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パラリンピック

夏から秋へ

北京パラリンピックも感動的な閉会式を最後に無事閉幕しました。視覚障害者マラソンの部に出場した3名の日本代表選手は、残念ながらメダル獲得や入賞には届きませんでしたが、これまで積み重ねてきた練習の成果を6名の伴走者と共に十分発揮してくれました。また、レース中はコース沿道に、たくさんの日の丸や「頑張れ!」の声援がこだまし、選手・伴走者ともに日本代表としてこれ以上にない幸せを感じながらゴールすることができました。あらためて、ご支援ご協力頂いた皆様に対し厚く御礼申し上げます。

そして、オリンピックからはじまりパラリンピックまで続いた暑くて熱い夏もようやく終わり、日本ではいよいよ「マラソン&駅伝シーズン」の到来です。特に、11月中旬あたりから12月にかけて、大きなマラソン大会が目白押しとなります。皆さんの中にもこの時期のマラソンを目標にしている方が多いのではと思います。もちろん私がコーチしている選手達も、この時期のマラソンを目標にしている選手が多数おります。

また、それに歩調を合わせるように、これから各地でランニング講習会やマラソン練習会等も盛んに開催されるようになります。日頃、一人の練習が多く、長い距離を走ったり、ペースを刻んで走る練習が苦手な方は、こうした練習会等を大いに活用し、目標のマラソンを目指してほしいと思います。かくいう私も千葉県富津市富津公園を拠点に週末を活用したマラソン練習会を開催しておりますので、気楽に参加頂ければと思います(詳細は、RUNWEBのHPをご覧下さいませ)。

このブログでも11月から12月のマラソンを目指した練習や調整方法等を記載していきます。そして、はじめてマラソンに挑戦しようと考えている方、レベルアップを目指す方・・・様々な目的でマラソンに挑戦する方々のヒントになればと考えています。

但し、マラソンを目指す上で最初に認識しておいてほしいことがあります。それは、各人の顔がそれぞれ違うように、マラソンは同じ練習をしたとしても皆が同じ成果やタイムを出すことは、とても難しい競技であることです。つまり、同じ距離を走っても疲労の出方や回復の時間等が微妙に違い、その微妙な違いが数日、数週間、数ヶ月・・・と、積み重なることで、大きな個人差となってくるのがマラソンなのです(そこが、各自のノウハウでもあります)。

逆に言えば、「絶対」と言える練習方法はなく、それぞれが独自の個性的な練習方法で目指せるのが、マラソンと言えるのではないでしょうか。また、単純にマラソンのタイムや結果だけにこだわらず、マラソンを目指していく過程での身体や気持ちの変化。そして、仲間達との練習を楽しんでいくことも、マラソンの醍醐味であることを忘れないでほしいと思います・・・。

北京パラリンピック・3

北京パラリンピックも明日閉幕です。今回のパラリンピックは、既に各種報道等で伝えられているとおり、日本は苦戦しております。と、言うより世界のレベルが一気に上がり過ぎたと言った方が正しいような大会でした。

陸上競技も例外なく数多くの種目で世界記録ラッシュに沸き、その記録も「ハンディを乗り越えて」と、言うにはあまりにも凄過ぎる記録ばかりでした。例えば、T46クラス(腕の切断等)の男子1500mの優勝記録は何と、「3分52秒」です。更に、8位までが4分を突破する大混戦のレースでした。もちろん勝負に徹しながらの記録なので、少なくとも上位5名あたりまでの選手は、3分50秒を軽く突破する走力を持っていると推察できます。また、T11クラス(全盲・伴走有)の男子200mは、「22秒40」。T12クラス(弱視)の男子100mの優勝者は、伴走者を付けて走り、「10秒89」・・・と、ただ唖然とする記録ばかりでした。

そして、明日は北京パラリンピックを締めくくる「マラソン」です。日本からも、高橋選手、新野選手、加治佐選手の3名が出場します。マラソン組は、8月30日に北京入りしました。そこから約3週間近く、伴走者と練習から日常生活までの全てを共にし、「チームジャパン」として調整してきました。今回は、全選手が一度も調整計画を変更することなく、予定どおり完璧に計画を消化し、選手並びに伴走者全員が体調も良好です。もちろん前回のアテネパラリンピック金メダル(T11クラス・全盲)の高橋選手も好調をキープしております。

ところが、今回の北京パラリンピックから日本が得意とするT11クラス(全盲)は、T12クラス(弱視)とクラスを統合され、現実は厳しい戦いとなることが必至です。しかし、この厳しい現実に悲観することなく、選手3名、伴走者6名(志田、川嶋、岡村、木村、永井、二見)が気持ちをひとつに「チームジャパン」として、「メダル獲得」を目標に長期間の厳しい練習を乗り越えてきました。

今回、私は盲人マラソン日本代表コーチ(監督)として、今日までお手伝いをさせて頂きました。もちろん日本選手のメダル獲得を誰よりも期待していますが、3名の選手が6名の伴走者と共にそれぞれの力を出し切り、無事にゴールしてくれることをただ願っております・・・。

最後になりましたが、ここまで様々な方々にご支援ご尽力頂きました。この場をおかりし、あらためて厚く御礼申し上げます。

そして、明日は9名の「チームジャパン」に絶大なるご声援をよろしくお願いします!!

北京パラリンピック・2

北京パラリンピックもいよいよ開幕しました。開会式は本当に感動的でした(写真等を掲載できないのが残念ですが)。そして、陸上競技も昨日はじまり、日本代表選手も世界の強豪相手に精一杯の頑張りを見せております。・・・が、我々マラソン組は、17日の最終日まで出番がないので、引き続き合宿生活です(笑)。

今回、17日のマラソンに向け合計3回、車でのコース下見を計画しています。昨日は、その一回目の下見に選手と伴走者全員で行ってきました。マラソンコースは、オリンピックと全く同じコースを走ります。よって、既に最低2回はオリンピック男女マラソン中継でコースを拝見しております。

しかし、至極当然のことですが、見るのと行くのでは全く違い、路面が硬いとかより、5k地点のある天壇公園内、27kあたりにある北京大学内、更に清華大学内の曲がりくねった狭い道の方が要注意と感じました。そして、スタート地点の天安門からゴール地点の鳥の巣まで、ほぼフラットな道路と言いながら全体的にゆるやかに下って行っている印象を受け、オリンピック男子マラソンで金メダルを獲得したワンジル選手のマークした凄い記録も何となくうなずけると・・・。

また、17日のマラソンまで10日を切り、各選手達は最終調整に入りました。一昨日は、新野選手が1万m走を。昨日は、高橋選手が1万2千m走をそれぞれ実施しました。あらためて言うまでもありませんが、加治佐選手も含め、各選手毎にそれぞれの調整パターンで練習を組立て、17日までそれぞれの計画で調整していきます。

具体的な調整のタイム等については、トップシークレット(?)なので、詳しくは紹介できませんが、面白いことに高橋選手の設定タイムより新野選手の設定タイムの方が速いのです(マラソンベストタイムは高橋選手の方が上)。新野選手は、最後のポイントは追い込むタイムです。一方の高橋選手はかなり余裕を持って終わるタイプです。新野選手はこの調整方法で、2時間50分突破を果たしました。もちろん高橋選手もこの調整方法で、世界一になりました。二人のタイム差云々と言うより、二人に共通していることは、「経験」と「実績(データ)」に裏打ちされた独自の調整方法を確立している点です。

実は、大舞台や勝負処で力を発揮できる選手ほど、このように独自の調整方法をしっかりと確立していて、どんな環境でも淡々と自分のリズムを崩さず、体調や感情の起伏がほとんどありません(安定している)。もちろん臨機応変にも対応できます。

あとは、パラリンピックに参加している選手全員が、万全の体調でスタートラインに立てることを祈るばかりです・・・。

ご声援をよろしくお願いします!

北京パラリンピック

8月30日、中国・北京パラリンピック選手村に入村し5日目になりました。今回の遠征は時差も1時間しかなく、こちらの環境に慣れるのも早かったような気がします。また、いろいろと懸念されていた事項についても、今のところ全く問題ありません。特に、大気(空気)については、東京よりも良い感じさえし、スモッグ等の影響は全くありません。実際に地元の方々も、こんなに綺麗な空は、何年振りかと言っているようです。

さて、その北京パラリンピックは今月6日に開幕し、17日のマラソンまで熱い戦いが繰り広げられます。そこで、現地の様子を少しお伝えしていきたいと思います。(パラリンピックは、様々なメディア関係と、契約上のことで情報規制が厳しく、個人がパラリンピックについて自由に伝えることも、ある程度規制しています。)

今回は、選手村について少しお話します。既にご存知のとおり、パラリンピック選手村はオリンピック選手村と全く同じ施設を使用しており、我々日本選手団が居住しているD5棟は、先月までオリンピック日本選手団が居住していた場所です。と、言っても当然のことながら、皆さんはピンとこないと思います。選手村を一言で言うと団地(村)です。各国選手団が居住している各棟は、地上9階、地下1階建てのマンションになっており、A棟からD棟のブロックに分かれており、それぞれがA1棟からA13棟、B1棟からB10棟、C1棟からC9棟、D1棟からD10棟と建てられています。そして、A棟からD棟までの一番外側をジョギングすると、約3kになります。もちろん通常A棟の端からD棟の端への移動は村内を巡回しているシャトルバスを利用します。

如何でしょうか?居住地の大きさをイメージできたでしょうか?

そして更に、ここに小学校の体育館ほどある食堂、各種運動施設、プール、マッサージセンター、銀行、売店等々・・・。そして、ネットカフェにゲームセンター・・・各宗教の礼拝堂・・・。日常生活を営んでいく上で必要と考えられる施設は、居住地の横に隣接しており、全ては選手村の中に完備されています。もちろん、選手及び関係者であるなら、一部を除いてほとんどは無料で自由に利用することが可能です。

私は、1996年のアトランタパラリンピックから今回で4回目のパラリンピックとなります。北京パラリンピック選手村の総合的な環境に関しては、これまで経験した中では最高と言い切ることができます。また、選手村内では、たくさんのボランティアの方々が各国選手団達のために頑張っています。もちろん彼らの対応もすばらしく、中国人の優しさや温かさに感謝しつつ、各選手はそれぞれの目標に向かって充実した調整を実施しております。

北京へ・3

いよいよ北京オリンピックも開幕し、連日熱い戦いが繰り広げられています。そして、オリンピック連覇のかかった野口選手が欠場した女子マラソンも終了。日本代表選手の中村選手は13位。そして、土佐選手は途中棄権と残念な結果に終わりました・・・。

さて、オリンピックが閉幕すると、今度は北京パラリンピックの開幕です。オリンピック以上の熱い戦いが繰り広げられると期待しております。その北京パラリンピック視覚障害者マラソンに出場する日本代表選手団の最後の強化合宿を15日(金)から17日(日)の日程で、長野県菅平高原にて実施しました。合宿は、各選手が伴走者と共に、それぞれの調整計画に沿った内容を順調に消化することができました。

パラリンピック連覇を狙う高橋選手、勢いのある加治佐選手、持ち前の粘り強さに磨きがかかってきた新野選手。ここまで、3名の代表選手並びに6名の伴走者全員が故障もなく順調に仕上がってきております。マラソン当日まで残り1ヵ月となり、ここからは調整です。既に何度か記載しているとおり、調整の基本は休養です。「焦ったら休養、迷ったら休養」です。

そのパラリンピックですが、オリンピックと違い、各障害やその障害の程度に応じたクラスにわかれて競い合います。そのため、パラリンピックが開幕する前に、各選手は障害の部類や程度を確認する「クラスわけ(メディカルチェック)」を受けなければなりません。よって、第一陣の選手や役員は今月30日に北京入りします。もちろん我々マラソンチームも第一陣です。

つまり帰国する9月19日まで、選手と伴走者は選手村の狭い同室で20日以上もの間、全ての行動を共にします。こうなると、単に走りが合うとか走り易いと言っただけの視点では無くなります。選手と伴走者が生活の全てを共にしていくので、お互いの人間性や性格等が全てぶつかり合い、本音ベースになってきます。そして、お互いにそれらを受け入れることで、はじめて日本代表としてスタートラインに立てるようになるのです。

今回のパラリンピックに向け、選手と伴走者は何度も強化合宿や遠征等を共に乗り切ることで、心をひとつにしていくことができました。ところが、パラリンピックが近づいてくるのに伴い、取材等も増え徐々にプレッシャーを感じてきているのも事実です。

しかし、何度も申し上げているとおり3名の日本代表選手には、固い絆で結ばれた伴走者が各2名ずつおります。そして、これまで様々な苦しい練習やレースを克服してきた3人の絆で、重圧やプレッシャーのリスクは1/3に分散し、同時に3倍の力で克服できると確信しております。

あらためて、皆様の絶大なるご声援をお願い申し上げます。

北京へ

今年は、北京五輪です。そしてその後、北京パラリンピックが開催されます。私は日本盲人マラソン協会(JBMA)のお手伝いもしており、日本代表選手及び伴走者の選考や強化を担当しております(JBMA理事/強化担当)。既に、北京パラリンピック視覚障害者マラソンの日本代表候補選手選考は無事に終わり、3名の選手を選考しました。また、視覚障害者マラソンには、伴走者(ガイドランナー)が必要なクラスもあり、今回の代表候補選手達と同様、各選手に対し伴走者も2名ずつ選考しました。

連休も明け、いよいよ北京に向け本格始動です!このブログでも北京パラリンピックに向けた取り組みや、選手達の様子等々をお伝えしていきたいと思います。

ところで、皆さんは視覚障害者マラソンをご存知でしょうか?その前に、視覚障害者と聞くと、視力を完全に失い暗黒の世界に生活していると誤解してないでしょうか?実は、視力が1.0以上の方もいます。そのため視覚障害者の方でも単独走行が可能な方もいます。つまり、視覚障害と言うのは、総合的な視覚能力に障害があることを言います。

このように、視覚障害者と言っても障害の程度に大きな違いがあり、全く視力のない全盲の選手と、そうでない弱視の選手とでは、大きなハンディが生じます。そこで、そのような問題を解消するため、視力の程度に応じたクラス分けを実施しています。(クラス分けは、全ての障害者スポーツで実施しています。)

視覚障害者の国際クラス分けは、3つに分かれており、視力の弱い方からT11(B1)、T12(B2)、T13(B3)となっています。T11は、「視力は光覚までで、どの距離や方向でも(手の形を)認知できないもの(伴走者有)」。T12は、「手の形を認知できるものから、視力0.03まで、または視野が5度以下のもの(伴走者有無どちらでも可)」。T13は、「視力は0.03以上0.1までのものと、視野が5度以上20度以下のもの(伴走者無)」。従って、パラリンピックの視覚障害者マラソンの金メダルは、クラス毎に3名の選手が手にすることになります。

以上のように、ひと口に視覚障害者マラソンと言っても、見た目の伴走者有無だけで判断することはできません。つまり、国際的な公式競技会に出場するには、国際認定を持った専門のドクターから視力検査及びクラス分け認定を受ける必要があります。同時に、このクラス分け認定を受けることで、選手自身もはじめて世界の舞台で正々堂々と、公平な勝負ができるようになるのです。(詳細は割愛します。)

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