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マラソン練習会 Archive

期分け・15

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いよいよ今年も8月に突入です。そして、第1次マラソン期(11月中旬~12月上旬)に向けた本格的な走り込みをスタートさせる時期になってきました。今回からその第1次走り込み期にあたる8月から10月の走り込みについて考えていきます。

はじめに、期分け的に言えば「第1次走り込み期」となりますが、もう少し細分化して考えた方が理解し易いのと、実行し易くなります。そこで実際に細分化し、次のように分けます。

◆8月~9月上旬:基礎体力養成期。◆9月中旬~10月下旬:スピード持久力養成期。

以上のように大きく二つに分けることで、走り込みの具体的な目的や内容がより明確になります。もちろん毎度のことですが、期分けの呼び方や期分けの月割りや期間等については、各自それぞれのスタイルで全く問題ありません。同時に、トレーニングの流れやパターンについても絶対はありません。これまでの経験や実績のある人は、自分自身が積み重ねてきたデータをより重視していくようにしましょう。

では、続いて細分化したそれぞれの期について簡単な説明をしておきます。

◆基礎体力養成期(8月~9月上旬):ゆっくり長く走ることが基本となります。具体的にはペースを意識せず、走行距離でなく走行時間を目安に走り込んでいきます。もちろん、距離走やペース走を実施しても問題ありませんが、ペースを落としてじっくりと、スタミナをを蓄えていくイメージで走り込んでいくことがひとつのポイントになります。したがって、涼しい高原での開放的な走り込みや、登山(トレイルラン)をうまく活用することは全身持久力を養成するためにも効果的なトレーニングのひとつとなります。

◆スピード持久力養成期(9月中旬~10月下旬):目標とするマラソンの記録を意識したペース走や距離走が中心の走り込みとなります。そのため、距離表示の正確なコースやトラックでのペース走が重要なポイントになります。また、この時期に10kからハーフマラソンのレースをうまく活用することはペース感覚を養成することにもつながり、とても有効的なトレーニングとなります。そして、この期では目標のペースで確実に走り切るためのスピードも要求されてくるので、ひとつひとつのポイント練習(ペース走や距離走)に対する集中力が、とても重要になってきます。

次回からは、基礎体力養成期について考えていきます。

つづく。

期分け・14

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今回でスピード養成期についての話しは一区切りとします。

最後は3kのタイムトライアルについて考えていきますが、この3kの距離は一般的に言うと、馴染みの薄い距離になると感じますが、いかがでしょうか?

しかし、この3kは陸上競技的に言うと長距離走の登竜門となる基礎的な距離になります。それは、全国の中学生が各地で開催している陸上競技大会において、男子の最も長い距離が3kです。また、同じく全国の高校生が各地で開催している陸上競技大会において、女子の最も長い距離がこの3kとなります。

なぜ、中学生男子と高校生女子の最長距離が3k(3000m)なのかについては、私も正しく把握しておりませんが、長距離を志す男女のジュニア選手は必ずこの3kからスタートすることは間違いありません。そして、この3kで長距離的なスピード感覚やペース配分等々を体得しながら年齢と共に距離をのばしていくのが、日本の伝統的なスタイルのひとつです。

もちろん、実業団選手(プロ)になり、ハーフマラソンやマラソンのような長い距離を走れるようになった選手でも各種競技会に出場し、この3k(3000m)を走っています。実は、マラソンの日本記録保持者である高岡選手は、3000mの日本記録保持者(7分41秒)でもあります。

そして、マラソンの基礎的なスピードの目安となる5kや10kのタイムを短縮するためには、この3kのスピードをアップすることが大きなカギとなります。具体例として10kを40分以内で走ることが目標とした場合、5kの目安は19分30秒前後となります。更に、トレーニングの段階において、そのペースで3kを走り切る走力が必要不可欠になってきます。即ち、3kの目標タイムとして「19分30秒×3/5=11分42秒」となり、3kのタイムトライアルではこの「11分42秒」を意識して走ります。

では、実際に3kのタイムトライアルを走る場合の注意点として、まずは1kのタイムトライアル同様、距離の正確なトラックで正確なラップタイムを計測しながら実施するのが原則となります。また、1kのタイムトライアル同様に200m毎にラップタイムを確認しながら走る方がより正確で確実です。但し、距離が長くなる分、ペース配分がより重要になります。特に、出足のオーバーペースは致命的になりますので、最初の200mから400mあたりまでをおさえるようにして走ります。

この出足を少しおさえる感覚は、3kのタイムトライアルを通じて体得してほしい大切なポイントのひとつになります。また、距離が長い分、逆に2kあたりまでペースをおさえ、残り1kからペースアップする走り方は、ラストスパートをするタイミングや残った力の出し切り方を覚えるにも最適です。

最後にこのスピード養成期をまとめると、◆1).1kのタイムトライアルを通じて自分自身のスピード限界を高める。※失速を怖がらず積極的に走れる度胸と粘り。◆2).3kのタイムトライアルを通じて速いスピードでのペース配分やスパートのタイミングを体得していく。※失速しないように体力の配分を考えながら最後まで一定に走れる冷静さと安定感。

以上のように1kと3kのタイムトライアルをセットで実施することは、単にスピードを身に付けるだけでなく、マラソンに必要不可欠な積極性や粘り強さを体得することにもつながっていきます。

つづく。

期分け・13

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1kのタイムトライアルについて考えていきますが、可能な限り途中のラップが計測できる距離の正確なトラックで実施することをおすすめします。(近くにある学校のグラウンドでもOK)

既に何度も記載していますが、正確な距離を走り、そのタイムを正確に記録していくことがタイムトライアルの原則となります。もちろん、距離表示のある公園や河川敷でもかませんが、200m~400m毎の細かいポイントがわかる場所を探しておきましょう。(自分自身で予め距離を測定したコースでもOK)

次に、大まかな目安となる目標タイムを決めておき、200m毎のラップタイムを走る前に書き出し確認しておきます。参考までに今回は、1kを4分00秒で走ることを例にして話しをすすめていきます。

それでは実際に1kを4分00秒のイーブンペースで走った場合、200m毎のラップタイムは、「48秒―1分36秒(48秒)-2分24秒(48秒)-3分12秒(48秒)-4分00秒(48秒)」となります。そして、このラップタイムを頭の中でイメージしながら実際に1kを走ります。

ところが、1kのタイムトライアルを実施すると、ほとんどのランナーが600mを過ぎたあたりから大きく失速し、ゴール直前の200mは止まりそうになります。その代表的なラップは、「39秒―1分25秒(46秒)-2分13秒(48秒)-3分8秒(55秒)-4分8秒(60秒)」となりますが、皆さんはいかがでしょうか?

実は、小中学生の地区陸上大会(市内大会レベル)を見ていると、ほとんどの選手がこれに近いパターンの走りをします。即ち、スタートからダッシュで飛び出し、ゴールに向かってどんどん失速していきながら、ゴール直前が最も遅いペースとなる走り方です。そのためレース中のかけひきやラストスパートはあまりなく、単にゴールに向かって消去法的なレース展開が多くなります。これは走歴が浅く、練習量の少ないランナーに多く見られる走り方です。

そして、この悪いパターンを修正していくためには、タイムトライアルを定期的に取り入れてペース感覚をつかんでいくことは、ひとつの打開策となります。特に、この1kのタイムトライアルは、5kや10kのように走行距離や走行時間も長くなく、誰でも手軽に挑戦できる距離でもあります。

また、スタートから飛ばすと上記のように最後は失速しますが、逆に最初の200mをコントロールできればラストスパートも出せるようになります。したがって、200m毎に様々なペース配分を試していくことで、自分自身の能力に合ったペース配分を見つけることもできます。そして、たったの1kだからこそ逆に、1回のトレーニングで何パターン(1k×3~5本)も試すことが可能となります。

このように、1kのタイムトライアルを活用し、様々なペース配分を想定しながら走ることは、頭の中でイメージしたスピードを手足に正しく伝達していく能力を高めることにもつながります。

つづく。

期分け・12

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あらためて皆さんは、1kの距離を全力疾走したことがあるでしょうか?

3kや5kの距離なら駅伝等で走った経験があるランナーでも、たったの1kを最初から本気で走ったことは意外と少ないかもしれません。しかし、5kや10kのスピードアップにとって、この1kを全力で走ることは重要なポイントになります。

また、5kや10kはマラソンの基礎になる距離と言っても、スタートから全力で走るには距離が長いと思っているランナーは、多いのではないでしょうか。その理由は様々だと思いますが、大きな要因のひとつが最初からスピードを出すと最後までもたないと考えるからです。

具体的には、運動会で走ったようにスタートからスピードを全開させるような感覚で5kや10kを走れないと、決め付けているからです。もう少し別の言い方をするならスタートから速く走ろうと手足を動かす前に、頭や気持ちの中でブレーキが掛かってしまうのです。

実はスピードを上げて長く走ることは心拍数が上がり苦しくなるとイメージしますが、初心者を中心に多くのランナーは手足を早く動かそうと頭で指令を出してもそれがうまく手足には伝わりません。その結果、5kを走るスピードもマラソンを走るスピードもあまり変わらないランナーが多くなります。

つまり、頭から手足に指令を伝える神経を発達させることができれば自身のスピードもコントロールできるはずです。そして、その手段がスピードトレーニングであり、タイムトライアルなのです。もちろん実際に速く走ろうと頭から指令を出し、そのとおりに手足が動くようになれば、自分自身が持っているスピードの上げ下げも思い通りになります。それは、マラソンでの「スピード的ゆとり(余裕)」にもつながっていくはずです。

このように、スピード養成期で1kや3kのタイムトライアルを積極的に実施した方が良い理由は、単に心肺機能を向上させるだけではありません。速く走ろうとする指令を手足に正しく伝える神経系を鍛えることで、自分自身のスピードを自在にコントロールするためでもあるのです。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、次回からはタイムトライアルの具体的な走り方を考えていきます。

つづく。

富津合同マラソン練習会・9

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前回からの続きで、「ポイント3」についてです。

既に何度も話していますが、富津合同マラソン練習会は1kあたりのペースが、「4分30秒」と「5分00秒」のスピードでキッチリと刻んでいく距離走。更に、ゆっくりと走り込む「LSD」の3グループで構成されています。そのため、面識のない人でも走力の近いランナー同士が一緒に走ることになります。もちろんスタートしてからゴールする間は、お互いに言葉を交わすことはほとんどありません。

それは、はじめて練習会に参加した人でも、2時間から3時間以上も初対面の人たちと一緒に走り続けることになります。そして、その長時間を同じグループ内でお互いが耐え抜き、ゴールを共にすると、不思議なことにもう何年も一緒に切磋琢磨してきたかのような仲間意識が芽生えています。

ゴール後は、スタート前の緊張した面持ちとは一変し、日々の練習のことや、目標にしているマラソン大会等について、笑顔で談笑している光景をいつも目にします。それは、どこにでもあるような光景ですが、実は意外とそうではないのです。

ひとつの例として、同じクラブチームの会員だけに限定した練習会の場合、同じレベルのランナーが10名以上も揃っているケースはとても稀です。仮に揃っていたとしても、常に競争意識ばかりが働いてしまうケースを多く目にしてきました。つまり、練習中は同じチーム内で、「勝った負けた」の話しばかりに終始し、多くの場合、トレーニングの目的から大きく逸脱しているパターンになっています。

それは、常に先頭でゴールする人にとっても、常にラストで遅れる人にとっても、常にレースと同じような状況になっていると言えます。即ち、それだけ故障や怪我のリスクが大きく高まっている状況であるとも言えます。その結果、同じチームメートと切磋琢磨したことが逆に「故障や怪我」、更には「マンネリ化」へとつながり、マラソンに対するモチベーションの低下につながる可能性も出てきます。この点については、決して大げさな話しではなく、軽く見てはいけない点のひとつと考えます。

さて、富津合同マラソン練習会のように、誰でも参加できる練習会は全国各地に数多く存在します。また、ペースメーカーを付けている練習会も同様に多くあります。しかし、ペースメーカーが寸分の狂いもなく先頭をキッチリと先導することで、富津合同マラソン練習会は驚くほど引き締まっています。そのことは、練習会に参加する人たちにとって、絶大な信頼と安心感にもつながっています。

そして、その安心感と、面識のない人たちと一緒に走ることへの緊張感とが、バランス良く調和することで、充実した富津合同マラソン練習会に結び付いていると・・・。

皆さんの参加している練習会はいかがでしょうか?

富津合同マラソン練習会・8

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今回から「ポイント3」について考えていきます。

◆ポイント3).富津合同マラソン練習会では、面識のないランナーたちも一緒に走るので、モチベーションを高めながら良い刺激を受けることができる。

これについては至極当然のことですが、どんな練習会でも感じることのできる最も一般的なことです。同時に、このことを感じるからこそ、わざわざ練習会に参加する意味があるとも言えます。

ところで皆さんは、30k以上の距離走やペース走を単独練習で走りきることができるでしょうか?同じく、2時間以上のLSDをたったひとりで淡々と走り続けることができるでしょうか?

実は、マラソンに向いているタイプか否かを判断するひとつの目安として、たったひとりの練習でも淡々と長い距離を走れるかを見たりします。もちろんマラソンに対する考え方は様々なので、全ての人に当てはまるとは言えませんが、少なくとも私の経験上からは、大きなウェートを占める判断材料となります。ところが、その中には練習に対する意欲や情熱は人一倍で、長い距離の練習に対しても意欲的なのですが、一緒にスタートしても途中で止めてばかりの人もいます。

このように意欲や情熱があっても、長い距離の練習に結び付かない人も意外と多く、見極めの難しい点でもあります。また、たったひとりでの長い距離を走れるタイプとしても、毎週末コンスタントに継続していくことは、簡単なことではありません。なぜなら、日々の生活は、仕事や家庭、その日の天候等、取り巻く環境や状況は常に変化しており、その日の体調やモチベーションにも大きく影響を与えるからです。

しかし、どんな正当な理由でもトレーニングが継続できないのなら、それはストレートに記録やパフォーマンスの低下に直結していくスポーツが、マラソンです。つまり、マラソンは誰にでもチャンスがあり、誰でも気楽にはじめられる半面、ランニング以外のトレーニングだけで、ある一定以上の走力を維持していくことは、かなり難しいのです。それはある意味、とても残酷なスポーツとも言えます・・・。

だが、富津合同マラソン練習会や各種練習会をうまく活用していくことで、少なくともトレーニングの継続は可能となります。同時に、面識のない人たちと一緒に走ることにもなり、適度な緊張感を保つことも可能です。それは、日々単調な走り込みが中心となるマラソンにとって、大きな課題のひとつとなる、「マンネリ化の防止」にもつながっていくと考えます。

つづく。

富津合同マラソン練習会・7

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前回に引き続き、「ポイント2」についてですが、今回はランナー側から考えていきます。

さて、皆さんは正確なペースを刻んでくれるペースメーカーの後ろについてペース走や距離走、あるいはレースを経験したことはあるでしょうか?また、ペースメーカーと一緒に走ったことのある人は、どのように感じたでしょうか?更に、ペース走や距離走の途中やレース中の給水は確実にとれているでしょうか?

そこで、富津合同マラソン練習会に参加したランナーたちにその感想を聞いてみると、ほどんどの人が、「走り易かった」、「ペースが逆に遅く感じた」と、話してくれます。同じく給水についても、「走りながらでも確実に給水がとれた」、「確実に給水がとれたので最後までゆとりを持って走れた」、等々の話しを多く耳にします。

その理由として、次の2点があげられます。◆理由1).ペースメーカーは、最初の100mから設定ペースを確認できるので、スタート直後から正確なペースで先導できる。◆理由2).給水は専用ボトルに入れ、手渡しでランナーに渡すので、給水を取り損なう心配がほとんどない。

実はほとんどの練習会では、スタートして最初にラップを確認できるのは、1k地点以上の場合が多く、その地点では既にオーバーペースになっているパターンが意外と多いのです。そのためペースメーカーは、慌ててペースダウンしながら設定ペースに修正します。

ところが、次のポイント地点では逆にペースを落とし過ぎていて、再びペースアップすることになったりします。その結果、ペースのアップダウンを繰り返しながら何とか設定ペースをキープする走りになり、そのペースの変化に対応できない多くのランナー(参加者)は、途中で力尽きてしまうのです。

給水についても、実際のマラソン大会同様に小さな紙コップで給水している練習会が多く、慣れないコップでの給水を取り損なったり、中身のほとんどをこぼしたりします。特に、集団で走っている場合、他の給水トラブルにもつながります。また、気温が高い悪コンディションになった時、給水トラブルはランナー(参加者)の安全や健康に直結する、重大トラブルに発展する確率が高くなります。

そんな中、富津合同マラソン練習会ではシンプルに、「設定ペースのキープ」と「給水の手渡し」を確実に継続してきました。そのことは逆に、練習会に参加するランナーたちの安全と健康を確保してきたのと同時に、走力アップにも結び付いてきたと強く感じます。

つづく。

富津合同マラソン練習会・6

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今回から「ポイント2」について考えていきます。

◆ポイント2).富津合同マラソン練習会の距離走は、正確なペースメーカーがグループ別にペースメークしながら集団で走っていく。

これは、全国どこの練習会でも実施する最も一般的なトレーニング方法です。また、この方法が最も効率的で効果的なトレーニング方法のひとつであることも間違いありません。同時に、ペースメーカーが可能なコーチが一人いれば、少なくともそのコーチが先導するグループは、ほぼ間違いなくトレーニングの目的を達成できる、はずですが・・・。

実は、「ポイント2」については、ペースメーカーを実施するコーチ側と、それについていくランナー側とにわけ、それぞれについて考える必要があります。まずは、ペースメーカーを実施するコーチ側から取り上げていきます。

はじめに、ある一定の走力が備わったランナーなら誰でもできそうなペースメーカーと思いがちですが・・・。このペースメーカーを最初から最後までキッチリとペースを乱さずに全うできるランナーは、意外と少ないのです(私の経験上)。

富津合同マラソン練習会では、原則として1kあたり「4分30秒、5分00秒ペース」と、二つのグループで実施しています。このペースは、多くの市民ランナーにとっては、速いと感じる方のペースに該当します。しかし、実業団や学生時代に活躍したランナーにとっては、ジョギング以下の超スローペースとなります。そのため、現役を引退したばかりのランナーがペースメーカーを実施すると、そのグループのペースが設定より速くなる傾向になり、前半でグループが崩壊するケースも多々あります。

しかし逆に、設定を下げて1kあたり「6分00秒、7分00秒ペース」と、落としていった場合も、今度は遅過ぎて更にうまく走れないと言った珍現象がおこったりします。そこで、同じ目線の市民ランナーがペースメーカーを実施して、30k以上の距離走を実施するとします。ところが、今度はペースが遅い分、長時間走り続ける必要がでてきます。その結果、ペースメーカーの方がスタミナ切れをおこし、最後まで走りきれないケースもありました。

この他にも、後ろについている市民ランナーからペースを乱され、いつの間にかグループ全体が競争になっていくパターンも良くあります。更に、横についているランナーの質問に答えながら走ることで、ペースが大幅に乱されたりと、ペースメーカーに起因する練習会のトラブルは意外と多いのです。

皆さんの練習会は大丈夫でしょうか?

さて、富津合同マラソン練習会では、あえて二つのグループに特化することで、逆にペースメーカーを担当するコーチたちのペース感覚をより高めることにもなり、安定した練習会の継続につながっております。もちろん、ペース感覚の優れたコーチを更に育成し、練習会でのグループを増やしていくことは、最重要課題のひとつです。

しかし、上記のとおり、単に走力だけでペースメーカーとしての適正を判断することは難しく、どの練習会でもペースメーカーのできるコーチを育成していくことは、難しい課題のひとつかもしれませんね。

つづく。

富津合同マラソン練習会・5

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今回も富津合同マラソン練習会の「ポイント1」について考えていきます。前回は、富津合同マラソン練習会を実施しているトレーニングコースについて考えましたが、今回はその練習会場までのアクセスについて取り上げます。

さて、ランニングブームに伴い、ランナーが殺到している場所が都内を中心にいくつかあります。その最も代表的な場所としては、何と言っても皇居があげられます。その理由は様々ですが、主な理由のひとつに「アクセスの良さ」があげられます。

休日はもちろん、平日の仕事帰りでも、地下鉄やJR等を利用することで、どこからでも容易に立ち寄ることが可能です。また、皇居周辺には着替えや荷物を預かる施設も充実していることもランナーたちを後押ししています。しかし、富津合同マラソン練習会を実施している千葉県富津市富津公園は、都内からのアクセスは良いとは言えません。

一方、都内から日帰り可能で、人気のある主なマラソン大会としては、「つくばマラソン大会」、「大田原マラソン大会」、「河口湖マラソン大会」・・・等が、あげられます。もちろん、都内から近いのですが、皇居のようなアクセスではなく、富津公園に行く感覚に近くなります。

そのため大会当日は、◆1).何時に起床して何時の電車やバスにのるのか?◆2).最寄駅から大会会場までのアクセスは?◆3).車で行くなら駐車場はあるのか?◆4).車の渋滞はないのか?◆5).駐車場は会場から近いのか?◆6).大会会場のレイアウトは?◆7).受付場所や受付方法は?◆8).大会会場でのトイレは?◆9).大会会場での着替えや荷物の管理は?◆10).雨天時は大丈夫か?・・・等々の問題を想定しておく必要があります。もちろん、それ以外でもスタート前の食事内容や食事時間など、他にも想定しておく事項はたくさんあります。

ところが更に追い打ちをかけるように、人気大会の当日は、出場ランナーだけでなく、その家族や友人も大会に同行してくるので、会場はたいへんな状況となります。同時に、最寄駅から大会会場への道も人の渋滞が発生し、受付すら間に合わないランナーも最近は目にすることもあります。

近年、大会申込はほとんどIT化され、日々のトレーニングコースもアクセスの良さを最優先し、実施するトレーニング内容も効率を意識しているランナーが増えています。しかし、肝心なマラソン大会は、ある意味どんどん非効率的になってきており、そのギャップのせいで狙った記録や成績を逃がしているランナーも多くなってきていると感じます。

さて、富津合同マラソン練習会にわざわざ参加する意味として、上記のように想定できる様々な問題を予め疑似体験できることにあります。それにより、大会当日の行動パターンの確立や想定外のトラブルにも対応できるようになっていきます。そして前回同様、その積み重ねが調整能力の向上となり、ピーキングの向上にもつながるのです。

つづく。

富津合同マラソン練習会・4

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前回、富津合同マラソン練習会のポイントを大きく3つに絞りました。今回からは、それぞれについて更に詳しく考えていきます。

◆ポイント1).富津合同マラソン練習会の練習会場は交通量も少なく、100m毎にポイントした正確で平坦なコースを使用する。

最初に、マラソンを攻略していく上で、絶対に押さえておく重要なポイントがあります。それは、正確な距離(コース)を走り、正確な記録で競い合う競技が、マラソンであることです。

具体的には、マラソンは「42.195k」と、中途半端な距離のようですが、40kくらいではありません。また、43kくらいでもなく、「42.195k」と正確な距離で競い合う競技です。同じく記録についても、2時間くらいとは言いません。マラソンの記録は、「○時間○○分○○秒」と、正確な時間で記録を残し、その記録で競い合う競技です。

また、マラソントレーニングの効果的な方法として、ペース走やインターバルトレーニングがあります。それは、マラソンに必要なスタミナをつけたり、心肺機能を強化するのに、とても効果的だからです。そして、それらのトレーニングを実施する上で重要な前提条件となるのが、正確な距離を正確なペースで刻んでいけるトレーニングコースとなります。

即ち、マラソンに必要不可欠な「ペース感覚」を養成するには、正確な距離表示があり、可能な限り平坦なコースが、有効的なトレーニングコースとも言えます。実は、その究極のトレーニングコースは、トラックとなるのです。

逆に起伏のあるコースについては、様々なトレーニング効果を期待できますが、一定のペースでアップダウンのあるコースを正確に刻んでいくことは、ベテランランナーでもかなり難しいと言えます。そのため、ペース感覚を養成していくトレーニングコースとしては、おすすめできません。

しかし、富津合同マラソン練習会を開催しているトレーニングコースは、正確な距離表示と、ほぼフラットな周回コースで実施しております。それは、淡々と同じトレーニングをただ繰り返している単調な練習会のように感じます。

ところが、平坦で正確なコースでのトレーニングを継続していくからこそ、逆にその日の調子や体調も正確に把握し易くなります。それは、狙ったマラソン大会に調子を合わせるピーキングの向上にもつながっていきます。

つづく。

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