今回も「スピード持久力養成期」のハード面について考えていきます。前回は正確な距離についてでしたが、今回は練習コースのアップダウン(起伏)についてです。
はじめに、皆さんもこれまで何度となく耳にしたことのある話しとして、「上り下りのあるコースや起伏での走り込みはスタミナが付く」、「山道やクロカン(クロスカントリー)での走り込みは脚力や心肺機能を高める」・・・。こんな話しを雑誌や本で読んだり、聞いたことのある人は多いと思います。
実際に山道やクロカンでの走り込みについては、多くのランナーがその効果を体感しており、世界のマラソンを席巻しているアフリカ勢がこれを証明しています。また、国内においてもクロカンでの走り込みを積極的に取り入れている選手やチームの多くが活躍しています。
では、あらためて起伏やクロカンでの走り込みの主な効果を簡単にまとめてみます。◆効果1).路面が舗装されていないので自然とバランスの良い走りが身に付く。◆効果2).斜面を上り下りする時はペースを上げなくても心肺機能を高めることができる。◆効果3).下りを走る時は着地の衝撃が大きくなるので脚筋力のアップにつながる。・・・以上のような効果をはじめ他にもランナーに必要な様々な能力を高めることができます。
しかし、逆にクロカンや起伏のあるコースでの走り込みは相応のリスクも伴い、デメリットになる場合もあります。◆リスク1).路面が舗装されていないので怪我や故障をし易くなる。◆リスク2).斜面を上り下りすることで平地でのペース感覚が狂ってくる。◆リスク3).下りを走る時の着地衝撃が大きく、その分疲労回復が遅れる。・・・このようにクロカンや起伏を走ることの効果は、見方によってはリスクにもなるのです。
実は、「スピード持久力養成期」に移行してからのクロカンや起伏での走り込みは相応の注意が必要になってきます。なぜならこの期の重要なポイントは、「正確な距離を正確なペースで走り込んでいくこと」だからです。そのため、上りや下りでの「5分/kペース(それぞれの設定ペース)」が、平地では何分何秒に相当するのかをしっかりと体感できる能力が備わっていないと、逆にペース感覚が狂ってしまう可能性があります。※平地で本来のスピードが出せなくなったりします。特に走歴の浅いランナーは要注意です。
同じく上り下りでの走り込みは、身体へのダメージが平地より大きくなります。そのため、平地でペース走を実施した後の疲労回復期間に対し、どの程度のズレになるかを予め見越したトレーニング計画を作成していないと、疲労の蓄積により故障する可能性が高くなります。
このように、「アップダウンでの走り込み」と言っても平地との相違点は多々あります。そのため、起伏での走り込みは、少なくとも「ペース感覚のズレ」と「疲労回復期間」、そして、「故障&怪我防止」の3点は常に意識してほしいと思います。
つづく。
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