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マラソン

期分け・76

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【期分け・76】「ゆっくり長く走ることで、スタミナ(持久力)を養成していくために必要な基礎部分(土台)を構築していく」と、前回は話しをしました。今回もその続きですが、はじめに前回記載した「目的1」から「目的3」について、もう少し専門的な説明を加えていきます。

◆目的1:毛細血管の発達。→ スピード系トレーニングのような高強度の運動は交感神経が働いて毛細血管が収縮してしまうため、身体の隅々まで血液が回り難くなる。逆に、ゆっくり長く走ることは、リラックスした運動のため交感神経が活発に働かないので、身体の隅々にある毛細血管に長時間圧力をかけることができる。その結果、筋肉中の血液が流れている毛細血管が増加すると共に血液量も増加する。→ 筋持久力の向上。

◆目的2:エネルギー源としての脂肪利用割合の向上。→ ゆっくり長く走ることで体内の脂肪燃焼効率が高まり、筋グリコーゲン枯渇までの時間が長くなる。即ち、長時間動き続けることができるのでダイエット効果も高まる。→ ランナー体型への進化。

◆目的3:肺活動の効率化。→ 呼吸のとき横隔膜を使うが、スピード系トレーニングの場合、活性酸素が発生し横隔膜が疲労する。逆にゆっくり長く走ると、横隔膜の中に活性酸素を除去する酵素が発生し、横隔膜をより効率的に動かし続けるようになる。その結果、肺の活動が効率的になり、酸素を取り込み全身に送るメカニズムが強化され、長時間動き続けることが可能となっていく。→ 肉体的及び精神的スタミナの養成。

以上のように、ゆっくり長く走ることで、マラソンに必要な基礎部分(土台)を構築していくことができます。だが、一方でレベルの高いランナーにとっては、上記したような効果が表れにくいのも事実です。

しかし、ゆっくり長く走ることは、上記以外にも「疲労回復」を促進する効果もあげられます。「目的1」に記載したとおり、ゆっくり長く走ることで毛細血管が増加し、血液量が増加するため、筋肉に蓄積された疲労物質も効率よく取り除くことが可能となります。

つまり、レベルの高いランナーにとっての「ゆっくり長く走る」は、スタミナの基礎部分(土台)を構築していくより、レース後や高強度トレーニング後の疲労回復を促進したり、身体のコンディションを整える目的の方が大きくなります。それは、「ゆっくり長く走る」ことで、レース後や高強度トレーニングで痛んだ基礎部分(土台)をメンテナンスするようなイメージにもなります。

つづく。

期分け・75

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【期分け・75】今回は、走り込みに必要な「時間走」について考えていきます。はじめに、前回まとめた時間走のポイントを振り返ります。

◆時間走:ペース設定や走行距離を頭の中から切り離し、体調や調子に合わせてゆっくり長く走り続けることが目的となる。ロングジョグやLSD、仲間と楽しく走るマラニック等が、これに該当する。

以上のように、ゆっくり長く走り続けることが大きな特徴であり、重要なポイントとなります。また、「ロングジョグとLSDとの違いは?」、「ゆっくりとは?」との質問を受けることが多々ありますが、ランナー毎の走力によっても相違があります。そのため、心拍数でペースを管理したり、1kあたりのペースで管理するランナーもいます。

しかし、あまり神経質になると、今度は「ゆっくり長く走る」ことが、逆にストレスになってしまいます。したがって、どのランナーにも共通する目安として「楽しく会話のできるスピード」が、効果的でわかり易いので推奨します。もちろん、マラニックも同様です。

更に、「長くとは?」との質問も多いのですが、これについてもランナー毎の走力によって違ってきます。初心者の場合、30分から40分程度しか走れない方にとっては、60分でも長くに該当します。もちろん、マラソンを何度も完走した経験のある方なら2時間から3時間以上も走り続けることは可能でしょう。

このように、ランナー毎の走力によって「ゆっくり長く走る」ことの捉え方は、多少の相違があります。しかし、どのレベルのランナーにも共通した目的や狙いとしては、次のことがあげられます。

◆目的1:ゆっくり長く走ることで、筋肉内の毛細血管を発達させる。→ 筋持久力の向上。◆目的2:ゆっくり長く走ることで、体脂肪の燃焼(ダイエット)。→ ランナー体型への進化。◆目的3:ゆっくり長く走ることで、長時間への耐性強化。→ 肉体的及び精神的スタミナの養成。

実はこれら3つの目的は、マラソンに必要なスタミナ(持久力)を養成していくためのスタミナ(持久力)養成となります。ちょっとわかり難い表現ですが、家に例えると、基礎部分(土台)に相当します。この基礎部分(土台)がしっかりしていないと、どんな立派な家をその上に建てても地震や強風で倒れてしまいます。

同様に、マラソンを攻略していく上でもこの考え方は同じです。「ゆっくり長く走る」ことで、マラソンに必要なスタミナ養成していく上で必要不可欠な基礎部分(土台)を構築していくのです。

つづく。

期分け・74

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【期分け・74】今回から「ペース感覚(走り込み)」のポイントとなる「時間走」と「距離走」についてそれぞれ考えていきます。

はじめに、それぞれの特徴をシンプルにまとめてみます。

◆時間走1:走り続ける時間を決めてスタートする。そのため、どんなに速く走ってもゆっくり走っても終わる時間は同じであり、走るスピードに目的を左右されない。つまり、同じ時間内での走行距離が多い少ないが重要な要素ではない。◆距離走1:走り続ける距離を決めてスタートする。したがって、速く走った場合と遅く走った場合ではゴールタイムに違いがでてくるため、設定ペースによって目的が左右される。つまり、同じ距離の場合、設定ペースが重要な要素となる。

次にもう少し別の見方をすると…。

◆時間走2:最初はゆっくり走りだし、調子が良くなってビルドアップしても走り続ける時間は同じ。すなわち、ペース設定はそれほど重要ではなく、途中で速くなってきた場合は再びペースを落とし、目的の時間を走り続けられるペースに戻すことがポイント。場合によっては、意図的にランニングとウォーキングを交互に繰り返す場合もある。◆距離走2:ペース設定によってトレーニング強度が大きく左右されるため、スタート前にどんなペースで目的の距離を走り切るかを決めることがポイント。すなわち、場当たり的なペース設定でスタートし、後半ペースダウンしたり、歩き出したりすることは目的から大きく逸脱することになる。

以上のように「時間走」と「距離走」ではポイントが微妙に異なり、更にまとめると次のようになります。

◆時間走3:ペース設定や走行距離を頭の中から切り離し、体調や調子に合わせてゆっくり走り続けることが目的となる。ロングジョグやLSD、仲間と楽しく走るマラニック等が、これに該当する。◆距離走3:ペース設定や走行距離を重視する。それによって強度も変化するため、計画した距離を設定どおりに走ることが目的となる。比較的短い距離も含めたペース走やタイムトライアル、場合によってはレースもこれに該当する。

次回も更に考えていきます。

つづく。

期分け・73

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【期分け・73】前回からの続きです。マラソンに向けた走り込みは「ペース感覚(走り込み)」を身につけるためには余裕を持ったペース、すなわち「甘さ(遅い=楽)」に対し敏感になれるか否かが、重要なポイントのひとつとなります。

その大きな理由のひとつとして、マラソンを走り切るには、まずはスピードよりスタミナ(持久力)がないと完走することができないからです。これは、オリンピックを目指すレベルの選手でも考え方は同じで、世界記録ペースで前半を通過してもゴールまでそのペースをキープするスタミナ(持久力)がなければ世界記録やメダルを手にすることはできません。

そして、そのスタミナ(持久力)を身につけるには、それ相応の距離と時間をかけて走り込むことが必要不可欠です。同時に、常にマラソン自己記録のペースで長距離や長時間の走り込みができたなら最も理想的ですが、人は「辛さ(速い=きつい)」に敏感です。したがって、能力限界の設定タイムは怪我や故障のリスクが格段にアップするのと、メンタル的にバーンアウト(燃え尽きる)してしまうリスクが大きくなります。

実は、公務員ランナーの川内優希選手が、毎週末のレースを活用して常にレースペースの走り込みを実施するトレーニング方法で結果を残しています。しかし、川内選手以外でその方法を選択している実業団選手(プロ)はほぼ皆無です。また、レースを活用した走り込みは、見かけや考え方はシンプルですが、国内では川内選手のみが結果を残せている極めて難易度の高い調整方法とも言えます。※私的にはリスクが高く、おすすめできない調整方法です。

以上のことからマラソンを攻略していく上での「ペース感覚(走り込み)」は、逆に設定ペースを落として長距離や長時間じっくりと走り込んでいく方法が、実はリスクも少なく最も近道であると考えます。そして、そのポイントが「甘さ(遅い=楽)」に対し敏感になることです。

これまでもこの「期分け」シリーズを通じて考えてきた内容と繰り返しになる部分も多々ありますが、「ペース感覚(走り込み)」を身につけていく重要な要素として、「時間」と「距離」のふたつに大きく分けることができます。

どちらも似たような感じを受けますが、ある一定の時間を走るのと、ある一定の距離を走るのでは、求めらられるペース感覚が微妙に違ってきます。そして、マラソンを攻略していく上でどちらも必要不可欠な要素になります。

次回からそれぞれについて考えていきます。

つづく。

期分け・72

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【期分け・72】前回は、10月の走り込みに入る前に「現状の自己分析」を実施する話しをしましたが、今回から結果が悪かったケースについて考えていきます。

あらためて、マラソンで失敗したパターンについて解析していくと、実に様々なケースがあります。代表的なのは、やはりマラソン当日のコンディションによるものです。多いのは、気温や湿度が高かったため脱水症になったケース。冬の冷雨や雪で低体温症に陥ったケース。海岸沿いのマラソンコースに特有の強い向かい風。…等々、どれもマラソンの記録を阻む最大の要因です。

次に、よく耳にするのは、やはり30k以降の失速です。そして、その原因の多くは前半のオーバーペースです。特に、男性市民ランナーに多く見受けられます。具体例として、元々運動神経が良く、短距離が速いタイプの方は10kまでの距離なら走り込みをしていなくても意外と速く、10kで40分を切ってしまう方も珍しくありません。このような方がマラソンに挑戦した場合、15kから20kあたりまで快調にとばし、そこから大きく失速するパターンは本当に多いと感じます。

更に、コースの起伏が大きいケースや途中の給水に失敗するケース等、もっと掘り下げていくと複数の要因が重なっているケースもあります。

そして、これらの要因について更に解析していくと、そのほとんどが「走り込み不足」にたどりつきます。上記した当日のコンディションについても、後半の失速についても、走り込み不足から起因する「ペース感覚をつかめていない」ことが、最も大きな要因のひとつとなります。特に、マラソンを走る場合、かなり余裕のある一定のペースで走ることが基本となります。

実は、多くの方は、物心が付いた頃から「走ること=全力疾走(競争)」とのイメージを植え付けられています。その証拠に幼稚園からはじまり、中学や高校でも「ゆっくり長く走る」ことを教える授業や指導はほとんど見かけることはありません。少なくとも私自身は受けたことがありません。

したがって、多くの方が持っている「ペース感覚」とは、全力で走る方への物差しであり、苦しいことを察知する感度ばかり発達していると考えます。一方で、マラソンを攻略していく上で重要な「ペース感覚」とは、その逆で、より楽に感じる「余裕度」を自分自身の中で構築していくことがポイントとなります。

別の表現をするなら「辛い(速い)」と「甘い(遅い)」です。辛さについては「激辛」と言うように細かく何段階にも分け、人はそれを感じることができます。しかし、甘さについては「激甘」とは言いません。コーヒーにスプーンで砂糖を入れていったとき、おそらく3杯も10杯も感覚的にはわからなくなります。

つまり、人は「辛さ(速い=きつい)」には敏感だが、「甘さ(遅い=楽)」には鈍感です。マラソンを攻略していく上での「ペース感覚(走り込み)」は、この「甘さ(遅い=楽)」に対し、敏感になる必要があります。だからこそ難しいのかもしれません。

つづく。

期分け・71

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【期分け・71】10月に入りましたが、思ったほど涼しくなりません。走り込みに最も適した月と話しましたが、厳しいコンディションが続いている状況です。…と、言いながら走り込みを断念する訳にはいきません。そこでもう一度、マラソンに向けた走り込みについての考え方を整理してみます。

はしめに、これからマラソンに挑戦しようとしている皆様方は、自分自身がどんな状況にあるかを確認することが最初の一歩となります。もう少し具体的に説明すると、今回が初マラソンなのか、既に何度かマラソンの経験があるのか。更に、マラソン経験があるなら、特に前回のマラソンが狙いどおりに走れたか。狙いどおりに走れた方は自己新だったか。そして、その成功要因を把握できているか。等々…。

逆に失敗した人は、その理由が当日の天候等によるコンディションだったか。あるいは、スタミナが枯渇し後半大きく失速したのか。その状態でも最後まで完走したか。その失敗要因を把握できているか。等々…。

このように、いくつかの項目を確認することはとても重要です。実は、これまでも「期分け」シリーズでマラソンに向けた走り込みを考えてきましたが、正確には個々に走力やトレーニング環境等が違うため、誰もが同じ走り込みを実施したからと言って、同じ結果を見込めるとは限りません。

実際に私が主宰する富津合同マラソン練習会においても、この時期はほぼ週末毎に40k走を実施しています。そして、多くの市民ランナーたちが切磋琢磨しながら走り込んでいます。ところが、同じ走り込みを実施して同じ大会に出場しても結果を残せるランナーと、思うように結果を残せないランナーが必ず存在します。

そして、目標を達成できたか否かに関係なく、その要因は何かを最初に考えることは、次のマラソンを目指す上で最も重要なデータとなります。もちろん、最初から科学的とか運動生理学的の専門的な解析を伴う必要はありません。上記したような項目について大まかでも把握しておくことが重要です。

この10月から本格的な走り込みを開始していく皆様方も、まずはこの点をしっかりと把握した上で走り込みを開始してほしいと思います。

次回からは、この点を考慮した走り込みを考えていきます。

つづく。

期分け・70

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【期分け・70】厳しかった残暑(猛暑)もひと段落し、いよいよマラソンシーズンの到来です。同時に、マラソンに向けた走り込みを実施するにも適した季節となります。特に、10月は1年間を通じて最も走り込みに適した月のひとつで、厳しい残暑を乗り切ったランナーの皆様方にとっては、実りの秋でもあります。

また、この「期分け」シリーズでもマラソンに向けた走り込みのトレーニング方法を取り上げてきました。その中において、この10月は「第1次走り込み期(8月~10月)」と位置付け、秋から冬のマラソンシーズンに向けた走り込み期としては極めて重要な期であります。そして、今年も10月に突入し、再び走り込みの季節がめぐってきました。

ところが、今年の夏は記録的猛暑となり、更に厳しい残暑が続きました。そのため、夏の走り込みを十分にできなかったランナーも多いと推測されます。同時に、秋のマラソンには間に合わないと、既に諦めムードに陥っているランナーも意外と多いのではと思いますが、いかがでしょうか?

マラソンで最も大切なことは、「最後まで諦めない心」です。

厳しい暑さのため、夏に思うような走り込みができなかった方々も、この10月での挽回は可能です。何度も言いますが、「最後まで諦めない心」です。まずは、この気持ちを常に忘れることなく、これからの走り込みを積み重ねてほしいと思います。

さて、これまで「期分け」シリーズの中で、マラソンに向けた走り込みについて色々と考えてきました。上記したように、秋のマラソンに向けた「第1次走り込み期」は、8月から10月としていますが、実に3ヶ月間の期間です。

実は、これまであまり触れてきませんでしたが、特に走歴の浅い市民ランナーの多くは、3ヶ月間も走り込みを持続していくことが体力的に難しく、逆に故障や怪我をしてしまう方も少なくありません。また、メンタル面でも単調な走り込みに飽きてしまい、途中で気持ちが途切れてしまうケースも見受けます。これは、意外にも実業団選手(プロ)の中でも見られるケースで、マラソンは難しいと思われる理由のひとつでもあります。

しかし、逆に上記の理由で夏の走り込みが不足した方でも気持ちを集中させ、10月の走り込みを充実させれば、11月下旬から12月以降のマラソンも十分に対応できると考えます。そのためには、「最後まで諦めない心」を忘れず、10月の走り込みに挑戦してほしいと思います。

つづく。

期分け・69

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【期分け・69】スピード養成期においてもランニングの基礎となるスタミナ(土台)をキープするためには、最低限のスタミナ系トレーニングも必要不可欠です。では、具体的にどの程度の距離や時間をどの程度の頻度で走れば良いのでしょうか?

今回もサブスリーレベルランナー(3時間以内)を例に考えていきます。

既に、このブログの中で何度も記載してきたとおり、マラソンを目指す上で効果的にスタミナを養成するスピードとして、マラソンペースの83%から87%のスピードを推奨しました。そして、サブスリーランナーの場合、1kあたりのスピードが4分15秒なので、4分30秒から4分50秒前後のペースで走り込むのが最も効果的となります。

しかし、このスピード養成期はマラソンペースより速いペースでのトレーニングやレースを軸にしたスピードトレーニング系が中心となります。つまり、走行距離は短いのですが、強度は格段にアップしています。そんな状況下において、秋から冬の走り込み期と同等の設定タイムで長距離走を加えると、質の高いスピードに加え、質の高い量(距離)が加わることになります。それは逆に、故障や怪我の確率を飛躍的に高めることにもつながります。

そのため、スピード養成期においてのスタミナ系トレーニングは、基礎となるスタミナ(土台)をキープすることに目的をシフトする必要が出てきます。具体的な長距離走のペースは、上記の4分50秒より遅いペースを推奨します。そして、このブログの「期分け・66」でも記載したとおり、時間なら1時間40分から2時間30分程度の間となります。しかし、気温や湿度の高いコンディションを考慮すると、長くても2時間程度がギリギリの線となります。※暑さに対する耐性は個人差が大きいので要注意。

更に、このスピード養成期のスタミナ系トレーニングの位置付けとして、スピード系トレーニングやレース後の疲労回復的な目的も大きくなってきます。特に、トラックレースや10k以下のロードレースや駅伝を走った後は、ゆっくり長く走ることで、疲労回復と枯渇したスタミナ(土台)を戻す両面の効果が期待できます。

まとめると、スピード養成期中のスタミナ養成は、◆1.走行距離を目安にするなら、マラソンペースの87%前後のスピードで20kから25k。◆2.走行時間を目安にするなら、1時間40分から2時間程度の時間でゆっくり。◆3.取り入れる頻度は、週に1回程度で、1か2のどちらかを選択。

もちろん、暑さに対する耐性や適応力は個人差が大きいので全てのランナーに当てはまる訳ではありません。しかし、スピード養成期においても、スタミナ系トレーニングをうまくかみ合せることで、スピードも効果的に上がっていくと考えます。

つづく。

期分け・68

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【期分け・68】スピード養成期中のスタミナ養成についてです。はじめに、前回の最後に記載したとおり、まさに今の季節は気温と湿度が高くなるため、秋から冬と同じ設定タイムで同じ長距離を走ることは難しい状況です。つまり、根性とか気合いで乗り切れるコンディションでないことを、はじめに理解しておくことは大切なことです。

次に、このスピード養成期は、既に多くのレース(トラックや10k前後までの短いロードレース)を走っているレース期でもあります。したがって、年間を通じて最もスピードを高めようとしている期でもあり、秋から冬のマラソンを目標にしているスタミナ養成期とは、スタミナのとらえ方が違います。

では、あらためてスタミナとスピードの関係を簡単にまとめてみます。(私の経験上から)

長く走る(スタミナ)ためには、速さ(スピード)を抑える必要がありますが、速く走る(スピード)と、長く走る(スタミナ)ことはできません。このように、スピードとスタミナは相反する面をもちながら、どちらも必要不可欠な要素です。同時に、一方を高めると一方が犠牲になるような関係にあることから、スピードとスタミナを同時に高めることが難しい大きな理由のひとつです。だからこそ、「期分け」の考え方で、スピードとスタミナをそれぞれ高めていくことは、効果的な方法と言えるのです。

そこで次に出てくる疑問として、「スピードとスタミナはどちらが先か?」です。

これは、「卵が先か?鶏が先か?」の話しに似ていますが、長距離(マラソン)の基本はスタミナ(持久力)です。つまり、長く走り続けることができなければ、レースを完走することはできないからです。これについては、至極当然のことであり、この点は絶対にブレてはいけない部分であると、私は考えます。

以上をまとめると、◆1.スピードとスタミナは同時に強化することは難しい。◆2.スタミナは長距離(マラソン)の最も重要な要素であり、土台となる。

このように、スピード養成期中であってもスタミナを養成するトレーニングは必要不可欠です。しかし、スピード養成期のように、スピード系トレーニングに重きを置いた期間においては、スタミナ系トレーニングは土台部分をキープするとらえ方にシフトすることで逆に、スピードトレーニングとのバランスがとれると考えます。

つづく。

期分け・67

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【期分け・67】今回は、これまでの流れを簡単にまとめてみます。はじめに、スタミナ養成に効果的な時間と距離をまとめると下記のようになります。

◆効果的な時間:1時間40分~2時間30分-①

◆効果的な距離:25k~35k-②

更に、ポイントを絞ると、スタミナ養成に効果的な時間は、「2時間」。また、距離としては、「30k」がひとつの目安になると考えます。これについては、様々な考え方があり、絶対とは言えませんが、少なくとも私自身の経験上、とても効果的と考えます。

同じく、上記を効率的に導くスピード(設定タイム)についてまとめると、次のようになります。

◆効果的な時間のスピード:ゆっくりでもOK-③

◆効果的な距離のスピード:5kのスピードを100%と、した場合の83%~87%-④

もちろん、より速く走ることが効果的と言うわけではありません。特に、走歴や走力の不足しているランナーが全力に近いスピードで走り続けることはおすすめできません。既に何度も話していますが、その最大の理由として、怪我や故障に直結し易いことは言うまでもありません。

更に、サブスリーレベルのランナーを例に考えた場合、脚つくりとして走り込んでいくスピードは、上記④から導いた4分30秒前後が効果的です。同時に、そのペースで30k走ると、2時間弱となります。

ところが、前回の「期分け・66」にも記載したとおり、これから気温や湿度が一段と高くなってくるコンディション下では、身体へのダメージや負担はより大きくなる方向に変わっていきます。もちろん、この点も前回少し触れましたが、この時期は設定タイムと距離を見直す必要があり、重要なポイントとなります。

では、この時期は具体的にどのような設定タイムに変更し、どの程度の距離にすることで、スピードとの両立が可能になるのでしょうか?

次回からは、この点にポイントを絞って考えていきます。

つづく。

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