- 2013-02-13 (水) 20:42
- マラソン | マラソントレーニング | 冬を走る
【期分け・60】前回は、マラソンでサブスリーを達成するための理想的なスピードを5kの記録から考えました。その結果、理論上は5kを19分30秒で走れるランナーなら、5kを21分15秒のペースでマラソンを走り切れる計算となり、サブスリー達成も可能と…。
ところが、実際のマラソンでは、そう簡単にはいきません。つまり、計算上なら乳酸が蓄積しない境界強度のペースですが、3時間前後も走り続けると、話しはかなり違ってくるからです。すなわち、冒頭の計算どおりにマラソンを走るためには、もう少し別のアプローチが必要です。それは、3時間前後も走り続けるためのスタミナ(持久力)を高める走り込みです。いわゆる「脚づくり」と、言われる走り込みです。
さて、ここで勘違いをしてほしくないことは、5kのスピードを否定しているのではありません。やはり、スピードは必要不可欠です。しかし、マラソンを走り切るためには、スピード以上にスタミナがより重要となるのです。
少し視点を変えると、5kを速く走れるスピードがあっても、単純にそのスピードを距離にして8倍以上もあるマラソンまで引き延ばすことは困難です。しかし、マラソンを確実に走り切れるスタミナは、5kと言う短い距離に凝縮して一気に吐き出すことは可能です。つまり、スタミナをスピードとして活かすことができます。(スピードが付いたらスタミナもアップした=×、スタミナが付いたらスピードもアップした=〇)
よく箱根駅伝を走るようなエリートランナーたちやその関係者たちが、若いときにスピードを高め、それから距離をのばしていく方法を推奨しています。しかし、冷静に分析していくと、それは理論的には正しいのですが、過去にそのような方法でオリンピックのマラソンまで到達したランナーは、残念ながらほとんど見当たりません。(かつての瀬古選手や宗兄弟をはじめ、過去のオリンピックランナーの多くは、20代前半からマラソンとトラックを両立していました)
もちろん、個人差もありますが、スピードを付けた後に、スタミナを付けていく流れは理想的ですが、現実的には移行する過程におて膨大な時間と失敗(失速)を繰り返すリスクが高いと感じます。その結果、移行する過程において選手自身のメンタル面の方が、肉体より先にバーンアウト(燃え尽きる)してしまうケースも意外と多いのです。
そのため、マラソンを目指していくには、スピードよりスタミナに重きを置いたトレーニングの方が賢明で、結果的にはスタミナアップがスピードアップにもつながると考えます。特に市民ランナーの場合、私の指導経験からも最初からスタミナ重視のトレーニング方法にシフトした方が、マラソンを攻略できる可能性も高まります。
さて、話しが少し脱線しましたが、次回からは「脚づくり」と言われる走り込み方法を再びAT値(無酸素性作業閾値)や、LT値(乳酸性作業閾値)から考えていきます。
つづく。
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