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秋を走る

【秋を走る】今週末から千葉県富津市において強化合宿を実施します。同地も朝晩は多少涼しくなってきましたが、日中はまだまだ蒸し暑く感じる日が多く、走り込みには厳しいコンディションが続いています。

また、私が現役時代だったころは、9月中旬に入るとグッと走りやすい季節に入っていったと記憶しています。しかし、近年は10月に入っても気温が20度をこえる日が多く、秋から冬のマラソンを目標にした走り込みにも関わらず、「暑さ対策?」が必要になってきたとも感じます。

しかし、次の目標となる12月20日開催の防府読売マラソン大会までは、3ヵ月間あるのでしっかりと走り込みができます。また、その間は前述したように気温が高くなる日も予想できますが、じっくりと取り組んでいきます。

さて、秋からの走り込みも夏の走り込み同様、距離走がメインになりますが、夏より涼しくなる分、設定タイムなどが違います。もちろん、設定タイムは夏よりも速くなる傾向になりますが、サジ加減が難しいところです。

距離走を速い設定タイムで実施していくことは、量だけでなく質も追いかけることになり、より高い目標を狙える可能性が出てきます。一方でその弊害(デメリット)もあり、主に次のふたつが考えられます。

ひとつめが、「調子のピークを目標のマラソン大会に合わせられない」。つまり、距離走の本数を重ねることに、自身の定めた設定タイムより速くなっていき、まるでタイムトライアルのようになっていくことです(特に、練習会の仲間たちと、毎回競り合いになって)。

ふたつめは、「故障や怪我をする」。ひとつめに連動しますが、要は自分自身の身体と心を制御できなくなり、行きつくとこまで行ってしまうことです。「そんなバカな?」と、笑う方もいるかもしれませんが、市民ランナーの練習会を主宰していると、この事例が多いのは事実です。

具体例として、マラソンの目標タイムが「サブスリー」にも関わらず、距離走の設定タイムは「1kを4分15秒以内」と、常に実戦的。その結果、上記したような状況に陥るケースはよくあるパターンです。

長い距離を走り込む距離走は、高い強度(速い設定タイム)で詰め込んでいくと、肉体だけでなく、心も疲弊していくことがあります。そうなるといわゆる「燃え尽き症候群(ランニングに対して)」などに陥ることもあるので注意が必要です。

夏の走り込み・6

【夏の走り込み・6】9月6日は東京パラリンピックのマラソン1年前でした(変更がなければ)。その日は千葉県富津市富津公園において、1年後と同じスタート時間でトライアルを実施しました。本来であるなら都内の同じコースでの試走が理想的でしたが、さすがにそれは難しいので、強化拠点にしている富津公園での実施としました。

もちろん、トライアル当日は起床時間からはじまり、各種暑熱対策やスペシャルドリンクの中身や摂取方法など、事細かい点まで実践的にしました。また、トライアルですが、やみくもに「がんばれ!」とは言いません。選手ごとの設定タイムについては、過去の各種データから導いた数値を個別に指示しました。そのため、スタートは一斉ですが、あとはバラバラの単独走になります。

スタート時間は早朝6時50分。そのときの天候は晴れ、気温28度、湿度80%と、まずまずの厳しいコンディションになりました。その後、願いどおりに気温は30度まで上昇し、より厳しいコンディションになったのは、まさに願ったりかなったりでした。しかし、そんな状況下でも選手たちは、ほぼ設定タイムどおりに走り続けていきました。

さて、夏マラソンを攻略する方法はそれぞれですが、最も重要な点のひとつは「ラスト2kは絶対に失速しない(ペースアップする)」ことです。冬マラソンの場合、前半を果敢に攻め、後半の失速を最小限に食い止めながらゴールすることができます。しかし、これが夏マラソンの場合、一度失速しだすとそれをくい止めることが、かなり難しい状況に追い込まれます。と、言うよりほぼ不可能と言ってよいでしょう。

つまり、夏マラソンを攻略する上で重要なポイントになるのは、前半に体力を温存し、ラストは一気にペースアップできる自分自身の設定タイムをつかんでおくことになります(私の経験上)。冬マラソンと違い、前半の突っ込みは中盤からの失速。そして、リタイヤへと直結していきます。要するに、何とかならないのが、夏マラソンの恐ろしいところなのです。

今回のトライアルで男女の主力選手たちは、ほぼ設定タイムどおりに走り切ることができました。単純に比較はできませんが、2016年のリオパラに当てはめると、男子のトップが銅メダル相当。女子のトップが金メダル相当、2位が銅メダル相当のタイムでした。また、同日に埼玉県熊谷市で開催された日本パラ陸上競技選手権大会に参加した他の主力選手たちもしっかりと走れていた様子でした。

この後、12月の防府読売マラソンを目指した冬マラソンに移行していきます。夏マラソンの攻略につながるもうひとつの重要な対策は、冬マラソンでしっかりと自己記録を更新しておくことです。冬マラソンでより高い次元にいくこと、すなわち夏マラソンのゆとりにもつながるからです。

夏の走り込み・5

【夏の走り込み・5】クラブチームの夏合宿を菅平高原で実施してきました。毎年恒例にしている夏合宿ですが、コロナ禍の影響で今年の夏はこの1回のみとなりました。

また、例年だとラグビー選手をはじめ、サッカー選手や中高生の合宿なども相まって、この菅平高原はたいへんな賑わいになっているのですが、今年は本当に静かな菅平高原でした。

そのため、毎年お世話になっている旅館も諸事情により、この夏は閉館するとの連絡が夏前にあったので、今年の夏合宿は宿泊先を探すことからでした。しかし、何とか受け入れていただける旅館を確保できたので、今年もクラブチームの夏合宿を実施することができました。

そして、例年どおり、この夏合宿のメイン練習は「40k走」。いつもの周回コースで早朝7時30分からグループごとにスタートするのも例年どおりです。そのスタート地点に7時ごろ到着すると、箱根駅伝の優勝を目指している東海大学の選手たちが「30k走」を実施していました。

スタート地点に置いてあった東海大学の伝言ボードには、その日の練習メニューや設定タイムなどが細かく記載されていました。スタート時間は5時50分だったので、我々がスタート地点についたときは30k走の後半でした。

この時、既に気温は30度をこえており、高原と言いながらかなり厳しいコンディション下での30k走でしたが、どの選手も最後までしっかりとした足取りでした。また、驚いたのは、ボードに記載されていた設定タイムです。

5千mを13分台、1万mを28分台で走る選手たちが揃っているグループでもかなり遅い設定タイムで走り込んでいたのです。もちろん、前後の練習計画がわからないので、その意図を知ることはできませんが、事実としてかなりゆとりを持った設定タイムで30k走を実施していました。

近年の東海大学と言えば、質の高いトレーニングをメインにしている「スピード集団」のイメージが強いのですが、そのベースとなるスタミナ強化は想像以上にじっくりと取り組んでいる様子でした。

まさに、「目からウロコ」。速さを極めようとしている学生選手たちでも土台つくりは時間と手間をかけているのです。今年最後の菅平合宿でしたが、とても良いものを拝見することができました。

夏の走り込み・4

【夏の走り込み・4】厳しい残暑が続いております。そんな中、千葉県富津市で強化合宿を実施しました。あえて暑い中で実施する目的は、来年開催される東京パラリンピックに対応するためです。

1年後の今は、まさに東京パラリンピックの真只中となっており、来年も連日30度をこえる厳しい残暑の中での戦いになっている可能性は高いでしょう。同時に、その厳しいコンディション下で最高の調子に仕上げていくことが求められます。

今年の夏はそこを見据えた上で、夏の強化合宿期間を延長して対応してきました。また、我々が北海道で強化合宿を実施していた期間は、例年にないほど北海道らしい快適な気候が続きました。その結果、強化合宿中のトレーニングは、量的にも質的にも充実した内容で終えることができました。

さて、目標とする大会に向け、大まかな期分けをすると、「トレーニング期→調整期→目標の大会」の3つにくくれます(強引な見方ですが)。これが、秋から冬にかけてのマラソンを目標にした場合、トレーニング期から目標の大会までは、ほぼ寒いコンディション下で実施していけます。つまり、「寒い(トレーニング期)→寒い(調整期)→寒い(目標の大会)」となります。

ところが、夏の大会を目標にした場合、トレーニング期から目標の大会まで暑いコンディション下で実施することになり、肉体的にも精神的にもかなり厳しい状況となります。つまり、「暑い(トレーニング期)→暑い(調整期)→暑い(目標の大会)」となります。しかし、目標の大会の日程や気候を変えることはできませんが、トレーニング期と調整期は寒い場所に移動して実施することが可能です。

すなわち、「寒い(トレーニング期)→寒い(調整期)→暑い(目標の大会)」、「寒い(トレーニング期)→暑い(調整期)→暑い(目標の大会)」と、「暑い(トレーニング期)→寒い(調整期)→暑い(目標の大会)」の3つのパターンになるでしょうか。しかし、最終的に目標の大会が「暑い」になるので、必ずどこかのタイミングで身体を暑さに順化させる期間も必須になります。

今回、我々は「寒い(トレーニング期)→暑い(調整期)→暑い(目標の大会)」のパターンを実践してきました。9月6日にトライアルを実施し、最終的な検証をしますが、まずは来年の東京パラリンピックに向け、実戦的なノウハウを蓄積したいと思います。

夏の走り込み・3

【夏の走り込み・3】本日から千葉県富津市において強化合宿を実施します。先日まで比較的涼しかった北海道北見市で走り込んできましたが、わざわざ暑い場所に移動してのトレーニングです。

今合宿の最大の目的も「暑さ対策」なので、30度をこえる厳しい残暑は願ったりかなったりです。もちろん、その中でトレーニングを実施する選手や伴走者にとっては、厳しさ以外は何もありませんが、来年の東京パラリンピックもちょうどこの時期なので暑さを避ける訳にはいきません。

6月後半から本格的な強化合宿を再開しましたが、概ね計画どおりに走り込みを重ねてくることができました。そして、本日から暑い場所でのトレーニング(調整)を実施し、9月上旬の大会やトライアルにつなげていきます。

さて、これまでいくつかの暑熱対策も実施してきましたが、根本的に暑さが苦手な選手もいます。しかし、暑さが苦手な選手を暑い中で開催される東京パラリンピックの日本代表選手に選考する訳にもいきません。厳しい言い方ですが、この点は情に流されるところではありません。

ところが、毎年夏合宿を継続し、その中で暑熱対策も継続していると、暑さが苦手だった選手も確実に、夏の暑さに順化していっていることがわかります。もちろん、専門家による科学的なサポートを受けている点が大きいのですが、それだけでなく人の秘めた可能性を感じます。

具体例として、パラリンピックを目指しているブラインドマラソンの選手たちは男女を問わず、高齢化が進んでいます。そんな視点からも暑さを苦手としてる選手は比較的多いと感じます。ところが、覚悟を決めて暑熱対策を継続した結果、選手が個々に暑さに耐え得るノウハウを身に付けてきました。

今日からの強化合宿においては、実戦に近いトレーニングがメインになる予定です。どの選手も暑さの中における自分自身の限界点を見極め、重要課題のひとつである「夏の調整」に活かしてほしいと思います。

夏の走り込み・2

【夏の走り込み・2】北海道北見市において実施してきた強化合宿は無事に終了しました。あらためて、ご支援ご協力いただいた北見市の皆様に厚く御礼申し上げます。さて、6月30日から本格的な強化合宿を再開しました。最初は長野県上田市菅平高原からスタート。そして、北海道北見市に場所を移しての走り込み。6月30日から8月14日までの間、実に31日の強化合宿を実施しました。

もちろん、コロナ感染防止策などの徹底を実施しながらの強化合宿でした。同様に、選手の参加についてはそれぞれの諸事情を最優先しましたが、主力選手たちはほぼフル参加し、概ねしっかりと走り込むことができました。

具体的な実施内容については割愛しますが、31日間の強化合宿において、32k以上の距離走を9回、150分LSD(集団走)を6回、1kから5kまでのタイムトライアルを8回実施しましたが、メインは距離走です。しかし、ここで常に問題になるのが距離走の設定タイムです。言い方をかえると強度(負荷)になります。どの程度の設定タイムが夏の走り込みに適した強度になるかは、まさにそれぞれのノウハウが色濃く反映されます。

至極当然のことながら運動生理学に則った科学的な考え方がベースになります。しかし、日々の天候や気温と湿度、コースの起伏や選手の疲労度など、選手を取り巻く条件は日々どんどん変化するので、理論どおりに進まないのも常です。そして、最も注意する事項としては、初回から速い設定タイムで実施し、その疲労が回復できなくなり、その後のトレーニング計画に支障をきたすことです。かと言って、ゆとりを持ちすぎても単にだらだらと走っているだけになるので、この設定タイム(強度・負荷)は最重要ポイントになるのです。

今回の強化合宿期間中に実施した距離走の設定タイムについては、選手毎のマラソン自己記録に対し、85%前後の設定タイム(強度・負荷)になるように調整しました。また、その間に実施した8回のタイムトライアルでは、どの選手も最低1回以上は自己記録を更新し、ほとんどのタイムトライアルにおいて自己記録に近いタイムを叩き出していました。もちろん、40k走を実施した翌日においてもです。

このようにメインとなる距離走の設定タイム(強度・負荷)が噛み合うと、合間に実施するタイムトライアルやインターバルトレーニングにおいてもある程度のスピードをキープすることができます。そんな視点からも、今回の強化合宿期間中の量と質のバランスも概ね適切だったと振り返ることができます。しかし、次回以降の強化合宿においては、選手の状態や自然条件も変化するので、再び難解なパズルを組み合わせていく作業になります。もちろん、ここがマラソントレーニングの醍醐味でもあるのですが、やはり難儀です。

夏の走り込み

【夏の走り込み】北海道北見市における強化合宿も折り返しにきました。どの選手も順調に走り込めております。また、トレーニングコースもいくつか新しい場所で実施しましたが、特に問題なく順調です。

まずは、今回もご理解ご支援いただいた北海道北見市の皆様に心より御礼申し上げます。

さて、夏の走り込みは毎年のことながら「どの程度の質(スピード)」を保ち、「どの程度の量(距離)」を踏んでいくかが問題になります。そして、毎年のことながら正解もありません。

質を重視した結果、秋以降のマラソンや各種レースにおいて好記録や好成績を残した先人たちがいます。一方、質を無視して量を重視した結果、好記録や好成績を残してきた先人たちもいます。もちろん、どちらの方法にもしっかりとした科学的な理論が存在しております。

また、過去の結果を振り返り、「今年は質に軸足を移して走り込む」と考えて実践するランナーもいます。当然、逆のケースもあることでしょう。ところが、数回程度の経験や実績では、自分自身の身体能力に見合った最適な走り込み方法を見つけることはかなり難しいことも事実です。

このように毎年様々なことを試したり、導入した結果、単に振り回されるだけで、負の連鎖に陥って走れなくなってしまうランナーも実は多いのです。そして、皮肉なことに自らの身体を何年も実験台にした結果、様々なことが経験的にも理論的にもつかめてくるのです。

しかし、その時は既に自らの身体も気力もピークを過ぎていることが多く、自らの記録更新に結びつかなかった事例は本当に多いと感じます。かくいう私もそれに近かったと記憶しております。

隣の人より少しだけ角度が違うことを取り入れた場合、最初の数メートルは隣の人にも手が届きます。しかし、どんどん進んでいくと、隣の人との距離は離れていき、やがてその人も見えなくなります。夏の走り込みもそれに似ているような気がします。

ほんの少し角度を変えただけでも秋以降のマラソンや各種レースの結果に与える影響はそれなりの大きさになります。実は、この角度を変えるサジ加減は何年経験しても難しく、名コーチや名選手と呼ばれている方々は、この角度を的確につかみながらその夏を走り込んでいます。

今年の梅雨明けは記録的に遅かったので、今年は更に難解な夏を迎えることになるでしょう。

合宿の意味・4

【合宿の意味・4】北海道北見市における強化合宿は無事に終了しました。特に、後半の1週間は走り込みに切り替え、40k走を3回実施しました。ペースを落としているとは言え、それなりにハードな内容でしたが、脱落する選手はいませんでした。

また、最終日は「3000mタイムトライアル」を実施しましたが、驚くことに合宿2日目よりもタイムが良くなっている選手がほとんどで、自己記録を更新する選手もいました。その最終日はコンディションが良かったこともありましたが、積極的に記録へ挑戦する気持ちがそのまま走りにも伝播していました。

また、今合宿もコロナ対策のひとつとして、伴走者を必要とする選手に対する「伴走者は1人」とし、合宿期間中における「伴走者の途中交代はなし」との参加条件を提示。もちろん厳しい参加条件な点は十分に承知していますが、今合宿には2人の選手が伴走者を1人伴って参加しました。

帯同してくれた2人の伴走者は全てのトレーニングを選手と一緒に走り切りました。伴走者としては至極当然のことですが、実は1人の選手に対し、伴走者の複数帯同を認めだしてから伴走者のアクシデントも増加しています。

選手の走力が上がってきているので、単独伴走は厳しくなっているのは事実です。しかし、最初から「選手の半分を走れば良い」と考え、合宿に帯同してくる伴走者が本当に合宿前半でつぶれてしまうトラブルはおきています。しかもなぜか2人同時につぶれてしまうことも意外と多かったりします。

今合宿に帯同してくれた2人の伴走者は、選手の横で3回のタイムトライアルや3回の40k走などをたんたんと走り切っていました。また、一緒に走った選手は2人とも最終日の3000mタイムトライアルにおいて、合宿2日目の記録を上回っていました。

私自身が、合宿中に伴走者の走力や調子を気にせず、選手だけに集中できた合宿は久しぶりだったかもしれません。伴走者が本当に黒子のような存在になると、選手の走りはどんどん良くなります。また、その走りが単独走の選手たちにも伝播し、合宿全体が引き締まっていきます。

8月も北海道北見市において強化合宿を実施します。内容は距離走を平地から起伏走に切り替えたり、滑走路の長い直線を使ったインターバル走を取り入れたりする分、もう少しハードになります。今合宿同様、帯同してくれる伴走者の走力がしっかりしていれば次回合宿も全く問題なく乗り切れるでしょう。

最後になりましたが、我々の強化合宿を心よく受け入れていただいた、北見市の皆様に心より御礼申し上げます。

合宿の意味・2

【合宿の意味・2】ご存知のとおり、今年開催予定でした東京オリパラは来年に延期となりました。本来なら今年の7月と8月は最後の走り込みと調整のため、北海道で長期合宿を計画していました。

もちろん、それらの計画を大きく見直すか否かの検討もしましたが、来年の東京パラリンピックに向けた夏の強化合宿を検証する意味も含め、今年の夏は本来の強化計画どおり実施することにしました。

先日までの長野県菅平合宿においては、距離走も32kまでにし、各選手の調子を見極めることに重点を置いた走り込みを実施しました。しかし、今度の北海道合宿からは、いよいよ本格的な走り込みを開始していきます。

毎年、7月の北海道合宿は日本陸連様のご配慮により、「ホクレンディスタンス」にも出場してきましたが、今年はコロナ禍などの影響もあり、同大会には出場しません。その分、7月の北海道合宿はタイムトライアルを何度か実施予定です。

実は、4月からの自主トレ期間において各自で実施したタイムトライアルでは、5000mの自己記録を更新したり、10kの自己記録を更新する選手がかなりいました。その記録も日本記録を大幅に更新している好記録ばかりでした。たらればの話しになりますが、今年もホクレンディスタンスに出場していたなら、日本記録だけでなく世界記録を更新する可能性のある選手もいました。

いずれにしろ、7月の北海道合宿から本格的な走り込みを実施していきます。そして、8月も北海道でしっかりと走り込み、8月後半からは千葉県富津市に場所を移します。本来であるなら、9月6日は東京パラリンピックのマラソンです。

その日は延期になりましたが、同日に千葉県富津市においてトライアルを実施し、来年の東京パラリンピックに向けた夏合宿の検証をする計画です。もたもたしていると、今年の夏もあっという間に過ぎてしまうので、暑熱対策などもしっかりと実施します。

さて、上記したホクレンディスタンスもはじまりましたが、東京オリンピックを目指しているトップ選手たちは軒並み好記録ラッシュのような印象です。あらためて、「強い選手はどんな状況下でもしっかり走っている」。

我々も出遅れないよう、緊張感と危機感を持って夏合宿に挑みます。

再スタート・2

【再スタート・2】ランニングにとって3密より暑さ対策の方が優先される季節へと移ってきました。もちろん、感染防止策はしっかりとしなくてはいけませんが、6月に入ってから気温や湿度は更に高くなっていきます。

また、4月から5月までの緊急事態宣言の期間、個々がどのように過ごしたかによっても、これからの暑さ対策も違ってくるのでしょうか。いわゆる3密になる環境を作らないようにしながら走れたランナーは、実際にかなり走り込めていました。

逆に、慎重な行動に徹し、多くを自宅などに待機していたランナーの中には、ほとんど走れなかったケースもありました。感染対策としてどちらの選択が正しかったということではなく、結果として4月と5月で過去最高の走行距離を走りこめたランナーがいたのと、逆にほとんど走れなかったランナーがいたことです。

毎年、5月のGWあたりから気温が20度を超える日が定着してきます。更に5月後半は25度以上になり、30度に届く日も出てきます。4月前半は10度前後の寒い日もあったのが、一気に気温が高くなっていくのが5月でしょうか。

つまり、4月下旬から5月の間で暑熱順化ができているランナーは、例年通りの流れに沿って夏の走り込みに移行していけます。一方、自宅待機など慎重な行動に徹したランナーの場合、まずは軽めのランニングから再開するなど、暑さに慣れていくことが必要となります。

同様に各地の陸上競技場などの施設も利用可能な状況に戻ってきています。それに伴い本格的なトレーニングを再開するランナーも多いことでしょう。特にトラックでのトレーニングは高強度になる可能性が高いので、久しぶりに走るランナーは注意が必要です。

そして、トレーニングを順調に再開していくと、誰もが実際のレースを走りたくなります。しかし、大会開催に向けてはより慎重な対応が続いており、秋以降のマラソンシーズンについても不透明な状況です。

そのため、ランナーを取り巻く環境は、厳しい状況がしばらく続くと思われます。したがって、暑さが厳しくなっていくこの時期に慌てて走行距離をのばしたり、無理にトレーニング強度を上げる必要はないとも言えます。まずは、いつもの生活リズムを取り戻し、夏に向けた暑熱順化を優先しましょう。

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