【ピーキング】11月18日は東京学芸大学記録会が開催され、IPC公認・視覚障がい男女1500mと同男子5000mを実施いただきました。まずは、IPC公認のためご尽力いただいた関係者の皆様に御礼申し上げます。
主な結果は、男子T11クラスの和田選手が、1500mと5000mの両種目ともに今シーズンベスト記録をマーク。特に、5000mはアジア新記録でした。また、先日のアジアパラで金メダルを獲得した男子T12クラスの堀越選手も、5000mで今シーズンのベスト記録をマークしました。
さて、パラリンピックを目指す選手は、オリンピック同様に参加標準記録が設定されており、まずはその記録を突破する必要があります。ところが、オリンピックと違う点は、日本陸連公認の大会や記録会などで記録を残しても、その大会や記録会がIPC公認としての諸条件を満たしていなければ、その記録はパラリンピック出場として公認されません。
つまり、日本陸連公認がそのままパラリンピックに出場するためのIPC公認記録にはならないのです。詳細は割愛しますが、このIPC公認大会にするためには手続きや準備が必要で、なおかつ誰もが簡単にできるものではありません。
そのため、パラリンピックを目指す陸上選手は、オリンピックを目指す選手と比較した場合、記録を狙う機会が極端に少なくなります。今回の東京学芸大学記録会は、ブラインド選手にとっては記録を狙える貴重な機会となりました。
今回、各選手は記録を狙うために調整してきましたが、狙った記録を達成できなかった選手の方が多かったのは残念でした。もちろん、単に調子が悪かったと言う選手はいませんでしたが、この記録会に調子を合わせることができなかったのです。
前述したとおり、単に日本陸連公認の記録会に出場してもIPC公認扱いにはなりませんが、ブラインド選手たちは一般の記録会にも積極的に参加しています。実は、今回の記録会前に調整として出場した日本陸連公認の記録会において好記録をマークした選手も多数いました。
しかし今回、明らかに調子のピークがずれ、残念ながらピーキングを失敗した選手が多かったのです。パラリンピックを目指す選手は、数少ないIPC公認大会において記録を残すことが必須で、単に調整で出場した日本陸連公認の大会や記録会で世界記録をマークしてもIPC公認条件を満たしていなければ記録は無効になります。
一般陸上関係者の皆様には、とてもわかり難いシステムですが、大は小を兼ねないのがパラリンピックの世界でもあります。今回の記録会を、ピーキングについて再構築する良い機会にしていきます。
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