろん、設定タイムや距離は選手個々に微調整して走らせるので、全選手が同じではありません。また、見た目の設定タイムが速いからと言って、その選手が好調かと言えば、決してそうではありません。

この点は、実業団選手も箱根選手も同じです。どの大会を目標にし、どの程度の記録を目指すかは個々に違うため、強化合宿で走っている選手たちのタイムやその動きがそのまま大会に反映されるか否かはイコールではありません。

同時に、ここの見極めや判断は何度経験しても難しい点です。また、どの選手も不調なときは、必要以上に周りの選手と自分を比較する傾向が強いものです。したがって、こちらが思っている以上に落ち込んでいるケースが多いのです。

逆に、好調なときは設定タイムや決めた距離以上に走ろうとします。その結果、怪我や故障につながるケースが多いのも事実です。そして、合宿中は必ず好不調な選手が同居するので、そこが最も難しい点にもなります。

いろいろとありますが、今シーズンも陰ながらサポートしていきます。

Home > Archives > 2018-11

Search
Feeds

ページの先頭へ