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2008-11-11

ランニングブーム・5

先週の土曜日、日本陸連主催のランニング講習会が東京のナショナルトレーニングセンターにて開催され、私も講師としてお手伝いしてきました。毎度のことながら参加される方々の熱心さには、心から感銘を受けます。そして、今更ながらランニングは単純にただ走るだけのスポーツですが、多くの方々を魅了しています。今回は、その魅力について少し考えてみます。

最初に私自身が、その魅力にはじめて触れた時の話をします。それは今から20数年前の中学2年生の頃までさかのぼります。その当時、長距離走は得意でしたが、長距離走は大嫌いでした(中学生まで野球部所属)。そして、当時は市内中学校対抗駅伝大会の候補選手に選抜されても最初の練習でわざとゆっくり走り、最初に候補選手から落とされるよう努力して嫌いな長距離走を避けていました。ところが中学3年生の時、その作戦が通用しなくなり、結果的にずっと練習をしなければならない環境に置かれたのです。

「どうせ毎日走るのなら・・・」と、開き直って自分より速い仲間達に嫌々付いて走るようになりました。ところが、どんどん記録が短縮していき、はじめて苦しみを乗り越えた中からしか生まれてこない真の達成感や充実感を味わったのです。そして、結果的に自分が努力した成果を記録(数値)で見ることができるその楽しさにはまったのです(笑)。

しかし、至極当然のことですが、記録が短縮していくほど練習での負荷や強度はどんどん増していきます。また、肉体的だけでなく精神的にも辛いことが多くなっていきます。実は、長距離走の練習で厄介なところは、記録を短縮するための技術的な部分が少ない点です。つまり、数少ない技術的部分であるランニングフォームについても、そのフォーム改善対策のドリルや補強運動ばかり反復練習していてもスピードやスタミナを格段にアップしていくことは、正直言ってかなり難しいと言えます。しかもそのドリルや補強運動そのものは、ほとんどの方が単調過ぎて直ぐにあきてしまいます(継続していくことも難しい)。

このように、誰もが最初に考える順位や記録だけを目標にしたランニングを長期に渡って楽しむことは、意外と難しいのです。私自身も純粋に記録や順位を目指すランニングを卒業(?)してからそのことを痛感する日々です。

では、他にどんな魅力があるのでしょうか?・・・それは、仲間達と共に楽しむランニングではないでしょうか。今回の日本陸連ランニング講習会をはじめ、近くの練習会や合宿等々に参加する際、他の参加者とはほとんど面識のないケースが多々あります。しかし、共に走り、共に汗を流せば初対面の方でも必ず話をして仲間になれる。こんなスポーツは他にはあまり見当たらないと思いますが、いかがでしょうか。

また、ランニングブームの火付け役ともなった東京マラソンを例にとってみても、オリンピックを目指す一流選手から完走を目指す市民ランナーの方までが、同じコースで一緒に走ります。しかも参加した方々がそれぞれの目標を設定し、それぞれの目標に向かって自由にレースを走ることができるのです(仮装したりデジカメを持って走ることも可能)。このように、仲間同士の走力や走歴が多少違っていても同じレースでそれぞれの目標に向かって共に挑戦することができます。もちろんゴール後は、同じレースを走った仲間同士として更に親睦を深めることもできるのです。

ランニングは単純動作の繰返しだからこそ誰もが挑戦でき、単純動作の繰返しだからこそ様々な楽しみ方を模索できます。まさにそこがランニングの醍醐味でもあり、様々な方を魅了するところではないでしょうか。

これから冬にかけ、各種マラソン大会が目白押しとなります。単純に記録や順位だけにとらわれることなく、各自のスタイルに合った楽しみ方で大いにランニングを満喫し、長く親しんでほしいと願っています・・・。

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