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夏を走る・12

【夏を走る・12】厳しい残暑が続いております。気温が高いのはもちろんですが、湿度も70%を超えており、走る選手にとってはそちらの方が負担になっているに違いありません。

暑い国といわれる海外の大会に参加しても、日本のような高温多湿の環境に遭遇することはほとんどなかったので、やはり日本の夏は最強でしょうか(私の経験上)。もちろん、厳しい残暑が続く中においても、選手はたんたんと走り込みを継続しております。

また、上記したように夏は暑さだけでなく、この湿度の高さも加味した設定タイムに調整するのが、大きなカギになります。何度も記載してきたとおり、気温や湿度をタイム換算できる指標は存在しないので、経験と感覚にたよるしかありません。

一方、暑さを避けて涼しい環境で走り込みを実施する場合は逆に、どのタイミングで暑い環境に体を戻していくかが、大きなカギになります。実は、こちらのパターンも涼しい気温から暑い気温に暑熱順化させるための具体的な日数やタイム換算した指標は存在しないので、最後は経験と感覚にたよることになります。

さて、年間を通じて強化合宿中は、毎朝5時30分に採尿して尿比重などを測定し、選手ごとの脱水状態や体調などを確認しています。もう何年も継続しているので、選手ごとの特性もつかめています。そのため、尿を見ただけで、どの選手なのかの検討もつくようになりました。

また、単に数値が脱水状態だからといって、記録などのパフォーマンスに直結しないこともわかっています。先日の強化合宿である男子選手が足の不調を訴えたので、最初から散歩程度の練習に切り替えました。

その選手は年間を通じて尿比重が高く、尿の色もかなり濃い傾向です。ところが、練習を落とした翌朝の尿は、まるで別人のように透明になり、尿比重も驚くほど低い数値に……。振り返ると、この選手は合宿期間中に練習を意図的に落としたことは、私の記憶にもほとんどありませんでした。

もちろん、私は医者でも専門家でもありませんが、常に高強度の負荷を体にかけている選手の数値は、異常値に近い感じが普通です。しかし、少しでも負荷をゆるめると、その数値は劇的に回復します……。

暑さなど過酷な環境で勝負を求められる選手にとっては、理屈抜きにそこで戦うしかありません。しかし、どんなに厳しい環境にさらされても、人の体はそれに必ず順化していきます。あらためて、理論や理屈でない世界がそこにはあるのでしょう……。

※先日の富津強化合宿中、選手に給水を渡していたら足元にタヌキが……。

夏を走る・11

【夏を走る・11】この1週間も残暑の厳しい日が続きましたが、特に変わることなく走り込みを継続しました。富津合同練習会においても、いつものように距離走を実施しましたが、コンスタントに参加しているメンバーは厳しい暑さの中においても難なく走り込めています。

暑さに慣れて、暑さに強くなっていくことを暑熱順化といいますが、富津合同練習会を拝見していると、まさにそう感じます。同時に、人の適応能力のすごさも実感します。とはいうものの、もちろん走る距離やその設定タイムの調整は都度実施しますが……。

ところが、夏の走り込みは秋や冬のマラソンシーズンではあり得ないほど設定タイムなどを落とすので、逆にランナーにとっては「こんなに落としたら意味がないのでは?」と、不安な気持ちに陥り易いのも確かです。

これも毎年のことですが、不安な気持ちが先行し、設定タイムを落とさずにスタートした多くのランナーは、残念ながら途中で失速してやめてしまいます。その結果、更に落ち込んでしまうのです。まさに「負の連鎖」ともいえるでしょう。

また、暑くなると「走る距離を極端に短くし、逆に設定タイムを速くして走る」。こんな方法で夏の走り込みを実施するランナーも見受けます。走り込みの方法や考え方はそれぞれなので、秋以降のマラソンシーズンに結びつけば問題ありません。

しかし、マラソンはスタートしたら「42.195キロ」を最後まで走り続ける競技なので、連続で長距離や長時間動き続けるスタミナは必須になります。その視点から考えると、暑い中とはいえ「走る距離を極端に短くし、逆に設定タイムを速くして走る」だけでは、目的のスタミナを身に付けることは……。

このように、暑い中での走り込みは、どんなレベルのランナーも常に不安定な精神状態ともいえるでしょうか。また、その日の気温や湿度を具体的なタイム換算できる指標は存在しないので、常に思考錯誤のような状況です。

確実にいえるのは、暑い中での走り込みは「速くなって途中でやめる」より、「遅くても最後まで走り切る」ほうが、少なくともスタミナ面(精神的なスタミナも)では、プラスになります。

夏を走る・10

【夏を走る・10】猛暑の続いた今週の水曜日まで強化合宿を実施しましたが、今年の8月はいつもの千葉県富津市富津公園です。その千葉県富津市は房総半島に位置しますが、猛暑になる日の暑さは都内と変わりません。

そのため、本来であるなら暑さを避けるために、比較的涼しい場所へ移動し、そこで夏の走り込みを実施します。ところが、近年は涼しいといわれている地域においても、30度を優に超える日も珍しくなく、「暑熱対策」は全国共通になってきました。

そんな状況も考慮し、今年の8月はあえて上記した千葉県富津市で強化合宿を実施し、8月28日の北海道マラソンに挑む流れにしました。昨年は東京パラに向け、6月から8月までの間は涼しい長野県や北海道で走り込み、最後の調整と暑熱対策はこの千葉県富津市で実施しました。

果たして東京パラのマラソン当日は、逆に気温が20度弱と全く想定していなかった涼しいコンディションに……。何年もかけて準備してきた暑熱対策などは、ほぼ使うことなく東京パラのマラソンを終えることになりました。もちろん、今年の北海道マラソンがどのようなコンディションになるかは誰にも予測できませんが……。

さて、今回の強化合宿ですが、連日猛暑となる過酷なコンディションとなりました。本来なら屋外での運動そのものも控える気温でしたが、練習は計画どおりに実施しました。もちろん、設定タイムをかなり落とすなど、暑さを考慮しましたが、予想どおりの厳しい練習になりました。

また、8月28日の北海道マラソンから逆算すると今回は、量をこなせる最後の合宿に当たります(私の経験上)。しかし、上記したように猛暑のため、設定タイムなどの下方修正もよぎなく、逆にどの程度修正するかの判断が練習のポイントでした。

特に、夏マラソンを目標にした場合、上記した「どの程度修正するか」の判断が大きなカギを握ります。もちろん、無理に設定タイムどおりに押し切ろうと頑張り、結果的には暑さで大失速などした場合、そのダメージは体だけでなく心にも刻まれます。と、いいながら逆に抑え過ぎると、今度は練習強度が足りず、当初の目的から逸脱してしまうことにもなります。

夏マラソンが難しいといわれるゆえんは、気温と湿度が高くなっても、それを具体的なタイム換算した明確な指標がないことかもしれません。だからこそ、逆に夏マラソンは誰にでもチャンスがあると……。

夏を走る・9

【夏を走る・9】夏のミニ合宿について前回からの続きになりますが、あらためて前回の注意点をまとめると、ミニ合宿を効果的に実施するために不可欠な練習環境についてでした。そして、今回もそのミニ合宿について考えていきます。

はじめに至極当然のことですが、どんな短期間の合宿であっても、どんな練習をどんな目的で実施するかの練習計画が不可欠になります。もちろん、その計画を実施することが可能な走力を有した個人や、その仲間たちが集まっていることが大前提になります。

実は、誰もが「そんなことは当たり前」と思っていますが、実際にミニ合宿を計画し、参加メンバーを集うと、そうならないことの方が多いのです。したがって、合宿参加者の走力差が広がり過ぎてしまい、一緒に練習をしているつもりなのに、実際はそうではない状況の方が意外と多かったりします。

また、ミニ合宿は仲間も多くいた方が、モチベーションも高まり、充実した合宿になることは確かです。しかし、上記したように合宿参加メンバーの走力差が大き過ぎた場合、長い距離をそれぞれのペースで走ると、ゴール時間に大差がついてしまいます。その結果、その後の合宿計画に影響を及ぼすこともあります。

同様に、合宿時の給水準備やロードコース上の監視をしてくれる仲間もいた方が安心です。私の経験談になりますが、ロードの周回コースで長い距離を走る練習をしていたとき、コースを間違えて行方不明になってしまった合宿参加者が過去にいました(もちろん、無事に保護しましたが……)。

他にも現地入りしたあと、練習計画の意見相違があったため、いくつかのグループにわかれて別々の練習をすることになったこともありました。その結果、それぞれのグループをサポートできる人が足りなくなり、逆にどのグループも満足な練習ができなかったこともありました……。

以上のようなトラブルを避けるためにも、事前に参加者の走力や調子などを細かく把握しておくことはもちろん、無謀な合宿計画ではなく、ゆとりを持った合宿計画が何よりも重要です。

余談になりますが、ミニ合宿の参加者は二十歳前後の学生たちとは違い、ある程度年齢を重ねてきた方々が多くなります。したがって、それぞれが違う仕事を通じて別々の人生を歩んできた者同士の集まりになるので、世の中の捉え方や価値観などが微妙に違ったりします。そんな方々が、お互いにじっくりと語り合えるのもミニ合宿の醍醐味ともいえます。

夏を走る・8

【夏を走る・8】7月16日からの3連休は、長野県上田市菅平高原において合宿を実施しました。この間、関東地方は天気が今一つでしたが、菅平高原も雨が降ったりやんだりの天気でした。

また、菅平高原は、元々ラグビーの聖地ともいえる場所ですが、コロナの影響で昨年はラグビー選手たちを見かけることはありませんでした。しかし、今年はそのラグビー選手たちも戻りつつある様子で、活気も戻ってきていました……。

さて、ここから9月中旬あたりまでは、暑い日々が続きます。したがって、長距離走やマラソントレーニングを継続していくには、過酷なコンディションが続くことにもなります。もちろん、暑い中でも工夫をしながら走り込んでいくことは必要です。

しかし、暑い中で我慢して走り込むより、夏の休暇や連休を活用し、比較的涼しい高原などでミニ合宿を実施するのはいかがでしょうか。私が住んでいる千葉県や都内などから見ると、この長野県菅平高原は手ごろな場所といえるでしょう。

もちろん、実業団選手たちのように1週間以上滞在することはできないので、上記したように1泊2日など、短期間になりますが、その効果は十分得ることはできます。そこで、1泊2日などの短期間で実施するミニ合宿の注意点をあらためて考えていきます。

1つ目は場所の選定です。もちろん涼しい場所などが理想的ですが、移動時間がかかりすぎるような場所では、到着しても走り込む時間が少なくなるのと、移動で体力を消耗してしまいます。目安としては、自宅を出発したら午前中には到着してる距離がギリギリでしょうか。

2つ目は宿泊先の選定です。やはり、陸上選手などのスポーツ選手を受け入れることに慣れている宿泊先が間違いありません。例として、長い距離を走るためには、スタート時間がポイントになります。そのためには、宿泊先と食事の時間やお風呂の時間など、様々な調整が必要になります。

3つ目は現地での練習環境です。宿泊先に到着した後、計画していた練習を開始しようとしても、競技場やロードコースまでの移動距離があり過ぎた場合です。徒歩やジョギングで移動することが困難な状況では何もできなくなってしまいます。この点も事前に確認し、自家用車やレンタカーなども必要になる場合もあります。

他にもいくつかありそうなので、次回に続きます。

夏を走る・7

【夏を走る・7】7月8日から1週間の日程で、北海道北見市において毎年恒例の強化合宿を実施しました。今年も宿泊先のプラザホテルの皆様、北見市の皆様方の絶大なるご支援のおかげで、充実した内容で終えることができました。まずは、厚く御礼申し上げます。

また、この間、ホクレン・ディスタンスチャレンジ北見大会と網走大会に出場することもできました。これも毎年恒例のことですが、日本陸連様、地元関係者の皆様方のご尽力のおかげであり、重ねて御礼申し上げます。

昨年の7月から8月の間は、東京パラに向けた最後の走り込みと調整をこの北見市内で行い、男女とも目標のメダル獲得を達成することができました。もちろん、今年の強化合宿も走り込みをメインにした内容でしたが、特に最初のレースとなった北見大会の5000mについては、それぞれが記録を狙って挑みました。

さて、同大会には、2017年からブラインド部門を加えていただき、パラ選手たちも出場できるようになりました。ところが、昨年までの間、天候や気温など大会当日のコンディションに恵まれなかったこともあり、日本記録や個々の自己記録更新もほとんど残せてきませんでした……。

しかし、今年は昨年の東京パラで金メダルを獲得した女子の道下選手、同じく銅メダルを獲得した男子の堀越選手をはじめ、男女ともT12マラソン代表選手が揃い、「お世話になってきたこの北見大会で今年こそは自己記録更新を!」と、その思いは過去最高潮でした。

果たして大会当日は、選手たちのその思いが通じたのか、天候などのコンディションは我々が参加してきた中では過去最高に整ったこともあり、自己記録更新を達成した選手が複数でました。

特に、東京パラのT12女子マラソンで金メダルを獲得した道下選手と5位に入賞した藤井選手は、6月の日本パラ陸上競技選手権大会に引き続き、2大会連続の自己新記録を達成。その道下選手の「18分21秒75(5000m)」は、2大会連続のアジア新記録(日本新記録)でもありました。また、今年58歳の藤井選手は「20分22秒53(5000m)」と、自己記録を最更新しましたが、まだまだ発展途上です。

さらに、東京パラのT12男子マラソンで銅メダルを獲得した堀越選手は、惜しくも自己記録更新には届きませんでしたが、5月から3大会連続の14分台(3大会ともセカンド記録)を達成しました。

このように、地元開催の大舞台を経験し、さらに同大会で結果を残した選手たちは、心身ともにもう一段上のレベルに到達したといえるでしょう……。

夏を走る・6

【夏を走る・6】いよいよ本格的な夏の到来です。しかし、長距離走やマラソンのような持久系スポーツは、暑さの中では様々な危険が伴うスポーツといえるでしょう。一方、この暑い時期も秋以降のマラソンシーズンに向けた準備ととらえると、夏はとても重要な季節ともいえます。

これも毎年のことになりますが、いわゆる「夏の走り込み」です。基本的なトレーニング内容はそれぞれのチームや個々によって異なりますが、暑さに負けない工夫をしながらそれぞれが走り込んでいることでしょう。

その結果、秋以降のマラソンで目標の記録や成績を達成するランナーも数多く見受けます。このように暑さの中での長距離走やマラソンのトレーニングには危険もともないますが、とても重要であるともいえるでしょう。この点は、市民ランナーの皆さまもよく理解していることと思います。

ところが、毎年夏の走り込みは充実していたにもかかわらず、秋のマラソンシーズンに入っていくと、なぜか調子が悪くなっていくランナーを、毎年見受けるのも確かです。また、その原因を単に夏の走り込みと、決めつけることが難しいのも確かです。

しかし、夏をはさんで逆に調子が悪くなっていくランナーがいるもの間違いなく、この点は理解しておく必要はあります。特に、暑さが苦手と自覚している方は要注意です。詳細な説明は割愛しますが、「暑さに強いか否かは、生まれ育った場所の環境に強く影響される」と説明する専門家もいます。つまり、寒い地方で生まれ育った方は大人になっても暑さが苦手と……。

毎年、「夏の走り込みを実施しても秋から調子が上がらない」と自覚している方は、今年の夏は思い切ってその走り込みを見直してみるのも、ひとつの選択かもしれません。つまり、秋から良い体調で走り込めるよう、夏は体調重視で軽めのランニングに抑えていくなど、例年とは逆の考え方で試してみるのです。

その場合、目標のマラソンも例年よりも少し後ろにずらしていくことも必要になるかもしれません。しかし、これから苦手な夏に立ち向かうより、思い切って苦手な夏を見送ることの方が、実は良い結果に結びつくかもしれません。

もちろん、やるかやらないかは、あなた次第……。

夏を走る・5

【夏を走る・5】先週は梅雨らしい季節と話していたところ、なんと梅雨が明けました。また、雨天で走り易い日もあると、選手にも話しをしていましたが、梅雨が明けると連日35度前後の猛暑日です……。

その梅雨明けとほぼ同じタイミングの6月25日から29日の日程で強化合宿を千葉県富津市富津公園において実施しました。もちろん初日から最終日までの間、連日30度を超える厳しコンディション下でのトレーニングになりました。

今回の強化合宿には順天堂大学から3選手がガイドランナーなどのサポートとして参加頂きましたが、その3選手は今年の箱根駅伝で3位入賞を果たした主力メンバーです。また、その3選手を大学で指導している順天堂大学コーチの仲村先生にも帯同頂き、動きつくりなどの指導や選手個々にアドバイスなども頂戴しました。

駅伝強豪大学なので、「何か特別なノウハウがあるのかも?」と思いがちですが、仲村先生の指導やアドバイスはシンプルで的確であり、何よりも「日々の継続」を強調していました。我々はどうしても新しい情報ばかりに目が向きますが、地道に足元を固めていくことの大切さを再認識することができました。

さて、今回の合宿は連日30度を超える厳しい暑さの中でのトレーニングでしたが、どの選手も既に暑熱順化ができており、暑さを理由に途中で大きく離脱する選手は皆無でした。これは、昨年の東京パラを目指していた同時期よりも明らかに調子が良く、どの選手も毎年積み重ねてきた経験や実績を活かせています。

そして、来週末からは恒例の北海道北見合宿に入ります。同合宿中は、今年もホクレン・チャレンジディスタンス大会に出場し、5000mを2本走りますが、間に40k走をセットにして走り込んでいきます。

その後、8月下旬に開催予定の北海道マラソンを目標にした調整に入ります。ただし、7月後半からの強化合宿は涼しい北海度ではなく、再び千葉県富津市富津公園に場所を戻します。今年は夏マラソンに向けた最後の調整をあえて暑い場所で実施します。

2024年のパリパラに向けた暑熱対策もこれまでの経験と実績を活かしながら、あらたな経験と実績も加味していきます。

夏を走る・4

【夏を走る・4】私の住んでいる千葉県も今年は梅雨らしい天候が続いています。そのため、気温も比較的高くない日もあるので、私のようにジョギングをするだけなら問題ないでしょうか……。

先日の日曜日は、富津合同練習会を実施しました。天候は曇っていたのですが、スタートした9時からゴールのお昼頃までは、ちょうど晴れました。したがって、気温も一気に上昇し、長い距離を走るには過酷なコンディションに……。

同練習会に参加しているメンバーの中には、8月に開催予定の北海道マラソンを目標にしている選手もいます。また、その大会にむけた準備(走り込みなど)を開始する時期にも入っています。

あらためて、夏マラソンは7月から8月あたりの暑い季節にマラソンを走るため過酷です。しかし、本当に過酷なのは、その夏マラソンを走るための準備(走り込みなど)です。なぜなら、8月のマラソンを目標にすると、その準備(走り込みなど)を開始するのは、遅くとも暑くなってくる6月からになるからです。

昨年の9月5日は東京パラのマラソンでしたが、メダルを獲得することができました。そのマラソンに向けた最後の追い込みを開始したのは、昨年の6月からでした。具体的なポイント練習のひとつは、6月から8月第1週までの間に実施した9本の40k走でした。

経験上の話になりますが、いわゆる冬のマラソンはハーフマラソンなどで調子が上がっている場合、スタミナに不安(走り込み不足)があっても、勢いで好記録をマークするケースが多々あります(トップ選手も含め)。

ところが、夏マラソンの場合、スピードが出せる調子に仕上がっていても、スタミナ(全身持久力)がないと最後まで走り切ることはかなり難しいといえます(大失速する)。つまり、暑さの中で長時間動き続けるには、スタミナがより重視されるのです(暑熱対策も含め)。

また、暑い中で長時間走ると、どんなレベルの選手でも脱水症状などの様々なリスクがともない、計画どおりに走り込むのが難しいのは確かです。しかし、計画どおりに走り込めていないと、夏マラソンで勝負するのが難しいのも確かです。

また、この相反するような課題を解消できる的確な方法を、私は見聞したことはありません。つまり、夏マラソンが無くならない限り、この矛盾(?)と向き合い続けていくのでしょうか……。

夏を走る・3

【夏を走る・3】先日の11日から12日の日程で、日本パラ陸上競技選手権大会が兵庫県神戸市で開催されました。同大会に向け、4月後半から強化合宿を重ねてきたので、その成果を確認するために、私も神戸に行きました。

果たして結果は、東京パラのT12女子マラソンで金メダルを獲得した道下選手が、5000mでアジア新記録を達成するなど、目標どおりの記録を残した選手を多数確認することができました。一方、うまく調子を合わせることができなかった選手もいました。

また、その結果を振り返ると、日本代表選手として東京パラを走った選手のほとんどは目標どおりの結果を残していました。ところが、出場できなかった選手ほど練習の成果を記録として残すことができなかったように見受けました。

やはり、大舞台を経験した選手たちは、「確実にひと回りもふた回りも成長した」と、レースをみていてもはっきり確認できました。あらためて、「人は大きな経験をすることで、大きな成長をする」と、感じました。

そして、我々は国から予算を頂戴して選手強化を継続している以上、最終目標は「パラリンピックでメダルを獲得する」です。それ以外はありません。もちろん、選手個々に走力やトレーニング環境が違うので、誰もが最初からその目標に到達することはできません。

陸上競技でパラリンピックを目指すパラ選手は、オリンピックを目指す一般選手に比べると、競技人口は圧倒的に少なく、いわゆる底辺が広いピラミッド型にもなっていません。したがって、一度パラリンピックに出場するレベルに到達した選手が、長期間に渡ってその地位をキープする傾向が強い特性を持っています(競争原理が働きにくい)。

逆の見方をするなら、パラリンピックに出場したことのない選手が、パラリンピック日本代表選手を倒すことは、一般のトップ選手がオリンピック日本代表選手に勝つこと以上に難しいと感じます(私の主観)。

2024年5月に今大会の会場において、WPA世界陸上競技選手権大会が開催されます。そして、この大会で上位入賞した数名の選手にはパリパラリンピックの出場切符が渡されます。今回、目標どおりのタイムに到達しなかった選手たちも、そのチャンスを手にできるよう、今日からさらに精進してほしいと願っております。

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