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2020-05-30

伴走者・12

【伴走者・12】個人競技であるマラソンについても仲間と競い合い、切磋琢磨していくことで個々の力も上がっていきます。特に、伴走者が必要な視覚障がい選手については、常に2人がペアであり、単独走ではないのでなおさらです。

そのため、強化合宿を強化活動の軸にし、その回数や内容を充実していくことで、チームジャパンも力を培ってきました。つまり、個人競技であるマラソンもチームとして強化合宿を重ねていくことが要で、マラソンは団体競技であるともいえます。

チームジャパンを裏方としてがっちりと支えているのは伴走者です。ところが、強化合宿を充実させていくと、伴走者が必要な視覚障がい選手は、伴走者の理解を得ながら強化合宿を重ねていくことが逆に難しくなっていきます。

伴走者にも個々の事情があり、視覚障がい選手の都合どおりにはいかないからです。しかし、伴走者を伴わないと一歩も走ることができない視覚障がい選手にとっては死活問題です。この難題を解消し、チームジャパンを支えてくれたもうひとつの力(仲間)が学生選手です。

学生選手がはじめて強化合宿に協力してくれたのは、2005年ころになります。はじまりは、千葉県富津強化合宿での伴走協力を千葉県内の大学にお願いしたのが最初でした。そして、2008年ころからは箱根駅伝を目指す関東内の他大学にも伴走協力の輪が広がっていきました。

学生選手は若くて圧倒的な走力があり、伴走者としては理想的ですが、伴走経験のある学生選手はほとんどいません。ご協力いただける大学にお願いし、派遣される学生選手は右も左もわからない状態で強化合宿に参加します。

しかし、どの学生選手も箱根駅伝を目指しているだけあって、相手を観察する力は長けており、合宿初日の練習から伴走をそつなくこなします。また、強化合宿中は視覚障がい選手と相部屋になり、練習だけでなく食事や入浴などの日常生活サポートも全てお願いすることになりますが、どの学生選手も笑顔で進んで対応してくれます。

学生選手たちの様子を拝見していると、各大学での取り組みや指導は単に走ることだけでなく、日常生活など多岐にわたっていることがわかります。また、この強化合宿に参加したことがひとつのきっかけとなり、箱根駅伝出場を果たした学生選手もいました。

そして、学生選手と強化合宿を共にすることで、自身の競技に対する考え方や取組姿勢を見つめなおし、視覚障がい選手たちが意識改革を推し進める原動力になっているのが何よりです。

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