【横浜国際女子マラソン】本格的なマラソンシーズン開幕の先頭をきって、「横浜国際女子マラソン」が、11月17日に開催されました。今年から参加標準記録も「3時間15分以内」に緩和され、招待選手13名と328名の女性ランナーがエントリーしました。
しかし、当日のコンディションは、気温が20度近くになったのと、海からの風が強かったことも影響し、記録的には低調な結果でした。また、その結果に対する日本陸連関係者やマスコミ関係のコメントは日本女子マラソン界に対する危機感をあらわにする内容が多かったように感じました。
実際に私も現地の沿道で選手たちの応援とサポートをしましたが、私の選手たちも(市民ランナー)、全員が厳しい結果となりました。マラソンはゴールタイムが全てであり、ある意味残酷なスポーツでもありますが、今回の結果を素直に分析し、次回以降のマラソンに活かしていきます。
さて、若手選手の台頭が期待されている日本女子マラソン界ですが、今回の横浜国際女子マラソンにエントリーした年齢構成を簡単にまとめると次のようになります。◆招待選手:合計13名、29歳以下=4名(31%)。◆一般参加選手(ほとんどが市民ランナー):合計328名、29歳以下=25名(8%)、30歳代=106名(32%)、39歳以下合計=131名(40%)。
いかがでしょうか?
この数値をどのように判断するかは個々の捉え方になりますが、女性市民ランナーの29歳以下はたったの25名で、全体の8%にすぎません。私自身は、女性市民ランナーのマラソンコーチをするようになって10年以上になります。この間の主要国際女子マラソンのほとんどは現地にて応援してきましたが、参加している女性市民ランナーのメンバーはほとんどかわっていない印象を持っていました。上記の数値は今回の横浜国際女子マラソン大会に限ったデータですが、私自身の印象を裏付けるデータのひとつにも感じます。※サブスリーを達成している29歳以下の女性市民ランナーは極めて少数となっている。
また、日本マラソン界に、とても大きな波がおきました。それは、2007年の東京マラソンをきっかけにはじまった「ランニングブーム」です。最近では、全国各地のマラソン大会でエントリーすら難しい状況となっており、ますますブームに拍車が掛かっています。しかし、実際にはランニング人口の増加が、日本マラソン界のレベルアップにはリンクしておらず、逆にマラソンのレジャー化が進んでいる状況と感じます。更に厳しい見方ですが、上記の数値は、ランニングブームが女性市民ランナーのレベルアップにも影響を与えていないとも読み取れます。
ここで、女子マラソン日本歴代10傑の記録を確認してみます。日本記録は野口みずき選手が2005年のベルリンマラソンでマークした「2時間19分12秒」です。高橋尚子選手が世界初の2時間20分を突破したのも2001年のベルリンマラソンでした。その記録を渋井陽子選手が破ったのも2004年のベルリンマラソンです。そして、日本歴代10位も大南博美選手が2004年のベルリンマラソンでマークした「2時間23分26秒」です。
ベルリンマラソンばかりが目に付きますが、実はランニングブームがはじまった2007年以降にマークされた日本歴代10傑以内の記録は、2012年の大阪国際女子マラソンで重友梨佐選手のマークした「2時間23分23秒」だけなのです。それも歴代9位です。この実態からも長期低迷期に入っていると言えます。
以上のように日本女子マラソン界が厳しい状況なのは、私も間違いないと感じます(女性市民ランナーの底辺も含め)。もちろん、他にも様々な要因が重なっていることも事実です。また、私のような単なる市民ランナーを指導する者が偉そうに言うことではありませんが、男子マラソンの川内優希選手のような女性市民ランナーを発掘・育成していくことは、日本女子マラソン界復活にも必要不可欠と感じた横浜でした…。
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